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32話 スライム腹巻き
しおりを挟む床に置かれたスライム生地の腹巻きを見つめる1匹と一人。
「今よりこの腹巻き?の性能確認を始める」
「ニャー」
俺とタムタムは4階層のボス、緑スライム騎士のドロップアイテムであるスライム腹巻(仮)の効果の確認をしようとしていた。
ちなみに4階層までで獲得した大量の魔石は今朝、換金センターに車を3往復させて全て売り払った。
売却額は300万円となり、過去最高額を叩き出した。
そのお祝いとして、タムタムにはホームセンターのペットショップコーナーで最も高額なおやつを買ってあげた。
かなり美味かったらしく、秒で食べきっていた。
まだ欲しそうに鳴いてきたが、俺は鉄の意志であげるのを留まった。
と、それはさて置き、今は緑スライムの腹巻きだ。
正直本当に腹巻きか?と思ってしまう部分はあるが直感を信じて、お腹に装着してしてみる。
冷たくてプニプにした不思議な感じだ。
スライム座布団のような心地良さやスライムタオルのような爽快感は無いが、スッと馴染む感じだ。
最初こそぷにっとした感触があるが、すぐに装着しているのか分からなくなる程に馴染む。
「ニャ?」
どうだ?と聞いてくるタムタム
「うーん、着け心地が良すぎて異常に身体に馴染むんだけど、スライム座布団やスライムタオルのような特別な効果は感じられないな。使い方間違っているのか?」
俺が考え込んでいると
「ニャ~………ニャ」
タムタムが閃いたとばかりにリビングをトコトコ歩いて行き、エアコンのスイッチを入れ、何か温度も変化させたようだ。
心地よい風が身体に当たる。
でも何故にエアコン?寒かったのだろうか?
確かに今は秋だし、少し肌寒い季節ではあるが、特に寒くは感じないけどな
「ニャ?」
どうだ?とタムタムが聞いてくる
温度の事だろうか?
「気温はちょうどいいぞ。でも別にエアコンを入れる前から別に変わっていないし」
「ニャン」
「なんだよ、脱げってか?」
浮かしたクリップで俺の腹巻きを突いてくる。
こいつもスライム腹巻きをつけたいのだろうか?
一度、腹巻を取り外してみる。
「ーー寒っ!」
全身に一気に鳥肌が立った。
寒すぎる。
一体エアコン何度にしたんだよ
エアコンのリモコンを見てみると19度設定。
そりゃ寒いはずだ。
でも、これって!
もう一度、スライム腹巻きをつける。
「あ、適温になった。」
どうやらスライム腹巻きは体感温度を適温にしてくれる力があるみたいだ。
タムタムのおかげで気づく事ができた。
この猫、本当すごいな。よくも身につけずに分かったな。
後でご褒美に高級なおやつをもう一度あげるとしよう。
それから数時間かけてスライム腹巻きの効果を検証してみた。
それで分かった事は以下の3つ
・身体の清潔化→体臭がいい匂いになった。
・汗の抑制→どれだけ運動しても汗をかかない。
・温度調整→気温が熱くても寒くても自身は適温になる。
※体感だけでは無い。
改めてスライムシリーズの有能さには驚くばかりだ。
今は秋だからいいけど冬場とか出かける時につけるようにしよう。
****
「暇だな」
今日はダンジョンオフ日と決めたけど、何しようか悩むな。
そういや、前に登録した冒険者人材マッチングアプリ"ゼアーズ"でも開いてみるか。
申請は"0"
だよな。Hランクに申請が来るほど甘くは無いか
メッセージ"3"
メッセージだけ3件ほど来ている。
一体なんだろう?
【Eランク魔法使い・みな子】
冷やかしで登録するなHランの雑魚。
【Eランク剣士・まいか】
自撮りww。検索欄に出てくるのうざい。
とりま通報済み
【Dランク弓使い・玲二】
忠告しときます。貴方のような最低ランクスキルのソロプレイヤーはマッチングできません。もし出会いを求めているのであれば通常のマッチングアプリを利用してください。ここはビジネスの場です。
……うーん。
……あれ?
……これっておかど違いじゃね?
だって俺、登録しただけで何もしていないし、別に冷やかしもしていない。無料会員だからパーティ申請もしていないし。
後、自撮りの何が悪い。
考えていたらムカついてきたな。
ヤバい……むかつきが止まらない。
退会するか?
いや、それじゃ逃げたみたいでよりムカつく。
こうなれば強くなって、こいつらを見返してやる。
その日は俺は成り上がり系のアニメを見まくった。
応援ありがとうございます!
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