魔術師さん達の共同生活

丸井まー(旧:まー)

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魔術師さん達の共同生活

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ハルバードはぐったりと机に突っ伏していた。
この1年、ずっと頭を悩ませていた新しい魔術陣が漸く完成した。なんとか期限ギリッギリに終わって一安心なのだが、安心したら、どっと疲れが出てきた。
口から魂が出ていそうなハルバードに、後輩のリュードが話しかけてきた。


「先輩。さっさと帰りましょう。諸々の提出は明日でいいんでしょ」

「おーー。帰りたくない……」

「いやいや。さっさと帰りますよ」

「帰っても嫁も俺の天使もいないし、ゴミ溜めみたいな家で虫とかに出迎えられるんだ」

「地味にキツい。奥さん、まだ帰ってこないんですか?」

「少し前に離婚届が郵送されてきた」

「うわぁ……」

「『離婚しないなら二度と娘と会わせない』ってさ。つらい」

「……どんまいです……」


リュードが気の毒そうな目で、ハルバードを見た。

ハルバードは今年で36歳になる魔術師だ。25歳の時に結婚して、その2年後には可愛い娘が産まれたのだが、娘が生まれた翌年に少し出世して中間管理職になると、一気に仕事が忙しくなり、中々家に帰れなくなった。遠方への出張も度々あるし、娘のことは嫁に丸投げ状態だった。そんなハルバードに、嫁は見切りをつけたのだろう。めったに家に帰ってこない駄目亭主よりも、一緒に苦楽を共にしてくれる人がいいらしい。ハルバードが頑張っているのは、魔術が好きだからというのが大きいが、家族の為というのも同じくらい大きい。不自由な生活をさせたくなくて、忙しくなるのが分かっていたが、給料が上がる管理職に就いたし、帰れる日は意地でも家に帰っていた。ハルバードなりに、仕事と家のことを両立しようと頑張っていたが、駄目だった。半年前に嫁が娘を連れて実家に帰った。なんとか時間をつくって何度か嫁の実家に行ったが、嫁からは『貴方とはもう無理。離婚して』としか言われなかった。新しい魔術陣の完成期日まで日が無く、余裕がなくて疲れきっていたハルバードは、泣く泣く少し前に届いた離婚届にサインをして役所に郵送した。
嫁達が出ていった後は、自宅へは寝に帰るだけになったが、どんどん家の中が荒れていく一方である。心底疲れている今、誰もいないゴミ溜めのような冷たい家に1人で帰りたくない。

疲れ過ぎて心までしおしおになっているハルバードの肩を、リュードがポンと軽く叩いた。


「うちに来ます?もれなく俺と弟達と雑魚寝になりますけど。飯は母ちゃんが作ってくれるし。自慢ですけど、うちの母ちゃんは料理上手です」

「あーー。すごい魅力的。君、確か兄弟が多かったよね?お邪魔して本当に大丈夫?」

「8人兄弟の長男です。いいですよ。賑やか通り越して、うるせぇ家ですけど、1人でいるよりマシでしょ」

「ヤバい。おじさん、リュードの優しさで泣きそう」

「泣かれると面倒なんで、サクサク帰りますよ」

「ありがとう。リュード。手土産にお菓子でも買って行きたいんだけど、好きなお菓子屋とかあるかい?」

「あー。帰り道の途中にあるお菓子屋のクッキーは皆好きですね。でも別に気を使わなくてもいいですよ」

「いやいや。お世話になるんだから当然のことだよ。よーし。動くぞー。はーあ。どっこらしょっと」

「おっさん臭いですよ。先輩」

「三十路過ぎたら、もうおっさんですよ」

「やめてくださいよ。俺、来年三十路になるんですよ」

「ようこそ。おっさんの世界へ。肩こり腰痛その他が貴方をお待ちしております」

「うわ。マジで嫌」


リュードとの会話で少しだけ気分が上がったハルバードは、椅子から立ち上がり、リュードと一緒に研究室を出た。しっかりと施錠をしてから、リュードの家へと向かう。
リュードは中々にイケメンなのだが、不思議と浮いた話がない。癖のない黒髪も理知的な水色の瞳も端正に整った顔立ちも、どれも女受けがいいのに。身体つきはやや細身だが、すらっと背が高く、スタイルがいい。人当たりはいい方だし、仕事もできる、文句なしのイケメンである。

