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『三田園子』という人
176話 びっくりしたんだもん
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こんにちは。園子です。悠長なことしていられないです。今月はちょうどあと一週間しかありません。とりあえずスーモとかを検索して、引っ越し見積もり依頼のフォームへ記入しようと思いましたが、転居先がまだ決まっていないんでした。
愛ちゃんが、スーパーとかドラッグストアを数件回って、丈夫そうなダンボールを十二枚持ってきてくれました。足りなかったらまた探して来てくれるって言ってくれましたけど、これで足りるようにしたい! ていうか足りさせる! ということで、断捨離です!
「言うて、そこまで物なくね?」
「うん」
一希さんが買ってくださったものがダンボールで二箱で届きました。このタイミングで物が増えたよ……。開封しないでこのまま持っていこう。
愛ちゃんには「あきらかに必要ってものを箱詰めしてほしい」とお願いしたので、ミニ扇風機とかドライヤーとか、まあ一週間くらいなくても平気な大物を片付けてくれました。で、わたし。……先延ばしにしていた結論があるんですけど、なんだかわかります? それが今ここで、ちょっと悩みの種になりました。
「ううううううううううぶもおおおおおおおおおおお」
「牛か。牛の真似なのか」
顔色ひとつ変えずに作業をしながら愛ちゃんがつっこみました。愛ちゃん大好き。どうしよう。どうしたらいいだろう。……わたし、どうしたいんだろう。
「ちょっと、心頭滅却ついでに大型ごみシール買ってきていいですか」
「じゃあカフェラテスイートとからあげ串とアメリカンドッグ」
「承知しました」
ちなみに前橋のこのマンション、周囲にコンビニがありません。あるのはスナックとるなぱーく。はい。二丁先の群馬県庁前のコンビニが一番近いので、行って帰ってくるので三十分くらいでしょうかね。あんまりコンビニエンスじゃないね。いいのよ、好きでこの物件に入ったんだから。
コンビニ方向へ一直線の道を、気合いの入ったウォーキングみたいに腕を振って歩きます。昨日降った雨は止んでいて、いい感じに曇りでした。あんまり早く歩いたら早く着いちゃうんですけど、今はとにかく体を動かしたい気分です。わたし、わたし、どうしたいんだろう。わたし、わたし、どうするんだろう。
悩んでいるのはね、アウスリゼのこと。そして、こちらのこと。わたし、どうしたいんだろう。
どっちで、生きるんだろう。
元はと言えばわたしは日本に生まれ、そこで生活していた人間です。たのしいこともそうじゃないことも、ぜんぶこの日本で乗り越えてきました。アウスリゼは、好きです。思い返せば泣けて来るほどに。でも、わたし、あの世界の人間では、ない。
とてもイレギュラーな存在でした。わたし以外の平たい顔族にはついぞお目にかかれなかったし。わたしが、呼ばれた理由があるとすれば、経過した時間の観点からそれはもう達成されたと考えてほぼ間違いないです。今ごろオリヴィエ様はルミエラで、和平協議は成功裡に終わり、以前クロヴィスが述べていた言葉を考えるならば、もしかしたらリシャールが王となる準備がされているのかもしれない。
本当は、もっとこういうことを考えるべきでした。けれど、意識的に考えないようにしていました。わたしの気持ちは宙ぶらりんで、振り子のようにどちらにでも行くのです。そんな自分が情けなくもあり、許せなくもあり。そして出す結論は、必ずだれかをないがしろにすることを、直視できませんでした。
ここにも、あちらにも。わたしには大切な人がいます。わたしを愛し、支え、ときには叱ってくれさえするかけがえのない人たち。
わたしをじっと見据えた金色の瞳。『王杯』の顔が思い浮かびます。さすがにわたしにだってわかりました。どちらかを選んだ時点で、選ばなかった方は、永遠にわたしから取り去られるのだろうと。
どうしたら、選べますか? ずっと悩んでいてはいけませんか? ねえわたしから、もうなにも取り上げないでほしい。そんなに多くは持っていないの。ぜんぶ大事なの。
できますか? 断捨離。大型ごみシールを貼って、さよならできますか?
