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よしよしされちゃう『お袋さん』
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マルティンは、魔導印刷機をカチャカチャと弄っていた。マルティンが魔導印刷機を使おうと印刷室に来たら、会計課の新人君が半べそかきながら、魔導印刷機の前であたふたしていたので、マルティンは新人君に声をかけ、魔導印刷機を弄り始めた。幸い、単純な紙詰まりと、インク詰まりだけだったので、すぐに直った。
「よっし。これで大丈夫だ」
「あ、ありがとうございます! すいません! 取り扱い説明書が見当たらないし、会議は一時間後なのに、もうどうしたらいいのか分からなくて……」
「おっ。時間が無いな。先にサクッとやっちまえよ。俺のは急ぎじゃねぇし」
「はいっ! ありがとうございます!」
「あ、甘いものは平気か? 印刷してる間に飴でも食っとけよ。顔色悪いぞ。腹の足しにはならんが、ちょっとした気分転換にはなるだろ。会計課は今、修羅場の真っ最中だよな。飯は食ってるか? どんだけ忙しくても、飯はちゃんと食うんだぞ」
「はいっ! ありがとうございます! 『お袋さん』!」
「あー……ははは……はい。飴。林檎味。俺のオススメのやつ」
「いただきます! ありがとうございますー!」
顔色の悪い新人君が、パァッと顔を輝かせて、マルティンがあげた飴を口に放り込んだ。疲れが滲む顔で、新人君が嬉しそうに笑った。
「親切にしていただけて、本当に助かりました! ありがとうございます!」
「いやいやー。この魔導印刷機も年季ものでな。取り扱い説明書も紛失してるんだわ。分からない事があったら、そこら辺の奴、捕まえて聞くのが一番早いぞー。新人のうちは、覚える事が多くて大変だろ? 長く働きたいなら、今、無理はするなよー」
「はい! お気遣いもありがとうございます!」
魔導印刷機が動いている間に、マルティンは、新人君の愚痴等を聞きつつ、色々アドバイスをしてやった。新人君は、印刷が終わった紙の束を抱えて、笑顔で去っていった。
マルティンは、自分の印刷物を印刷しながら、小さく溜め息を吐いた。
『お袋さん』。これが、マルティンの職場での渾名である。
マルティンは、街の役所で働いている。戸籍課に所属しているのだが、生来の性格か、世話焼きなものだから、自分の課は勿論、他の課の人間が困っているのを見かけると、ついつい手助けをしてしまう。18歳から働き始めて15年、『お袋さん』という渾名が定着して久しい。『お袋さん』という渾名は、マルティンが世話焼きで、ついつい余計な一言まで言ってしまうのと、マルティンの見た目からきている。
マルティンの容姿は、くるくるの癖の強い金髪で、穏やかな青い瞳をしている。顔立ちも身体つきも丸っこくて、声も話し方も柔らかいから、柔和な印象を受けるそうだ。誰かが、『なんかお袋みてぇだな』と言い出した結果、あっという間に『お袋さん』という渾名が定着してしまった。
マルティンが世話焼き体質なのは、下に兄弟が多かったからだ。マルティンは長男で、下には合わせて5人の弟と妹がいる。子供の頃から、下の子達の世話をしていたし、学校でも、何故か、所謂、問題児のお世話係みたいな事をさせられていた。この問題児とは、勉強嫌いで、すぐに授業をサボったり、宿題をやらなかったりする子だ。暴力的な子では無かったので、マルティンは、主に、その子を授業に出るよう、サボり場所に迎えに行ったり、一緒に宿題をやったりしていた。その子からは、『母ちゃんかよ!』と、よく言われていた。マルティンは男なのに、何故、『母ちゃん』や『お袋』と呼ばれるのか。本当に不思議でならない。
マルティンは一日の仕事を終えると、地味に疲れた身体と心を癒やす為に、馴染みの飲み屋へと向かった。
マルティンが週に3回は通っている飲み屋に入ると、昔馴染みの飲み友達がいた。マルティンが世話をしていた元問題児のルーカスである。初等学校から中等学校まで、マルティンが世話をしないと、勉強なんか絶対にしなかったルーカスも、今では立派な警邏隊隊員として働いている。
ルーカスは派手な赤毛なので、少し離れていてもすぐに分かる。深緑色の瞳をした中々の美丈夫だ。30を越えたあたりから伸ばし始めた顎髭もよく似合っている。
マルティンに気がついたルーカスが、よっと片手を軽く上げ、カウンター席の自分の隣の席をポンポンと叩いた。マルティンも軽く手を上げてから、ルーカスの隣の席に腰を下ろした。
既に出来上がっている様子のルーカスが、酒精で赤らんだ顔で、へらっと笑った。
「母ちゃん。お疲れー」
「お疲れ。ルーカス。また空飲みしたんだろ。飯は、少しは食ったか?」
「まだー」
「いつも言ってるだろう。空飲みは身体に悪いぞ。身体が資本な仕事なんだから、飯はちゃんと食え」
「うぃーっす」
「あ、店長。注文いいですか? 今日のオススメの鹿シチュー二人前と胡桃パンも二人前、あと、林檎酒を一杯お願いします」
「はいよぉ!」
マルティンは、ルーカスの分まで料理を注文すると、酒を片手に仕事の愚痴をこぼし始めたルーカスの話を聞いてやった。
料理が運ばれてきたので、ルーカスに食べるよう促してから、マルティンも食べ始めた。よく煮込まれた鹿肉がほろほろで、とても美味しい。胡桃パンともよく合う。マルティンは美味しい夕食にのほほんと笑いながら、ご機嫌に林檎酒をちびちび飲んだ。
