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竜人の花嫁さん

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ジュードは振り下ろした鍬で土を掘り起こし、畝をつくる為に、掘った土を横に盛り、再び鍬を振り上げた。
ジュードは国の端っこのド田舎で農夫をしている。もう48歳になるが、とある事情から結婚はしていない。家族は少し前に流行り病で全員死んだ。年老いた両親や弟夫婦、弟夫婦の息子夫婦、まだ5歳にもならない弟の孫娘まで死んでしまった。一時期は本当に悲しくて悲しくて、家族の後を追うことも考えた。田舎の村は流行り病で大打撃を受け、どうしても働き手を減らす訳にはいかない。悲しくて苦しくて悔しくて辛いが、ジュードはたった1人で、家族で管理していた広い畑を管理するようになった。

ジュードは何とか畑の半分の畝をつくり終えると、畑の側の原っぱに移動し、腰を下ろした。汗だくの顔を土で汚れた手巾で拭い、水筒の水を飲む。腹が酷く減っているが、食事は朝晩の村長の家での炊き出しでしか食べられない。流行り病で村の半数近くが死んだ。元々貧しい村で、備蓄など殆どなかった。本来ならば作物を収穫する時期に、バタバタと働き手が倒れたものだから、麦の刈り入れ等が満足にできず、気づいたら、長雨と急に訪れた寒さで収穫予定だった作物は殆どが駄目になっていた。生き残ったのは女子供の方が多く、村の復旧には時間がかかる。国からの見舞金なんてたかが知れている。生き残った少ない男達でなんとか頑張っていくしかない。
ジュードは空きっ腹を無視して立ち上がった。今日中に畝を作り上げ、作物の種を植えてしまいたい。もう少しで本格的な冬が来る。冬でも採れる野菜を植えなければ、今度は餓死者が出るだろう。ジュードはパァンっと両手で強く頬を打ち、気合を入れて、鍬を手に取った。

日が暮れる頃、なんとか今日の予定の作業を終えたジュードは、疲れた身体を引き摺って村の中心にある村長の家に向かった。炊き出しはいつも野菜の欠片が少し浮いた薄いスープと、ちっぽけな硬いパンが一つである。それでも食えるだけありがたい。
村長の家に近づいてくると、村長の家の前に人だかりができていた。炊き出しが行われる場所とは微妙に違う。何かあったのだろうか。

ジュードは訝しく思い、足早に人だかりに近寄って、一番後ろの方にいた少女に声をかけた。


「ミーケ。なんの騒ぎだ?こりゃ」

「あ、ジュードおじちゃん。なんかすごい人が来たんだって」

「あん?すごい人ぉ?」

「うん。キラキラしてるすごい人」

「うん。意味分からん。都会の役人か何かか?」

「分かんない」

「ふぅん」


ジュードは村長の家の入り口辺りに目を向けた。玄関のドアは閉まっている。暫く眺めていると、玄関のドアが開き、村長代理の中年の女が出てきた。元々村長だった亭主が死んだので、その妻が今は村長代理をしている。村長代理の女の後ろから、とんでもなく美しい生き物が姿を現した。見たことがないデザインの光沢のある青い布でできた服を着て、ピンと背筋を伸ばして立っている。長い青髪も、日焼けなんて知らなそうな白い肌も、いっそ怖い程整った顔立ちも、生まれて初めて目にするレベルで美しい男だ。村一番の美人だと言われていたキャロラインなんて、この男に比べたら鼻糞レベルだ。比べるだけで気の毒になる。ちなみに、キャロラインも死んだ。
人間ではないと言われても納得するような美しい男が、集まっている村人をぐるっと見回し、ジュードに向けて、真っ直ぐに視線を寄こした。美しい男が、にっこりと笑った。


「見つけた」


美しい男が集まっている村人達を掻き分けて、どんどんジュードの方へと近づいてくる。ジュードは逃げるべきかどうか考えた。よく分からない状況だが、近づいてくる男が美し過ぎて、なんかちょっと怖い。もういっそのこと逃げるか。
ジュードが逃げようと一歩下がると、瞬きした次の瞬間には、美しい男の顔がすぐ目の前にあった。互いの息がかかりそうなくらい近い。ジュードは驚いて、目を見開いた。
美しい男が優し気に微笑んで、口を開いた。


「逃げちゃだめだよ。弟の花嫁」

「……は?」

「村長。この者、此方で貰い受ける。結納金は明日にでも届けさせよう」

「は、はい……ありがとうございます」

「あ?どういうこった」

「ふふっ。君はね、僕の弟の花嫁さんになるのさ」

「そんなん聞いてねぇ」

「あははっ!ちょっとお耳を拝借」

「あ?」


美しい男がジュードの耳元に唇を寄せた。微かに美しい男の吐息が耳を擽る。誰にも聞こえないようにと、ごくごく小さな声で囁かれたことを聞いて、ジュードの顔から表情が消えた。