ハルバードは歩きながら、リュードに話しかけた。


「リュードは結婚しないの?」

「する予定はないですね」

「モテるのに」

「俺の恋人は魔術陣なんで」

「魔術陣狂いめ」

「今の生活に満足してるからいいんですよ。家族は少し売っぱらいたいくらいいるし。下の子達はまだ手がかかるから、俺が結婚する余裕なんてないですよ」

「一番下の子が4歳だっけ?」

「はい。親父が再婚してできた子なんですよ。新しい母ちゃんは俺と3つしか違わないんですよ」

「マジか。お父さんすげぇな」

「顔だけは無駄にいいんで」

「君もな」

「ありがとうございます?」


喋っているうちにお菓子屋に到着し、ハルバードはリュード家族が好きだというクッキーを大量に買った。
リュードと分けて、大量のクッキーが入った袋を抱え、ハルバードはのんびりとした足取りでリュードの家に向かった。

リュードの家は住宅街にあり、そこそこ大きな二階建ての家で、狭いが一応庭があった。
家の中に入ると、元気な声で『おかえり』と聞こえてきた。バタバタと足音がして、8歳くらいの男の子と4歳くらいの女の子が玄関にいるハルバード達の所へ走ってきた。


「お兄ちゃん、おかえり!」

「このおじさん誰?」

「ただいま。俺の先輩。今晩泊めるから、一緒に寝るぞ」

「いいよー。母ちゃんに言ってくる」

「頼んだ。親父は?」

「いるよー」


ハルバードはリュードと一緒にリュードの父親がいるという居間に移動した。リュードの父親は、リュードを老けさせたような美中年だった。8人も子供がいるなんて思えない程若々しい。台所から顔を出したリュードの母親は、ハルバードと同年代の可愛らしい女だった。リュードの父親はおおらかな性格をしているようで、突然泊まりに来たハルバードを笑顔で歓迎してくれた。
久方ぶりに手作りの美味しい料理を食べさせてもらい、キレイに掃除されている温かい風呂に入ると、なんだかすごくまともな人間に戻った気がした。
ハルバードは、リュードとリュードの下の弟2人と一緒に、3組の布団を分厚いラグの上に敷いて、一緒に寝ることになった。本当に雑魚寝である。人数が多い割に部屋数が少ないので、いつもこうなのだとか。
ハルバードは布団に潜り込むなり、すぐに夢の世界へ旅立った。

翌朝、ハルバードはリュードの家族にお礼を言って、リュードと一緒に出勤した。まともな人間らしい夜を過ごしたからか、いつもよりも身体が軽い気がする。これは、後日改めてお礼をしに行った方がいい。
ハルバードの隣を歩くリュードが、歩きながら大きな欠伸をした。


「もしかして寝れなかったか?」

「いや?普通に寝てましたよ。今朝は少し暖かいでしょ。眠くもなりますよ」

「春間近って感じだもんな」

「ですよね。あ、そういえば。何事もなければ明後日から三連休ですよね」

「うん」

「ものは相談なんですけど、先輩の家に下宿してもいいですか?」

「あ?なんでだよ」

「そろそろ結婚するか、せめて独立しろって親父が煩いんですよ。個人研究に金使いたいし、わざわざ不動産屋まで行って貸家を探すのも面倒で。下宿させてくれるなら、炊事と掃除くらいはやりますよ。これでも結構料理が上手い方なんです」


リュードの突然の申し出に、ハルバードは少し驚いた後で、小首を傾げて考えた。
ハルバードの家は持ち家で、そこそこ広い庭がある二階建ての一軒家だ。今は家の中も庭も荒れ放題だが、嫁と娘が出ていったので、空き部屋はある。ハルバードは料理と相性が悪いので、家で料理を作ってもらえるのは素直に嬉しい。昨夜の温かくて賑やかな食事は、ハルバードの疲れた心を随分と癒やしてくれた。
どうせ、嫁も帰ってこないし、再婚なんてできる気がしない。仮に再婚しても、仕事を優先して今回の二の舞いになるのがオチだ。リュードに下宿してもらって、料理だけでもしてもらえたら、本当にありがたい。
ハルバードはリュードの申し出に頷いた。