隣でガツガツと料理を食べていたルーカスが、マルティンの方を向いて口を開いた。ルーカスの口元には、シチューがちょっとついている。マルティンは、ズボンのポケットからハンカチを取り出し、何か言おうとするルーカスの口元を先に拭いた。
「お前はマジで母ちゃんか」
「そういうお前は子供か」
「まぁいい。問題はそこじゃねぇ。なぁ。なんかよー。最近、お前、疲れてねぇ?」
「え? そうか?」
「絶対疲れてる。俺とお前との付き合いが何年になると思ってんだ」
「初等学校の入学式からだから……26年くらい?」
「お前には、切実に癒やしが必要だ」
「そうかぁ? 別に、そこまで極端に疲れてねぇけど?」
「ひ・つ・よ・う・な・の! ということでだ」
「うん?」
「俺ん家で朝まで飲むぞ。明日は、役所は公休日だろ」
「お前の家の掃除からか……」
「掃除は今日の昼間にしーましーたー!」
「えっ!? どうした!? 何があったんだ!! 掃除嫌いのお前が掃除をするだなんて!!」
「俺の家が汚かったら、お前、絶対に、酒を飲む前に掃除し始めるだろうが」
「うん」
「『うん』じゃねぇよ。……まぁ、いい。ということで、飯食ったら、俺ん家でひたすら飲むぞー! 俺だって、お前の愚痴を聞くくらいできるんだからな!」
「ルーカス……なんて立派に成長して……」
「おい。目頭押さえんな。成長を喜ぶな。お前は俺の母ちゃんか」
マルティンは、ルーカスの気遣いが嬉しくて、だらしなく、ふにゃっと笑った。
美味しい料理と酒を平らげると、二人で早々と飲み屋を出た。ルーカスの家は、警邏隊の単身者用官舎だ。何度も行ったことがある。主に、掃除をしに。
ルーカスの家に着くと、ルーカスの家は本当にキレイになっていた。普段の散らかり放題が嘘のようである。マルティンは驚いて、ルーカスの短く整えている髪をわしゃわしゃわしゃわしゃと撫で回した。
「すごいじゃないか! ルーカス! やればできる子! いつもこの状態を保とうな!」
「それは嫌。面倒くせぇ。よぉし! 酒はしこたま買ってある。飲むぞー!」
「おー」
単身者用の官舎の部屋は、風呂トイレと狭い台所以外は、広めの一部屋しかない。ベッドの近くに敷いてあるラグの上に、ローテーブルがあるので、いつもそこで、靴を脱いで、飲み食いをしている。
ルーカスが持ってきてくれた酒は、マルティンが一番好きな林檎酒だった。ルーカスは、自分用には、キツい蒸留酒を持ってきている。グラスに注いで、乾杯をすると、二人だけの飲み会の始まりである。
ルーカスが、蒸留酒をちびちび飲みながら、手を伸ばして、むにっとマルティンの頬を指先で押した。
「よし。愚痴れ」
「いや、急に愚痴れと言われても……」
「じゃあ、バンバン酒を飲め。そんで愚痴れ。お前、絶対色んなもんが溜まってるって」
「……そうかぁ?」
「絶対そうだっつーの。ほれほれ。飲めー」
「はぁーい。……この林檎酒、美味いな。何処で買ったやつ?」
「表通りから脇道に入った所に、小さい酒屋があるんだよ。知る人ぞ知る名店。ガチで美味い酒しか取り扱ってねぇの」
「へぇー。今度、連れて行ってくれよ」
「いいぞー。ほーら。愚痴りたくなるまで、とことん飲みやがれー」
「はぁーい」
マルティンは、とても美味しい林檎酒を、いつもより早いペースで飲み続けた。一刻もすれば、自分でも酔ってるなーと分かる程度には、酔いが回ってきた。
マルティンは、ボソボソとルーカスに愚痴を吐いた。誰かの世話を焼くのは嫌いじゃないが、たまに疲れること、職場で『お袋さん』と呼ばれるのが少し嫌なこと、気づけば、他人の結婚の世話ばかりしていて、自分の婚期を逃してしまったこと等、誰にも言わなかった事を、ポツポツと話した。ルーカスは、時折、相槌を打ちながら、マルティンの話を最後まで聞いてくれた。
今まで、誰にも言えなかった本音を吐き出すと、なんだか少しスッキリした。マルティンは、ふにゃっと笑って、ルーカスにお礼を言った。
「ありがとう。ルーカス。なんか、色々楽になったかも」
「そりゃ何より。お前はさー、ガキの頃から頼まれたら断らないし、それどころか、自分からやる事増やすじゃん。そりゃ疲れるっつーの。世話焼きも程々にしとけよ」
「うーん。性分になっちゃってるからなぁ」
「世話を焼きてぇなら、俺の世話を焼け」
「ルーカスも、いい加減結婚するだろ? 俺の出番なんか無くなるよ」
「あ? 俺は結婚しねぇぞ」
「は? なんでだ?」
「だって、俺、男が好きだもん。より具体的に言うと、お前が好きだもん」
「…………へ?」
「いつ気づくかなぁって思ってたのに、20年以上気づかねぇし。逆にすごいよなー。気づかせなかった俺も、気づかなかったお前も」
「そんな素振りあったか!?」
「俺が我儘言うの、お前だけ」
「マジか」
「愚痴を言うのも、お前だけ」
「マジか」
「ガキの頃、勉強サボりまくってたのも、お前に構って欲しかったから」
「そんな前から!?」
「おーよ。もう、あれだ。醗酵臭がするんじゃねぇかってくらい、お前への愛が煮詰まりまくってるぜ」
「え、えー……反応に困る……」
「ということで!」
「どういうことで?」
「頑張り過ぎてるお前をよしよしししてやろうと思う!」
「え、へ?」
「ベッドに上がるぞー」
「あ、はい」
