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35:翌日
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クリスがふっと目覚めると、すぐ横から穏やかな寝息が聞こえた。顔を横に向けるとニーファがクリスの腕にしがみついて、すやすやと眠っている。窓のカーテンの隙間から日が差し込んでいる。もう昼間近なのではないのだろうか。
気持ち良さそうに眠るニーファを起こすか悩む。ニーファの体温が温かく、規則正しい寝息を聞いていると、また眠くなってくる。
昨夜もあと1回とか言いつつ、結局合わせて4回も致してしまった。
土竜の森の隠れ家でもそうだったが、セックスして寝て起きたら罪悪感が襲ってくる。最中は夢中なのだが、だからこそ尚更後悔する。回を重ねる度にニーファは色々覚えてしまっている。教えたのが自分だと思うと、かなり複雑である。クリスは思わずため息を吐いた。
(精霊の子の事を考えたら、良いことなんだろうけど……)
一日でも早く産まれれば、それだけ早くニーファが今の生活から解放される。それが一番望ましい。しかし、解放された後は……?
ニーファとクリスの関係はどうなるのだろうか。
今から考えても仕方がないこととはいえ、親から半ば忘れられながら育ち、嫁に捨てられたことのある身としては、先を考えるのが怖い。ニーファにまで捨てられたら、流石に次こそは立ち直れる自信がない。
ニーファを恋愛対象として見ていなかったという点が大きいが、それと肌を重ねれば更に情が深くなるのは目に見えていた。だから、性交渉はできないと言っていたのに。
やってしまったのは自分だから、完全に自業自得だが、もう前には引き返せない程ニーファの事を想うようになっている。もうニーファがいない生活が思い描けない。だからこそ、怖い。
(臆病者にも程がある)
失う事も捨てられる事も怖くて、ニーファには何も告げられない。
(一日でも長くこの生活が続けばいいのに……なんて、最低だ。俺)
クリスはニーファが目が覚めるまで、自己嫌悪で落ち込んだ。
ーーーーーー
ニーファが目が覚めると、クリスが頬ではなく唇にちゅっ、とキスをしてくれた。嬉しくて、起き抜けからテンションが爆上がりしたニーファは、ご機嫌でクリスと風呂に入り、洗濯を仕掛けた。
時刻はもう昼前である。
クリスが買い出しに行くついでに、お昼ご飯も買ってきてくれる。
洗濯が終わるまで暇なニーファは、じんわり腰が痛いこともあって、ソファーにゆったりと座っていた。テンションが上がりすぎて、刺繍や編み物をする気が起きない。なんだかそわそわしてしまう。
(昨日も素敵だったなぁ……)
寝る前のクリスとのアレコレを思い出しては、顔を赤くして身悶える。まさか本当にセックスしてくれるとは思っていなかった。てっきり、土竜の森の隠れ家限定だったのかと思ってた。2週間以上、何もしなかったし。
(お酒飲むとしてくれるのかな?でも仕事があるから毎日は無理だよなぁ)
できれば週一でいいから、セックスがしたい。
話し合いをするべきなのかもしれないが、流石にセックスがしたいと口に出してクリスに言うのは恥ずかしくて無理だ。
今回のように翌日が休みの日に、それとなーくクリスを酒に誘うようにするか。
それが一番いいような気がしてきた。
(クリス先生が俺に飽きないように、何かこう……手練手管的なものを覚えた方がいいのかしら……)
元々、性的な事に関心が薄かった為、ニーファの知識は、せいぜい最低限知ってる子供に毛が生えた程度のものである。自称・愛とエロスの伝道師な母マーサに相談してみるのが一番手っ取り早い気がする。エロ本は殆ど読んだことがないけど、あれは基本的に、空想的な代物らしいから参考にはならないだろう。しかし、実の母親にセックスの話をするのは、ものすっっごく抵抗がある。気まず過ぎる。絶対にしたくない。かといって、セックスに関するぶっちゃけ話ができる友人や知り合いはいないし、仮にいても、そもそも会えないから相談できない。
(……クリス先生に教えてもらうしかないのかなぁ……)
できればクリスを翻弄するレベルにまで性技を上達させて、クリスをニーファに夢中にさせたいのだが。
ニーファは洗濯終了のアラームが鳴るまで、テクニック向上の為の手段を思い悩んだ。
ーーーーーー
帰宅したクリスと食事を終えると、2人で並んでソファーに座って本を読む。2人とも無言で、室内には本を捲る音しかしないが、気まずさはない。
穏やかに時間が過ぎていった。
晩ご飯はクリスが作った。
自分が作るとニーファは主張したが、あれよあれよと言いくるめられ、気づけばソファーでうたた寝していた。優しく肩を揺さぶられながら声をかけられて、初めて自分が寝ていたことに気がついた。
クリスが作ったのは白菜と豚肉の鍋だった。
生姜のきいた美味しそうな匂いに腹の虫が自己主張する。
「ニーファ君が作る程美味しくないかもだけどね」
「いえいえ!美味しそうです!」
クリスが作ってくれたのが嬉しい。
ニーファはいそいそと食卓についた。2人で軽い晩酌をしながら、温かくて美味しい料理を食べる。穏やかで満ち足りた時間であった。
風呂に入って2人で手を繋いでベッドに入る。お互いの体温が心地よかった。
気持ち良さそうに眠るニーファを起こすか悩む。ニーファの体温が温かく、規則正しい寝息を聞いていると、また眠くなってくる。
昨夜もあと1回とか言いつつ、結局合わせて4回も致してしまった。
土竜の森の隠れ家でもそうだったが、セックスして寝て起きたら罪悪感が襲ってくる。最中は夢中なのだが、だからこそ尚更後悔する。回を重ねる度にニーファは色々覚えてしまっている。教えたのが自分だと思うと、かなり複雑である。クリスは思わずため息を吐いた。
(精霊の子の事を考えたら、良いことなんだろうけど……)
一日でも早く産まれれば、それだけ早くニーファが今の生活から解放される。それが一番望ましい。しかし、解放された後は……?