しんどくて、しんどくて、吐きそうになる。
コンビニはいつもの音楽と店員さんの声で迎えてくれました。からあげ串が売り切れだったので、揚げたてを二本お願いしました。
マンションに戻ると、愛ちゃんが開口一番「ひっどい顔してんな」とわたしに言いました。どうも、平たい顔族です。わたしは大きい袋を両手に下げて帰りました。ポテチとか、サラダとか、あたりめとか。奮発してホタテの貝柱も。高かった。あとカレーせんべい。それに、この前愛ちゃんが飲んでた緑色のキレイな缶のお酒。大きいのを四本買った。
「愛ちゃん……飲もう」
「おいおいおいおいおい、どうした⁉」
わたしから飲もうって言ったのはたぶん初めてです。しかもまだ明るいうちから。ノリタケさんは愛ちゃんのおうちでお留守番ですけど、いちおう今日は泊まりになるって言い聞かせてきたって。じゃあいいよね!
「……んあっ濃っ、うあっ!」
「当然でしょうが、下戸がいきなり翠ジンソーダ行くな! 七度だぞこれ!」
「しかも甘くないーーー!」
「あたしが甘い酒飲むかってんだよ! あー、もうどうしたよ!」
わたしが直飲みした缶を愛ちゃんが取り上げました。わたしは一口でちょっとぐるんってなって、土下座みたいに愛ちゃんへ頭を下げました。
「どうしたらいいかわっかんないので! 相談に乗ってください!」
「……わかった。腹割って話そう。が、ちょっと待て。酒盛りにはそれなり準備が必要だ。微アルコールのやつ買って来るから、待ってろ」
そう言って愛ちゃんはお酒を冷蔵庫にしまい、車のキーを持ってさっそうと出かけて行きました。
――……ふっと意識が上がると、とてもアーバンなイメージの書斎みたいなお部屋でした。ちょっとだけ首を回して右側を見ると、なんと、オリヴィエ様がすぐそこに! 椅子に着いてそこに! 座っていらしてもステキ!
オリヴィエ様は無表情と言えるほどの静かな面持ちで、手元の用紙になにかを書きつけていらっしゃいました。一枚書き終えると、吸い取り紙に挟んでインクの処理をされます。封筒に宛名を書いて、先ほどの用紙をたたんで封入します。封蝋だ! かっこいい! 絵になる! ステキ!
机の端にあったベルを取り上げて鳴らされました。すると正面のドアが開いて「お呼びでしょうか」と中年の白黒メイド服の女性が。上がる。なにこれ異世界恋愛モノっぽい。上がる。
「これをすぐに届けてくれ」
「かしこまりました」
受け取ってメイドさんは一礼して退室されました。いいなー、あの服わたしも着てみたい。そしてわたし、目線からいってもしかして机の上にいないか? これ?
オリヴィエ様はメガネを外されて、右手で目頭のあたりをつまみました。疲れ目ですか。おいたわしい。なんか、なんかないかな。そういえば試供品のアイマスクうちにあったはず。捨てたかな。
ちょっと周囲を見回しましてけど、当然わたしの部屋ではなかったので試供品はありませんでした。ちえーっと思って向き直ると、オリヴィエ様がわたしをガン見されていました。ぎゃん! 恥ずかしい! ちょっと待ってください目やについてないか確認しますから待って! 手を顔にやろうとしましたができなくて、あれえ? と思って手を見下ろしました。……葉っぱでした。青々とした。ちょっと長めの。パキラっぽい。
なん……だと……。
オリヴィエ様がわたしの手、もとい葉っぱに手を伸ばして触れられました。きゃあああああああああああああ‼ しかもちょっと寄って来られて。うるわしいみ顔を、わたしの中へつっこまれます。うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ。
「……ああ、室内観葉植物でも、癒やされるものだな。気分がすっきりした」
顔をつっこまれたまま、オリヴィエ様はおっしゃいました。えっ、わたし今観葉植物? まじで? ということは? えっ、光合成してる? 葉緑素働いてる? では。えっ、待って、じゃあ、わたし今、二酸化炭素吸って酸素作ってる? ……オリヴィエ様が吐いた二酸化炭素を吸って、オリヴィエ様が吸うための酸素作ってる⁉
なんだってーーーーーーーーーーーーー⁉
それは――それはすばらしいことではないだろうか。まさしくわたしは、そのために生まれたのではないだろうか。そうだ‼ わたしは、今日こうして、推しの二酸化炭素によって推しのための酸素を作り出すという天命を全うするために生まれたのだ‼ ああ! すばらしき人生よ!!!!