マルティンは、話についていけずに、頭に疑問符を浮かべたまま、ルーカスに言われるがままに、ベッドに上がった。
ルーカスが、うりゃっと、マルティンの身体に抱きついてきて、そのまま、ころんと横になった。
薄い夏物のシャツ越しに、ルーカスの汗の匂いと体温が伝わってくる。ルーカスがもぞもぞと身動きして、自分の胸にマルティンの頭を押しつけるようにして、マルティンの頭を抱きしめた。そのまま、驚く程優しい手つきで、頭を撫でられる。
「よーしよしよし。マルティンは頑張り過ぎだー」
「ル、ルーカス! ちょっとこれ恥ずかしい!」
「安心しろ。俺は楽しい」
「マジか」
「ほーれ。おっぱいおっぱい」
「お前のは、おっぱいじゃなくて胸筋だろ」
「力入れなかったら、意外と柔らかいんだぞー。ほれー」
「……ほわぁ……」
ルーカスが、マルティンの頭を優しく撫でながら、シャツの前ボタンを器用に片手で外し、素肌の胸筋にマルティンの顔を押しつけた。汗で少ししっとりしているルーカスの胸筋は、確かに意外な程柔らかい。マルティンは、娼館にも行ったことがない童貞なので、女の乳房なんて触ったことはないが、弾力性のある柔らかさが、妙に癖になりそうだ。男がおっぱいが好きな理由が、ちょっと理解できた。男の胸筋でこれだけ『ふぁぁ……』ってなるなら、女の乳房は、きっともっと『ふわわぁぁ……』ってなる気がする。
マルティンは、ふにふにと片手でルーカスの逞しく盛り上がった胸筋を揉みながら、すりすりと顔を胸筋の谷間に擦りつけた。ルーカスの左胸に耳をくっつければ、ドクンドクンと、少し速い心音が伝わってくる。
「さて。童貞マルティンや」
「お前も童貞じゃないか」
「確かに童貞だし、処女でもあるが、ちゃんと自己開発済みだ!」
「自己開発?」
「ケツの方の話。なぁー。乳首吸ってみてくれよ。俺、自分で弄っても、乳首はそんなにだったんだよなー」
「童貞の俺にテクニックを求めるなよ」
「別に求めてねぇよ。舐めてみて欲しいだけ。なぁー。なぁー。乳首、なーめーてー」
「まぁ、いいけど……」
マルティンは、なんか流されてるなぁと思いながらも、ルーカスの乳首を舐めるべく、ルーカスのふかふかふにふにの胸筋から、顔を離した。
ルーカスの乳首は淡い茶褐色で、乳輪も乳首も小さかった。存在感が薄い乳首を、おずおずとペロッと舐めてみると、ルーカスが褒めるように、マルティンの頭をやんわりと撫でた。
「ふはっ! やべぇ。ちょっと気持ちいい。吸ってみてくれよ。……んっ。は、あぁ……うひっ。きもちいい。もっと」
「んー」
ペロペロとルーカスの乳首を舐め回し、ちゅくちゅくと吸ってみると、ルーカスの小さな乳首が、ピンと硬く勃った。ちゅぽんと乳首から口を離し、反対側の乳首もペロペロと舐め回す。マルティンの唾液で濡れた乳首も、指先で優しく摘んでくりくりと弄れば、頭にルーカスの熱い吐息がかかった。
「やべぇ。マジできもちいい。マルティーン。もっとして」
「ん!」
マルティンは、じわじわ楽しくなってきていた。ルーカスの小さく掠れた低い喘ぎ声が、時折、聞こえてくる。マルティンは、自分はもしや天然テクニシャンなのかも、と調子こいた事を考えた。
マルティンが夢中でルーカスの乳首を弄っていると、ルーカスの手が、マルティンの股間を優しく撫で回し始めた。服越しに、ペニスをやんわりと撫で回され、ふにふにと優しく揉まれる。他人にペニスを触られるのは、初めてだ。相手がルーカスだからか、特に嫌悪感も無い。ルーカスが器用にマルティンのズボンのベルトを外し、下着の中に手を差し込んで、直接マルティンのペニスを握ってきた。マルティンのペニスはゆるく勃起していた。
ルーカスがクックッと低く笑いながら、優しくマルティンのペニスの竿を撫で回し始めた。初めての快感に、背筋がゾワゾワする。
「ちゃんと勃ったな。いい子いい子」
「んちゅっ。う、あ……そんなっ……根元からっ……」
「気持ちいいか? マルティン」
「き、きもちいい」
「もっと気持ちよくなろうな」
「う、うん」
マルティンは、なんだか頭がふわふわしていた。酔いと快感で、何も考えられない。
ルーカスが、身体を起こし、勢いよく服を脱ぎ始めた。ルーカスの身体は、とても鍛えられていて、胸筋はむっきり盛り上がっているし、腹筋もバッキバキに割れている。体毛は意外と薄い。まるで少年のように薄い陰毛の下にあるペニスは、マルティンのものよりも大きくて、勃起して、下腹部につきそうなくらい反り返っていた。
ルーカスが腰に手を当て、浄化魔術の文言を口にした。マルティンがキョトンとしていると、ルーカスがニヤッと笑った。
「腹ん中、キレイにしたんだよ。まずは見てろよ。ショーの始まりだ。観客はお前一人だけどな」
「ショー?」
ショーとは、何の事だろう。マルティンが不思議に思って、小首を傾げると、ルーカスが悪戯っ子みたいな顔で笑った。
「アナニーショー。精々楽しめよ」
ーーーーーーー
マルティンは、自分の勃起したペニスを両手で押さえて、じっと目の前の光景を見つめていた。ルーカスが、太くて長い張り型を使って、アナニーをしている。こちらに背を向けて四つん這いになり、上体を伏せているルーカスが、自分の筋肉質で肉厚な尻肉を両手で掴み、ゆっくりと、深く突っ込んだ張り型をひり出し始めた。濃い赤色のアナルの縁が僅かに捲れながら、ゆっくりと濡れててらてらと鈍く光る黒い張り型がアナルから出てくる。酷くいやらしい光景に、マルティンはどっと先走りが溢れ出る感覚がした。