------
リュードは連休2日目にハルバードの家に引っ越してきた。本当は連休初日に引っ越す予定だったのだが、ハルバードの家があまりにも汚くて、リュードが半ギレで1日がかりで掃除をした。たった1日で、ゴミ屋敷のようだったハルバードの家は、かなりキレイになった。
リュードは二階のハルバードの部屋の向かいの部屋を自分の部屋にした。
随分と久しぶりに自宅がキレイになり、家の中に人の気配がすると、なんだか少しだけ落ち着かない。まぁ、すぐに慣れるのだろうが。
昨日掃除できなかった所を掃除するからと、ハルバードはおつかいを頼まれた。いても邪魔だから買い物してこいということだろう。ハルバードは春の訪れを感じさせる陽気の中、のんびりと歩いて、リュードから渡された買い物メモのものを買いに、何軒か店を梯子して買い物をした。

沢山の荷物を持って家に帰ると、家の中が更にキレイになっていた。リュードは魔術師じゃなくて家政婦にもなれる気がする。
買ってきたものをリュードに渡すと、リュードが台所へ向かい、手早く夕食を作り始めた。手持ち無沙汰なハルバードは、夕食の準備が終わるまで、庭の草むしりをすることにした。嫁が花を育てるのが好きだったから、ちょっと無理して庭が広めのこの家を買った。結局、全部ハルバードのせいで無駄になってしまった。ハルバードや別れた嫁が思い描いていた夢は、もう欠片も残っていない。
ハルバードは無言で黙々と雑草を抜きながら、なんとも言えない寂しさに、大きな溜め息を吐いた。

居間の窓からリュードが顔を出し、ハルバードを呼んだ。ハルバードは草むしりを中断して家の中に入り、風呂場の脱衣場にある洗面台で汚れた手を洗った。
リュードが料理ができるというのは本当で、ハルバードは随分と久しぶりに自宅でまともな食事を取った。いつもは適当に惣菜を買ってきて、酒で冷めた惣菜を流し込むだけだったので、なんだか温かい出来たての料理に感動してしまう。


「リュード。君、すごいな。本当に美味しい」

「ありがとうございます。仕事の日はどうします?なんなら弁当作りますけど」

「いいのか?負担にならないか?」

「晩飯の残りと作り置きのおかずを突っ込むだけの簡単弁当ですよ。前々から思ってましたけど、先輩の食生活酷いですよ。痩せてるのに下っ腹だけ出てるし。いい機会だから健康になりましょう」

「あ、はい。なんかすいません」


ぽこっと少し出ている下っ腹は、不摂生な生活の結果である。ハルバードはおかわりまでして、リュードが作ってくれた美味しい料理を堪能した。





------
リュードとの共同生活は、特に大きな問題もなく、穏やかに日々が過ぎていった。気がつけば、もう夏の終わりが近い。ハルバードは同居し始めて少し太り、健康の為にリュードと毎朝散歩をするようになった。リュードは若干口煩いところがあるが、それはハルバードの事を思っての発言が殆どで、ハルバードは素直にリュードの言う事を聞くようにしている。昔からの友人からは、『また嫁の尻に敷かれてる』と笑われた。そう言えば、泣く泣く別れた嫁にも尻に敷かれていた。リュードは嫁ではなく下宿人だが、数カ月も一緒に暮らしていたら、なんとなく家族みたいな情が湧いてくる。とはいえ、魔術陣狂いのリュードはまだギリギリ結婚適齢期だ。本人は結婚する気がないようだが、それは勿体無いとハルバードは思ってしまう。リュードはきっと素敵な夫になり、優しい父親になれるだろう。いつまでも、こんなしょぼくれたおっさんと一緒なのは、正直どうかと思う。リュードは今の暮らしに満足しているみたいだが、本当にこのままでいいのだろうか。ハルバードは最近そう思うようになってきた。

