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後編
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ぐちぐちと、アナルの方から小さな水音がする。
アナルの中のある一点に触れられた時から、トゥガナンは意味のない声を上げるだけしかできなくなった。ビリビリと背を走り抜け、身体の中をぐるぐる駆け回る快感が、出口を求めて彷徨っている。トゥガナンは自分で両足の膝を持ち、足を大きく広げて、乳首とアナルを弄られる快感に夢中になっていた。
ジャーナルの指1本でも少しキツかったトゥガナンのアナルは、もう指3本が抜き差しできる程に解されていた。
ジャーナルが乳首から唇を離し、身体を起こした。ぬこぬこと指をアナルに抜き差ししながら、トゥガナンを見下ろして、ニッと笑った。
「そろそろ大丈夫かな?」
「う、あ、あぅ……はぁ……」
ずるりと、ジャーナルの指がトゥガナンのアナルから出ていった。ガチガチに勃起しているペニスが痛いくらい張りつめている。ふとジャーナルの股間を見れば、ジャーナルのペニスも勃起して反り返っていた。
ジャーナルが寝台の上に転がしていた小瓶を手に取り、自分のペニスに香油を垂らして、馴染ませるように手で擦った。ジャーナルが熱くて固いペニスの先っぽを、トゥガナンのひくひくしている感じがするアナルに擦りつけた。
「挿れるね」
「う、あ、あぁ……」
メリメリと狭いトゥガナンのアナルを押し拡げるようにして、熱くて固いものがトゥガナンの中に入ってくる。キツい程気持ちがいいところを固いものが擦りながら、奥へ奥へと深く入り込んだ。尻に微かに毛があたる感触がして、ジャーナルのペニスが根元近くまで入ったことに気づく。今、ジャーナルと繋がっている。そのことに不思議な程気持ちが高揚して、トゥガナンは、はくはくと息を吐きながら、目を見開いて1つ涙を溢した。
ジャーナルが労るようにトゥガナンの頭を優しく撫でた。
「痛い?」
「……平気だ」
本当はすこし痛い。異物感もある。しかし、それ以上にゾクゾクとした快感と興奮が確かにある。ジャーナルが繋がったまま身体を伏せ、弄られ過ぎてぷっくりとしたトゥガナンの乳首を口に含んだ。ぬるりと優しく乳首を舐められると、思わずきゅっとアナルでジャーナルのペニスを締めつけてしまう。トゥガナンの中でビクッと小さく震えたジャーナルのペニスの熱が融けてしまいそうなくらい気持ちがいい。
ジャーナルがゆっくりと動き始めた。乳首を舐めながら、ゆっくりとペニスを先っぽギリギリまで引き抜き、また奥深くへと押し込んでくる。ジャーナルのペニスが、内壁を擦り、刺激が強いところをぐりっと押し、ぐっと奥を突き上げてくる。ジャーナルの動きは徐々に速く激しくなり、トゥガナンは我慢できずに意味のない声を上げ続けた。
「あっ!あ!あぅ!あぁっ!」
「はっ、はっ、あぁ……すごいね、トゥガナン」
「んぅ!っあ!あぁ!あぁ!」
「きもちいい?」
「ぅあ、き、もちいい、きもちいい!」
「俺も、トゥガナンの中、気持ちいいよ」
頭の中が蕩けきって、『きもちいい』だけに支配される。トゥガナンは自分の膝裏から手を離して、ジャーナルの髪に触れてくしゃくしゃにしながら、両足を激しく動いているジャーナルの腰に絡めた。ジャーナルの肌で擦れているペニスが、今にも射精してしまいそうだ。高まり続ける快感が、解放の瞬間を今か今かと待っている。
ジャーナルが乳首から口を離し、身体を起こして、トゥガナンのペニスを片手で握って擦り始めた。反対側の手は乳首を摘まんで、くりくりと弄ってくる。乳首もペニスもアナルも、どこも気持ちよすぎて馬鹿になりそうだ。トゥガナンは泣きながら喘いだ。もう駄目だ。
