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3章 3つ巴ベース編
66話 20回層
しおりを挟む20階層
俺とパールは19階層までは何度も往復したが20階層は様子見にすら行っていない。
それは、心の中で決めていたからだ。
修行の最後に20階層のボスを初見で倒すと
「この階段を降りた先にいるようだな」
「プゥ……」
「パール。悪いがここは俺1人で闘う。手出しは無用だ。」
「プゥ!」
いいよとばかりに返事を即答するパール。
パールも戦いたかっただろうに本当に申し訳ないな
「よし……行くか」
俺は刃物屋で手に入れたナイフを手に階段を降り進む。
ちなみに何度もサイクロプスを倒し、ドロップアイテムも結構手に入ったが、欲しい魔武器は手に入っていない。いや、実は手に入ってはいるが使えないというか
まぁ、無いものを悔いても仕方がない。
何より武器の力で強くなるのは、俺の流儀じゃないな
さて、初顔合わせといこう。
******
「ほぉ…」
入って思わず俺は唸ってしまった。
20回層は15回層とは違い、かなりボス部屋が狭い。
教室程度といえば分かるだろうか
そして、その一室にソイツは静かに佇んでいた。
一言で言えば白骨化した骸骨
しかし、その骨だけの身体に不似合いな頑強な鎧を身につけ、真紅の剣を腰元に提げている。
【アンデット・ソルジャー】
生前、歴戦の猛者であった人族のアンデット。
通常のアンデットとは一線を画す。
鑑定してみた結果。
20回層のボスはアンデット・ソルジャーというらしい。
見た目は豪華な装備を見に纏った骸骨だが、サイクロプスの数倍の圧力と何より濃厚な武の気配を感じる。
この敵は強いな
無意識に口角が上がるのを感じる。
それにしても、アンデット・ソルジャーはその場から一切動かない。
どうやら俺が闘う気になるまで待ってくれるらしい。
アンデットとなっても生前の流儀というか武士道的なのがのこっているらしいな。
俺はナイフを構え、戦闘のスイッチを入れる。
「さぁ、戦おう」
骨をカラカラ鳴らし、アンデット・ソルジャーも真紅の剣を構える。
放たれる圧力が強くなり、ゾワゾワと鳥肌が立つ
同時に本能が激しく昂ぶる。
だが本能に身を任せてはダメだ。
静かに息を吐き、精神を水面の如く沈める。
「よし!」
カッと目を見開いた俺は地面を強く蹴り、アンデット・ソルジャーに一気に接近。
ナイフを逆手に持ち、喉元を狙う。
"キンっ! "
しかし、その狙いはバレていたようで、剣で受け止められる。
ーー小さなフェイントを数個入れていたのに見抜かれた
だが
まだ終わりじゃ無い。
俺は力を少し緩め、相手に剣にナイフの刀身を滑らせ、鍔にあたる直前で身体を回転させ、空きだらけの背中を一刺し
しかし、一切反応がない
不自然に思った俺は一気に距離を取る。
距離を取った直ぐ後、俺のいた場所を剣が切り裂いた。
「骨だけに刺突は効かないか。」
もしかすると首を切り落としても死なないかも知れない。
ならば方法は一つ
"バラバラ"にする。
俺はもう一度、アンデット・ナイトに攻撃を仕掛ける。
今度は真正面から行く。
ナイフと剣が何度もぶつかる。
生前は本当に強い戦士だったのだろう。
純粋な技量が極めて高い。
だが
俺のナイフが徐々にアンデット・ナイトに当たり始める。
完全にアンデット・ナイトの剣筋を見切ったためだ。
この修行で最も鍛えたのは、この"見切る力"だ。
加えてアンデットになった事で身体能力が技量に見合っていない。
おそらく高度な技量に肉体がついて来ていない。
まぁ肉が無いんだから当たり前か…
俺の首を狙う剣を掻い潜りカウンター気味に一閃
すぐさまナイフを逆手に持ち換え
二閃
三閃
俺のナイフは連続して振い
アンデット・ナイトをバラバラに切り裂いた。
「お前が生前の時に戦いたかった。」
アンデット・ソルジャーに残っているのは、絶え間ない努力により肉体に染み込んだ技の残滓。
もし生前であれば俺は勝てなかったかもしれない。
この1ヶ月で強くはなったがやはりまだまだ足りないな
だが、とりあえずは今の勝利を喜ぼう
アンデット・ソルジャーの死体は既に粒子となり消失した。
その場に、黒い魔石と宝箱を残して
さて今回の宝箱の中身は何だろうな
今までの宝箱とは違う濃いオーラを放つ宝箱へと目を向ける。
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