「君はね、売られたんだよ。ふたなりなんだって?」

「…………」

「僕達竜人はね、ふたなりの人間を使って筆おろしをするんだ。ふふっ。だから一応『花嫁さん』って呼ぶの。実際は単なる使い捨てだけどね」

「……マジかよ」

「逃げようと思わないでね。僅かでも抵抗したら、この村の人間全てを殺すよ。大人しくついてきて、弟の筆おろしをしてくれたら、そこそこ贅沢な暮らしをさせてあげる。こんな村じゃ食べられない美味しいものがいっぱい。こんな襤褸切れみたいな服とは段違いの上等な服。毎日お風呂に入れるし、柔らかいふかふかのベッドで寝れるよ。たったの1回、弟の相手をするだけでね。建前は『花嫁さん』だからね。この村に結納金もあげる。ふふっ。僕って本当に気前がいいなぁ」


嫌だとも言えず、逃げることもできず、ジュードは美しい男、竜人のハーイェンに連れられて、竜人が住むという竜の谷へと旅立った。
竜の姿になったハーイェンの背中に乗り、空を飛ぶこと3日、ジュードは竜人の集落がある竜の谷に到着した。

竜の姿のハーイェンは、竜の谷の中のとある建物の庭に降り立った。すぐに建物の中から、わらわらと人が出てきた。皆ビックリするほど美しい容姿をしている。竜人は美形揃いなのだろうか。
ジュードは、茶髪茶目のゴツイだけの普通の男だ。今は多少痩せたが、病が流行る前までは、村でも一位二位を争う程逞しく、筋骨隆々な体格をしていた。顔立ちは厳つい方だが、子供に泣かれる程ではない。丸めの目が牛みたいで可愛いと、死んだ弟の孫娘に褒められたことがある。
ハーイェンが集まった竜人達に簡単に事情を話すと、あれよあれよという間に、ジュードは竜人達に風呂場へと運び込まれた。

風呂というものが存在することは知っていたが、ジュードが生まれ育った村には無かった。身体を清める時は、川で水浴びをするか、水を沸かして盥に入れて、温かく湿った布で身体を拭いていた。
初めての風呂に目を白黒させつつ、ジュードは何人もの竜人に、文字通り全身を丸洗いされた。

風呂から出ると、するするとした肌触りの頼りない薄さの白い服を着せられた。下着は穿かせてもらえなかった。風呂上がりには、全身にいい香りがするぬるぬるの液体を塗りたくられた。ジュードは案内された部屋に入ると、真っ直ぐに大きな窓に近寄った。窓はガラスでできている。ジュードの村では考えられない位、贅沢なことだ。ジュードの目には華美に映る部屋の天井には、大きなランプのようなものがぶら下がっている。もう夜だというのに、部屋の中はとても明るい。部屋の中には、大きなベッドと酒と思わしき瓶等が並んでいる棚、本がたくさん並んでいる棚がある。ベッドのすぐ側には小さめの丸いテーブルがあり、青い瓶がひとつ置いてあった。

ジュードは窓の外の夜空に光る星を見ながら、ぼんやりと考えた。ジュードはふたなりである。ふたなりは、数万人に一人の割合で生まれてくるものらしい。ふたなりは美しい者が多いと聞くが、ジュードは全く美しくない。若い頃は、それでも物好きな村の男がちょっかいを出してきたりしていたが、全て腕力でねじ伏せた。男に抱かれたいとは思わないし、女を抱きたいとも思わない。ジュードは自分の特殊な性に興味がなく、また、性欲が薄くて、色事にも興味がなかった。
一晩、ハーイェンの弟の相手をすれば、それだけで今までとは段違いな豊かな暮らしができる。だが、それは本当に幸せなのだろうか。村の為とはいえ、村の者に売られ、ジュードは本当に一人ぼっちになった。これから見知らぬ土地で、1人で生きていくことになる。不安しかない。初めてするセックスも、正直怖い。自分の指すら入れたことがないのだ。そんな所に、男のペニスを挿れるなんて、想像もしたくない。
逃げてしまおうか。一瞬、そんな考えがジュードの頭の中に浮かんだが、小さく溜め息を吐いて、すぐに諦めた。此処から自分の村に自力で帰れるとも思えない。逃げたところで、野垂れ死にするのが関の山だ。ジュードは村から出たことがない。世間知らずと言ってもいい。
ジュードは部屋にハーイェンの弟が入ってくるまで、ぼーっと窓の外を眺めていた。






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部屋の扉がバターンッと勢いよく開いた。ビクッと驚いたジュードは、バッと扉の方を振り向いた。
そこには12か13歳くらいの、とんでもなく美しい少年が仁王立ちしていた。
長い青い髪は艷やかで、つるりとした白い肌は瑞々しく、大きめの淡い水色の瞳は、なにやら不機嫌そうな色を浮かべていた。少年はジュードを見るなり、思いっきり顔を顰めた。


