【完結】喪女は、不幸系推しの笑顔が見たい ~よって、幸せシナリオに改変します! ※ただし、所持金はゼロで身分証なしスタートとする。~

つこさん。

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わたしの帰る場所

243話 わたしなんかわるいことしましたっけ

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 盛大な結婚披露宴の途中で、メッセンジャーさんがわたしの元へ来られました。クロヴィスから、ルミエラへ戻る前に必ず一度立ち寄ってほしいとのこと。わたしひとりだけでですかね? レアさんと美ショタ様、たぶんマディア公爵邸へ行ったことないはずなので連れて行ったらまずいでしょうか。観光がてら。そんなお返事をしたら、セレモニーが終わって席を立つあたりでもう一度連絡が。いっしょに来てもいいけど、折り行っての話があるのでそれはちゃんと二人で話したい。とのこと。なにそれ怖い。
 とりあえず日時を決めておじゃますることになりました。ルミエラに帰る直前な感じで。
 そして、その前に。

「あらあらあらあらあーーーー、ソナコったらかわいくなっちゃってえー!」
「ぎゃーーーーー、おひさしぶりですみなさーーーーん‼️」

 リッカー=ポルカの、女性陣! 旅籠メゾン・デ・デュの大女将ベリテさん、それにバー・ポワソン・ド・テールのママさんコラリーさん。その『かわいい仲間』の白髪シューちゃんさん、黒髪アネちゃんさん、赤髪丸顔リっちゃんさん。リっちゃんさんはひょろっとしたご主人も同伴でした。
 カヤお嬢様のお家に滞在しているってお知らせしたら、みなさん来たいっておっしゃったので。カヤパパの寛大なお許しにより、お迎えしました。たぶんこれ、あれだな。美ショタ様がいらっしゃるからイイ顔しとこうモードだな、たぶん。ありがとうございます。
 みなさん、白亜の豪邸をきらっきらの瞳で見上げていらっしゃいました。そうだよね、かわいい心くすぐられるよね、わかる。
 お屋敷の中へご案内して、歓迎会みたいなプチパーティになりました。レアさんもみなさんと会うのはうれしいみたい。とくにベリテさんとはぎゅうぎゅうにハグしていました。リッカー=ポルカにいる間、ずっとお世話になってたもんね。美ショタ様は顔を出すのをかなり渋ったんですけれど、ムリヤリ引っ張って行ったら笑顔で応対していました。わたしとの関係を問われて「義弟です」なんてさらっと言っちゃって、マダムたちだけでなくカヤお嬢様からも身を乗り出して「詳しく」されました。はい。はい……。
 しばらくそんな話と、それぞれの近況話で盛り上がりました。シューちゃんさんは、あの最後までリッカー=ポルカに残って粘ったご主人と、前と同じように過ごせているようです。アネちゃんさんは、結局離婚になっちゃったそう。リっちゃんさんは、ご主人といっしょにいらしたくらいラブラブ。そして。

「えー⁉️ バー閉店しちゃうんですか、コラリーさん⁉️」
「うん。そうしようかなあって」

 ちょっとどころではなくショックです。ポワソン・ド・テールには、思い出がありすぎて。わたしが酔っ払った領境警備隊員のコブクロさんに『ソナコ』って名付けられたのもあそこですし。いろいろありましたね。居住空間が二階なので、もう登り降りがキツいんだそうです。コラリーさん、とてもおキレイだけれど、それなりにご高齢ではあるんですよね。

「えーっ、えーっ。じゃあ、お引っ越しされる感じですか?」
「そうねえ。もう、冬場の雪かきも大変だし。ナムコヴィレあたりにでも行こうかしら」

 みなさん、しんと静まり返って。マダムたちは前からそんな話を聞いていたのかもしれないです。しょんぼりしながらうつむいていました。えーっ、おじいさんバーさんはどうなっちゃうの。コラリーさんファンのハルハル武士のバーさん。ちょっとそこまでは聞けなくて、わたしもしょんぼりの輪に加わりました。

「あらあ、コリちゃん。じゃあ、うちの旅籠で店持たない?」

 ベリテさんが、ティーカップを手にのんびりとした口調でおっしゃいました。わたしも含めて全員の瞳がベリテさんへ。人の好い笑顔で「宿泊者さん向けのお店をね、館内に作ってもいいわねえって、話していたところなのよ」とベリテさんはおっしゃいました。

