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ふたなり魔王陛下はドスケベしたい

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我輩は魔王である。名前はクソ長いので略す。魔王として生まれて400余年。魔王はお年頃になっていた。

様々な種類の魔族が暮らす魔国。人間が暮らす大陸とは離れた場所にある島国である。時折、勇者とやらが襲撃してくるが、概ね平和な国だ。

魔王は執務室で山積みの書類を捌きながら、ふぅと小さく溜め息を吐いた。毎日毎日執務ばかりで疲れた。切実に癒やしが欲しい。更に欲を言うならば、ドスケベなことがしたい。魔王はお年頃なのだから、閨の相手を用意してくれてもいいだろうに、爺やが『陛下にはまだ早うございます』と言って、毎晩一人寝する羽目になっている。
魔王はふたなりである。自分で言うのもなんだが、美しい容姿をしていると思う。側頭部に生えた長い角も美しいし、艷やかな黒髪も、鋭い目元も、形よい鼻も、薄めの唇も、全て美しい。巷では『美し過ぎる魔王陛下』と評判になっているとか。それくらい魔王は美しい。

魔王は書類を書いていた手を止め、近くに控えている爺やに声をかけた。


「爺や」

「はい」

「そろそろ我輩も年頃だ」

「左様でございますな」

「婿をとってもいいのではないか」

「爺やの可愛い陛下が汚らしい雄に触れられるかと思うと、爺やは気が狂いそうになりまする」

「爺や。そろそろ子離れしろ。我輩はもう大人だ」

「…………致し方ありませぬ。断腸の思いではございますが、婿探しをいたしましょう」

「おぉ!爺や!我輩に相応しい婿殿を探してきてくれ!」

「ご希望はありますか?」

「うむ。強く逞しい男がよいな」

「強く逞しいのでしたら、竜族は如何でしょう。陛下を除けば、最強の一族でございます。それに、なんでもナニが2本もあるとか」

「なっ、そ、それでは一物ではなく二物ではないか!」

「左様でございます」

「竜族がいい!なんか凄そうだから竜族がいい!」

「かしこまりました。では、竜族の長に打診して参ります」

「うむ!よき返事を期待しておるぞ!」

「それでは、御前を少々離れまする」


爺やが部屋から退出すると、魔王は大急ぎで書類を捌き始めた。婿殿がくるかもしれないのに、仕事が残っていたら、のんびりドスケベができない。魔王はドスケベの為に、いつもの倍以上の速さで仕事を片付けた。

一刻程で、爺やが戻ってきた。竜族の長も一緒である。魔王はドキドキしながら、竜族の長が口を開くのを待った。


「魔王陛下におかれましてはご機嫌麗しゅう。なんでも、婿をお探しとの事ですが」

「うむ。強く逞しい雄がよい」

「それでは、私の8番目の倅は如何でしょう。竜族の中でも群を抜いて強うございます」

「おぉ!そうか!では、その者がよい!」

「かしこまりました。今宵、魔王陛下の寝所へ向かわせます」

「うむ!よろしく頼むぞ!」

「御意」


竜族の長が頭を垂れて、執務室から退室していった。魔王はワクワクするままに、側に控えている羊頭の爺やに声をかけた。


「いよいよ我輩も大人の階段を登るぞ!爺や!」

「寂しゅうございますが、これもまた陛下のご成長と魔族の繁栄の為ですなぁ」

「ぬははははぁ!!サクッと仕事を終わらせて今宵の準備をするぞ!爺や!!」

「やるべきことは終わらせる。実にご立派でございます。陛下」


爺やが嬉しそうに笑いながら、そっとハンカチで涙を拭いた。爺やも歳をとったからか、最近涙もろい。魔王は爺やに見守られながら、爆速で今日どころか明後日までの仕事を終わらせた。





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夜の帳が降りた頃。
パルキシュは魔王城の廊下を歩いていた。パルキシュの前には、案内役の羊頭をした魔王陛下の側仕えが歩いている。
パルキシュは竜族の長の8番目の息子である。一族の中では、最強と言われている。単に戦うことが好きなだけの戦闘狂なだけなのだが、今回、魔王陛下の閨の相手をすることになった。
魔王陛下はとてつもなく美しい。パルキシュは身体はゴリゴリに鍛えているが、顔立ちは普通である。とてもじゃないが釣り合わないと思うのだが、一族の長である父親に命じられたので、魔王陛下の一晩の相手をするしかない。パルキシュはそっちの方も元気いっぱいなので、それなりに経験がある。おそらく魔王陛下を満足させることができるだろう。

