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1:そんな性癖知りたくなかったぁ!
初めてのお泊りデートの日。
ベルトランはベッドの上で聞かされた恋人からの言葉が咄嗟に理解できずに固まった。
「……ごめん。もう一回言ってもらっていい?」
「俺……俺! 魔物に恋人を寝取られないと興奮できないんだ!!」
残念極まりないことに聞き間違いではなかったらしい。ベルトランは混乱のあまり頭がクラクラしてきた。
恋人であるイサークが更に言葉を重ねてくる。
「10代の頃に読んだエロ本が魔物に寝取られもので! すっごいエロくて! 俺、完全に目覚めちゃって! それ以来、恋人が寝取られないと勃起すらしなくなっちゃったんだ! ベルトラン! ベルトランは俺のこと愛してるよな? あんなに熱心に口説いてくれたんだし。俺の性癖も受け止めてくれるよな!?」
「や、いやー……それは、その、なに? 僕に魔物に抱かれろと? イサークが見てる前で?」
「ちゃんとその後お清めセックスするよ!」
「お清めセックスってなにっ!?」
「あ、お清めセックスっていうのは、魔物に寝取られちゃって汚れた恋人を本当の恋人がセックスできれいにしてあげるってことで……」
「そういう説明いいからっ!! ごめん! 無理っ! 魔物に抱かれるのはほんとに無理っ!」
「ベルトラン! 頼むよ! 俺の性癖を受け止めてくれる相手なんて今までいなかったんだ! ベルトランは俺が大好きなんだろ? 毎日のように愛を囁いてくれたじゃないか!」
「うっ……それは……そうだけど……」
「ベルトラン! ほんとに頼むよ! 俺と愛し合う為には必要な儀式だと思ってくれ!」
「……うぅっ……」
「ベルトラン……ベルトランも駄目か……?」
「………………う……い、いいよ……」
「ベルトラン! ありがとう! 実はもう『出張彼ピッピ』を呼んであるんだ!」
「『出張彼ピッピ』ってなに!?」
「魔物が一晩限りの彼氏になってくれるっていう性サービスのことで……」
「魔物の彼ピッピとやらに抱かれるの!? ほんとに!? 僕が!?」
「大丈夫! 今回は初回だし、初心者向けのスライムさん頼んであるから!」
「スライムって初心者向けなの!?」
「あ、そろそろ来る時間だ。ベルトラン!」
「あ、はい」
「スライムさんにいっぱいとろとろにされてメス堕ちアヘ顔してね!」
「………………」
ベルトランはイサークが何を言っているのか理解しようとすることをやめた。
ベルトランが暮らす街は、人間と魔物が平和に暮らしている。魔物と付き合う人間も割といるらしい。
ベルトランは実は魔物があまり得意じゃない。子供の頃に、近所に住んでいた同い年のワーウルフにイジメられていたからだ。ワーウルフは今でも大嫌いだし、ワーウルフ含めた魔物全体にいい印象を抱いていない。
ベルトランもイサークも人間だ。部署は違うが同じ役所勤めで、歳はベルトランの方が一つ年上である。ワーウルフにイジメられてから、できるだけ魔物との接点は避けてきた。それなのに魔物に抱かれるだなんてあり得ない。
しかしである。ベルトランはイサークにめちゃくちゃ惚れ込んでいた。18歳で役所に就職して10年。ベルトランは元々とろい方で、あまり仕事ができない。昨年の異動前まで同じ部署だった後輩のイサークにそれはもう助けられていた。ベルトランは自然とイサークに惹かれていき、完全に恋に落ちてしまった。
ベルトランは、淡い栗毛の癖っ毛頭と黒縁眼鏡がダサい地味な男だ。新緑みたいな色合いの瞳だけはお気に入りだが、あとは可もなく不可もなく、中背中肉の平凡で目立たない容姿をしている。
対してイサークはものすごーく格好いい。濃い藍色の髪はいつもお洒落にキマっているし、キラキラと輝く瞳は澄んだ青空のようだ。顔立ちは精悍に整っていて、細身だが背が高くてスタイルがいい。
