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サンドワームを倒して冒険者ギルドに戻ると、一回の探索なのにレベルが2も上がり、ついに最後の僧侶魔法である完治魔法を手に入れることができました。

部位欠損までは治せませんが、怪我と状態異常を治せる優れものです。石化を瞬時に治せるので、リセット回数が減るはずです。魔力消費が大きいのでいざというときしか使えませんけど。

なので、やっとステラさんに石板を渡して、私も上級職である聖女に転職しました。レベルが1に戻っちゃいましたけど。

そこから3日間は地下6階で私のレベリングに費やしてもらいました。流石に行けるようになったばかりの地下8階を低レベルで彷徨く気持ちにはなれなかったので。

【名 前】クロエ
【年 齢】15
【職 業】聖女
【レベル】36

【 力 】43
【知 恵】113
【生命力】60
【素早さ】60
【 運 】148

【スキル】僧侶魔法(7)、魔術師魔法(5)、リセット(2)、祈り(5)
【魔 法】回復(7)、光攻撃(7)、麻痺(6)、毒回復、麻痺回復、AC強化(6)、悪魔祓い(4)、即死(2)、不死者召喚(3)、罠識別、敵識別、帰還
火魔法(5)、氷魔法(5)、雷魔法(3)、塵化(1)、睡眠(5)、恐怖(4)、石化(3)、沈黙(2)、ACダウン(4)、速度強化(4)、魔法障壁、中和

物凄くたくさんの魔法が増えました。
塵化は自分より低レベルのモンスターを纏めて塵にする魔法で、表層ならリセット無しでも戦闘を飛ばした上に報酬が手に入る優れものです。
中和は敵のバフを全て消し去る魔法です。今まで迷宮内で知的生命体のバフに悩まされたことが無く、逆に使われたら厄介な魔法だなと思いました。

私のステータスも僧侶の時くらいの数値に戻ったので、地下8階に挑戦することになりましたが、ルーカス君が一人クラスチェンジできず不満そうです。
地下6階はかなり探索したので、単純に運が悪いのか盗賊用の石板は地下8階以降にあるのか。

「もうしばらく地下6階で頑張ってみる?」

「いや、いいよ。エルヴィン様のお母さんのこともあるし、先を急ごうぜ」

「すまない、助かるよ」

みんなで話しながら、塵化魔法で地下4階までを素通りして、一気に地下5階の昇降装置に乗り込みました。

「話には聞いていたけど、地下8階に足を踏み入れるのは僕は初めてになるね」

「私も初めてだけど」

地鳴りと共に昇降装置が降りていく中、エルヴィン様とルーナは少し緊張気味です。
私達も特に戦闘は経験していないので、鍵のかかった扉の先は未知数なのです。

地下8階の鍵のかかった扉のある広間に着きました。
ショートカットと昇降装置であっという間です。まるでここからが本番だと言わんばかりのような気がします。

私は念のため、不死者を召喚しておきました。不意を打たれた時や様子を見たい時の盾にしかなりませんけど。

「じゃあ、開けるね」

誰かが息を飲む音を聴きながら、ガチャリと鍵を開けて扉の向こうに行くと、エンカウントの魔法陣が足元に展開します。

ローブを着た骸骨が3体と、マントを身につけた不死者が4体現れました。

【名 前】リッチ
【種 族】不死者
【スキル】魔術師魔法(5)、僧侶魔法(4)、麻痺(2)、レジスト(80%)

【名 前】ヴァンパイア
【種 族】不死者
【スキル】魔術師魔法(4)、ドレイン(3)、レジスト(40%)

どちらも高いレベルの魔法を使いこなすようです。
私達が初めて見る敵に尻込みしていると、召喚していたモンスターが魔法で吹き飛ばされてしまいました。

続け様に魔法を放ってきたので、私とルーナで慌てて魔法障壁を唱えました。
エルヴィン様が魔法障壁でレジストできずに飛んできた魔法をいなしながら、すかさずリッチを1体両断します。

私の魔法はリッチには効かないようなので、光魔法でヴァンパイアの数を減らしています。
その間にルーナとルーカス君が敵を次々と倒していきます。

初戦は割と余裕で切り抜けました。これなら地下8階でもなんとかなりそうです。

鍵のかかった扉の先は、宮殿のような豪奢な造りになっていました。白い綺麗な壁に等間隔に大理石調の柱が立っていて。床の真ん中に赤い絨毯が敷かれています。
この奥にそれなりの存在が居るということでしょうか。

通路を先に進んでいくと、ふわっとした感覚に襲われました。説明しにくいのですが、なんだか不意に身体が浮いたような感覚です。

みんなもそれを感じたようで、一斉に立ち止まりました。

「今、何か変な感じがしたんだけど」

「ああ、僕も感じたよ。罠にでもかかったのかと思ったけど、特に身体に異常は無さそうだ」

「ちょっとマップを見てくれよ」

マップを開いていたルーカス君が驚いています。
言われた通りマップを見ると、扉の鍵を開けて進んだ先は行き止まりになっていて、私達はその行き止まりに着いたはずが、全く別の場所にぽつんといました。

「これは転移の罠だ。どうやら俺達は別の場所に飛ばされたらしい」

「転移?大丈夫なのかな」

未知の技術にみんな不安そうです。身体が丸々別の場所に飛ばされたというのは少しぞっとします。

「ちゃんと決まった場所に繋がってるのかな」

「戻れるのかってのも気になるな」

話し合った結果、マッピングが進むまでは違和感を感じたらマップを開いて一度報告し合うことになりました。
そして、もし誰かがパーティーからはぐれたら帰還の魔石を使うようにします。

飛ばされた先もマップでは後ろが袋小路になっていましたが、見た目は行き止まりになっていません。

「転移した先の景色が見えるようになっているのかも。マップを見ながら行かないと、視界は当てにならなそうだ」

こういう時にルーカス君が頼りになります。
地下6階ではオートマッピングとは別に、流砂の流れを紙に書いていましたが、今回は転移の情報を紙に書いていく必要があります。

そこからも何回か転移させられましたが転移先は決まっているようで、特にはぐれることもなくマッピングを進めていきました。
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