側仕えの羊頭が、ある部屋の前で足を止めた。いよいよである。パルキシュはこっそりと、緊張で滲んだ手の汗をズボンで拭いた。
羊頭がドアノブに手をかけ、パルキシュの方へ振り向いた。


「それでは、よろしくお願いいたします」

「あぁ」

「撮影と実況解説はお任せくだされ」

「…………は?」

「魔王陛下の初体験です。しっかりと記録を残しておかねば!!」

「はぁ!?」

「魔王陛下がアヘ顔ダブルピースするまで、しっかりと快感堕ちさせてくださいませ!!」

「悪い。意味が分からない」

「大丈夫でございます。ささっ。ズッコンバッコン頑張ってきてくだされ」

「お、おう?」


羊頭の側仕えがいまいちよく分からないことを言っているが、パルキシュは気にせず流すことにした。
魔王陛下の寝室に入ると、ふわっと淫靡な香りが鼻孔を擽った。催淫香が焚かれているようだ。
大きな天蓋付きのベッドへ視線を向ければ、魔王陛下がベッドの上で正座をしていた。
パルキシュはベッドの近くへ行き、魔王陛下に頭を垂れた。


「竜族の長の息子、パルキシュと申します」

「うむ。今宵はよろしく頼む。婿殿」

「……婿殿?」

「うむ。我輩の処女を散らすのだから、婿殿だろう。孕むまで中出ししまくるがよい」

「……えーと……今宵の相手だけじゃ……?」

「いや?そなたは我輩の婿殿になるぞ。今宵が初夜だ。結婚式は後日でよい。我輩は早くドスケベがしたい」

「…………うん。ま、いっか」


パルキシュは考えることを止めた。魔王陛下の婿になるとか全然聞いてないが、とりあえず今はセックスをすればいいのだろう。パルキシュは細かいことは考えない脳筋である。
なにやらワクワクしているような魔王陛下が正座しているベッドに上がり、パルキシュは堅苦しい礼服を脱ぎ始めた。魔王陛下は肌が透けて見える程薄いガウンだけを身に着けている。薄紫色のガウンが魔王陛下の白い肌に映えて、なんとも色っぽい。
魔王陛下を間近で見るのは初めてだが、本当にものすんごく美しい。
脳みそ筋肉族のパルキシュでは、うまく表現できないレベルで美しい。本当にこんな美しい生き物とセックスをしていいのか。パルキシュのテンションと股間がギュンっと上がった。

パルキシュは魔王陛下の身体を抱きしめ、形よい唇に舌を這わせた。


『さぁ始まりました。魔王陛下の初夜でございます。お相手は竜族のパルキシュ殿。実況解説は私、爺やがお送りして参ります』

「実況解説って何っ!?」

「気にするな。爺やは我輩の成長を記録しているだけだ。我輩の自慰もいつも撮影記録しているぞ」

「爺や大丈夫なのか!?いくらなんでもやべぇだろ!?」

「いつものことだ。気にせず続けるがよい」

「お、おう……」


パルキシュは羊頭の側仕えの存在を無視することにした。2人の周囲を飛び回っている魔導撮影機の存在も無視する。なんか気にしたら負けな気がする。

パルキシュは目の前の美しい魔王陛下にだけ集中することにした。目元を淡く赤く染めた魔王陛下は、とんでもなく色っぽい。パルキシュはごくっと生唾を飲み込んでから、再び魔王陛下の唇に自分の唇を重ね、ちゅくっと優しく魔王陛下の下唇を吸った。ぎこちなく魔王陛下もパルキシュの唇を吸ってくる。慣れていないのが丸分かりなのが、なんともぐっとくる。パルキシュは微かに開いた魔王陛下の唇の隙間から、魔王陛下の口内に舌を差し込んだ。竜族であるパルキシュの舌は長い。パルキシュは魔王陛下の形よい歯列を丁寧に舐め、歯の裏の付け根あたりを舌先で擽り、上顎をねっとりと舐めた。間近にある魔王陛下の漆黒の瞳が、とろんとしてきた。パルキシュは舌を更に奥へ伸ばし、喉ちんこの少し手前のざらついた所を集中的に舐め回し始めた。


「んっ!?んっ!んんんっ!!」


魔王陛下が少し苦しそうに眉間に皺を寄せた。それでも構わず、そこばかりを舌で刺激し続けていると、そのうち魔王陛下のパルキシュよりも華奢な身体がビクビクと震え出した。


「んーーーー!んー!んっ!んんんんーーーー!!」


魔王陛下がビクンビクンッと大きく身体を震わせた。喉イキが成功したようだ。ずるぅっと長い舌を魔王陛下の口から引き抜くと、顔を真っ赤に染めた魔王陛下が、嘔吐きながらも熱い息を吐いた。