ベルトランなんかがイサークと釣り合わないのは分かっていた。それでも、恋心を押し殺すことができず、部署が離れたことを切っ掛けに、毎日のように食事に誘い、イサークを一生懸命口説いた。
最初は渋い顔をしていたイサークだったが、そのうち絆されてくれたのか、笑顔を見せてくれるようになり、半月前に漸く恋人になってくれた。
今日は初めてのデートだった。ベルトランなりに一生懸命お洒落をして、2人で博物館や本屋に行ったり、お洒落な店で食事を楽しんだ。イサークは終始格好よくて、優しくて、ベルトランは浮かれきっていた。
そして夕食後、イサークから『家に来ないか』と誘われた。恋人になったばかりだからセックスをするのはまだちょっと早い気がしたけれど、イサークに求められて嫌と言うはずがない。
ベルトランはうきうきとイサークと共にイサークの家に行き、結果、知りたくなかったイサークの性癖を知ることになった。
ベルトランが、どうしてこんなことに……と呆然としていると、玄関の呼び鈴が鳴った。ちなみに、イサークの家は小さめの二階建ての一軒家だ。
イサークがいそいそと寝室から出ていくのを見送ると、ベルトランは頭を抱えた。
魔物は本当に苦手なのだ。魔物に抱かれると想像するだけで、おぇってなる。しかし、イサークのことは本当に本当に好きなのだ。そのイサークのためならば、耐えるしかない。
ベルトランがキリキリ痛みだした胃のあたりを擦っていると、イサークが淡い水色のスライムを持って戻ってきた。
『どーもー。出張彼ピッピ! スライムのミーミでっす! 気軽にミーたんって呼んでね!』
「はぁ……どうも。ベルトランです」
『今日は3人で楽しんじゃう感じー?』
「いや、俺は見ているだけだ。是非ともベルトランをぐっちょんぐっちょんに犯してやってくれ」
『あり? 彼ピッピじゃないの?』
「彼氏だが、魔物に寝取られないと興奮できないんだ。だから、思いっきり俺に見せつけながらベルトランを犯して欲しい」
『あらま。素敵なご趣味だねー。よぉし! そういうことなら張り切っちゃうぞー!』
「ベルトラン。ベルトランは処女だよな?」
「あ、うん。その……後ろは自分でも触ったことがない……」
「よっし! 尚更いいな! ミーたん! ベルトランがアヘ顔キメて自分から腰振っちゃうまでガンガン快感責めしまくってくれ!」
「ひぃっ!?」
『かしこまりー! ベルたんを開発しちゃうぞー!』
「期待してるよ! ミーたん!」
『はっはっはー! ミーミ、処女、だーいすき!』
妙に仲良さげな感じの1人と一匹になんかもやっとする。
楽しそうなイサークとミーミとやらがベッドに近寄ってきた。
『服は溶かしちゃう?』
「ベルトラン。着替えは持ってきているか? あ、俺のを貸せばいいか」
「とっ、溶かすのはなしで!! この服お気に入り!!」
「あ、そっか。じゃあ、今度は溶かしてもいい服を……いや、俺の服に着替えてくれ。俺の服なら溶かしてもらって構わない」
「なんでそんなに服を溶かしたいの!?」
「その方がより犯されてる感が出て興奮するだろ!?」
「え、えぇ……」
「ミーたん。ちょっと待っていてくれ。服を持ってくる」
『いいよー。いやー、ベルたんも中々大変だねぇ』
「……そうですね……」
ベルトランは遠くを見つめて、大きな溜め息を吐いた。寝室から出ていったイサークがすぐに戻ってきたので、イサークがわざわざ寝室から出た後に、イサークの私服に着替える。
こんな状況じゃなかったら、彼シャツだ! と喜んでいたところだが、本気で喜べない。
ベルトランには少しだけ大きいシャツを着て、パンツもイサークのものを穿き、ズボンと靴下も穿いた。
ちょっとだけ大きなイサークの服に胸キュンしたいところだが、これは溶かすためだけに着ていると考えると萎える一方である。
初体験がスライムに犯されてからのお清めセックスだなんて心底嫌だ。が、イサークとは恋人でいたい。
こんな性癖知りたくなかったなぁぁ! と叫びたいのをぐっと我慢して、ベルトランはイサークを呼んだ。