「あぁぁっ!!でるっ!!でるっ!」
「……俺も……中に出すよ」
「あっ!あ!あぁっ!あぁぁぁぁぁっ!」
トゥガナンの中で、高まり過ぎた快感がパチンと弾けた。ペニスの先っぽから精液が勢いよく飛び出て、トゥガナンの胸元まで汚していく。射精した瞬間、乳首からも何か飛び出たような不思議な感覚があった。
ジャーナルが一際強くトゥガナンの奥を突き上げて、低く唸った。中でジャーナルのペニスがビクビクと微かに震えている感じがする。荒い息を吐きながら、自分の胸元を見てみれば、汗と精液以外でも濡れている気がする。
トゥガナンが首を傾げていると、ジャーナルがトゥガナンのぷっくりとした乳首に舌を這わせた。
「出たね」
「なにが?」
「乳。トゥガナンがイッた時にぴゅって出てたよ」
トゥガナンは驚いて、呆然と、汗に濡れた前髪をかき上げているジャーナルの顔を見た。
ジャーナルがなんだか複雑そうな表情で、口を開いた。
「……これでトゥガナンも成人だな」
「あ、あぁ」
「森の集落に帰る?」
「帰らない……俺はもう街の人間だ」
「……そっか」
トゥガナンがキッパリ言いきると、ジャーナルがほっとしたような顔をして、ゆるく笑った。
「トゥガナン」
「うん」
「ここまでして言うのもどうかと思うんだけさ」
「なんだ」
「トゥガナンが好きなんだよね。俺」
「そ、そうか……」
「……引く、よなぁ。やっぱ」
「別に引いてない」
「……本当に?……だって、男同士だし」
「そんなことは些事だ。多分」
「…………俺のこと、好き?」
「お前の笑う顔が1番好きだ。お前に触れられるのも好きだ。一緒に飯を食うのも好きだ」
「うお、いっぱい出てきた。ははっ。なんか照れるね」
照れ臭そうに、目を細めて笑うジャーナルに、トゥガナンの胸がとくんと小さな音を立てた。
ジャーナルの両手が、汗や涎、涙で濡れているトゥガナンの頬を優しく包み込んだ。顔を寄せあい、鼻先を擦りあって、優しく唇で触れあう。
ジャーナルが嬉しそうに細い目を糸のように細めて微笑んだ。
「トゥガナン」
「うん」
「もう1回」
「……うん」
その夜、トゥガナンはひたすらジャーナルの熱に溺れた。
ーーーーー
暑い季節はすぐにすり去り、実りの季節がやってきた。織物屋で働くトゥガナンにはあまり関係がないが、それでも、市場でジャーナルと一緒に食べる食事が美味しくなっているのは感じている。
ジャーナルとは何度も交わっている。トゥガナンはジャーナルが好きだ。ジャーナルもトゥガナンの事を好きだと言ってくれる。
何度か実験をしてみたのだが、トゥガナンの母乳は、ジャーナルと交わっている時にしか出ない。ジャーナルはトゥガナンが母乳を出すと、勿体ないからと全部舐め取ってしまう。美味しいものでもないのに、毎回だ。
最近、寝台を新しくした。
以前の寝台よりも大きく、丈夫なものに変えた。掛け布団を入れる布袋はトゥガナンが刺繍を施した。どんな刺繍にするかは、ジャーナルと話し合って決めた。
月明かりを頼りに毎晩チマチマと作業をして、漸く完成した刺繍入りの布袋を見せたら、ジャーナルはとても喜んだ。『うちが豪邸になったみたいだ』と、楽しそうに目を線のようにして笑った。
何度も季節が過ぎたが、トゥガナンはジャーナルと暮らしている。ジャーナルは毎晩必ず寝る前に、『愛しているよ。トゥガナン』と言って、接吻をしてくる。トゥガナンは未だに照れてしまい、ジャーナルに『愛している』とは言えていない。言えてはいないが、トゥガナンもジャーナルとのことをどうしようもなく愛おしく思っている。