『おーっと、これは!なんと初体験の相手に喉イキさせるとはー!!なんたる鬼畜!!素晴らしいですぞぉ!!魔王陛下!ピース!ピース!こちらに向けてピースをお願いいたしますぅ!』

「はぁぇ……」


いつの間にかベッドの側にいた羊頭の側仕えに向かって、涙と鼻水と涎をだらしなく垂らして、とろんとした顔をしている魔王陛下が、両手の人差し指と中指だけを立てて、『ピース』とやらをした。

パルキシュはとりあえず2人の奇行をスルーして、魔王陛下の薄いガウンを脱がせた。喉イキすると感度が上がる。パルキシュは魔王陛下の喉元に舌を這わながら、吸いつくようなしっとりとした美しい肌を撫で回し始めた。


「あ、あぁ……いいっ……もっと……」


艶を帯びた低く美しい声が、魔王陛下の美しい唇から溢れ落ちる。パルキシュは興奮して、ふんふん荒い鼻息をもらしながら、魔王陛下の肌に舌を這わせていった。
ぷっくりとした淡い色合いのピンク色の乳首に吸いつけば、魔王陛下が腰をくねらせて低く喘ぐ。片方の乳首は唇と舌で、もう片方の乳首は指でくりくりと優しく弄れば、魔王陛下が下から勃起したペニスをパルキシュの下腹部に擦りつけてきた。いやらしくて、実に可愛らしい。


『なんとも丁寧な乳首責めに魔王陛下は大変悦ばれておりまする。腰をくねらせて大変いやらしゅうございます!!』


羊頭の側仕えはスルーである。
パルキシュは、甘い吐息を吐きながらくったりしている魔王陛下の膝裏を掴み、ぐいっとチンぐり返しの状態にした。
魔王陛下はふたなりだと聞いていたが、本当にふたなりだった。中々に立派なペニスと陰嚢の下、会陰の所にまんこがあった。その下には慎ましく閉じた淡いピンク色のアナルもある。魔王陛下のまんこは肉厚の肉襞がぴったりと閉じていたが、濡れているのは見ただけで分かった。
パルキシュは魔王陛下のアナルからまんすじをべろりと舐めあげると、両手の親指で肉厚の肉襞をくぱぁと開いた。むわぁっといやらしい雌の匂いがする。既に濡れまくっているまんこの穴に、舌先を尖らせて突っ込むと、魔王陛下が大きく喘いだ。パルキシュの舌ならば、子宮口まで届く。パルキシュは狭い膣内を拡げるようにぐるぐる舌を回しながら、舌先に触れた子宮口をチロチロと舐め始めた。


「あぁぁぁぁっ!!いいっ!いいっ!!」


魔王陛下の身体がビクビク震えながら、きゅっとキツくパルキシュの舌を締めつけた。パルキシュは子宮口を優しく舐め回しながら、魔王陛下のペニスに手を伸ばした。ズル剥けの濡れた亀頭を掌で撫で回し、根元から先っぽへとペニスを撫で回す。唯でさえ締まりがいい魔王陛下の膣肉が、更にパルキシュの舌に絡みついて締めつけてくる。


「あぁぁぁぁっ!いぐいぐいぐぅ!!」

『おーっと、パルキシュ殿の舌で魔王陛下が早くもイクゥ!!イキ顔お願いしまーす!』

「あぁぁぁぁぁっ!!!!」


ぷしゃぁぁぁっと勢いよく魔王陛下のペニスから白い精液が吹き出し、パルキシュの舌を膣肉がキツく締めつけた。
自身の白い精液で汚れた魔王陛下の顔は、素晴らしくいやらしい。
パルキシュはずるぅっと魔王陛下のまんこの穴から舌を引き抜き、今度は魔王陛下のアナルへと舌を這わせた。アナルの皺の隙間を丁寧に舐め、じわじわと大きく収縮し始めたアナルに、ゆっくりと舌を入れていく。腸壁を舌で舐め回しながら、舌先で前立腺を探っていく。腹側の小さな痼のようなものに舌が触れた瞬間、魔王陛下が大きく喘いだ。


『魔王陛下の秘された前立腺がついに暴かれたぁ!!魔王陛下は蕩けた顔をしておりまする!はぁはぁ』


羊頭の側仕えはスルーである。
パルキシュは再び魔王陛下がセルフ顔射するまで、丁寧に魔王陛下のアナルを舐めほぐした。





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魔王は初めての快感に、ひぃひぃ泣きながら喘いでいた。今は四つん這いになって、まんこの穴とアナルを同時に指で弄られている。自慰はしたことがある。というか、ほぼ毎晩していた。しかし、こんなに脳みそが蕩けそうな程気持ちよくはなかった。

