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第六章 シエーラの戦闘
20.戦略の中枢
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エルヴィーノ様とオズヴァルド様が少数の兵を引き連れて出迎えてくれた。
アレク様の隣に私が、そして背後にエセルバート様の巨躯がそびえているのを見て、驚いたように馬から降りて駆け寄ってきた。
たった1週間ばかり会わなかっただけなのに、お痩せになって窶れられた…
私は過酷な状況を思って、焦燥感と不安に苛まれる。
シエーラはどうなっているのだろう、家は、小作人は、そして領主館は?!
「…大丈夫なのか、二人が雁首揃えて戦列を離れて」
アレク様が不審そうに訊く。
お二人は顔を見合わせてふっと微笑む。
「セノフォンテが…とても頼りになる将になってる。
戦線を安心して任せられる。
普段のあの優しい雰囲気からは考えられないほどの苛烈な作戦を考え実行しているよ」
「え…セノフォンテが?」
アレク様は驚いてオウム返しに問い、二人は同時にうなずいた。
「レオンツィオは民兵を率いて、この辺りの地理に詳しい利点を生かしゲリラ戦を展開している。
あまりの神出鬼没ぶりに、敵からはシエーラの悪魔と恐れられているんだ」
エルヴィーノ様は笑って私を見た。
「そしてまさかの、クレメンティナの登場か。
シエーラの三兄妹は頼りになるな」
「母上様も私たちと同じ速度でお帰りになられたばかりか、シエーラの女性たちを束ねて、あっという間に自治組織を作られた。
すごい一家だよ」
オズヴァルド様も嘆息を漏らす。
私は家族を誇りに思うのと同時に、心配にもなった。
あまり無茶しないで欲しい…
そこから少し移動して天幕を張り、その中で戦場の状況とこれからの作戦を話し合う。
聞いていると、あらゆる方向に先々を読んでいて、味方の兵の損失をできるだけ避けた様々なパターンの戦略に驚いた。
「これを、セノフォンテが…?」
アレク様は信じられないと言うように呟き、エセルバート様も「こりゃ、すごいなあ」と舌を巻いた。
「ステファネッリ子爵殿は、もともと都でそういう研究をなさっておられたし、セノフォンテは小さいころから児童書代わりに戦法戦略の本を読んで育ったと言っていた」
「そういえば、サン=バルロッテ館でクレメンティナ様もそういう小説を読んでいたな。
体力もあるし、だからこそ、護衛の方法だけじゃなくて、実戦に即した野営まで教えてしまったんだが…」
エセルバート様は大きくため息をついた。
私は人払いをしているため、簡素な朝食の給仕をしながら話に聞き入る。
にぃ兄様は、シエーラの人たちのみならず、傭兵たちからも慕われているらしい。
傭兵は本来、契約期間が切れたら戦況がどうあれ帰ってしまうものだけど、アレク様が報奨金の額を上げたこともあり、その場にとどまっているという。
そして方針が決まると、また慌ただしく天幕は片付けられ、出発の準備をする。
私は、都から持ってきたクリーム色の甲冑を身に着ける。
身体に合わせて武具屋が少し調整し、動きやすくなった。
「似合うじゃないか、クレメンティナ」
ご自身も甲冑を纏ったアレク様が微笑む。
アレク様の姿も雄々しく凛々しく、私は直視できなくて、目を伏せてお辞儀する。
「目立つ色だな、夜間には向かない。
あまり、あちこちするなよ」
エルヴィーノ様は心配そうに言った。
私たちは馬上の人となり、シエーラの前線を目指して移動を始めた。
アレク様の隣に私が、そして背後にエセルバート様の巨躯がそびえているのを見て、驚いたように馬から降りて駆け寄ってきた。
たった1週間ばかり会わなかっただけなのに、お痩せになって窶れられた…
私は過酷な状況を思って、焦燥感と不安に苛まれる。
シエーラはどうなっているのだろう、家は、小作人は、そして領主館は?!
「…大丈夫なのか、二人が雁首揃えて戦列を離れて」
アレク様が不審そうに訊く。
お二人は顔を見合わせてふっと微笑む。
「セノフォンテが…とても頼りになる将になってる。
戦線を安心して任せられる。
普段のあの優しい雰囲気からは考えられないほどの苛烈な作戦を考え実行しているよ」
「え…セノフォンテが?」
アレク様は驚いてオウム返しに問い、二人は同時にうなずいた。
「レオンツィオは民兵を率いて、この辺りの地理に詳しい利点を生かしゲリラ戦を展開している。
あまりの神出鬼没ぶりに、敵からはシエーラの悪魔と恐れられているんだ」
エルヴィーノ様は笑って私を見た。
「そしてまさかの、クレメンティナの登場か。
シエーラの三兄妹は頼りになるな」
「母上様も私たちと同じ速度でお帰りになられたばかりか、シエーラの女性たちを束ねて、あっという間に自治組織を作られた。
すごい一家だよ」
オズヴァルド様も嘆息を漏らす。
私は家族を誇りに思うのと同時に、心配にもなった。
あまり無茶しないで欲しい…
そこから少し移動して天幕を張り、その中で戦場の状況とこれからの作戦を話し合う。
聞いていると、あらゆる方向に先々を読んでいて、味方の兵の損失をできるだけ避けた様々なパターンの戦略に驚いた。
「これを、セノフォンテが…?」
アレク様は信じられないと言うように呟き、エセルバート様も「こりゃ、すごいなあ」と舌を巻いた。
「ステファネッリ子爵殿は、もともと都でそういう研究をなさっておられたし、セノフォンテは小さいころから児童書代わりに戦法戦略の本を読んで育ったと言っていた」
「そういえば、サン=バルロッテ館でクレメンティナ様もそういう小説を読んでいたな。
体力もあるし、だからこそ、護衛の方法だけじゃなくて、実戦に即した野営まで教えてしまったんだが…」
エセルバート様は大きくため息をついた。
私は人払いをしているため、簡素な朝食の給仕をしながら話に聞き入る。
にぃ兄様は、シエーラの人たちのみならず、傭兵たちからも慕われているらしい。
傭兵は本来、契約期間が切れたら戦況がどうあれ帰ってしまうものだけど、アレク様が報奨金の額を上げたこともあり、その場にとどまっているという。
そして方針が決まると、また慌ただしく天幕は片付けられ、出発の準備をする。
私は、都から持ってきたクリーム色の甲冑を身に着ける。
身体に合わせて武具屋が少し調整し、動きやすくなった。
「似合うじゃないか、クレメンティナ」
ご自身も甲冑を纏ったアレク様が微笑む。
アレク様の姿も雄々しく凛々しく、私は直視できなくて、目を伏せてお辞儀する。
「目立つ色だな、夜間には向かない。
あまり、あちこちするなよ」
エルヴィーノ様は心配そうに言った。
私たちは馬上の人となり、シエーラの前線を目指して移動を始めた。
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