ポトッと、張り型がシーツの上に落ちた。ルーカスのアナルを見れば、ぽっかりと口を開けたままで、ひくっ、ひくっ、といやらしく収縮していた。アナルは排泄孔の筈なのに、不思議な程、いやらしい。
マルティンが興奮して荒い息を吐きながら、ぎゅっと自分の勃起したペニスを押さえていると、ルーカスが立ち上がり、こちらを向いて、マルティンの身体を押し倒した。ルーカスの瞳は、ギラギラと火傷しそうな熱を孕んでいた。
ルーカスが舌なめずりをしてから、マルティンのペニスを片手で掴み、マルティンの股間を跨いだ。そのまま、先程まで張り型を咥えこんでいた熱いアナルに、マルティンのペニスの先っぽをくっつけた。マルティンが止める間もなく、ルーカスが腰を下ろし始めた。キツい括約筋に、ペニスの皮が完全に剥かれ、敏感な亀頭が熱くてぬるついた柔らかいものに包まれていく。半端なく気持ちがいい。マルティンは我慢しきれずに、ぴゅっと少量の精液を吐き出した。
マルティンのペニスは、いたって普通サイズだ。だが、マルティンのペニスでも気持ちよくなれるのか、マルティンのペニスを深くアナルで咥えこんでいるルーカスの顔は、とろんと蕩けている。
ルーカスが、にやぁと笑って、両手を頭の後ろで組み、そのまま、スクワットでもするかのように、身体全体を上下に動かして、アナルでマルティンのペニスを扱き始めた。ルーカスが動く度に、ぶらんぶらんと大きなペニスが揺れ、ぺちんぺちんとマルティンの下腹部に当たる。
「おっ、あっ、やべぇっ! 生ちんこやべぇ! あぁっ! 堪んねぇ!」
「はっ、はっ、あぁっ……ル、ルーカスッ! そんなっ、されたらっ、出ちゃうよぉ!」
「うひっ! 出せ出せ! オラオラァ!」
「あぁぁぁぁっ! は、激し……んんーーっ! いくっ! でるぅ!!」
マルティンは、すぐに限界がきて、ルーカスの腹の中に精液をぶち撒けた。射精しているペニスを、ゆるゆると、キツいアナルで締めつけられながら、扱かれる。
「まっ! ちょっ! イッたばっか!」
「俺、イッてねぇもん。なぁ、乳首舐めてくれよ」
「う、うん」
「はぁっ、いいっ! いいっ! 堪んねぇ! あーーっ! 噛んでっ! んぅっ!」
ルーカスが尻を上下に振るように腰を振りながら、上体を伏せ、マルティンの顔の近くに乳首を差し出してきたので、マルティンは肘をついて少し身体を起こし、ルーカスの乳首に吸いついた。途端に、唯でさえキツいルーカスのアナルが、きゅっと締まった。気持ちよくて、気持ちよくて、もう本当に堪らない。イクことしか考えられない。
マルティンは、ちゅぱちゅぱルーカスの乳首を吸いながら、膝を立てて、めちゃくちゃに腰を突き上げ始めた。
「おぅっ!? おっ! あっ! あっ! は、ははっ! いいっ! いいっ! マルティンッ! もっと!」
「んっ! んっ! んっ!」
「あーーーーっ、イクッ! いくいくいくいくぅ!! あ、あ、あーーーーっ!!」
マルティンの腹に、熱い液体がかかった。マルティンもルーカスのアナルのキツい締めつけに堪えきれずに、早々と二発目をルーカスの腹の中に吐き出した。
はぁー、はぁー、と、二人分の荒い息遣いが部屋に響いている。
ゆっくりと腰を上げ、萎えたマルティンのペニスをアナルから引き抜いたルーカスが、ころんとマルティンの横に寝転がり、マルティンの頭を抱きしめた。優しくルーカスに頭を撫でられる。なんとも心地よくて、急速に眠気が訪れる。
「よしよし。頑張り屋のマルティン。気持ちよかったろ? このまま寝ちまえ」
「……うん」
マルティンは、ルーカスの優しい声と手つきに誘われるがままに、穏やかな眠りに落ちた。
ーーーーーーー
翌朝。マルティンが目覚めると、ルーカスに抱きしめられたままの状態だった。マルティンは、ルーカスを起こさないように、慎重にルーカスの腕の中から抜け出し、台所へ向かった。
とても喉が渇いている。マルティンはコップに水を注ぎ、一息で飲み干すと、昨夜の飲み会の後片付けをしてから、朝食を作り始めた。掃除嫌いなルーカスだが、意外なことに料理はする。後片付けが、ものすごく適当なので、台所は汚れているが。
マルティンが、魔導冷蔵庫の中にあった材料で、手際よく朝食を作っていると、ルーカスが起きてきて、全裸のまま、マルティンの背中に張り付いてきた。
「おはよ。朝飯、なに?」
「チーズたっぷりのミルク粥。二日酔いだろう?」
「うん。でも、腹減った」
「すぐに出来上がるから、シャワーを浴びてこいよ」
「はーい。なぁ、マルティン」
「んー?」
「一発ヤッたし、責任はとれよ?」
「ん!?」
「俺は浮気は許さない主義だし、筋金入りの構ってちゃんだからな。ちゃんと毎日、構えよ」
「あーー……マジかぁ」
「……そのうちでいいから、ちゃんと『愛してる』って言えよな」
「あ、はい。……ルーカスのこと、愛してるなぁと思ったら、その時に言うわ」
「約束だぞ。破ったら、お前の頭髪毟りとって禿頭にしてやる」
「それはやめろ」
「ははっ!」
ルーカスが弾けるような笑顔で、マルティンの頬にキスをして、風呂場へと向かっていった。
マルティンは、キスをされた頬を片手で押さえながら、これは逃げられないなぁと、ぼんやり思った。
あんなに、『頑張ってるな』『いい子だな』と、よしよし撫でられるのは、多分生まれて初めてだった。それが、嬉しくて、嬉しくて、本当に堪らなかった。これはもう、完全に癖になってしまいそうだ。