「爺ではないか!!」

「…………」

「兄上め!勝手に『花嫁さん』を用意したとか言っておいて、みすぼらしい爺ではないか!爺ではないか!」

「……まぁ、孫がいてもおかしくねぇ歳ではあるが」


ぼそっとジュードがそう呟くと、ツカツカと少年がジュードに近寄ってきた。近くで見ると、幼いながらに恐ろしく美しい。ぶすっとした顔をしていても美しいとは驚きである。ジュードの胸くらいしか身長がない少年を無言で見下ろしていると、少年がジュードを見上げ、ビシッとジュードの顔を指差した。


「爺!お前、本当にふたなりなのか!?」

「……あぁ」

「ふーん。『花嫁さん』ってことは、処女なのだろう?その歳で処女ということは、余程相手に恵まれなかったのだな」

「…………」


なんだか憐れむような目で見られた。確かに、ジュードは顔がいい訳ではないし、今となってはギリギリ爺と言われてもおかしくない歳だ。実際、2つ下の弟には孫がいたし。
筆下ろしの相手がこんな爺みたいなおっさんで、なんだか少年の方が気の毒になってくる。

少年がぶすっとした顔で、ジュードのゴツい手を握った。


「不満しかないが仕方がない。ふたなりは滅多にいない。なんだって竜人の筆下ろしは、ふたなりって決まってるんだ。別に普通の人間の女でもいいじゃないか」

「それもそうだ。理由は知らないのか?」

「チラッと聞いた覚えはあるけど、興味なかったから忘れた。……あ、あれだ。竜人にとっては、ふたなりの人間は吉兆の証だ。竜人は人間よりも長き時を生きる。ふたなりで初体験することによって、吉兆にあやかるとかなんとか。なんかそんな感じの理由だった気がする」

「へぇ」

「とはいえ、ふたなりは中々見つからない。兄上は僕が生まれた時から30年以上ずっと僕の『花嫁さん』を探していた」

「30年?お前さん、いくつだ」

「僕?38。竜人は人間よりも寿命が長いから、成長が遅い」

「ふーん」

「爺はいくつだ」

「48」

「人間ならやっぱり爺だ」

「まぁ、否定できねぇなぁ」

「どうせなら若い者の方がよかった」

「そりゃそうだろうな」

「……まぁ、贅沢は言えないけど」


ジュードは少年に手を引かれて、大きなベッドに移動した。ジュードの手を離した少年が、無造作に服を脱ぎ始めた。ジュードも小さく溜め息を吐いて、服を脱いだ、逃げたいが、逃げる訳にはいかない。そもそも逃げ切れる自信がない。大人しく寝転がって股を開いていれば、それですぐに終わるだろう。ジュードはベッドに上がった少年に続いてベッドに上がり、ごろんと仰向けに寝転がって、膝を立て、足を大きく開いた。