毎朝、長く伸びた淡い金髪をジャーナルに結ってもらう。今日は何を食べようか、なんて、何気ない会話をしながら。トゥガナンが、1日の中で1番好きな時間だ。
本当に、なんて代わり映えのない穏やかな幸せなんだろう。
ふと、トゥガナンの頭の中に小さな疑問が浮かんだ。
トゥガナンは上機嫌に鼻歌を歌いながらトゥガナンの髪を複雑に結っているジャーナルに声をかけた。
「何故、俺にこんなによくしてくれるんだ?」
「好きだからだね」
「いつから」
「初めて会った時」
「え……?」
「綺麗だな、って思ってさ。所謂、一目惚れってやつ?」
「そ、そうか……」
「トゥガナンは見た目だけじゃなくて、中身も綺麗だ」
「そ、そうか?」
「うん。純粋で、優しくて、俺を好いてくれているだろ?可愛くて堪んないよ」
「そ、そうか……」
顔だけじゃなくて、耳や首の辺りまで熱をもってしまった。間違いなく赤くなっているだろう。トゥガナンの背後で、ふふっ、とジャーナルが小さく笑った。
「トゥガナン。ずっと一緒にいよう。オタクの方が歳上だから、俺が責任持って死出の旅を見送ってあげるよ」
「……うん」
「でもトゥガナンがいないと寂しいからさ。俺もすぐに後を追うよ。2人で手を繋いで死出の旅を楽しもう」
「楽しめるものなのか?」
「さあ?死んだことがないから分からないね」
はははっと、ジャーナルとが明るい笑い声を上げた。できたよ、と言われて頭に触れれば、今日も複雑な編み込みがしてある。動くのに楽だから別に構わないのだが。
今日もお互い仕事だ。その前に朝食である。トゥガナンは椅子から立ち上がって、ジャーナルの唇に唇で優しく触れてから、外に出る準備を始めた。
上機嫌なジャーナルと共に、市場の馴染みの店まで歩いていく。
オババ。俺は幸せを掴み取れたよ。
トゥガナンは心の中で、厳しくも優しかったオババにそう報告をした。
(おしまい)
アナルの中のある一点に触れられた時から、トゥガナンは意味のない声を上げるだけしかできなくなった。ビリビリと背を走り抜け、身体の中をぐるぐる駆け回る快感が、出口を求めて彷徨っている。トゥガナンは自分で両足の膝を持ち、足を大きく広げて、乳首とアナルを弄られる快感に夢中になっていた。
ジャーナルの指1本でも少しキツかったトゥガナンのアナルは、もう指3本が抜き差しできる程に解されていた。
ジャーナルが乳首から唇を離し、身体を起こした。ぬこぬこと指をアナルに抜き差ししながら、トゥガナンを見下ろして、ニッと笑った。
「そろそろ大丈夫かな?」
「う、あ、あぅ……はぁ……」
ずるりと、ジャーナルの指がトゥガナンのアナルから出ていった。ガチガチに勃起しているペニスが痛いくらい張りつめている。ふとジャーナルの股間を見れば、ジャーナルのペニスも勃起して反り返っていた。
ジャーナルが寝台の上に転がしていた小瓶を手に取り、自分のペニスに香油を垂らして、馴染ませるように手で擦った。ジャーナルが熱くて固いペニスの先っぽを、トゥガナンのひくひくしている感じがするアナルに擦りつけた。
「挿れるね」
「う、あ、あぁ……」
メリメリと狭いトゥガナンのアナルを押し拡げるようにして、熱くて固いものがトゥガナンの中に入ってくる。キツい程気持ちがいいところを固いものが擦りながら、奥へ奥へと深く入り込んだ。尻に微かに毛があたる感触がして、ジャーナルのペニスが根元近くまで入ったことに気づく。今、ジャーナルと繋がっている。そのことに不思議な程気持ちが高揚して、トゥガナンは、はくはくと息を吐きながら、目を見開いて1つ涙を溢した。
ジャーナルが労るようにトゥガナンの頭を優しく撫でた。
