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3章 3つ巴ベース編
45話 和解
しおりを挟む「「申し訳ありませんでした!」」
今、俺の目の前で頭を下げる優等生君とリボンの少女
彼らはどうやら俺の事を誤解していたみたいだ。
誤解を解くのは時間がかかったが、なんとか解く事ができた。
「頭を上げてくれ。それほど気にはしていない。むしろ君達の拠点のメンバーをその…倒してしまってすまない」
今思えば俺も大人気なかった。
最近、戦闘欲求が高まり過ぎていかんな。反省だ。
それにしても聴くところによると彼らは《夜明けの鐘》のメンバー。そして、この優等生君は和歌山支部のリーダーとの事だ。
実は結構ヤバい状況なのではないだろうか
「いえいえ、光太郎はその…アホなんで。良いお灸になったと思います」
本当許してくれて良かった。
「そうか……それなら良かったんだが。」
確かにピアス少年がアホと言うのは納得だ。
この優等生君も苦労しているのだろう。まだ高校生くらいだろうにチラホラ白髪が混じっている。
「お兄さんって超強いね!」
リボンをつけた少女"花"が話に入ってくる。
先程までずっとパールの体で遊んでいたが、ようやく離れたみたいだ。というかパールが逃げたか
それにしても強いと言われるのは嬉しい。
ーーだが
「いいや、俺なんてまだまだだ。正直勝てたとも僅差だった…」
今回の戦いは反省点が多い。相手はまだ高校生。子供相手にこれではダメだ。修行の量を増やさなければな
「お兄さんってストリックって奴?」
「花、それを言うならストイックだよ。ですが秋さんは十分強いと思いますよ。光太郎のスキルはどれも強力で正直戦闘においては、内の支部では右に出るものはいません。それを無傷で倒すなんて正直信じられません」
「うん、光太郎って負けた事なかったもんね!倒したのお兄さんが初だよ!」
「そ、そうか」
今の高校生は、本当に良くできているな。
むしろ大人より大人ではないかと思う。
「それにしても秋さんはどこの拠点にも属してないんですか?」
「あぁ一人だ…いや、一人と一匹だな」
一人と言おうとしたがパールが軽く足元に抗議して来たため修正した。確かにパールがいるから一人きりではないな。
「うちの拠点においでよ!」
花が俺の手を握り、上目遣いで見てくる。
本人はその気はないのだろうが……天然とは怖いものだ。
まぁ、正直この世界で生き残るには拠点に入るのが一番なんだろうが
「すまないが断らせてもらう。俺は一人気ままに生きるのが性に合っている。」
とても嬉しい誘いだが、今の自由な旅が最近はとても楽しいし、パールが加わり寂しさも無くなったし今回は断る。それが正しいのかはわからないが
「そうですか…残念です。ですが内の拠点は近畿内でしたから各地に支部があるので入る気になればぜひ」
少しばかり残念そうに言う優等生君
それにしてもさすが拠点
「うん?ちなみに少し質問良いか?」
「なんでしょうか?」
「いや、ふとした疑問なんだが今世界は車や電車、スマホに至るまでが使用不能で移動手段、伝達手段が無いのにどうやって拠点を今の規模にまでしたのかと思ってな」
地元の人々が集まりできるならば分かるが、近畿一帯となると正直どのように作ったのか、管理するのか見当もつかない
「それは……あまり広めないで欲しいのですが、《夜明けの鐘》には会長を頂点とし、その直下に《5つ葉》と呼ばれる幹部達がいます。その中の1人"カナエ様のエキストラスキル"伝達"によって各支部に情報や物資を伝達しています。」
「うん?エキストラスキルって何だ?」
初めて聞く言葉だ。
おそらくだが固有スキルとは違うのだろう
「それは「それはねぇ!固有スキルの強い版って感じだよ!」
優等生の説明に乱入してくる花
どうやら話に入りたかったようだ。
「エキストラスキルは基本的にすごい能力を持っているの。例えば、触れるだけで鉄を溶かす能力とか、相手の思考を読むとか…….すごいらしいよ」
「カナエ様のエキストラスキル"伝達"は自身が定めた場所に言葉や物を送る。または移動させる事も可能なスキルで、月に1回に情報の共有と物資の交換がされています。」
「なるほど、確かに恐ろしいスキルだな。ちなみに定めた場所ってどこでもいいのか?」
「それは自身が直接定めた場所や物らしいです。ですので各支部にはカナエ様より与えられた携帯が与えられます。」
どこでもドアのような便利性は無いんだな。
まぁもしそうだったら最強すぎるか
なるほど、自身の決めたものを座標と設定できるのか。十分強すぎる能力だけどな
「その携帯とやらはどうやって各県にまで持っていくんだ」
少し質問のし過ぎかとは思ったが、聴ける時に聴いとくのが大切だからな
質問は1回にまとめろとよく言われたものだ。
「スカウト君達だよー!」
花が話に乱入してくる。
それにしてもスカウト君?
「えーと、うちのベースにはスカウト隊というのがありまして、主に移動系のスキル持ちで構成されているので近畿内各地に赴き、有望な人材や拠点を見つけては、夜明けの鐘に勧誘しているんです。僕ら3人も実はスカウトによって夜明けの鐘に入りました。」
花の一言を優等生君が捕捉する。
なるほど、移動系スキルと伝達のスキル。この二つが揃っているのは拠点として強いな。
「なるほどな。いろいろ教えてもらって悪いな」
俺の中で優等生君の株がどんどん上がっている。
「いえいえ、ここであったのも何がの縁ですし、今は協力し合わないとですからね。なんでも聞いてください」
優等生君が爽やかに微笑む。
本当にいい奴だな優等生君は。いや小橋君だな
俺は様々な事を教えてくれた小橋君に深い感謝の念を抱きながら、他に聞く事を考えていた。
ほんとサラリーマン時代の仕事癖が抜けなくて困る。
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