少年がジュードの身体を見て、大きな溜め息を吐いた。


「だーめ。全然勃たないよ。無理だよこれ。無理無理」

「手で擦って勃たせりゃいいだろ」

「えー。めんどくさい」

「……そもそも精通してんのか?」

「してるよ。失敬な。あー。もう本当にやる気ない。爺」

「なんだ」

「もう今日はしない。寝る」

「そうか」

「ちょっと横にずれてよ。僕が寝られないだろ」

「あぁ」


ジュード開いていた足を閉じ、少し横にずれた。コロンと少年が隣に寝転がる。少年が顔だけこちらを向けて、声をかけてきた。


「爺。名前は?」

「ジュード」

「ふーん。僕はイーファン。ジュード。なんか面白い話をして」

「そんなもんねぇよ。俺ぁ、田舎の村でずっと農夫をやってた。吟遊詩人の真似っこなんかできねぇ」

「なんだ。つまんない。ジュードの家族は?」

「流行り病で全員死んだ」

「ふーん。人間は脆いもんね。ジュードは何が好きなの?僕は桃が一番好き」

「……肉?滅多に口に入らなかったが、熊や猪が畑に来ると、村の男達総出で殺して、食っていた」

「わぉ。熊って美味しいの?」

「まぁ、臭みは多少あるが、うめぇな」

「ふーん。ちょっと気になるな。明日、獲ってくる」

「は?」

「捌けるんでしょ」

「あ、まぁ」

「じゃあ、明日獲ってくるから捌いて。明日の夕食は熊肉祭りだ。兄上にも食べさせてあげよ。ふふっ。僕って優しいなぁ」

「そうかい。……兄貴のこと、好きなんだな」

「まぁね。たまに鬱陶しいけど、父上達は自由気ままな旅に出てて、僕は兄上に育てられた感じだからね。まぁ、たまに過保護過ぎて本気で鬱陶しいけど」

「いいじゃねぇか。俺にも弟がいた。弟の息子も可愛かった。弟の孫娘もな。よく俺に懐いてくれてよ。『まるまるお目々が牛みたいで可愛い』って、よく褒めてくれてた」

「ふーん。その子も死んだの?」

「死んだ」

「ジュードは1人なの?」

「あぁ」

「1人ってさ、やっぱり寂しいの?」

「……そうだな。早く家族が迎えに来てくれねぇかなって、毎晩祈ってる」

「遠回しに早く死にたいってこと?」

「さてな。……寝るんじゃないのか」

「うん。寝る。ねぇ、ジュード」

「あ?」

「ジュードは僕の『花嫁さん』だから、少しの間だけ『家族ごっこ』をしてあげるよ。僕って本当に優しいなぁ」

「そりゃどうも」

「僕は旦那様だからね。お嫁さんの好きなものくらい食べさせてあげられるよ」

「そうかい。明日の晩飯を楽しみにしとくよ」

「ふふん。期待してなよ。僕は弓の腕前は集落でも上位なんだから。まぁ、熊くらいなら弓を使わなくても殺せるけど。僕、竜人だし」

「頼もしい旦那様だな」

「そうともそうとも。もっと褒め称えなよ」

「すごいすごい。ほら。そろそろ寝ろ。明日は狩りに行くのだろう」

「うん。ジュード」

「あ?まだ何かあんのか」

「おやすみ」

「……おやすみ」


隣に寝転がっている竜人の少年イーファンは、すぐに穏やかな寝息を立て始めた。ジュードはなんとなくイーファンの美しい寝顔を眺めて、天井を見上げた。誰かと寝るのはいつぶりだろうか。誰かに『おやすみ』と言うのはいつぶりだろうか。
ジュードは両親や弟一家も皆一緒の家で暮らしていたから、部屋数が足りなくて、いつも誰かと一緒に寝ていた。弟の孫娘が歩き出す頃からは、ずっと弟の孫娘を抱っこして寝ていた。ジュードじゃなければ、寝るのを嫌がってグズるから、いつもジュードが弟の孫娘を寝かしつけ、そのまま一緒に寝ていた。
ジュードは、ぐっと唇を強く引き締め、こみあげてくるものを堪えた。むにゃむにゃと不明瞭なことを言いながら、イーファンが横からジュードの身体にくっついてきた。久しく感じていなかった誰かの温もりに、目頭が熱くなる。
ジュードはもそもそと寝返りをうって、ゆるくイーファンの温かい身体を抱きしめた。弟の孫娘にしてやっていたように、優しく背中を擦ってやりながら、小さな声で子守唄を歌う。腕の中の温もりに、悲しくて寂しくて悲鳴を上げているようだった心が、ほんの少しだけ、じんわりと温かくなった。






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ジュードが目覚めると、イーファンは間抜けに涎を垂らして、ジュードの腕の中でぐっすりと寝ていた。ジュードはイーファンを優しく揺さぶって起こし、全裸のまま、イーファンが使用人を呼ぶのを眺めていた。
イーファンだけでなく、ジュードにも上等な服を着せられた。柔らかいするするとした手触りの光沢のある布地は、多分絹だと思う。
村の祭りの振る舞いよりも豪華な朝食を食べると、イーファンは『熊を獲ってくる!』と言って、出かけて行った。本当に熊を獲ってくる気らしい。仕方がないので、ジュードは使用人の1人に声をかけ、熊を捌けるような刃物を用意してもらった。
イーファンは昼を少し過ぎた頃に、小さな身体で、大きな熊を持ち上げて、軽やかな足取りで帰ってきた。どーんっと熊を庭の土の上に置き、ジュードを見上げて、イーファンがドヤ顔をした。


「どうだ!首の骨を一発で折ってやったからな。毛皮にも傷一つないんだぞ!」

「そいつぁすげぇな。すぐに捌こう」

「捌くところが見たい」

「好きにしな。……あぁ、先に昼飯を食ってこいよ。腹が減っているだろう」

「ジュードはもう食べたのか?」

「まだだ。暫く、昼飯なんざ食う生活してなかったし、全然動いてねぇから、腹が減らねぇ」

「ふーん。じゃあ、僕の食事を食べたいだけ摘めばいい」

「あ?」

「貧相な『花嫁さん』では、僕が笑われてしまうからな。夕食は兄上も招いて熊肉祭りだが、その前に昼食を食べるぞ」

「……分かった」


ジュードは少し薄汚れたイーファンに手を引かれて、食堂へと移動した。大きなテーブルに、椅子を並べて置いて、イーファンがもりもり食べる横で、ジュードもチマチマ食べる。イーファンが、あれも食え、これも食えと、手ずからジュードに食べさせようとするので、ジュードは結局満腹になって苦しくなるまで、イーファンと昼食を食べた。