「ソノコ――」
オリヴィエ様がつぶやかれました。舞い上がった気持ちがストンと戻って来ました。わたしの名前が呼ばれたからではなくて。見えなかったけれど。
「ソノコ……どこにいるの。はやく、帰ってきて」
……オリヴィエ様は、静かに泣いていらっしゃいました。
「おーい、おきろー。酒盛りだー」
愛ちゃんの顔がどアップで見えて「うわっ」と言ってしまって殴られました。はい。
愛ちゃんが、スーパーとかドラッグストアを数件回って、丈夫そうなダンボールを十二枚持ってきてくれました。足りなかったらまた探して来てくれるって言ってくれましたけど、これで足りるようにしたい! ていうか足りさせる! ということで、断捨離です!
「言うて、そこまで物なくね?」
「うん」
一希さんが買ってくださったものがダンボールで二箱で届きました。このタイミングで物が増えたよ……。開封しないでこのまま持っていこう。
愛ちゃんには「あきらかに必要ってものを箱詰めしてほしい」とお願いしたので、ミニ扇風機とかドライヤーとか、まあ一週間くらいなくても平気な大物を片付けてくれました。で、わたし。……先延ばしにしていた結論があるんですけど、なんだかわかります? それが今ここで、ちょっと悩みの種になりました。
「ううううううううううぶもおおおおおおおおおおお」
「牛か。牛の真似なのか」
顔色ひとつ変えずに作業をしながら愛ちゃんがつっこみました。愛ちゃん大好き。どうしよう。どうしたらいいだろう。……わたし、どうしたいんだろう。
「ちょっと、心頭滅却ついでに大型ごみシール買ってきていいですか」
「じゃあカフェラテスイートとからあげ串とアメリカンドッグ」
「承知しました」
ちなみに前橋のこのマンション、周囲にコンビニがありません。あるのはスナックとるなぱーく。はい。二丁先の群馬県庁前のコンビニが一番近いので、行って帰ってくるので三十分くらいでしょうかね。あんまりコンビニエンスじゃないね。いいのよ、好きでこの物件に入ったんだから。
コンビニ方向へ一直線の道を、気合いの入ったウォーキングみたいに腕を振って歩きます。昨日降った雨は止んでいて、いい感じに曇りでした。あんまり早く歩いたら早く着いちゃうんですけど、今はとにかく体を動かしたい気分です。わたし、わたし、どうしたいんだろう。わたし、わたし、どうするんだろう。
悩んでいるのはね、アウスリゼのこと。そして、こちらのこと。わたし、どうしたいんだろう。
どっちで、生きるんだろう。
元はと言えばわたしは日本に生まれ、そこで生活していた人間です。たのしいこともそうじゃないことも、ぜんぶこの日本で乗り越えてきました。アウスリゼは、好きです。思い返せば泣けて来るほどに。でも、わたし、あの世界の人間では、ない。
とてもイレギュラーな存在でした。わたし以外の平たい顔族にはついぞお目にかかれなかったし。わたしが、呼ばれた理由があるとすれば、経過した時間の観点からそれはもう達成されたと考えてほぼ間違いないです。今ごろオリヴィエ様はルミエラで、和平協議は成功裡に終わり、以前クロヴィスが述べていた言葉を考えるならば、もしかしたらリシャールが王となる準備がされているのかもしれない。
本当は、もっとこういうことを考えるべきでした。けれど、意識的に考えないようにしていました。わたしの気持ちは宙ぶらりんで、振り子のようにどちらにでも行くのです。そんな自分が情けなくもあり、許せなくもあり。そして出す結論は、必ずだれかをないがしろにすることを、直視できませんでした。
ここにも、あちらにも。わたしには大切な人がいます。わたしを愛し、支え、ときには叱ってくれさえするかけがえのない人たち。
わたしをじっと見据えた金色の瞳。『王杯』の顔が思い浮かびます。さすがにわたしにだってわかりました。どちらかを選んだ時点で、選ばなかった方は、永遠にわたしから取り去られるのだろうと。
どうしたら、選べますか? ずっと悩んでいてはいけませんか? ねえわたしから、もうなにも取り上げないでほしい。そんなに多くは持っていないの。ぜんぶ大事なの。
できますか? 断捨離。大型ごみシールを貼って、さよならできますか?