マルティンは熱い頬をポリポリと指先で掻きながら、ルーカスの為に美味しい朝食を作り、丁寧に美味しい珈琲を淹れた。
(おしまい)
「よっし。これで大丈夫だ」
「あ、ありがとうございます! すいません! 取り扱い説明書が見当たらないし、会議は一時間後なのに、もうどうしたらいいのか分からなくて……」
「おっ。時間が無いな。先にサクッとやっちまえよ。俺のは急ぎじゃねぇし」
「はいっ! ありがとうございます!」
「あ、甘いものは平気か? 印刷してる間に飴でも食っとけよ。顔色悪いぞ。腹の足しにはならんが、ちょっとした気分転換にはなるだろ。会計課は今、修羅場の真っ最中だよな。飯は食ってるか? どんだけ忙しくても、飯はちゃんと食うんだぞ」
「はいっ! ありがとうございます! 『お袋さん』!」
「あー……ははは……はい。飴。林檎味。俺のオススメのやつ」
「いただきます! ありがとうございますー!」
顔色の悪い新人君が、パァッと顔を輝かせて、マルティンがあげた飴を口に放り込んだ。疲れが滲む顔で、新人君が嬉しそうに笑った。
「親切にしていただけて、本当に助かりました! ありがとうございます!」
「いやいやー。この魔導印刷機も年季ものでな。取り扱い説明書も紛失してるんだわ。分からない事があったら、そこら辺の奴、捕まえて聞くのが一番早いぞー。新人のうちは、覚える事が多くて大変だろ? 長く働きたいなら、今、無理はするなよー」
「はい! お気遣いもありがとうございます!」
魔導印刷機が動いている間に、マルティンは、新人君の愚痴等を聞きつつ、色々アドバイスをしてやった。新人君は、印刷が終わった紙の束を抱えて、笑顔で去っていった。
マルティンは、自分の印刷物を印刷しながら、小さく溜め息を吐いた。
『お袋さん』。これが、マルティンの職場での渾名である。
マルティンは、街の役所で働いている。戸籍課に所属しているのだが、生来の性格か、世話焼きなものだから、自分の課は勿論、他の課の人間が困っているのを見かけると、ついつい手助けをしてしまう。18歳から働き始めて15年、『お袋さん』という渾名が定着して久しい。『お袋さん』という渾名は、マルティンが世話焼きで、ついつい余計な一言まで言ってしまうのと、マルティンの見た目からきている。
マルティンの容姿は、くるくるの癖の強い金髪で、穏やかな青い瞳をしている。顔立ちも身体つきも丸っこくて、声も話し方も柔らかいから、柔和な印象を受けるそうだ。誰かが、『なんかお袋みてぇだな』と言い出した結果、あっという間に『お袋さん』という渾名が定着してしまった。
マルティンが世話焼き体質なのは、下に兄弟が多かったからだ。マルティンは長男で、下には合わせて5人の弟と妹がいる。子供の頃から、下の子達の世話をしていたし、学校でも、何故か、所謂、問題児のお世話係みたいな事をさせられていた。この問題児とは、勉強嫌いで、すぐに授業をサボったり、宿題をやらなかったりする子だ。暴力的な子では無かったので、マルティンは、主に、その子を授業に出るよう、サボり場所に迎えに行ったり、一緒に宿題をやったりしていた。その子からは、『母ちゃんかよ!』と、よく言われていた。マルティンは男なのに、何故、『母ちゃん』や『お袋』と呼ばれるのか。本当に不思議でならない。
マルティンは一日の仕事を終えると、地味に疲れた身体と心を癒やす為に、馴染みの飲み屋へと向かった。
マルティンが週に3回は通っている飲み屋に入ると、昔馴染みの飲み友達がいた。マルティンが世話をしていた元問題児のルーカスである。初等学校から中等学校まで、マルティンが世話をしないと、勉強なんか絶対にしなかったルーカスも、今では立派な警邏隊隊員として働いている。
ルーカスは派手な赤毛なので、少し離れていてもすぐに分かる。深緑色の瞳をした中々の美丈夫だ。30を越えたあたりから伸ばし始めた顎髭もよく似合っている。
マルティンに気がついたルーカスが、よっと片手を軽く上げ、カウンター席の自分の隣の席をポンポンと叩いた。マルティンも軽く手を上げてから、ルーカスの隣の席に腰を下ろした。
既に出来上がっている様子のルーカスが、酒精で赤らんだ顔で、へらっと笑った。
「母ちゃん。お疲れー」
「お疲れ。ルーカス。また空飲みしたんだろ。飯は、少しは食ったか?」
「まだー」
「いつも言ってるだろう。空飲みは身体に悪いぞ。身体が資本な仕事なんだから、飯はちゃんと食え」
「うぃーっす」
「あ、店長。注文いいですか? 今日のオススメの鹿シチュー二人前と胡桃パンも二人前、あと、林檎酒を一杯お願いします」
「はいよぉ!」
マルティンは、ルーカスの分まで料理を注文すると、酒を片手に仕事の愚痴をこぼし始めたルーカスの話を聞いてやった。
料理が運ばれてきたので、ルーカスに食べるよう促してから、マルティンも食べ始めた。よく煮込まれた鹿肉がほろほろで、とても美味しい。胡桃パンともよく合う。マルティンは美味しい夕食にのほほんと笑いながら、ご機嫌に林檎酒をちびちび飲んだ。
隣でガツガツと料理を食べていたルーカスが、マルティンの方を向いて口を開いた。ルーカスの口元には、シチューがちょっとついている。マルティンは、ズボンのポケットからハンカチを取り出し、何か言おうとするルーカスの口元を先に拭いた。
「お前はマジで母ちゃんか」