夏の終わりが近いというのに、今日は一際暑い。ハルバードはリュードと並んで歩きながら、顔を流れる汗をハンカチで拭いた。


「あっつい……もう夕方なのに」

「暑いですねー。今日の晩飯はあっさりしたものにしますか」

「あれがいい。冷たいパスタ。トマトのやつ」

「いいですよ。明日は休みだから酒を飲むでしょ。酒屋に寄って帰りましょう。酒のストックが殆ど無いんで」

「ちょっと高めのやつ買っていい?」

「駄目です。いつもので我慢してください」

「えぇーー。いいじゃない。たまには」

「先輩、慰謝料と養育費で万年金欠でしょ。節約できるところは節約しとかないと」

「はぁい。リュードも飲むだろ?」

「少しだけ付き合います。明日は水回りの掃除がしたいので」

「君、本当にキレイ好きだな」

「キレイだと気持ちいいでしょ」

「まぁね」

「先輩は庭の草むしりをお願いします」

「マジか。まぁいいけど」

「あ、庭に香草があったら料理が捗りますね。ちょっと試しに植えてみていいですか?」

「好きにしていいよ。でも季節的に今が植え時のものってあるのかい?」

「さぁ?調べてみないと。明日、苗木とか種を扱ってる店を覗いてみようかな」

「水撒きをさ、自動でしてくれる魔導具作ったら面白そうじゃない?」

「採用。先輩、天才。魔導具に仕込む魔術陣も考えなきゃですね」

「楽しみが増えたね」

「はい」


リュードが本当に楽しそうに笑った。
途中で酒屋に寄ってから帰宅すると、リュードが慌ただしく夕食を作り始めた。ハルバードは居間で持ち帰った書類を読みながら、リュードに呼ばれるのを大人しく待つ。リュードから呼ばれて、美味しい冷製パスタを食べたら、順番に風呂に入り、楽しい酒盛りの始まりである。

飲み始めて1時間もすれば、酔っぱらいが2人出来上がった。ハルバードもリュードも酒が好きだが、強い訳ではない。二人で自動水撒き機の魔術陣を考えながら飲んでいたら、楽しくていつもより早いペースで飲んでしまっていた。
ハルバードは熱くなって、シャツとズボンを脱ぎ捨てた。青い縦縞トランクスを見て、リュードがゲラゲラ笑った。


「おっさんパンツだ!」

「白ブリーフじゃないだけマシだ!」

「ぶっは!確かに!俺も暑いから脱ぐぅ」


リュードも服を脱ぎ、パンツ1枚の姿になった。ハルバードはリュードのパンツを見て、ぶふっと吹き出した後笑い転げた。リュードのパンツは無駄にセクシーな布面積が小さい紐パンだった。


「なにそのパンツ!」

「俺の勝負パンツです。後ろもセクスィー!!」

「だっはっは!尻を見せるなよ!」


リュードがくるりと振り返ると、リュードの白い尻が丸見えだった。パンツを穿く意味があるのか疑問に思ってしまうようなパンツである。ハルバードはゲラゲラ笑った後、再び酒を飲み始めた。


「勝負パンツとか、僕には無縁だなぁ。若い頃からトランクスしか穿いたことないや」

「俺はここぞ!って時は、いつも勝負パンツですよ。気合が入るんで」

「ふーん。じゃあ、今日はなんで勝負パンツを穿いてるんだい?」

「ある意味正しく勝負パンツの日なんで」

「今日なんかあったっけ」

「これからあるんですよ」


リュードがそう言って椅子から立ち上がり、何故かテーブルの下に潜った。ハルバードはきょとんとした後、下を見た。リュードがハルバードの足の間にいた。


「リュード?」

「先輩、溜まってるでしょ。口なら性差はないですよ」

「ん?」

「それでは御開帳。……わぉ。予想外にデカい」

「ありがとう?って、待て待て待て待て。何をする気だ!」

「お口でご奉仕?」

「なんで!?」

「そこに溜まってるちんこがあるから?」

「あっ、こらっ、人のちんこを握るんじゃありませんっ!」

「それでは、いただきます」

「あっ、ちょっ……うっ、あっ」


リュードがハルバードの萎えたペニスを握り、ねっとりと熱い舌でペニスの裏筋を舐め上げた。セックスどころか自慰もここ1年くらいしていない。ペニスに感じる熱い舌の感触が酷く気持ちがいい。ハルバードのペニスはすぐに勃起してしまった。リュードがハルバードの瞳を見つめながら、ペロペロと先走りが滲み始めた亀頭を舐めている。リュードがペニスを深く飲み込み、舌を這わせながら、頭を上下に動かして、唇でペニスを扱き始めた。急速に高まっていく射精感に抗えそうにない。ハルバードは荒い息を吐きながら、リュードの頭を両手で押さえ、リュードの喉奥に叩きつけるように勢いよく精液をぶち撒けた。射精しているペニスから精液を吸い出すように、ちゅーーっとペニスを吸われる。ハルバードはだらしなく声を上げ、ビクビクッと腰を震わせた。
リュードがゆっくりとハルバードのペニスから口を離し、ハルバードを見上げて大きく口を開けた。赤いリュードの舌の上に、粘度が高い白いハルバードの精液が乗っている。リュードはぱくんと口を閉じ、小さく口角を上げて、そのままハルバードの精液を飲み下した。
リュードがハルバードを見上げて、ニッと笑った。


