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第六章 シエーラの戦闘
15.贈り物部屋
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それから私は、アレク様に連れられて同じ階のとある部屋に行った。
ものものしい警備の兵は居らず、扉の両側には小姓が立っているのみだった。
アレク様の姿を認めると、小姓たちは慌てたように畏まって扉に手をかけた。
ドアが開けられて、アレク様は私の背に手を回し中に入る。
小姓たちは急いで窓から重く垂れさがるカーテンを開けて回り、私は次第に明るくなっていく部屋の中を見て「わ…」と小さく声を上げた。
部屋の中は様々なもので溢れかえっていた。
恐らく相当広い部屋なのに、四方に堆く綺麗な箱が積まれ、圧迫感が半端ない。
ドレスや帽子、宝石とかアクセサリーそれから女性が喜びそうなありとあらゆるものが、綺麗にディスプレイされている。
奥の方は重なり過ぎていてちょっとよく見えない。
「アレク様、お店でも開くのですか?」
私が呟くと、アレク様はえっ、と言って私を見て、それから楽しそうに笑い出した。
一緒に来た侍従も笑いをこらえている。
「いやいやこれは…
すべてクレメンティナのために集めたものだよ。
そなただけのものだ」
「…えーっ…」
私は思わず手を口に当てて声を上げた。
アレク様は照れたようにこりこりと頬を掻く。
「クレメンティナをサン=バルロッテ館に連れてきてから、そなたに似合いそうなものを探しては求め、いつの間にかこんなになってしまった。
いつもこれは気に入るだろうと思って手に入れるのだが、いざ、リーチェに託けたり自分で渡そうとすると、クレメンティナに迷惑と思われるだろうか、要らないと言われたらどうしようと臆してしまって結局渡せなかったものたちの部屋だ」
私はあんぐりと口を開け、部屋を見回す。
これ全部…私のもの?
シエーラの家の、納屋くらいある部屋が埋まるほどの、シエーラにいたなら一生お目にかかることのできないような贅沢なものたち。
私は改めて、私が生を受けた国のトップに立つ人の絶大な権力と莫大な財力に衝撃を受けた。
「それで、だ」
アレク様は咳払いを一つすると、私を部屋の中ほどへ導く。
そこに立っていたのは…
甲冑だった。
「エセルバートは、最初はクレメンティナに護身術だけを教えるつもりだった。
俺がそう頼んだからな。
だけど、そなたの身体能力の高さとか飲み込みの速さに精神力の強靭さ、加えて先の見通せる聡明さに気づいて、もっと教えたいと思うようになったみたいなんだ。
エルヴィーノや俺にやらせたのとあまり変わらないような特訓をしたと聞いて驚いたよ。
シプリアノやオズヴァルドは厳しくて音を上げたんだから」
小姓に命じて、甲冑を台座から取り外させる。
「それで俺は、まあ、シャレって言うか…
一緒に戦場へ行こうとはまさか思ってなかったが、甲冑を纏った姿が見てみたいと思って、これを作らせた。
女性用に、軽くて装甲は少し薄いが実戦には耐え得る強度を持っている。
装具屋もこんなのは作ったことが無いと、目を白黒させていた」
私は小姓が持ってきた甲冑に触ってみる。
普通の、無機質なむき出しの金属ではなく、淡い白色に塗られていて、ところどころに花がペイントされている。
首回りや腕の周りなど、継ぎ目にあたるところは綺麗に磨かれて美しく光沢を放っている。
「クレメンティナを前線に出すことはまったく考えていないから、実際に使うことはないと思うが…」
「いえ、アレク様のお傍にいるのですから、わたくしもこういったものは必要と存じます。
ありがとうございます」
アレク様の言葉を遮るように言ってアレク様にお辞儀する。
顔を上げるとアレク様は苦笑していて、私の頬をむにっとつまんだ。
「お前が隣にいると、俺はハラハラしっぱなしで、いつもみたいに暴走できないかもなぁ。
