厳ついおっさんが女体化しても厳ついおばさんにしかならねぇんだよ!

丸井まー(旧:まー)

文字の大きさ
64 / 77

64:お話し合いパート2

しおりを挟む
 部屋に引き上げると、ゴンドロフはすぐに消音魔導具を起動させた。昨夜もセックスをしたので地味に腰が痛いが、玩具とやらで遊んでみたいのでやる気満々である。楽しいことも気持ちいいことも大好きだ。

 ゴンドロフがいそいそと寝間着とパンツを脱ぎ捨てて全裸になると、アキムが何故か股間をもっこりさせながら小さめの紙袋で自分の顔を隠していた。


「なにしてんだ。お前」

「気にしないでくださいっ! ちょっとね! なんかね!」

「あー? うりゃ」

「あーー! 紙袋返してくださいよ!」

「うわ。顔真っ赤。ほんとにどうしたんだよ。風呂では……まぁちんこは勃ってたけど、いつも通りだったじゃねぇか」

「いやっ! なんかっ! ねっ!」

「さっぱり分からん」

「…………ゴンちゃんとセックスすんだなぁと思ったら、なんかこう……ぐわぁぁぁぁっときて?」

「うん! 分かんねぇ! こまけぇこたぁいいから、さっさとセックスすんぞ」

「セックスはしてぇけども! あーー。……その前に、ちょっと話しません?」

「あー? 構わねぇけどよ」

「とっ、とりあえずベッドで……」

「もっこりしてっと面白くて話に集中できねぇから、お前も脱げよー」

「あ、はい」


 何故か真っ赤な顔をしたアキムがのろのろと服を脱ぎ、全裸になってベッドに上がった。妙に緊張して正座をしているアキムの前に胡座をかいて座る。真剣な顔で緊張した様子のくせに、ペニスがギンギンに元気いっぱい勃起しているのが正直かなり面白い。
 ゴンドロフはうっかり吹き出さないように唇をむにむに動かした。


「実はですね」

「おう」

「……本当は昨日話そうかと思ってたんすけど、なんか肉欲に流されちゃって話どころじゃなくなっちゃって」

「昨日は盛り上がったもんな。2人だけのセックス祭り。ちゅーどころか、噛みついたり痕つけたり好き放題だったな。まぁ気持ちよかったし興奮したから別に構わんが」

「……ゴンちゃんが不在の間に色々考えてみたんすよ」

「おぅ。なにを?」

「……あー……その……俺ってゴンちゃんが好きなんすか?」

「いや、それを俺に聞かれても。お前の気持ちはお前にしか分からんだろ」

「そうなんすけどぉ! ……だっ、だってー! ゴンちゃんにキスされるとなんか頭がふわふわすっしー! でも全然嫌じゃねぇしー! 相手めちゃくちゃ顔怖い厳ついおっさんなのにー! むしろ嬉しいー! みてぇな!? ほんとにわっけわかんなくてぇ!」

「お、おぅ……」

「ぶっちゃけ俺恋愛童貞だから『恋』とか『好き』とか全然感覚的に分かんないんすよー!! なにこの状態!? 俺ってゴンちゃんが好きなの!? どうなの!?」

「あーー……まぁ落ち着け。とりあえず一般論的に考えてみるか」

「うぃっす」

「一般論的には、恋をするとその相手のことばかり考えてしまったり、キスとかハグとかセックスがしたくなったり、相手を独占したいとか思う……らしい! で? どうなんだ?」


 アキムが真っ赤な顔のまま、考えるように腕を組んで天井を見上げた。


「ゴンちゃんがキスしまくるせいで、ここ暫く暇さえあればゴンちゃんのこと考えてますね」

「マジかよ」

「マジっす。セックスはしてぇっす。ハグも嫌じゃねぇっす。キッ、キスもしてぇような?」

「お、おぅ」

「ゴンちゃんを独占……今更他の男に走られるのはめちゃくちゃ嫌っす。ゴンちゃんのおっぱい枕は俺のだし。たまにリリンに貸してやってっけど」

「俺の胸筋は俺のだからな?」

「ゴンちゃんが他の奴におっぱい枕したり、セックスすんのはなんかやだ」

「お、おぅ……そうか。……やべぇな。一般論的に考えるなら、お前は俺のことが好きだ!」

「マジか!」

「マジだ!」

「おっ、俺がゴンちゃんのこと好きだと仮定しますー。じゃあ、ゴンちゃんは? 俺のこと好き? 人としてではなくて、一般論的に考えてみてくださいっす」

「あー? 仕事の移動中ん時とか、土産を何にしたら喜ぶかとか考えてんな。あと、晩飯とかうめぇもん食わせてやりてぇなぁとか? 逆にお前が作るもん食いてぇなぁとか? 一緒に楽しいこと探しすんのはめちゃくちゃ楽しい……と思ってる」

「そ、そうっすか。……次!」

「セックスばんざい」

「あ、はい。快楽主義者でしたね! そういえば!」

「ハグは嫌じゃねぇし、ちゅーも嫌じゃねぇな。お前の反応が面白いからちゅーしまくってたけど、セックス中のちゅーはなんか興奮すんし、気持ちいいし、割と好きかもせん。セックスん時以外のちゅーもまぁ楽しい」