「そういうお前は子供か」
「まぁいい。問題はそこじゃねぇ。なぁ。なんかよー。最近、お前、疲れてねぇ?」
「え? そうか?」
「絶対疲れてる。俺とお前との付き合いが何年になると思ってんだ」
「初等学校の入学式からだから……26年くらい?」
「お前には、切実に癒やしが必要だ」
「そうかぁ? 別に、そこまで極端に疲れてねぇけど?」
「ひ・つ・よ・う・な・の! ということでだ」
「うん?」
「俺ん家で朝まで飲むぞ。明日は、役所は公休日だろ」
「お前の家の掃除からか……」
「掃除は今日の昼間にしーましーたー!」
「えっ!? どうした!? 何があったんだ!! 掃除嫌いのお前が掃除をするだなんて!!」
「俺の家が汚かったら、お前、絶対に、酒を飲む前に掃除し始めるだろうが」
「うん」
「『うん』じゃねぇよ。……まぁ、いい。ということで、飯食ったら、俺ん家でひたすら飲むぞー! 俺だって、お前の愚痴を聞くくらいできるんだからな!」
「ルーカス……なんて立派に成長して……」
「おい。目頭押さえんな。成長を喜ぶな。お前は俺の母ちゃんか」
マルティンは、ルーカスの気遣いが嬉しくて、だらしなく、ふにゃっと笑った。
美味しい料理と酒を平らげると、二人で早々と飲み屋を出た。ルーカスの家は、警邏隊の単身者用官舎だ。何度も行ったことがある。主に、掃除をしに。
ルーカスの家に着くと、ルーカスの家は本当にキレイになっていた。普段の散らかり放題が嘘のようである。マルティンは驚いて、ルーカスの短く整えている髪をわしゃわしゃわしゃわしゃと撫で回した。
「すごいじゃないか! ルーカス! やればできる子! いつもこの状態を保とうな!」
「それは嫌。面倒くせぇ。よぉし! 酒はしこたま買ってある。飲むぞー!」
「おー」
単身者用の官舎の部屋は、風呂トイレと狭い台所以外は、広めの一部屋しかない。ベッドの近くに敷いてあるラグの上に、ローテーブルがあるので、いつもそこで、靴を脱いで、飲み食いをしている。
ルーカスが持ってきてくれた酒は、マルティンが一番好きな林檎酒だった。ルーカスは、自分用には、キツい蒸留酒を持ってきている。グラスに注いで、乾杯をすると、二人だけの飲み会の始まりである。
ルーカスが、蒸留酒をちびちび飲みながら、手を伸ばして、むにっとマルティンの頬を指先で押した。
「よし。愚痴れ」
「いや、急に愚痴れと言われても……」
「じゃあ、バンバン酒を飲め。そんで愚痴れ。お前、絶対色んなもんが溜まってるって」
「……そうかぁ?」
「絶対そうだっつーの。ほれほれ。飲めー」
「はぁーい。……この林檎酒、美味いな。何処で買ったやつ?」
「表通りから脇道に入った所に、小さい酒屋があるんだよ。知る人ぞ知る名店。ガチで美味い酒しか取り扱ってねぇの」
「へぇー。今度、連れて行ってくれよ」
「いいぞー。ほーら。愚痴りたくなるまで、とことん飲みやがれー」
「はぁーい」
マルティンは、とても美味しい林檎酒を、いつもより早いペースで飲み続けた。一刻もすれば、自分でも酔ってるなーと分かる程度には、酔いが回ってきた。
マルティンは、ボソボソとルーカスに愚痴を吐いた。誰かの世話を焼くのは嫌いじゃないが、たまに疲れること、職場で『お袋さん』と呼ばれるのが少し嫌なこと、気づけば、他人の結婚の世話ばかりしていて、自分の婚期を逃してしまったこと等、誰にも言わなかった事を、ポツポツと話した。ルーカスは、時折、相槌を打ちながら、マルティンの話を最後まで聞いてくれた。
今まで、誰にも言えなかった本音を吐き出すと、なんだか少しスッキリした。マルティンは、ふにゃっと笑って、ルーカスにお礼を言った。
「ありがとう。ルーカス。なんか、色々楽になったかも」
「そりゃ何より。お前はさー、ガキの頃から頼まれたら断らないし、それどころか、自分からやる事増やすじゃん。そりゃ疲れるっつーの。世話焼きも程々にしとけよ」
「うーん。性分になっちゃってるからなぁ」
「世話を焼きてぇなら、俺の世話を焼け」
「ルーカスも、いい加減結婚するだろ? 俺の出番なんか無くなるよ」
「あ? 俺は結婚しねぇぞ」
「は? なんでだ?」
「だって、俺、男が好きだもん。より具体的に言うと、お前が好きだもん」
「…………へ?」
「いつ気づくかなぁって思ってたのに、20年以上気づかねぇし。逆にすごいよなー。気づかせなかった俺も、気づかなかったお前も」
「そんな素振りあったか!?」
「俺が我儘言うの、お前だけ」
「マジか」
「愚痴を言うのも、お前だけ」
「マジか」
「ガキの頃、勉強サボりまくってたのも、お前に構って欲しかったから」
「そんな前から!?」
「おーよ。もう、あれだ。醗酵臭がするんじゃねぇかってくらい、お前への愛が煮詰まりまくってるぜ」
「え、えー……反応に困る……」
「ということで!」
「どういうことで?」
「頑張り過ぎてるお前をよしよしししてやろうと思う!」
「え、へ?」
「ベッドに上がるぞー」
「あ、はい」
マルティンは、話についていけずに、頭に疑問符を浮かべたまま、ルーカスに言われるがままに、ベッドに上がった。
ルーカスが、うりゃっと、マルティンの身体に抱きついてきて、そのまま、ころんと横になった。
薄い夏物のシャツ越しに、ルーカスの汗の匂いと体温が伝わってくる。ルーカスがもぞもぞと身動きして、自分の胸にマルティンの頭を押しつけるようにして、マルティンの頭を抱きしめた。そのまま、驚く程優しい手つきで、頭を撫でられる。