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コンビニはいつもの音楽と店員さんの声で迎えてくれました。からあげ串が売り切れだったので、揚げたてを二本お願いしました。
マンションに戻ると、愛ちゃんが開口一番「ひっどい顔してんな」とわたしに言いました。どうも、平たい顔族です。わたしは大きい袋を両手に下げて帰りました。ポテチとか、サラダとか、あたりめとか。奮発してホタテの貝柱も。高かった。あとカレーせんべい。それに、この前愛ちゃんが飲んでた緑色のキレイな缶のお酒。大きいのを四本買った。
「愛ちゃん……飲もう」
「おいおいおいおいおい、どうした⁉」
わたしから飲もうって言ったのはたぶん初めてです。しかもまだ明るいうちから。ノリタケさんは愛ちゃんのおうちでお留守番ですけど、いちおう今日は泊まりになるって言い聞かせてきたって。じゃあいいよね!
「……んあっ濃っ、うあっ!」
「当然でしょうが、下戸がいきなり翠ジンソーダ行くな! 七度だぞこれ!」
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「あたしが甘い酒飲むかってんだよ! あー、もうどうしたよ!」
わたしが直飲みした缶を愛ちゃんが取り上げました。わたしは一口でちょっとぐるんってなって、土下座みたいに愛ちゃんへ頭を下げました。
「どうしたらいいかわっかんないので! 相談に乗ってください!」
「……わかった。腹割って話そう。が、ちょっと待て。酒盛りにはそれなり準備が必要だ。微アルコールのやつ買って来るから、待ってろ」
そう言って愛ちゃんはお酒を冷蔵庫にしまい、車のキーを持ってさっそうと出かけて行きました。
――……ふっと意識が上がると、とてもアーバンなイメージの書斎みたいなお部屋でした。ちょっとだけ首を回して右側を見ると、なんと、オリヴィエ様がすぐそこに! 椅子に着いてそこに! 座っていらしてもステキ!
オリヴィエ様は無表情と言えるほどの静かな面持ちで、手元の用紙になにかを書きつけていらっしゃいました。一枚書き終えると、吸い取り紙に挟んでインクの処理をされます。封筒に宛名を書いて、先ほどの用紙をたたんで封入します。封蝋だ! かっこいい! 絵になる! ステキ!
机の端にあったベルを取り上げて鳴らされました。すると正面のドアが開いて「お呼びでしょうか」と中年の白黒メイド服の女性が。上がる。なにこれ異世界恋愛モノっぽい。上がる。
「これをすぐに届けてくれ」
「かしこまりました」
受け取ってメイドさんは一礼して退室されました。いいなー、あの服わたしも着てみたい。そしてわたし、目線からいってもしかして机の上にいないか? これ?
オリヴィエ様はメガネを外されて、右手で目頭のあたりをつまみました。疲れ目ですか。おいたわしい。なんか、なんかないかな。そういえば試供品のアイマスクうちにあったはず。捨てたかな。
ちょっと周囲を見回しましてけど、当然わたしの部屋ではなかったので試供品はありませんでした。ちえーっと思って向き直ると、オリヴィエ様がわたしをガン見されていました。ぎゃん! 恥ずかしい! ちょっと待ってください目やについてないか確認しますから待って! 手を顔にやろうとしましたができなくて、あれえ? と思って手を見下ろしました。……葉っぱでした。青々とした。ちょっと長めの。パキラっぽい。
なん……だと……。
オリヴィエ様がわたしの手、もとい葉っぱに手を伸ばして触れられました。きゃあああああああああああああ‼ しかもちょっと寄って来られて。うるわしいみ顔を、わたしの中へつっこまれます。うぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ。
「……ああ、室内観葉植物でも、癒やされるものだな。気分がすっきりした」
顔をつっこまれたまま、オリヴィエ様はおっしゃいました。えっ、わたし今観葉植物? まじで? ということは? えっ、光合成してる? 葉緑素働いてる? では。えっ、待って、じゃあ、わたし今、二酸化炭素吸って酸素作ってる? ……オリヴィエ様が吐いた二酸化炭素を吸って、オリヴィエ様が吸うための酸素作ってる⁉
なんだってーーーーーーーーーーーーー⁉
それは――それはすばらしいことではないだろうか。まさしくわたしは、そのために生まれたのではないだろうか。そうだ‼ わたしは、今日こうして、推しの二酸化炭素によって推しのための酸素を作り出すという天命を全うするために生まれたのだ‼ ああ! すばらしき人生よ!!!!
「ソノコ――」
オリヴィエ様がつぶやかれました。舞い上がった気持ちがストンと戻って来ました。わたしの名前が呼ばれたからではなくて。見えなかったけれど。
「ソノコ……どこにいるの。はやく、帰ってきて」
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