【完結】喪女は、不幸系推しの笑顔が見たい ~よって、幸せシナリオに改変します! ※ただし、所持金はゼロで身分証なしスタートとする。~

つこさん。

文字の大きさ
2 / 248
王都ルミエラ編

2話 これグレⅡじゃないっすかやだー‼

しおりを挟む
 にゃにゃにゃ、にゃーん(運命/ベートーベン)。

 立ったまま読んでいたらじろじろいろんな人に見られたので、噴水の際に移動し座って新聞を読みました。
 結論から言いますと、大掛かりなどっきりです。それかですね、あれです、あれ。大昔あったTRPG実写イベントとかですね(自分が本当に装備とかウィッグつけてキャラクターになりきり、イベント会場に作られた実際のダンジョンもどきを攻略するやつです)、そういうのに特別ご招待された系女子になりましたね、わたし。
 あれ参加してみたかったんですよ、楽しそうで。でも悲しき地方民ですのでね、縁がございませんでした。しかもですよ。しかもです。これ、このご招待いただいたゲームのシナリオ、いただいた新聞を読む限り、『グレⅡ』の世界観なんですよ……。

----------

 説明しよう‼ 『グレⅡ』とは‼

 園子中二病現役時代に一世を風靡したシミュレーションロールプレイングゲーム (SRPG)の略称である‼ 美麗なイラストを駆使したそのグラフィックとテーマ性の高さから、多感期のおこちゃまのみならず大きなお友だちもたくさん釣り上げ、十数年経った今でもファンアートが量産され続けているレジェンド作。
 正式タイトルは『The King’s Grail of Eternal Ⅱ』で、通称は『キングレシリーズ』。ⅡということでⅠもあるが、そちらは鳴かず飛ばずだった。Ⅲは制作側とスポンサー側の音楽性の違いにより頓挫。今も待ち望む声が挙がっている。

----------

 ということで、自他ともに認めるグレⅡ古参ファンのわたしが、どうやら大掛かりなファンミーティングにお呼ばれしたのではないでしょうか。と仮定して話を進めます。エンタメはテンポが大事ですからね。
 はい。光栄です。お招きくださりありがとうございます。いつ会場まで来たのかさっぱりですけども。
 スマホの携帯もだめなんて本格的な催しですね。現在時刻すら確認できませんが、たぶん夕方くらいです、たぶん。ということは中継を見て「寝よ」と思ってから十五時間くらい経ってそうです。髪の毛をお団子に結い上げたまま下ろしていないので、寝ないで移動した可能性もなきにしもあらず。
 どこやねんここ。群馬県内ではないなあ……。イベント専用無料シャトルバスとかで来たんですかね。着の身着のままでとかわたしの第二人格計画性なさすぎる。コインロッカーの鍵とかも持っていないので、まじで本当に身一つなんですよ。アフォか、と。
 
 いろいろ諸々第二人格のせいにしてちょっと現実逃避してみました。たのしかったです。はい、リアルに戻りましょう。
 いただいた新聞を読みました。『グレⅡ』のことが書いてありました。隅々まで読みました。しまいました。おどろ木ももの木さんしょの木(初めて使いましたこの言葉)。なんでかって申しますとね、はい、んですのよ、この新聞。ぜーんぜん知らない言語で書かれてるの。読めちゃった。なんでやねーん。
 自慢じゃありませんがワタクシ、言語学習が趣味ですの。これまで英語はもちろんイタリア語、漢語、韓国語、ロシア語、フランス語、ドイツ語のN◯Kラジオ講座テキストの四月号を入手してきましたわ。もちろんキレイに本棚に飾っております。ですから、この新聞がそれらのどの言語とも違うなっていうことはなんとなくわかるんですのよ。なんとなく。
 強いて言えばフランス語に似ていないこともなきにしもあらずな気がいたしますが気のせいでしょうね。なにせフランス語四月号は八ページしか読まなかったので、はい。