「先輩。もっと気持ちいいことしません?」

「……する」


ハルバードは酒と久しぶりの快感に酔っていた。相手は男のリュードだとか、不思議と気にならなかった。テーブルの下から出たリュードに手を引かれて移動し、ハルバードはリュードの部屋へと入った。




------
リュードはハルバードの身体に跨り、ハルバードの熱く固いペニスをアナルで飲み込んで、ペニスの感触を味わうようにゆっくりと腰を上下に動かしていた。ハルバードのペニスは亀頭が大きく竿の中央が太くて、結腸に届く程長い。結腸まで自分で開発しておいて正解だった。自分から結腸をハルバードの固い亀頭でぐりぐりすると、脳みそが痺れるような強烈な快感が身体中を掛け巡る。ハルバードのペニスを腸壁で揉み込むようなイメージで腰をくねらせ、括約筋に力を入れてハルバードのペニスを締めつけて根元あたりをアナルで扱く。ハルバードの顔をじっと見つめれば、ハルバードが気持ちよさそうな蕩けた顔をしていた。
地味な色合いの肩下まである茶髪が枕に広がり、濃い緑色の瞳が熱を孕んでリュードを見上げている。ハルバードの人が良さそうな穏やかな顔が、快感に染まっていることに、酷く心が満たされる。

リュードは男しか愛せない。同性愛は一般的ではなく、周囲に知られると、『気持ちが悪い』と白い目で見られる。親にも言えず、ずっと同性愛者だということを隠してきた。
リュードは何年もハルバードに恋をしていた。就職してハルバードと出会って、半年もすれば、微妙にヘタレだけど優しいハルバードを好きになった。この想いは一生秘密にして、墓まで持っていくつもりだった。ハルバードが結婚した時も、子供が生まれた時も、笑顔で祝福した。そうすることしかできなかった。
奇跡的にハルバードと同居できるようになり、リュードはこっそり花街に行って、所謂大人の玩具を買い、自分でアナルを弄るようになった。同じ屋根の下にハルバードがいると思うだけで、酷く興奮して堪らなかった。ハルバードとの暮らしは穏やかで、まるで家族みたいな空気が流れていて、ハルバードが愛おしくて、リュードはハルバードを襲うと決めた。もう我慢の限界だった。ハルバードが好きだし、ハルバードと繋って熱を分け合いたかった。
リュードは本格的に腰を激しく振りながら、熱い息を吐くハルバードの唇に噛みつくような勢いでキスをした。




------
ハルバードは四つん這いになったリュードのアナルにペニスを突っ込み、夢中で腰を振っていた。女のそこよりもキツい締めつけが堪らなく気持ちがいい。既に一度、リュードの中に射精している。腰を動かしながら、肉付きが薄めの尻肉を両手で広げれば、リュードのアナルの皺が伸び切り、太いハルバードのペニスをしっかりと飲み込んでいた。泡立つローションと精液混じりの白い液体が、ハルバードのペニスやリュードのアナルにまとわりついている。奥深くの肉の壁を突き上げる度に、リュードが腰を震わせて大きく喘ぐ。不思議とその声が興奮を煽り、ハルバードはトントントントンっと、小刻みに短いストロークで、リュードの奥深くを突き上げた。リュードの熱い腸壁がペニスに絡みつき、肉の壁に先っぽが触れると、まるで吸いつかれるような感覚がする。気持ちがよくて堪らない。ハルバードは、リュードの細いながらにしっかりとした腰を両手で強く掴み、パンパンパンパンッと肌がぶつかり合う音がする程、速く激しく腰を振った。