満腹だった腹が落ち着いたら、熊を捌く。ジュード1人では力が足りないところは、イーファンにも手伝ってもらった。此処はイーファンの邸なので、庭で熊を解体しても問題ないらしい。『兄上の自慢の庭でやったら、大目玉どころじゃない』と、イーファンが言っていた。
『花嫁さん』と、そういう意味で一夜を過ごすまでは、本邸ではなく別邸にあたるこの邸でイーファンも過ごすそうだ。筆下ろしの一夜が終わったら、此処はジュードだけが暮らすことになる。ジュードは長くても20年も生きない。イーファンがちゃんとした嫁をもらう頃には、ジュードは死んでいる。ある意味、よかったのかもしれない。
仮に、セックスをして、うっかり情が湧いてしまったとしても、ジュードがイーファンの人生の邪魔になることはない。きっと、一夜を終えたら、イーファンは此処からいなくなる。あとは、死ぬまで1人で此処で生きていればいい。熊を解体し、肉を料理人に預けた後、イーファンにこの邸を案内してもらった。建物自体は美しいが、庭の手入れは殆どされていなくて、雑草が生えている場所が多かった。ジュードはイーファンの許可を貰い、明日から庭の手入れをすることにした。少しでもやることがないと、落ち着かない。

ジュードは山に行って少し汚れたイーファンと一緒に風呂に入り、ハーイェンが訪れると、一緒に熊料理を堪能した。久方ぶりの熊肉は、村で食べていたものよりも格段に美味しい。美味しいからこそ、ジュードの胸の中に、微かに苦いものが広がった。

この竜人の集落は豊かなのだろう。ジュードの故郷の村とは違って。此処に来て、初めて食べる美味しいものを食べ、美しい服ばかりを着ている。病で苦しんで死んでいった家族達に申し訳なくて、ジュードは気づかれないように、こっそり小さな溜め息を吐いた。




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イーファンと暮らし始めて、10日が過ぎた。イーファンの筆下ろしの為に連れて来られたのに、誰もセックスを急かしてきたりしない。竜人は人間よりも長く生きるから、時間の感覚が緩やかなのかもしれない。
夜、お互いに全裸でくっついて寝るが、色っぽい雰囲気になったことはない。毎晩のように、イーファンにジュードの村での暮らしの話をせがまれる。ジュードは、ジュードにとっては大切な思い出を、イーファンに話して聞かせる毎日を送っている。

イーファンがジュードの身体の上に乗り、ジュードの胸毛が生えた胸板に顎を乗せ、ぼそっと呟いた。


「ジュードは家族が欲しいか」

「……さぁな」

「まだ産めるのか?」

「……2年、月のものがきてねぇ。少し早い方なんだろうが、もう産めなくなってる」

「そうか……ジュード」

「なんだ」

「ジュードは多分20年も生きないだろう?これも何かの縁だ。僕がジュードの家族になってやろう。ふふん。感謝に咽び泣き給えよ」


イーファンがドヤ顔で笑った。ジュードはきょとんと目を丸くして、イーファンの怖いくらい整っている顔を見つめた。


「……本気か?」

「ん?うん。夫婦になれば家族だろう。よし。今から夫婦になるぞ」

「ん?」

「セックスをするぞ!セックスを!」

「いや。俺じゃ勃たねぇんじゃねぇのかよ」

「そこは気合でなんとかする。僕はジュードを気に入ったからね。不思議なことに」

「……そうかい」


ジュードはなんだか泣きそうになりながらも、へらっと笑った。






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ジュードは横向きに寝転がり、腕で頭を支えて、真剣な顔で本を読んでいるイーファンを眺めていた。セックスのやり方が書かれている本らしい。家庭教師から一応ざっくりと習ったことがあるらしいのだが、その時は興味がなくて、殆ど聞き流していたらしい。
本を読み終えたイーファンが、ぱたんと本を閉じた。
イーファンが、やる気なくだらけた姿勢でいるジュードの方を見て、拳を握った。


「なんとなくやり方は把握した。あとは実践あるのみだ」

「そうかい。俺はどうしたらいい」

「とりあえず仰向けになってくれ。接吻からするから」

「おう」


ジュードはコロンと仰向けに寝転がった。すぐにイーファンがジュードの身体を跨ぎ、伏せるようにして、顔を寄せてきた。間近で見ても、イーファンの肌はどこまでも美しく、淡い水色の瞳もまるで宝石みたいに美しかった。
無言でいるジュードの唇に、イーファンが自分の唇を重ねた。意外な程柔らかい感触に、ジュードはほんの少しだけ動揺した。ジュードはキスもしたことがない。弟の孫娘の頬に戯れてキスをしたことはあっても、唇同士が触れ合うキスは初めてだ。優しく下唇を何度も吸われ、イーファンの熱い舌が、つんつんと引き締めたままのジュードの唇を突いた。ジュードがほんの少し唇を開けると、ぬるりとイーファンの唇が口内に入ってきた。イーファンの舌が歯列をなぞり、歯の裏の付け根を擽り、上顎をねっとりと舐めてくる。口の中を舌で弄られているだけなのに、不思議と心地よく、下腹部がじわじわと熱くなってくる。
ジュードだって自慰くらいしたことがある。ペニスもついているのだから、普通に手で擦って、定期的に抜いていた。最近は、なんだかやる気がなくて、全然していなかった。実年齢はともかく、見た目が10代前半の少年であるイーファンに口内を弄られているだけで、ゆるく勃起していく自分に、ジュードは戸惑った。