ずるぅっと両方の穴から太い指が出ていった。パルキシュに、ころんと体勢を変えられ、横向きになる。
涙で滲む目をパルキシュに向ければ、パルキシュの筋肉だるまな逞しい身体と、股間からにょっきり生えている2本のペニスが見えた。パルキシュのペニスは魔王のものとは違い、エラが大きく、まるで返しのようになっていて、太くて長く、表面がゴツゴツしていた。指や舌であれだけ気持ちよかったのだ。あんな大きなペニスを挿れられたら、いっそ狂ってしまうかもしれない。ドスケベがしたかったが、ドスケベを舐めていた。ドスケベ凄過ぎる。

パルキシュが魔王の片足を掴み、自分のペニスを掴んで、ぐずぐずに蕩けたまんこの穴とアナルにペニスの先っぽを押しつけた。熱くて固いものが当たる感触に、背筋がゾクゾクして堪らない。
めりめりと、ゆっくり狭いまんこの穴とアナルの中に、パルキシュの大き過ぎるペニスが入ってきた。粘膜同士が擦れ合い、もう訳が分からない程気持ちがいい。
魔王は半ば白目を剥きながら、大きく叫んだ。


「おっ!おっ、おーーーーっ!!」

『魔王陛下イッたーーーー!パルキシュ殿のちんこを挿れられただけで、精液噴射!!陛下!ピース!ピース!!』


魔王は過ぎた快感に朦朧としながらも、震える手で、爺やに教えてもらったピースをした。子宮口をぐりぐりされ、アナルの中の前立腺とやらを過ぎ、更に奥に入ってきたパルキシュのペニスに結腸とやらを突かれる。鋭い痛みとそれを上回る快感で、本当に気が狂ってしまいそうだ。

パルキシュが腰を振り始めた。ゴンゴン子宮口を強くノックされ、結腸もゴリゴリ突き上げられる。魔王は悲鳴のような喘ぎ声を上げながら、何度目か分からない絶頂と到達した。


「ひぃぐぅぅぅぅぅ!!!!」

『おおーーっと!魔王陛下の潮吹スプラーーッシュ!!』


爺やの声が聞こえてくるが、何を言ってるのかは分からない。自分のペニスから何かが出ている感覚がするが、それが精液かどうかも分からない。ドスケベやばい。魔王には少し早かったかもしれない。恐ろしいまでの快感で朦朧とする頭の隅っこでそんなことを考えながら、魔王はパルキシュから与えられる激しい快感に溺れた。





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魔王が快感地獄と言っても過言ではない時間から開放されたのは、翌々日の事だった。何度パルキシュに中出しされたか分からない。パルキシュに中出しされ過ぎて、魔王の下腹部がぽっこり膨れた程だった。まんこの穴とアナルから、ぶりゅぅぅぅぅぅとパルキシュの精液を放り出すところを爺やにバッチリ記録に撮られた。今更なので別に気にしないが、ちょっぴり恥ずかしかった気もする。

パルキシュは顔はそこら辺に転がってそうなくらい普通だが、身体は筋骨隆々だし、ドスケベが本当にドスケベ過ぎてヤバかったし、終わった後は優しく風呂に入れてくれたり、食事を食べさせてくれたりと甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
本当に魔王の婿殿にふさわしい男である。

魔王は身体が回復した翌日に、急遽パルキシュと結婚式を挙げ、パルキシュを正式な伴侶にした。だって、ドスケベが本当に凄かったんだもん。
魔王は蜜月ということで、パルキシュと1ヶ月程寝室に篭り、ズッコンバッコンヤりまくって、無事に懐妊した。

半年後には出産し、魔王に家族が増えた。パルキシュは戦闘狂だが子煩悩らしく、我が子の世話をよくしている。
爺やも大喜びで、我が子の記録を撮るのに余念がない。
魔王は大量の書類を捌きながら、執務室の片隅でじゃれ合っているパルキシュと我が子をチラッと見て、小さく笑みを浮かべた。




(おしまい)


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【おまけ】
魔王陛下
超絶美形。ドスケベしたいお年頃。

パルキシュ
竜族で一番強い脳みそ筋肉族。顔は普通。

爺や
前世の記憶があり、前世でエロ同人を読みまくり過ぎたせいで性癖がかなりアレな側仕え。

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