「痛い?」
「……平気だ」
本当はすこし痛い。異物感もある。しかし、それ以上にゾクゾクとした快感と興奮が確かにある。ジャーナルが繋がったまま身体を伏せ、弄られ過ぎてぷっくりとしたトゥガナンの乳首を口に含んだ。ぬるりと優しく乳首を舐められると、思わずきゅっとアナルでジャーナルのペニスを締めつけてしまう。トゥガナンの中でビクッと小さく震えたジャーナルのペニスの熱が融けてしまいそうなくらい気持ちがいい。
ジャーナルがゆっくりと動き始めた。乳首を舐めながら、ゆっくりとペニスを先っぽギリギリまで引き抜き、また奥深くへと押し込んでくる。ジャーナルのペニスが、内壁を擦り、刺激が強いところをぐりっと押し、ぐっと奥を突き上げてくる。ジャーナルの動きは徐々に速く激しくなり、トゥガナンは我慢できずに意味のない声を上げ続けた。
「あっ!あ!あぅ!あぁっ!」
「はっ、はっ、あぁ……すごいね、トゥガナン」
「んぅ!っあ!あぁ!あぁ!」
「きもちいい?」
「ぅあ、き、もちいい、きもちいい!」
「俺も、トゥガナンの中、気持ちいいよ」
頭の中が蕩けきって、『きもちいい』だけに支配される。トゥガナンは自分の膝裏から手を離して、ジャーナルの髪に触れてくしゃくしゃにしながら、両足を激しく動いているジャーナルの腰に絡めた。ジャーナルの肌で擦れているペニスが、今にも射精してしまいそうだ。高まり続ける快感が、解放の瞬間を今か今かと待っている。
ジャーナルが乳首から口を離し、身体を起こして、トゥガナンのペニスを片手で握って擦り始めた。反対側の手は乳首を摘まんで、くりくりと弄ってくる。乳首もペニスもアナルも、どこも気持ちよすぎて馬鹿になりそうだ。トゥガナンは泣きながら喘いだ。もう駄目だ。
「あぁぁっ!!でるっ!!でるっ!」
「……俺も……中に出すよ」
「あっ!あ!あぁっ!あぁぁぁぁぁっ!」
トゥガナンの中で、高まり過ぎた快感がパチンと弾けた。ペニスの先っぽから精液が勢いよく飛び出て、トゥガナンの胸元まで汚していく。射精した瞬間、乳首からも何か飛び出たような不思議な感覚があった。
ジャーナルが一際強くトゥガナンの奥を突き上げて、低く唸った。中でジャーナルのペニスがビクビクと微かに震えている感じがする。荒い息を吐きながら、自分の胸元を見てみれば、汗と精液以外でも濡れている気がする。
トゥガナンが首を傾げていると、ジャーナルがトゥガナンのぷっくりとした乳首に舌を這わせた。
「出たね」
「なにが?」
「乳。トゥガナンがイッた時にぴゅって出てたよ」
トゥガナンは驚いて、呆然と、汗に濡れた前髪をかき上げているジャーナルの顔を見た。
ジャーナルがなんだか複雑そうな表情で、口を開いた。
「……これでトゥガナンも成人だな」
「あ、あぁ」
「森の集落に帰る?」
「帰らない……俺はもう街の人間だ」
「……そっか」
トゥガナンがキッパリ言いきると、ジャーナルがほっとしたような顔をして、ゆるく笑った。
「トゥガナン」
「うん」
「ここまでして言うのもどうかと思うんだけさ」
「なんだ」
「トゥガナンが好きなんだよね。俺」
「そ、そうか……」
「……引く、よなぁ。やっぱ」
「別に引いてない」
「……本当に?……だって、男同士だし」
「そんなことは些事だ。多分」
「…………俺のこと、好き?」
「お前の笑う顔が1番好きだ。お前に触れられるのも好きだ。一緒に飯を食うのも好きだ」
「うお、いっぱい出てきた。ははっ。なんか照れるね」
照れ臭そうに、目を細めて笑うジャーナルに、トゥガナンの胸がとくんと小さな音を立てた。
ジャーナルの両手が、汗や涎、涙で濡れているトゥガナンの頬を優しく包み込んだ。顔を寄せあい、鼻先を擦りあって、優しく唇で触れあう。