はぁ、っと熱い息をもらし、絡めていた舌を解いて、イーファンの唇がジュードの唇から離れた。なんとなくほっとしていると、イーファンが胸毛が生えたジュードの胸板をふにふに揉みながら、下腹部を擦りつけてきた。熱くて固いものがジュードの下腹部に当たる。イーファンも勃起している。ジュードはカッと勢いよく顔が熱くなるのを感じた。
ジュードは若くない。肌に張り艶なんてないし、日焼けしており、顔は年相応よりも皺が多く、手も身体もゴツゴツしている。魅力なんて欠片もない筈だ。それなのに、イーファンは今、ジュードに欲情している。今更ながらに、ジュードの中で、ぶわっと羞恥心が湧き上がり、同時に、下腹部の熱が増した。

イーファンの手が胸毛に埋もれたジュードの乳首を探し当て、優しく摘み、くりくりと弄り始めた。反対側の乳首は、イーファンのぬるつく熱い舌で舐められている。乳首なんて触られるのは初めてなのに、不思議と腰のあたりがぞわぞわする。これが気持ちいいというものなのだろうか。
ジュードは、ふっ、ふっ、と荒くなりそうな息を押し殺しながら、目だけでこちらを見ながら、乳首に舌を這わせているイーファンを見た。イーファンがジュードに見せつけるように赤い舌を伸ばし、チロチロと乳首の先っぽを舌先で擽って、ちゅくっとジュードの乳首に吸いついた。腰のあたりのぞわぞわが止まらない。ジュードは身体をくねらせて、小さく熱い息を吐いた。

両方の乳首をイーファンに弄られまくり、ジュードはすっかり興奮していた。下腹部が熱くて熱くて堪らない。ペニスは勃起しているし、洗う時にしか触れないまんこの中から、熱い液体がどんどん溢れ出ているような感覚がする。
乳首を弄られるのは確かに気持ちいいが、もっと直接的な刺激が欲しい。腹の奥が疼いて堪らない。この疼きをなんとか静めたい。
ジュードは掠れた熱い息を吐きながら、イーファンの名前を呼んだ。

身体の上に乗っていたイーファンをどかせ、膝を立てて足を大きく開く。正面にいるイーファンには、勃起したペニスが丸見えになっているだろう。肘をついて身体を起こし、ジュードは右手の掌の付け根あたりで自分のペニスと陰嚢を下腹部につくように押しつけ、濡れたぷっくりとした肉の割れ目を指先でなぞり、くぱぁと肉厚な肉襞を開いた。こんなところ、誰にも見せたことがない。羞恥心が襲ってくるが、それ以上に興奮して、自分の穴がひくつくのが、なんとなく分かってしまう。じっとイーファンがジュードのまんこを見つめている。その視線だけで、またとろりとまんこの中から熱い液体が溢れ落ちた。

イーファンが白い頬を微かに赤く染め、こくっと唾を飲み込んだ。ジュードが何も言わずとも、イーファンはジュードの熱く疼いて堪らないまんこに顔を埋めた。まんこ全体を熱い舌でべろりと大きく舐められ、ひくつく穴をチロチロと擽るように舐められる。勝手に腰がくねってしまう程気持ちがいい。イーファンがジュードのまんこを舐め回しながら、自分で肉襞を両手の親指で開いたので、ジュードはペニスと陰嚢を掌で下腹部に押しつけた。ふと、指先が陰嚢のすぐ下の小さな突起に触れた。初めて感じる強い刺激に、思わず腰がビクッと跳ね、上擦った意味のない声が出てしまう。イーファンもそれに気づいたのだろう。ペニスと陰嚢を押さえるジュードの手を外させ、左手でジュードのペニスと陰嚢をジュードの下腹部に押しつけると、小さな突起をチロチロと舐め始めた。


「あぁっ!?ふ、ぅぐぅっ!んんんんんっ!!」


野太い喘ぎ声等萎えるだけだろうと思い、必死で漏れ出る声を抑えようとするが、小さな突起を舐めたり吸われたりしながら、濡れたまんこの穴を指の腹ですりすり擦られると、気持ちよくて堪らなくて、どうしても声が出てしまう。こんな快感、知らない。ジュードのペニスと陰嚢を押さえているイーファンのまだ小さめの手が、もにゅんもにゅんとペニスと陰嚢をまとめて揉むように動き始めた。ペニスも陰嚢も小さな突起もまんこの穴も、同時に刺激されて、ジュードは腰を突き上げ、ガクガクと腰を震わせながら、射精した。まんこの穴からどっと熱い液体が溢れ出る感覚がする。腰を浮かせたままのジュードのまんこの穴から、イーファンがじゅるじゅると音を立てて、愛液を啜っている。

