BREAK THROUGHー地下大都市からの脱出ー

Dry_Socket

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第一章 地下大都市トウキョウ

17.梁宇航との出会い

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 講演は活発な質問が飛び、梁氏は丁寧に答えて更に議論が発展し、盛況のうちに幕を閉じた。
 遠夜も大きな拍手を送って、席を立った。

 ざわざわと人の声がこだまする、B講堂の扉を出てロビーを出口へ向かっていると「遠夜さん!」と後ろから呼び止められた。
 振り返ると、恭香がこちらへ向かってくる。

 …なに?
 遠夜は思わず身構えた。

 「どうでした?」
 上気した顔で恭香が大きな瞳を見張るようにして訊いてくる。
 「うん、すごく面白かった。
 地上都市のこと勉強してみようと思った」

 遠夜は自分をまっすぐ見つめる綺麗な瞳にどぎまぎしながらやっと答えた。
 「そうでしょ?
 遠夜さんの頭脳なら、絶対に面白いと感じてくれると思ったの!」

 嬉しそうに笑って遠夜の手を取る。
 「こっちに来て!
 梁さん紹介する!」
 と講堂の袖に向かって歩き出した。

 突然のことに遠夜は頭が真っ白になり、恭香に手を引かれるままについて行く。
 「梁さん!」
 大きな声で恭香が呼ぶ。
 数人の男性と談笑していた大柄な梁氏は、恭香の声に顔を上げて姿を認めると笑顔になった。

 「梁さん、この人は頭脳ブレイン未成年アンダーでトップの遠夜さん。
 講演を聴いて面白かったって」
 「こんにちは。
 聴いてくれてありがとう」
 恭香が遠夜を紹介すると梁氏は穏やかに笑って流暢な日本語を話し、右手を差し出した。
 
 遠夜は大きく温かな手を握り返して口を開く。
 「面白いお話を聴かせていただきました。
 刺激になりました」

 壇上での印象よりずいぶん若い。
 20歳前後か?
 自分と年齢がそう変わらない気がする。

 「また会う機会もあると思うわ」
 にこっと笑って恭香が言う。

 「じゃあ俺これで…
 紹介してくれてありがとう」
 遠夜は梁氏に会釈して恭香に向かって手を上げ、講堂を後にした。
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