「ベリちゃん、それじゃあおじゃまになっちゃうわ。若い人に頼みなさいよ」
「うちの旅籠にもね、品位っていうものがあってね。信頼できる人に任せたいの」
「もうリッカー=ポルカでの雪かきはムリ」
「それこそ、若い人がやればいいんだわ。住み込みで働いてちょうだいよ。他にもそういう従業員は何人もいるわ」

 コラリーさんが遠慮しまくっていると、他のマダムたちが生き生きと「そうしなよコリちゃん!」「ベリちゃん、あんたやっぱりいい人だね!」「決まり! 決まりね!」とおっしゃいました。そうだよね、『かわいい』リーダーを失うの、ぜったい嫌だよね。
 結局コラリーさんが丸め込まれる感じで、その話は決着がつきました。よかった。おじいさんバーさん、マダムたちががんばってくれたよ!

「で、ソナコ。見せたいって言ってた服は?」
「そうでした」

 すっかり忘れるところでしたが、一希兄さんのワンピを見てもらうんでした。わたしは滞在している部屋へ急いで戻って、ワンピを取ってきました。お披露目すると「あらあー!」「まあ……」「あらあらあら」などと、いろんな声が上がりました。カヤお嬢様もワイドパンツを見たときみたいに「えーっ、えーっ⁉️」と。はい。ずっと黙っている美ショタ様がそのまま無言で固まりました。

「子ども服……っていうわけではないのよねえ」
「はい……成人女性向けの服です」
「すごく質の良いレースだわあ……びっくりするくらいよ」

 コラリーさんがワンピを膝に載せて手に取って確認されます。マダムたちも席を立ってその手元を覗きに行かれました。それぞれ「すっごいねえ」「こーれはキレイだ」「初めて見たわあ、こんな細かいレース」とおっしゃいます。

「そりゃあ、こんな良いものを使っていたら、この丈になるのも頷けるわね。縫い目もとんでもなくキレイだし。うちにあるミシンじゃここまでキレイにならないわ。もし普通丈だったら、レテソルに一軒家を構えられる値段になるわよ」
「うひょー」

 そんなになりますか。日本の縫製技術とレース技術すごい。コラリーさんはあごに指を当てて、少し考え込むような表情をされます。それから「……型紙を取りたいわ。なにか、大きい紙はないかしら。この服が汚れないように、印字されていないもの」とおっしゃいました。執事のルークさんがすぐに用意してくださいました。

「ソナコ。この服は、たとえ長い丈に調整できても、普段着としては着られないわよ」
「えっ、どうしてですか?」
「格が高すぎるのよ。それこそ、お披露目会とか、結婚式とか。それくらいの基準のお品だわ」

 そこまで! たしかに、一希兄さんが連れて行ってくれたお店は自分では一生入らないお店だったけれど! コラリーさんはすっとわたしをご覧になって「ソナコ、あなたの故郷の、土地色はなに?」と尋ねて来られました。えっ、ごめんなさいそんな文化ない。群馬の色? 県旗は紫だった気がする。そしてすっと目に入ったワンピの色を見て、あっと思って。

「白……です。たぶん」

 日本国旗を思い出して。赤い部分は、太陽の象徴だから。土地色だから、他の部分かな、と思って。
 コラリーさんがにっと笑いました。そして「決まりね。わたしに、任せてもらって、いい?」とおっしゃいました。わたしはうなずきました。
 ていねいにていねいに、汚さないようにと梱包して、コラリーさんへワンピを預けました。わたしの採寸とかもして。その後もわいわい話して、夕方が来る前にみなさん宿泊されているところへ戻られました。
 レテソルでの数日は、そんな感じであっと言う間でした。次の日にはカヤお嬢様たちともお別れして、マディア公爵邸へ向かいます。カヤパパさんも送りの自動車を見送ってくださいました。びっくりだよ。もう自宅に定住してるじゃん。よかったね。

「ソナコー!」
「メラニー!」

 玄関入ったところでひしと抱き合いました。なんかそういう流れだったので。はい。で、美ショタ様とレアさんをメラニーへ紹介して。クロヴィスは公使館に来たことあるから、初めましてではないので。帰りの汽車もあるのでそんなに時間は取れないんですが、メラニーがめちゃくちゃ張り切って美ショタ様とその従者さん、そしてレアさんを連れて公爵邸の観光案内を引き受けました。それわたし交ざっちゃだめ?

「――では。ミタ嬢。少し、話せるか」

 クロヴィスがみんなの姿を見送ってからそう言いました。なにそれちょっと怖い。
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