ビクッビクッと絶頂の余韻で身体を震わせているジュードのまんこの穴に、ゆっくりと細いイーファンの指が入ってきた。痛みはない。だが、異物感はある。初めての快感でぼんやりしていたジュードは、その違和感でハッとなった。同時に、ペニスが熱くぬるついたものに包まれる。ジュードが天井を見上げていた顔を恐る恐る自分の股間に向ければ、イーファンがジュードの控えめなサイズのペニスを頬張っていた。熱くぬるついたイーファンの口内や舌の感触が気持ちよくて堪らないが、イーファンにジュードのペニスなんか舐めさせたらいけない。ジュードは慌ててイーファンの名前を呼んだ。


「イーファン!それは駄目だっ!」

「んー。ん。気持ちいいだろう?」

「はっ、うぁっ、舐めるなっ」

「やら。これを舐めると、こっちが締まる。お前の中はすごく狭いな」

「あ、あぁっ!んんぅぅっ!」


イーファンがジュードのペニスを舐めながら、膣内を掻き回すように指を動かした。ゆっくりと探るような動きをしているイーファンの指がある一点を刺激した途端、ジュードはまた驚いて大きな声を上げ、ビクビクッと身体を震わせた。
ちゅぽっと咥えていたジュードのペニスから口を離し、イーファンがニマッと笑った。


「見つけた。ここがジュードの気持ちいいところだ」

「あ、あぁ、やめっ、そこはっ、だめだっ、ふっ、くぅんっ」

「すごいな。どんどん中から溢れてくる。指を増やすぞ。こっちも弄ってやろうな」

「あぁっ!?あ、あーーっ!んーーーーっ!!」


まんこの穴からイーファンの指が抜け出たと思ったら、またイーファンの指が今度は2本入ってきて、膣内の気持ちがいいところばかりを指の腹でトントンと刺激してくる。同時に、イーファンの唾液で濡れたペニスを陰嚢もまとめて揉むようにしながら刺激される。
ジュードは腰を浮かせたまま、逃げるように爪先立ちになった。腰をくねらせ、強過ぎる快感から逃れようとするが、イーファンが逃してくれない。それどころか、小さな突起まで舐めて刺激し始めた。ジュードは身体の中で高まり過ぎた快感が、パァンと弾けたような感覚に、大きく悲鳴のような声を上げた。

イーファンに名前を呼ばれ、勝手に出てきた涙で滲む目をイーファンに向けると、体格相応の大きさのペニスを勃起させたイーファンが、興奮したように頬を紅潮させていた。


「ジュード。そのまま腰を浮かせていろ。多分、その方が挿れやすい」

「あ、あ……」

「挿れるぞ」

「……あぁっ……」


ひくついて疼くまんこの穴に、熱くて固いものが触れたかと思えば、そのままゆっくりと狭いジュードのまんこの穴を抉じ開け、膣肉を押し拡げるようにして、イーファンのペニスがジュードの中に入ってきた。地味に痛い。だが、同時に気持ちがいい。イーファンのペニスの感触が、堪らなく気持ちがいい。もっと奥まで早く欲しくて、ジュードは喘ぎながら腰を揺すった。

イーファンが気持ちよさそうに顔を歪め、ジュードの腰を強く掴み、ずんっと一気に根元近くまでジュードのまんこの穴の中にペニスを押し込んだ。鋭い痛みが走るが、我慢できない程ではない。
イーファンが声変わりの済んでいない声で小さく喘ぎ、ガンガンと激しく腰を振り始めた。痛いのに気持ちがいい。イーファンの固いペニスが膣肉を激しく擦り、容赦なく快感を与えてくる。
ジュードは腰をビクビクと震わせながら、だらしなく開けっ放しの口から涎を垂らし、大きく喘いだ。


「んぉっ!あぁぁぁぁ!ひ、いいぃぃぃっ!!」

「あっ、はぁっ、すごいっ、きもちいいっ」

「あぁぁぁっ!あっ!あっ!またっ、いぐぅぅぅぅ!」

「でるっ!でるっ!あ、あぁっ!!」


小刻みにすごく速く膣内のペニスが動き回り、一際強く、ペニスで突き上げられた。ジュードの膣内で、イーファンのペニスをほんの微かに震えている。射精しているのだろう。精液を全て出し切るように、イーファンが喘ぎながら、ゆるゆると腰を動かして、ジュードの膣肉で自分のペニスを扱いている。
ジュードは荒い息を吐きながら、脳みそが痺れるような快感の余韻に浸った。こんなものすごい快感、知らなかった。全て精液を出し切ったのか、ずるりとジュードのまんこの穴からイーファンのペニスが抜け出ていった。