ベルトランはベッドの上で聞かされた恋人からの言葉が咄嗟に理解できずに固まった。
「……ごめん。もう一回言ってもらっていい?」
「俺……俺! 魔物に恋人を寝取られないと興奮できないんだ!!」
残念極まりないことに聞き間違いではなかったらしい。ベルトランは混乱のあまり頭がクラクラしてきた。
恋人であるイサークが更に言葉を重ねてくる。
「10代の頃に読んだエロ本が魔物に寝取られもので! すっごいエロくて! 俺、完全に目覚めちゃって! それ以来、恋人が寝取られないと勃起すらしなくなっちゃったんだ! ベルトラン! ベルトランは俺のこと愛してるよな? あんなに熱心に口説いてくれたんだし。俺の性癖も受け止めてくれるよな!?」
「や、いやー……それは、その、なに? 僕に魔物に抱かれろと? イサークが見てる前で?」
「ちゃんとその後お清めセックスするよ!」
「お清めセックスってなにっ!?」
「あ、お清めセックスっていうのは、魔物に寝取られちゃって汚れた恋人を本当の恋人がセックスできれいにしてあげるってことで……」
「そういう説明いいからっ!! ごめん! 無理っ! 魔物に抱かれるのはほんとに無理っ!」
「ベルトラン! 頼むよ! 俺の性癖を受け止めてくれる相手なんて今までいなかったんだ! ベルトランは俺が大好きなんだろ? 毎日のように愛を囁いてくれたじゃないか!」
「うっ……それは……そうだけど……」
「ベルトラン! ほんとに頼むよ! 俺と愛し合う為には必要な儀式だと思ってくれ!」
「……うぅっ……」
「ベルトラン……ベルトランも駄目か……?」
「………………う……い、いいよ……」
「ベルトラン! ありがとう! 実はもう『出張彼ピッピ』を呼んであるんだ!」
「『出張彼ピッピ』ってなに!?」
「魔物が一晩限りの彼氏になってくれるっていう性サービスのことで……」
「魔物の彼ピッピとやらに抱かれるの!? ほんとに!? 僕が!?」
「大丈夫! 今回は初回だし、初心者向けのスライムさん頼んであるから!」
「スライムって初心者向けなの!?」
「あ、そろそろ来る時間だ。ベルトラン!」
「あ、はい」
「スライムさんにいっぱいとろとろにされてメス堕ちアヘ顔してね!」
「………………」
ベルトランはイサークが何を言っているのか理解しようとすることをやめた。
ベルトランが暮らす街は、人間と魔物が平和に暮らしている。魔物と付き合う人間も割といるらしい。
ベルトランは実は魔物があまり得意じゃない。子供の頃に、近所に住んでいた同い年のワーウルフにイジメられていたからだ。ワーウルフは今でも大嫌いだし、ワーウルフ含めた魔物全体にいい印象を抱いていない。
ベルトランもイサークも人間だ。部署は違うが同じ役所勤めで、歳はベルトランの方が一つ年上である。ワーウルフにイジメられてから、できるだけ魔物との接点は避けてきた。それなのに魔物に抱かれるだなんてあり得ない。
しかしである。ベルトランはイサークにめちゃくちゃ惚れ込んでいた。18歳で役所に就職して10年。ベルトランは元々とろい方で、あまり仕事ができない。昨年の異動前まで同じ部署だった後輩のイサークにそれはもう助けられていた。ベルトランは自然とイサークに惹かれていき、完全に恋に落ちてしまった。
ベルトランは、淡い栗毛の癖っ毛頭と黒縁眼鏡がダサい地味な男だ。新緑みたいな色合いの瞳だけはお気に入りだが、あとは可もなく不可もなく、中背中肉の平凡で目立たない容姿をしている。
対してイサークはものすごーく格好いい。濃い藍色の髪はいつもお洒落にキマっているし、キラキラと輝く瞳は澄んだ青空のようだ。顔立ちは精悍に整っていて、細身だが背が高くてスタイルがいい。
ベルトランなんかがイサークと釣り合わないのは分かっていた。それでも、恋心を押し殺すことができず、部署が離れたことを切っ掛けに、毎日のように食事に誘い、イサークを一生懸命口説いた。