 で、わたし自身はここへやってきた自覚も記憶もない。

 という状況を鑑みまして、これちょっとおかしいな、となるわけなんですよ。なりました。ファンミーティングにしても、わたしがこの新聞読める理由にはなりませんし。じっと手を見る。なんとなく。インクが手のひらに少し着いていました。

 もしかしてなんですけど。ここ、『グレⅡ』の中じゃないですかね。

 もしくは、そういう並行世界。あのですね、わたし創作者なんです。昔はグレⅡの二次創作でブイブイいわせていましたが、今は一次で小説書いています。趣味書きです。ネット小説とかそういうのです。で、まぁお約束な流れではありますよね。流行りというかもう主流というか、『転移転生』とかいうやつ。あはは。

 いやあ、ねえよ(素)。

 現実にそれっぽい状況になると、小説みたいに即座に順応、とかできないもんですねー。今わたし途方に暮れてますもん。ちょう捨て鉢気分ですもん。芥川龍之介だったら『園子の小さな眼が、柔らかな光をたたえながら、アイロニカルな微笑を浮べている。』とか描写するんじゃないですかね。ないって、まじでないって。夢か、夢だな、寝るか。よし寝よう。
 新聞を枕にしてそのまま噴水の縁にこてっと横になりました。はい寒い。微妙にお手洗い行きたい。でも寝よう。そして起きよう。そうすればまたリアルに戻れるさ。消去法で行けるって稲◯浩志さんはシャウトしてたけど、問題先送りはわたしの専門分野です、任せてください。そのうちなんとかなる。Heyそうだろ⁉

「おねえさぁん……ここで寝るのはまずいよぉ……」

 目を開けました。この声は忘れません。かわいいって言ってくれた声なので。かわいいって言ってくれた声なので。(大事なことなので) わたしの前にしゃがんでいて、ばっちり目が合いました。きっれー。ぐっとなにかを飲み込んだような顔をして、新聞少年は微笑みました。

「おねえさん、どこから来た人? ここいらでは見かけない感じだよね」

 そうでしょうね。残念ながらモンゴロイドを極めきった容姿なので。一説には日本人のルーツはかの有名なロードス島からの移民にあるって読みましたけど。なろうで。その血はわたしにはちょっとしか流れなかったみたいです。甚だ遺憾でございます。でもまあ見られないくらい酷いわけではないのでいいんですけども。それなりに愛着もありますし。平たい顔。

「群馬県前橋市から参りました。ところでここはどこでしょう?」
「……えーと、とりあえず、起きない?」

 そうですね。人とお話するのに横になったままは失礼でした、反省。

「あのさ……これから暗くなるし、こんなところで横になってたら、危ないと思うんだ。観光? 宿はどこ、送って行こうか」
「そうですね、観光でもしようという気分になれたらしたいと思います。――ところで、差し迫った問題があるのですが」
「え、なに? なんかあった?」
「お手洗いはどちらでしょう?」
しおりを挟む
感想 68

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

【完結】パパ、私は犯人じゃないよ ~処刑予定の私、冷徹公爵(パパ)に溺愛されるまで~

チャビューヘ
ファンタジー
※タイトル変更しました。 「掃除(処分)しろ」と私を捨てた冷徹な父。生き残るために「心を無」にして媚びを売ったら。 「……お前の声だけが、うるさくない」 心の声が聞こえるパパと、それを知らずに生存戦略を練る娘の物語。 ----- 感想送っていただいている皆様へ たくさんの嬉しい言葉や厳しい意見も届いており一つ一つがすごく嬉しいのと頑張ろうと感じています。ご意見を元に修正必要な部分は随時更新していきます。 成長のため感想欄を閉じませんが公開はする予定ありません。ですが必ず全て目を通しています。拙作にお時間を頂きありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる

国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。 持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。 これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。

処理中です...