ジュードは浮かせたままだった腰を下ろし、起き上がった。ぺたっとその場に座り込み、荒い息を吐くイーファンの唇に噛みつくようにして吸いつき、小さなイーファンの身体を押し倒した。
快感の余韻でとろんと潤んでいるイーファンの瞳が、ジュードを真っ直ぐに見上げた。
本当にすごく気持ちよかった。でも、まだ足りない。ジュードの腹の奥はまだ疼いて、身体がさっきまでの熱と快感を求めている。ジュードはイーファンの身体のあちこちに舌を這わせ、イーファンのまだ幼さが残るペニスも舐め回し、再び勃起させると、イーファンの股間の上に跨り、自ら疼いて堪らないまんこの穴の中に、イーファンのペニスを迎え入れた。




-------
ジュードは頬を強く引っ張られて目が覚めた。眉間に皺を寄せて、しぱしぱする目を開ければ、膨れっ面をしたイーファンが、ジュードの上に乗っかっていた。微妙に重いが、そんなに気になる程でもない。イーファンは小柄だから、身体の上に乗られても然程苦しくもない。
イーファンがギリギリとジュードの両頬を指で摘んで引っ張った。


「なんら」

「よくも搾り取ってくれたな。僕が旦那様だぞ。僕がお前をあんあん言わせる予定だったのに」

「ちゃんと、あんあん言ってただろ」

「それ以上に僕があんあん言わされた!」

「俺の中は気持ちよかったか?」

「最高だった!もう!!」


最高だったと言う割には、何故かぷりぷりしている。2回戦以降は、ずっとジュードが小さなイーファンの身体に跨り、ひたすら腰を振っていたのマズかったのだろうか。だって気持ちよかったから。イーファンだって『きもちいい』と喘いでいたのだし、お互いに気持ちよかったのだから、それでいいと思うのだが、イーファンにはイーファンのプライドのようなものがあるのかもしれない。
ジュードはぼんやりとそう考え、とりあえずイーファンに謝り、イーファンの機嫌をとろうと、何度も搾り取ったのに元気に朝勃ちしているイーファンのペニスをまんこの穴に咥えこみ、膣肉で思いっきり扱いてやった。イーファンはとても気持ちよさそうに喘ぎ、終わった後は、またぷりぷりしていた。思春期なのだろうか。よく分からない。

だらしがないが、朝食をベッドで食べると、ジュードとイーファンはゴロゴロしながら、二度寝することにした。ジュードがゆるくイーファンの身体を抱きしめると、イーファンが胸毛が生えたジュードの胸板に額を押しつけ、小さく呟いた。


「ぼくの『花嫁さん』。1日でも長く生きておくれよ」

「まぁ、頑張る」

「頑張れ。ものすごく頑張れ」

「ん」

「今夜は僕があんあん言わせるから、お前は動いちゃ駄目だからな」

「分かったよ。旦那様」


なんだか可笑しくて、クックッと低く笑った後、ジュードはイーファンの背中を優しく撫でながら、小さく子守唄を歌った。イーファンはすぐにうとうとし始め、そう間を置かずに、すぅっと眠ってしまった。ジュードはイーファンの頭の天辺に優しくキスをして、静かに目を閉じた。






------
イーファンの邸には、イーファンの妻でさえ立ち入れない場所がある。邸の庭の一角で、そこを隠すように、桃の木がいくつも植えてある。
イーファンはいつものように、朝露が光る時間帯に、そこを訪れた。
桃の木がぐるりと囲むぽっかり空いた土地の真ん中に、一本だけ桃の木が生えている。イーファンはその桃の木の根元に座り、桃の木にもたれ掛かった。


「ジュード。あと半月で僕の子供が生まれるぞ。生まれたら、お前にも顔を見せに来る。間違いなく僕に似て、美しくて優しい子だぞ」


イーファンはふふっと笑って、頭上を見上げ、生い茂る葉を眺めて、目を細めた。
ジュードが亡くなった後、イーファンは1人でジュードの亡骸を此処に埋め、その上に、桃の小さな苗木を植えた。あんなに頼りなく細かった苗木は、今は立派な桃の木に育った。

イーファンは暫く無言でそこで過ごすと、静かに立ち上がり、桃の木に手を当てた。


「僕の子に、子守唄を歌ってあげておくれよ。僕に歌ってくれたように。……僕の『花嫁さん』。また明日」


イーファンは淡い微笑みを浮かべ、妻が待つ邸へと戻っていった。



(おしまい)

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みんなの感想(1件)

みあ子
2022.07.16 みあ子

いつも読ませて頂いてます🥺
切ないですが、凄く良かったです。

ショタ攻め、ちっちゃい攻めいつも楽しみにしております!

丸井まー(旧:まー)
2022.07.16 丸井まー(旧:まー)

感想をありがとうございますっ!!
本当に嬉しいです!!

嬉し過ぎるお言葉をいただけて、感無量であります(泣)
本当に全力でありがとうございますっ!!
ショタ攻めも種族の違いや歳の差も大好物なんです。私の萌えをしこたま詰め込んだので、お楽しみいただけたのでしたら、何よりも嬉しいです!!

お読み下さり、ありがとうございました!!

解除
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