「あっあっあっあっ!すげぇっ!いくいくいくいくいくぅっ!」


リュードが大きく叫び、ガクガクと身体を大きく震わせた。ハルバードも限界である。一際強くリュードの尻に下腹部を叩きつけ、リュードの奥深くに思いっきり精液を吐き出した。ゆるゆると腰を動かして、精液を出し切ると、ハルバードは荒い息を吐きながら、ゆっくりとリュードのアナルからペニスを引き抜いた。両手でリュードの尻肉を掴んで広げれば、閉じ切らないアナルが大きく収縮して、こぽぉっと中から白い精液が溢れ出し、赤い会陰や陰嚢を伝って、シーツへと落ちていった。酷くいやらしい光景に、ハルバードはこくっと生唾を飲み込んだ。

荒い息を吐きながら、リュードがころんとベッドに仰向けに寝転がった。リュードの萎えたペニスを見れば、先っぽに僅かに白い精液が残っている。リュードに無言で手招きされたので、ハルバードは無言でリュードの隣に寝転がった。
リュードが首だけでハルバードの方を向いて、口を開いた。


「気持ちよかったですか?」

「うん。ものすごく」

「ははっ。それは何よりです」

「リュードは男が好きなのか」

「そうですよ。一応言っときますけど、セックスをするのはこれが初めてですからね。男の浪漫の処女貫通ですよ」

「マジかぁ……」

「先輩」

「ん?」

「少し休んだら、もう1回」

「あ、うん。いいけどさ」

「……先輩の老後の介護までやるんで、この家で貴方の側にいさせてください」

「リュード?」

「貴方が好きなんです」

「…………」

「俺に絆されてよ」

「あーー。マジかぁ……」


リュードの言葉が本気なのが分かってしまい、ハルバードは困って眉を下げた。リュードのことは好きだが、あくまでそれは後輩としてだ。最近はすっかり家族みたいな感覚になっているが、男のリュードを愛せるか、自信がない。素直にそう言うと、リュードがクックッと低く笑った。


「もうセックスしちゃったのに?」

「あーー。なんかできちゃったんだよねぇ。不思議」

「深く考えないでいいですよ。これまで通り、一緒に暮らしてくれたらいいです。あ、たまにセックスはしたいです。先輩も気持ちよかったんでしょ?」

「確かに気持ちよかったけど」

「まぁ、オナホとでも思ってくださいよ」

「そんな酷いこと思うもんか。自分をもっと大事にしなよ」


リュードがなんだか泣きそうな顔で笑った。


「じゃあ、俺のこと好きになって」

「…………善処します」

「気長に待ちますから」

「うん。がんばる?」

「ははっ!先輩」

「ん?」

「そろそろもう1回」


ハルバードの唇に触れてきたリュードの唇を、ハルバードは避けなかった。ハルバードは再びリュードと絡み合いながら、熱と快感に浸った。




------
ハルバードはリュードと一緒に帰りながら、今行っている研究の話をしていた。
リュードと暮らし始めて、早くも20年近くになる。あと数年したら、ハルバードは定年退職だ。月日が過ぎるのは、本当にあっという間である。
途中で買い物をして帰り、家に着いて中に入ったら、ハルバードはリュードの唇に触れるだけのキスをした。目尻や口元に皺を寄せ、リュードが嬉しそうに笑った。


「今日の晩飯は何?」

「シチューですよ。南瓜ゴロゴロの。それとバケットにチーズを乗せて焼きましょうか」

「最高。ワイン開けていい?」

「明日も仕事だから駄目です」

「はぁい。リュード」

「なんです?」

「君は今幸せかな?」

「なんです急に。毎日すこぶる幸せですけど」

「そうか。僕も幸せだよ。リュード」

「はい」

「漸く君のことを愛してるって言えるかな」

「……ははっ。長くかかりましたね」

「あーー。うん。ごめんね?」

「いいですよ。俺は気が長い方だし」


リュードが泣き笑いの顔でハルバードを抱きしめ、頬ずりをした。ハルバードはリュードを抱き返して、リュードの耳元で小さく愛を囁いた。


(おしまい)
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感想 1

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みんなの感想(1件)

sakura
2024.04.21 sakura

よかったねぇ…😢

2024.04.22 丸井まー(旧:まー)

感想をありがとうございますっ!!
本当に嬉しいです!!

私の楽しい!と萌えっ!と性癖を詰め込んで、非常に楽しく執筆いたました!
大好きな作品なので、お楽しみいただけたのでしたら、何よりも嬉しいです!!

お読みくださり、本当にありがとうございました!!

解除

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