ジャーナルが嬉しそうに細い目を糸のように細めて微笑んだ。
「トゥガナン」
「うん」
「もう1回」
「……うん」
その夜、トゥガナンはひたすらジャーナルの熱に溺れた。
ーーーーー
暑い季節はすぐにすり去り、実りの季節がやってきた。織物屋で働くトゥガナンにはあまり関係がないが、それでも、市場でジャーナルと一緒に食べる食事が美味しくなっているのは感じている。
ジャーナルとは何度も交わっている。トゥガナンはジャーナルが好きだ。ジャーナルもトゥガナンの事を好きだと言ってくれる。
何度か実験をしてみたのだが、トゥガナンの母乳は、ジャーナルと交わっている時にしか出ない。ジャーナルはトゥガナンが母乳を出すと、勿体ないからと全部舐め取ってしまう。美味しいものでもないのに、毎回だ。
最近、寝台を新しくした。
以前の寝台よりも大きく、丈夫なものに変えた。掛け布団を入れる布袋はトゥガナンが刺繍を施した。どんな刺繍にするかは、ジャーナルと話し合って決めた。
月明かりを頼りに毎晩チマチマと作業をして、漸く完成した刺繍入りの布袋を見せたら、ジャーナルはとても喜んだ。『うちが豪邸になったみたいだ』と、楽しそうに目を線のようにして笑った。
何度も季節が過ぎたが、トゥガナンはジャーナルと暮らしている。ジャーナルは毎晩必ず寝る前に、『愛しているよ。トゥガナン』と言って、接吻をしてくる。トゥガナンは未だに照れてしまい、ジャーナルに『愛している』とは言えていない。言えてはいないが、トゥガナンもジャーナルとのことをどうしようもなく愛おしく思っている。
毎朝、長く伸びた淡い金髪をジャーナルに結ってもらう。今日は何を食べようか、なんて、何気ない会話をしながら。トゥガナンが、1日の中で1番好きな時間だ。
本当に、なんて代わり映えのない穏やかな幸せなんだろう。
ふと、トゥガナンの頭の中に小さな疑問が浮かんだ。
トゥガナンは上機嫌に鼻歌を歌いながらトゥガナンの髪を複雑に結っているジャーナルに声をかけた。
「何故、俺にこんなによくしてくれるんだ?」
「好きだからだね」
「いつから」
「初めて会った時」
「え……?」
「綺麗だな、って思ってさ。所謂、一目惚れってやつ?」
「そ、そうか……」
「トゥガナンは見た目だけじゃなくて、中身も綺麗だ」
「そ、そうか?」
「うん。純粋で、優しくて、俺を好いてくれているだろ?可愛くて堪んないよ」
「そ、そうか……」
顔だけじゃなくて、耳や首の辺りまで熱をもってしまった。間違いなく赤くなっているだろう。トゥガナンの背後で、ふふっ、とジャーナルが小さく笑った。
「トゥガナン。ずっと一緒にいよう。オタクの方が歳上だから、俺が責任持って死出の旅を見送ってあげるよ」
「……うん」
「でもトゥガナンがいないと寂しいからさ。俺もすぐに後を追うよ。2人で手を繋いで死出の旅を楽しもう」
「楽しめるものなのか?」
「さあ?死んだことがないから分からないね」
はははっと、ジャーナルとが明るい笑い声を上げた。できたよ、と言われて頭に触れれば、今日も複雑な編み込みがしてある。動くのに楽だから別に構わないのだが。
今日もお互い仕事だ。その前に朝食である。トゥガナンは椅子から立ち上がって、ジャーナルの唇に唇で優しく触れてから、外に出る準備を始めた。
上機嫌なジャーナルと共に、市場の馴染みの店まで歩いていく。
オババ。俺は幸せを掴み取れたよ。
トゥガナンは心の中で、厳しくも優しかったオババにそう報告をした。
(おしまい)
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