最初は渋い顔をしていたイサークだったが、そのうち絆されてくれたのか、笑顔を見せてくれるようになり、半月前に漸く恋人になってくれた。
今日は初めてのデートだった。ベルトランなりに一生懸命お洒落をして、2人で博物館や本屋に行ったり、お洒落な店で食事を楽しんだ。イサークは終始格好よくて、優しくて、ベルトランは浮かれきっていた。
そして夕食後、イサークから『家に来ないか』と誘われた。恋人になったばかりだからセックスをするのはまだちょっと早い気がしたけれど、イサークに求められて嫌と言うはずがない。
ベルトランはうきうきとイサークと共にイサークの家に行き、結果、知りたくなかったイサークの性癖を知ることになった。
ベルトランが、どうしてこんなことに……と呆然としていると、玄関の呼び鈴が鳴った。ちなみに、イサークの家は小さめの二階建ての一軒家だ。
イサークがいそいそと寝室から出ていくのを見送ると、ベルトランは頭を抱えた。
魔物は本当に苦手なのだ。魔物に抱かれると想像するだけで、おぇってなる。しかし、イサークのことは本当に本当に好きなのだ。そのイサークのためならば、耐えるしかない。
ベルトランがキリキリ痛みだした胃のあたりを擦っていると、イサークが淡い水色のスライムを持って戻ってきた。
『どーもー。出張彼ピッピ! スライムのミーミでっす! 気軽にミーたんって呼んでね!』
「はぁ……どうも。ベルトランです」
『今日は3人で楽しんじゃう感じー?』
「いや、俺は見ているだけだ。是非ともベルトランをぐっちょんぐっちょんに犯してやってくれ」
『あり? 彼ピッピじゃないの?』
「彼氏だが、魔物に寝取られないと興奮できないんだ。だから、思いっきり俺に見せつけながらベルトランを犯して欲しい」
『あらま。素敵なご趣味だねー。よぉし! そういうことなら張り切っちゃうぞー!』
「ベルトラン。ベルトランは処女だよな?」
「あ、うん。その……後ろは自分でも触ったことがない……」
「よっし! 尚更いいな! ミーたん! ベルトランがアヘ顔キメて自分から腰振っちゃうまでガンガン快感責めしまくってくれ!」
「ひぃっ!?」
『かしこまりー! ベルたんを開発しちゃうぞー!』
「期待してるよ! ミーたん!」
『はっはっはー! ミーミ、処女、だーいすき!』
妙に仲良さげな感じの1人と一匹になんかもやっとする。
楽しそうなイサークとミーミとやらがベッドに近寄ってきた。
『服は溶かしちゃう?』
「ベルトラン。着替えは持ってきているか? あ、俺のを貸せばいいか」
「とっ、溶かすのはなしで!! この服お気に入り!!」
「あ、そっか。じゃあ、今度は溶かしてもいい服を……いや、俺の服に着替えてくれ。俺の服なら溶かしてもらって構わない」
「なんでそんなに服を溶かしたいの!?」
「その方がより犯されてる感が出て興奮するだろ!?」
「え、えぇ……」
「ミーたん。ちょっと待っていてくれ。服を持ってくる」
『いいよー。いやー、ベルたんも中々大変だねぇ』
「……そうですね……」
ベルトランは遠くを見つめて、大きな溜め息を吐いた。寝室から出ていったイサークがすぐに戻ってきたので、イサークがわざわざ寝室から出た後に、イサークの私服に着替える。
こんな状況じゃなかったら、彼シャツだ! と喜んでいたところだが、本気で喜べない。
ベルトランには少しだけ大きいシャツを着て、パンツもイサークのものを穿き、ズボンと靴下も穿いた。
ちょっとだけ大きなイサークの服に胸キュンしたいところだが、これは溶かすためだけに着ていると考えると萎える一方である。
初体験がスライムに犯されてからのお清めセックスだなんて心底嫌だ。が、イサークとは恋人でいたい。
こんな性癖知りたくなかったなぁぁ! と叫びたいのをぐっと我慢して、ベルトランはイサークを呼んだ。
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