「楽しいのかぁ……次!」

「独占……いや、そもそも既にお前は俺専属ちんこになってんだしよ。他の奴にちんこ盗られるかもって考えたことねぇわ」

「ちんこ単体じゃなくて俺本体!!」

「本体も含めて、俺専属」

「あ、はい。……これって一般論的に考えてたら、ゴンちゃんも俺のこと好きなのでは?」

「あー? でもよ、若い頃の恋みたいに、ちょっとしたことでドキドキしたり、なんかときめいたりとかねぇぞ」

「ないのかー。ときめきはよく分かんねぇけど、俺はゴンちゃんにキスされるとなんかすげぇ心臓バクバクするんすけど」

「マジかー。……あ」

「なんすか?」

「デーリが前に言ってたんだよな。『恋を通り越したら愛になる』って。愛なのか? これ」

「あ、愛……待って! なんかすげぇ恥ずかしくなってきた!!」

「奇遇だな! 俺もだ! この話題続けるのか?」

「一応続けますよー! だって! なんかもう白黒ハッキリさせときてぇし!」

「お、おぅ」

「俺がゴンちゃんを好きだと仮定します! ゴンちゃんは俺をあっ、愛してるって仮定します! これって、そのあの、あれですよ! りょっ、両想いってやつなのでは!?」

「そう……なんのか!?」

「多分? 多分! 多分両想いっす!」

「えーー。マジかよ。んじゃ、恋人とかになんのかぁ?」

「ゴンちゃん的にはどうなんすか!? その、俺と恋人って!」

「恋人なんぞできたことねぇし、恋人になったとしても何をどうすりゃいいのか全く分かんねぇ」

「あ、はい。俺も恋愛童貞なんで、恋人って何したらいいのか、よく分かんねぇっす」

「恋人って、ちゅーしてセックスする以外でなんかすんのか?」

「えー? デート? デートって何すんだろ……? キスしてセックス?」

「よし。俺達2人で考えても多分よく分かんねぇままだ。こういう時は知恵を借りるぞ」

「と、言うと?」

「デーリに相談しに行く」

「マジっすか。やだー! なんか恥ずかしいーー!!」

「アイナに相談するよりマシだろぉがよぉ!!」

「それはそうっすけどーー!!」

「安心しろ! 俺がお前とセックスしまくってっことは知ってっし!」

「セックスしてるの知られてるのは今更だけど、恋愛童貞なのがバレるのなんかやだーー! ガチで恥ずかしいんすけどー!!」

「諦めろ。よっ! 恋愛童貞!」

「乳首もぎ取っていいっすか?」

「だめ。お前の大好きなおっぱい枕の付属品がなくなるぞ」

「それはやだ。ゴンちゃんのおっぱい枕は俺のだし。……もしや、これが世に言う独占欲?」

「若干方向性がズレてる気がしないでもない。まぁ、別に構わんが」

「んじゃ、こういうことは早めの方がいいんで、明日の午後にでもデーリさんとこ行きたいっす」

「おぅ。いいぞ。デーリんとこで恋愛童貞の赤裸々相談会な」

「俺を揶揄うの禁止ぃぃ!! 俺は! ガチで! 真剣なんすよぉ!!」

「えー。しょうがねぇなぁ。程々にしていてやるよ」

「そうしてくださいー」

「で?」

「なんすか?」

「お前のちんこは未だに元気いっぱいで、更には大人の玩具もある訳なんだが」

「あ、はい」

「とりあえずごちゃごちゃ考えるのは横に置いといて。セックスすんぞー。セーックス」

「うぃーっす」

「つーか、真面目な? 話をしてる時にずっとちんこをおっ勃っててたお前に吹き出さなかった俺を褒めろ。ちょー褒めろ」

「ゴンちゃんすごい! なんで萎えなかったの!? 俺のちんこ!!」

「面白すぎてそろそろ限界」

「…………笑いたければどうぞ」

「ぶっは! だはははははっ! ごほっ! ぶっ! くっくっくっくっ! だーっはっはっはっ! やべー! なんでお前ずっとちんこおっ勃っててんだよ!!」

「笑い過ぎだーー!! 萎えなかったんだからしょうがないでしょー!?」

「だっはっはっはっは! むりっ! 腹いてぇ! 腹筋割れる!!」

「もうバキバキに割れてるくせに!? もー! 色気もクソもないー!」

「あー? 俺とお前でそんなもんあったことあるか?」

「ないっすね!」

「だよな。おら。ちょっと落ち着いたから、とっととこいよ。セックスしまくんぞー。あ、三発までな」

「うぃーっす」

「あ、ちゅーしてやろうか?」

「そっ、それは……あ、後ででいいっす……」

「ぶっは! 顔真っ赤!」

「うっせーですよー! はいはい! 気を取り直してセックスしますよ! セックス!」

「おー」


 ゴンドロフは顔が赤いアキムにニヤニヤしながら、隙をみてキスしてやろうと思った。
 アキムのことが恋愛的な意味で好きなのか、恋を通り越して愛になっているのか、自分でも全然分からない。
 分からないが、デーリに話したら、胸の中にあるじんわりと温かい何かに名前がつくかもしれない。

 ゴンドロフはなんとなくアキムの手を握って指を絡め、アキムの手を引っ張って引き寄せると、触れるだけのキスをした。

しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

【完結】抱っこからはじまる恋

  *  ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。 ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります。 YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。 プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら! 完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

同性愛者であると言った兄の為(?)の家族会議

海林檎
BL
兄が同性愛者だと家族の前でカミングアウトした。 家族会議の内容がおかしい

いい加減観念して結婚してください

彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話 元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。 2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。 作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~

マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。 王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。 というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。 この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。

処理中です...