「よーしよしよし。マルティンは頑張り過ぎだー」
「ル、ルーカス! ちょっとこれ恥ずかしい!」
「安心しろ。俺は楽しい」
「マジか」
「ほーれ。おっぱいおっぱい」
「お前のは、おっぱいじゃなくて胸筋だろ」
「力入れなかったら、意外と柔らかいんだぞー。ほれー」
「……ほわぁ……」
ルーカスが、マルティンの頭を優しく撫でながら、シャツの前ボタンを器用に片手で外し、素肌の胸筋にマルティンの顔を押しつけた。汗で少ししっとりしているルーカスの胸筋は、確かに意外な程柔らかい。マルティンは、娼館にも行ったことがない童貞なので、女の乳房なんて触ったことはないが、弾力性のある柔らかさが、妙に癖になりそうだ。男がおっぱいが好きな理由が、ちょっと理解できた。男の胸筋でこれだけ『ふぁぁ……』ってなるなら、女の乳房は、きっともっと『ふわわぁぁ……』ってなる気がする。
マルティンは、ふにふにと片手でルーカスの逞しく盛り上がった胸筋を揉みながら、すりすりと顔を胸筋の谷間に擦りつけた。ルーカスの左胸に耳をくっつければ、ドクンドクンと、少し速い心音が伝わってくる。
「さて。童貞マルティンや」
「お前も童貞じゃないか」
「確かに童貞だし、処女でもあるが、ちゃんと自己開発済みだ!」
「自己開発?」
「ケツの方の話。なぁー。乳首吸ってみてくれよ。俺、自分で弄っても、乳首はそんなにだったんだよなー」
「童貞の俺にテクニックを求めるなよ」
「別に求めてねぇよ。舐めてみて欲しいだけ。なぁー。なぁー。乳首、なーめーてー」
「まぁ、いいけど……」
マルティンは、なんか流されてるなぁと思いながらも、ルーカスの乳首を舐めるべく、ルーカスのふかふかふにふにの胸筋から、顔を離した。
ルーカスの乳首は淡い茶褐色で、乳輪も乳首も小さかった。存在感が薄い乳首を、おずおずとペロッと舐めてみると、ルーカスが褒めるように、マルティンの頭をやんわりと撫でた。
「ふはっ! やべぇ。ちょっと気持ちいい。吸ってみてくれよ。……んっ。は、あぁ……うひっ。きもちいい。もっと」
「んー」
ペロペロとルーカスの乳首を舐め回し、ちゅくちゅくと吸ってみると、ルーカスの小さな乳首が、ピンと硬く勃った。ちゅぽんと乳首から口を離し、反対側の乳首もペロペロと舐め回す。マルティンの唾液で濡れた乳首も、指先で優しく摘んでくりくりと弄れば、頭にルーカスの熱い吐息がかかった。
「やべぇ。マジできもちいい。マルティーン。もっとして」
「ん!」
マルティンは、じわじわ楽しくなってきていた。ルーカスの小さく掠れた低い喘ぎ声が、時折、聞こえてくる。マルティンは、自分はもしや天然テクニシャンなのかも、と調子こいた事を考えた。
マルティンが夢中でルーカスの乳首を弄っていると、ルーカスの手が、マルティンの股間を優しく撫で回し始めた。服越しに、ペニスをやんわりと撫で回され、ふにふにと優しく揉まれる。他人にペニスを触られるのは、初めてだ。相手がルーカスだからか、特に嫌悪感も無い。ルーカスが器用にマルティンのズボンのベルトを外し、下着の中に手を差し込んで、直接マルティンのペニスを握ってきた。マルティンのペニスはゆるく勃起していた。
ルーカスがクックッと低く笑いながら、優しくマルティンのペニスの竿を撫で回し始めた。初めての快感に、背筋がゾワゾワする。
「ちゃんと勃ったな。いい子いい子」
「んちゅっ。う、あ……そんなっ……根元からっ……」
「気持ちいいか? マルティン」
「き、きもちいい」
「もっと気持ちよくなろうな」
「う、うん」
マルティンは、なんだか頭がふわふわしていた。酔いと快感で、何も考えられない。
ルーカスが、身体を起こし、勢いよく服を脱ぎ始めた。ルーカスの身体は、とても鍛えられていて、胸筋はむっきり盛り上がっているし、腹筋もバッキバキに割れている。体毛は意外と薄い。まるで少年のように薄い陰毛の下にあるペニスは、マルティンのものよりも大きくて、勃起して、下腹部につきそうなくらい反り返っていた。
ルーカスが腰に手を当て、浄化魔術の文言を口にした。マルティンがキョトンとしていると、ルーカスがニヤッと笑った。
「腹ん中、キレイにしたんだよ。まずは見てろよ。ショーの始まりだ。観客はお前一人だけどな」
「ショー?」
ショーとは、何の事だろう。マルティンが不思議に思って、小首を傾げると、ルーカスが悪戯っ子みたいな顔で笑った。
「アナニーショー。精々楽しめよ」
ーーーーーーー
マルティンは、自分の勃起したペニスを両手で押さえて、じっと目の前の光景を見つめていた。ルーカスが、太くて長い張り型を使って、アナニーをしている。こちらに背を向けて四つん這いになり、上体を伏せているルーカスが、自分の筋肉質で肉厚な尻肉を両手で掴み、ゆっくりと、深く突っ込んだ張り型をひり出し始めた。濃い赤色のアナルの縁が僅かに捲れながら、ゆっくりと濡れててらてらと鈍く光る黒い張り型がアナルから出てくる。酷くいやらしい光景に、マルティンはどっと先走りが溢れ出る感覚がした。
ポトッと、張り型がシーツの上に落ちた。ルーカスのアナルを見れば、ぽっかりと口を開けたままで、ひくっ、ひくっ、といやらしく収縮していた。アナルは排泄孔の筈なのに、不思議な程、いやらしい。