まあ、お手柔らかに頼みますよ」
そう言って、つままれた頬をさすっている私の手を外してキスした。
ものものしい警備の兵は居らず、扉の両側には小姓が立っているのみだった。
アレク様の姿を認めると、小姓たちは慌てたように畏まって扉に手をかけた。
ドアが開けられて、アレク様は私の背に手を回し中に入る。
小姓たちは急いで窓から重く垂れさがるカーテンを開けて回り、私は次第に明るくなっていく部屋の中を見て「わ…」と小さく声を上げた。
部屋の中は様々なもので溢れかえっていた。
恐らく相当広い部屋なのに、四方に堆く綺麗な箱が積まれ、圧迫感が半端ない。
ドレスや帽子、宝石とかアクセサリーそれから女性が喜びそうなありとあらゆるものが、綺麗にディスプレイされている。
奥の方は重なり過ぎていてちょっとよく見えない。
「アレク様、お店でも開くのですか?」
私が呟くと、アレク様はえっ、と言って私を見て、それから楽しそうに笑い出した。
一緒に来た侍従も笑いをこらえている。
「いやいやこれは…
すべてクレメンティナのために集めたものだよ。
そなただけのものだ」
「…えーっ…」
私は思わず手を口に当てて声を上げた。
アレク様は照れたようにこりこりと頬を掻く。
「クレメンティナをサン=バルロッテ館に連れてきてから、そなたに似合いそうなものを探しては求め、いつの間にかこんなになってしまった。
いつもこれは気に入るだろうと思って手に入れるのだが、いざ、リーチェに託けたり自分で渡そうとすると、クレメンティナに迷惑と思われるだろうか、要らないと言われたらどうしようと臆してしまって結局渡せなかったものたちの部屋だ」
私はあんぐりと口を開け、部屋を見回す。
これ全部…私のもの?
シエーラの家の、納屋くらいある部屋が埋まるほどの、シエーラにいたなら一生お目にかかることのできないような贅沢なものたち。
私は改めて、私が生を受けた国のトップに立つ人の絶大な権力と莫大な財力に衝撃を受けた。
「それで、だ」
アレク様は咳払いを一つすると、私を部屋の中ほどへ導く。
そこに立っていたのは…
甲冑だった。
「エセルバートは、最初はクレメンティナに護身術だけを教えるつもりだった。
俺がそう頼んだからな。
だけど、そなたの身体能力の高さとか飲み込みの速さに精神力の強靭さ、加えて先の見通せる聡明さに気づいて、もっと教えたいと思うようになったみたいなんだ。
エルヴィーノや俺にやらせたのとあまり変わらないような特訓をしたと聞いて驚いたよ。
シプリアノやオズヴァルドは厳しくて音を上げたんだから」
小姓に命じて、甲冑を台座から取り外させる。
「それで俺は、まあ、シャレって言うか…
一緒に戦場へ行こうとはまさか思ってなかったが、甲冑を纏った姿が見てみたいと思って、これを作らせた。
女性用に、軽くて装甲は少し薄いが実戦には耐え得る強度を持っている。
装具屋もこんなのは作ったことが無いと、目を白黒させていた」
私は小姓が持ってきた甲冑に触ってみる。
普通の、無機質なむき出しの金属ではなく、淡い白色に塗られていて、ところどころに花がペイントされている。
首回りや腕の周りなど、継ぎ目にあたるところは綺麗に磨かれて美しく光沢を放っている。
「クレメンティナを前線に出すことはまったく考えていないから、実際に使うことはないと思うが…」
「いえ、アレク様のお傍にいるのですから、わたくしもこういったものは必要と存じます。
ありがとうございます」
アレク様の言葉を遮るように言ってアレク様にお辞儀する。
顔を上げるとアレク様は苦笑していて、私の頬をむにっとつまんだ。
「お前が隣にいると、俺はハラハラしっぱなしで、いつもみたいに暴走できないかもなぁ。
まあ、お手柔らかに頼みますよ」
そう言って、つままれた頬をさすっている私の手を外してキスした。
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