最強への道 〜努力は俺を裏切らない

ペンギン

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3章 3つ巴ベース編

51話 事件

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俺とパールがダンジョンから出ると街の雰囲気が変わっていた。

どう変わっていたかというと、外を出歩くハンターの数が増え、武装も万全、加えて皆ピリピリしている。

おそらく俺がダンジョンに潜っている時に何かが起きたのだろう。
そして、その何かに関わる事は全力で避けなければならないと直感が言っている。

よって俺とパールは、人気のない道を進みながら物資を調達する事に。ここのダンジョンを後何回か繰り返した後、俺は大阪に向かおうと思っている。
そのための物資調達だ。

「あまり無いな……やはり取り尽くされてしまっているのか?」

確かにここは街の中心部だしな。
3つも拠点ベースが集中している。当たり前といえば当たり前か

「ぷぅ?」

突然パールが俺の足を鼻で突いた。

「どうした?物資か?」

「プゥプゥー」

違うよと首を振るパール
そして、トコトコと先に進んでいくパール
とりあえず俺ついて行ってみる。

そして建物の角を曲がると

「あれは…山根さん?」

そこには剛健隊副隊長の山根さんがいた。
建物の窓の内側の誰かと話している?
以前に見た普通のおばちゃん感は無く、真剣な表情で話している。

少し距離があるため、内容は分からないが

俺は邪魔するのも悪いと思い、戻ろうと思ったが、その時、山根さんとふと目があった。

俺は反射的に軽く頭をさげる。
そして、その場を後に

「あら!お久しぶり」

出来なかった。
俺に気づいた山根さんがこちらに小走りで駆け寄って来た。
これは知人を見かけた時の主婦の習性

仕方ない

「あぁ久しぶり、ちなみに会話中じゃなかったのか?」

「もう終わったから大丈夫よ!それにしてもシュウさんだったかしら気をつけなさいよ~」

俺の肩をバシバシ叩く山根さん
少し痛い。しかし

「えーと、気をつけるとは?」

「それがね~。かなり真剣な話になるんだけど、うちのメンバーが死体で発見されたのよ。それも戦闘部隊のNo.2がね」

確か剛健隊の戦闘部隊のトップは剛健隊の隊長だ。そのNo.2ともなれば実質的に剛健隊で2番目の強さを持つという事だ。
それから考えるに

「かなり強力な魔物が現れたのか…」

それならこの警戒態勢も察しがつく

「それは違うと思うのよねぇ。何故なら殺されたメンバーには刃物による刺し傷があったのよ。」

「人がやったというのか?」

「私は、いえ剛健隊はそう考えているわ。おそらく隊長に匹敵する強さを持つハンターの仕業と…例えば、ある日突然この街に来た野良のハンターとか?」

背筋がゾクリする。

「俺はやっ「いやぁ~嘘よ!」

俺の肩を叩きながらオホホホと笑う山根さん
試しやがったな
少しばかりイラッとするがここは我慢だ。

「犯人は"塚平組"よ。奴らには黒い噂がたくさんあるわ。違法ドラッグ、闇カジノ、人身売買。剛健隊は塚平組をマークしてたの。そして、その指揮を取ってたのが攻撃隊のNo.2 田中君。その彼が死体で発見されたのよ。分かるわよね」

「塚平組がやましい事を隠すために…」

「そうね…奴らには何かあるのよ。主婦の勘って奴よ。だから気をつけるのよ。……私たち剛健隊が塚平組に必ず鉄槌を下すわ」

「……あぁ、気をつける」

気のせいか?
一瞬だけ山根さんに対して俺の中の警鐘が鳴った気がした。
だが、自分もう感じない。
改めて見ても、ただの主婦のおばちゃんだ。

それから少しだけ簡単な世間話をして後、俺と山根さんは解散した。

それにしても、ダンジョンに行っている間にそのような殺人事件が起きているとは

塚平組。確か全身黒スーツの集団だったはずだ。
和歌山の暴力団で結成された集団。
奴らも街で多く見かけた。

山根さんを疑うわけでは無いが、少しばかり様子を見に行ってみるか。

それよりとりあえずは睡眠を取るか

俺は横で鼻提灯ちょうちんだしてウトウトしているパールを抱き上げて、近くの空き部屋に向かうことにした。

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