マルティンが興奮して荒い息を吐きながら、ぎゅっと自分の勃起したペニスを押さえていると、ルーカスが立ち上がり、こちらを向いて、マルティンの身体を押し倒した。ルーカスの瞳は、ギラギラと火傷しそうな熱を孕んでいた。
ルーカスが舌なめずりをしてから、マルティンのペニスを片手で掴み、マルティンの股間を跨いだ。そのまま、先程まで張り型を咥えこんでいた熱いアナルに、マルティンのペニスの先っぽをくっつけた。マルティンが止める間もなく、ルーカスが腰を下ろし始めた。キツい括約筋に、ペニスの皮が完全に剥かれ、敏感な亀頭が熱くてぬるついた柔らかいものに包まれていく。半端なく気持ちがいい。マルティンは我慢しきれずに、ぴゅっと少量の精液を吐き出した。
マルティンのペニスは、いたって普通サイズだ。だが、マルティンのペニスでも気持ちよくなれるのか、マルティンのペニスを深くアナルで咥えこんでいるルーカスの顔は、とろんと蕩けている。
ルーカスが、にやぁと笑って、両手を頭の後ろで組み、そのまま、スクワットでもするかのように、身体全体を上下に動かして、アナルでマルティンのペニスを扱き始めた。ルーカスが動く度に、ぶらんぶらんと大きなペニスが揺れ、ぺちんぺちんとマルティンの下腹部に当たる。
「おっ、あっ、やべぇっ! 生ちんこやべぇ! あぁっ! 堪んねぇ!」
「はっ、はっ、あぁっ……ル、ルーカスッ! そんなっ、されたらっ、出ちゃうよぉ!」
「うひっ! 出せ出せ! オラオラァ!」
「あぁぁぁぁっ! は、激し……んんーーっ! いくっ! でるぅ!!」
マルティンは、すぐに限界がきて、ルーカスの腹の中に精液をぶち撒けた。射精しているペニスを、ゆるゆると、キツいアナルで締めつけられながら、扱かれる。
「まっ! ちょっ! イッたばっか!」
「俺、イッてねぇもん。なぁ、乳首舐めてくれよ」
「う、うん」
「はぁっ、いいっ! いいっ! 堪んねぇ! あーーっ! 噛んでっ! んぅっ!」
ルーカスが尻を上下に振るように腰を振りながら、上体を伏せ、マルティンの顔の近くに乳首を差し出してきたので、マルティンは肘をついて少し身体を起こし、ルーカスの乳首に吸いついた。途端に、唯でさえキツいルーカスのアナルが、きゅっと締まった。気持ちよくて、気持ちよくて、もう本当に堪らない。イクことしか考えられない。
マルティンは、ちゅぱちゅぱルーカスの乳首を吸いながら、膝を立てて、めちゃくちゃに腰を突き上げ始めた。
「おぅっ!? おっ! あっ! あっ! は、ははっ! いいっ! いいっ! マルティンッ! もっと!」
「んっ! んっ! んっ!」
「あーーーーっ、イクッ! いくいくいくいくぅ!! あ、あ、あーーーーっ!!」
マルティンの腹に、熱い液体がかかった。マルティンもルーカスのアナルのキツい締めつけに堪えきれずに、早々と二発目をルーカスの腹の中に吐き出した。
はぁー、はぁー、と、二人分の荒い息遣いが部屋に響いている。
ゆっくりと腰を上げ、萎えたマルティンのペニスをアナルから引き抜いたルーカスが、ころんとマルティンの横に寝転がり、マルティンの頭を抱きしめた。優しくルーカスに頭を撫でられる。なんとも心地よくて、急速に眠気が訪れる。
「よしよし。頑張り屋のマルティン。気持ちよかったろ? このまま寝ちまえ」
「……うん」
マルティンは、ルーカスの優しい声と手つきに誘われるがままに、穏やかな眠りに落ちた。
ーーーーーーー
翌朝。マルティンが目覚めると、ルーカスに抱きしめられたままの状態だった。マルティンは、ルーカスを起こさないように、慎重にルーカスの腕の中から抜け出し、台所へ向かった。
とても喉が渇いている。マルティンはコップに水を注ぎ、一息で飲み干すと、昨夜の飲み会の後片付けをしてから、朝食を作り始めた。掃除嫌いなルーカスだが、意外なことに料理はする。後片付けが、ものすごく適当なので、台所は汚れているが。
マルティンが、魔導冷蔵庫の中にあった材料で、手際よく朝食を作っていると、ルーカスが起きてきて、全裸のまま、マルティンの背中に張り付いてきた。
「おはよ。朝飯、なに?」
「チーズたっぷりのミルク粥。二日酔いだろう?」
「うん。でも、腹減った」
「すぐに出来上がるから、シャワーを浴びてこいよ」
「はーい。なぁ、マルティン」
「んー?」
「一発ヤッたし、責任はとれよ?」
「ん!?」
「俺は浮気は許さない主義だし、筋金入りの構ってちゃんだからな。ちゃんと毎日、構えよ」
「あーー……マジかぁ」
「……そのうちでいいから、ちゃんと『愛してる』って言えよな」
「あ、はい。……ルーカスのこと、愛してるなぁと思ったら、その時に言うわ」
「約束だぞ。破ったら、お前の頭髪毟りとって禿頭にしてやる」
「それはやめろ」
「ははっ!」
ルーカスが弾けるような笑顔で、マルティンの頬にキスをして、風呂場へと向かっていった。
マルティンは、キスをされた頬を片手で押さえながら、これは逃げられないなぁと、ぼんやり思った。
あんなに、『頑張ってるな』『いい子だな』と、よしよし撫でられるのは、多分生まれて初めてだった。それが、嬉しくて、嬉しくて、本当に堪らなかった。これはもう、完全に癖になってしまいそうだ。
マルティンは熱い頬をポリポリと指先で掻きながら、ルーカスの為に美味しい朝食を作り、丁寧に美味しい珈琲を淹れた。
(おしまい)
応援ありがとうございます!
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