ニーファとクリスの関係はどうなるのだろうか。
今から考えても仕方がないこととはいえ、親から半ば忘れられながら育ち、嫁に捨てられたことのある身としては、先を考えるのが怖い。ニーファにまで捨てられたら、流石に次こそは立ち直れる自信がない。
ニーファを恋愛対象として見ていなかったという点が大きいが、それと肌を重ねれば更に情が深くなるのは目に見えていた。だから、性交渉はできないと言っていたのに。
やってしまったのは自分だから、完全に自業自得だが、もう前には引き返せない程ニーファの事を想うようになっている。もうニーファがいない生活が思い描けない。だからこそ、怖い。
(臆病者にも程がある)
失う事も捨てられる事も怖くて、ニーファには何も告げられない。
(一日でも長くこの生活が続けばいいのに……なんて、最低だ。俺)
クリスはニーファが目が覚めるまで、自己嫌悪で落ち込んだ。
ーーーーーー
ニーファが目が覚めると、クリスが頬ではなく唇にちゅっ、とキスをしてくれた。嬉しくて、起き抜けからテンションが爆上がりしたニーファは、ご機嫌でクリスと風呂に入り、洗濯を仕掛けた。
時刻はもう昼前である。
クリスが買い出しに行くついでに、お昼ご飯も買ってきてくれる。
洗濯が終わるまで暇なニーファは、じんわり腰が痛いこともあって、ソファーにゆったりと座っていた。テンションが上がりすぎて、刺繍や編み物をする気が起きない。なんだかそわそわしてしまう。
(昨日も素敵だったなぁ……)
寝る前のクリスとのアレコレを思い出しては、顔を赤くして身悶える。まさか本当にセックスしてくれるとは思っていなかった。てっきり、土竜の森の隠れ家限定だったのかと思ってた。2週間以上、何もしなかったし。
(お酒飲むとしてくれるのかな?でも仕事があるから毎日は無理だよなぁ)
できれば週一でいいから、セックスがしたい。
話し合いをするべきなのかもしれないが、流石にセックスがしたいと口に出してクリスに言うのは恥ずかしくて無理だ。
今回のように翌日が休みの日に、それとなーくクリスを酒に誘うようにするか。
それが一番いいような気がしてきた。
(クリス先生が俺に飽きないように、何かこう……手練手管的なものを覚えた方がいいのかしら……)
元々、性的な事に関心が薄かった為、ニーファの知識は、せいぜい最低限知ってる子供に毛が生えた程度のものである。自称・愛とエロスの伝道師な母マーサに相談してみるのが一番手っ取り早い気がする。エロ本は殆ど読んだことがないけど、あれは基本的に、空想的な代物らしいから参考にはならないだろう。しかし、実の母親にセックスの話をするのは、ものすっっごく抵抗がある。気まず過ぎる。絶対にしたくない。かといって、セックスに関するぶっちゃけ話ができる友人や知り合いはいないし、仮にいても、そもそも会えないから相談できない。
(……クリス先生に教えてもらうしかないのかなぁ……)
できればクリスを翻弄するレベルにまで性技を上達させて、クリスをニーファに夢中にさせたいのだが。
ニーファは洗濯終了のアラームが鳴るまで、テクニック向上の為の手段を思い悩んだ。
ーーーーーー
帰宅したクリスと食事を終えると、2人で並んでソファーに座って本を読む。2人とも無言で、室内には本を捲る音しかしないが、気まずさはない。
穏やかに時間が過ぎていった。
晩ご飯はクリスが作った。
自分が作るとニーファは主張したが、あれよあれよと言いくるめられ、気づけばソファーでうたた寝していた。優しく肩を揺さぶられながら声をかけられて、初めて自分が寝ていたことに気がついた。
クリスが作ったのは白菜と豚肉の鍋だった。
生姜のきいた美味しそうな匂いに腹の虫が自己主張する。
「ニーファ君が作る程美味しくないかもだけどね」
「いえいえ!美味しそうです!」
クリスが作ってくれたのが嬉しい。
ニーファはいそいそと食卓についた。2人で軽い晩酌をしながら、温かくて美味しい料理を食べる。穏やかで満ち足りた時間であった。
風呂に入って2人で手を繋いでベッドに入る。お互いの体温が心地よかった。
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