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第三章 賀茂祭・露頭の儀
4.義光君の気持ち??
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「しかし…左京亮なんかに紹介したら、大変なことになるぞ?」
義光君が心配そうに言う。
伊靖君は目を剥く。
「するわけないだろう!
姉上には左近衛中将様という方がいらっしゃるんだし」
「っていうか、お前は何なんだよ!
何で姉上に相聞文なんて送ってんだよ?
姉上から聞いたあと、式部から詳しく聞いて、俺は我が耳を疑ったぞ!
お前、昔から姉上のことは煙たがってたじゃないか。
口うるさいババアって」
おい。
あたしは義光君を黙って睨む。
義光君は扇子を開いてバタバタと仰ぎ、あたしから顔を背けて言う。
「俺は本気だから。
伊靖が何と言おうと、左近衛中将様から姫を頂く」
「何を…」
言ってんだ。
あたしと伊靖君は顔を見合わせる。
「昨日、何で誘ってくれないんだよ!
二人で流鏑馬神事に行くなんて…
車で行ったのか?」
拗ねたように義光君は言う。
「お前を誘う義理はない」
伊靖君はにべもなく言う。
「あそこは牛車は入れないだろ、白馬で行ったんだよ」
「白馬?!
伊靖が、姫を乗せたのか?」
義光君は驚いたように言う。
「仕方ないだろ。
姉上は桟敷席も嫌だっておっしゃるから、群衆の中に紛れて、終着点近くで観覧だよ」
「はあ?!」
義光君は開いた口が塞がらない、と言った様子。
「だって、できるだけ近くで、左近衛中将様を拝見したかったから」
とあたし。
「そりゃそうでしょうが…」
ふうーっと大きくため息をつく。
伊靖君は笑いながら「可哀相だけど、お前の入り込む余地はないよ、義光」と言って、思い出したようにあたしの方を向いた。
「そうそう、昨日の流鏑馬神事の一番の射手は、左近衛中将様が見事獲得なさいましたよ。
もうご存知でしょうけど」
知らない!
あたしが首を横に振ると「えっ?左近衛中将様から報せて来ませんでしたか?…じゃあ、ご自身でおっしゃりたかったのかな。姉上、知らなかったことにしておいてくださいね」と考え込むように言う。
あたしは、言い知れぬ不安が自分を包んでいくのを感じた。
左近衛中将様…なぜ?
その時、伊靖君と義光君の従者たちが「若君、そろそろ宮中へお戻りあそばさないと…」と呼びに来て、二人は慌てて立ち上がり「では失礼します」と部屋を出て行った。
と、義光君が戻ってきてあたしの前に片膝をついて、あたしの手を取った。
「冗談だと思っていらっしゃるかもしれませんが、私は本気ですよ。
お心を頂けるまで、諦めませんから」
急にあたしの手を引いて、あたしはバランスを崩して義光君の方へ倒れこんだ。
義光君はあたしをぎゅっときつく抱きしめ、身体を離すとさっと外廊下の方へ去っていった。
何なの、もう…
あたしは義光君の真剣な瞳に混乱してしまう。
あちこちの女性を口説いて歩いてるくせに。
それより。
左近衛中将様のことが気がかりで、あたしはまた少し泣いてしまった。
少輔さんが心配そうに背を撫でてくれる。
義光君が心配そうに言う。
伊靖君は目を剥く。
「するわけないだろう!
姉上には左近衛中将様という方がいらっしゃるんだし」
「っていうか、お前は何なんだよ!
何で姉上に相聞文なんて送ってんだよ?
姉上から聞いたあと、式部から詳しく聞いて、俺は我が耳を疑ったぞ!
お前、昔から姉上のことは煙たがってたじゃないか。
口うるさいババアって」
おい。
あたしは義光君を黙って睨む。
義光君は扇子を開いてバタバタと仰ぎ、あたしから顔を背けて言う。
「俺は本気だから。
伊靖が何と言おうと、左近衛中将様から姫を頂く」
「何を…」
言ってんだ。
あたしと伊靖君は顔を見合わせる。
「昨日、何で誘ってくれないんだよ!
二人で流鏑馬神事に行くなんて…
車で行ったのか?」
拗ねたように義光君は言う。
「お前を誘う義理はない」
伊靖君はにべもなく言う。
「あそこは牛車は入れないだろ、白馬で行ったんだよ」
「白馬?!
伊靖が、姫を乗せたのか?」
義光君は驚いたように言う。
「仕方ないだろ。
姉上は桟敷席も嫌だっておっしゃるから、群衆の中に紛れて、終着点近くで観覧だよ」
「はあ?!」
義光君は開いた口が塞がらない、と言った様子。
「だって、できるだけ近くで、左近衛中将様を拝見したかったから」
とあたし。
「そりゃそうでしょうが…」
ふうーっと大きくため息をつく。
伊靖君は笑いながら「可哀相だけど、お前の入り込む余地はないよ、義光」と言って、思い出したようにあたしの方を向いた。
「そうそう、昨日の流鏑馬神事の一番の射手は、左近衛中将様が見事獲得なさいましたよ。
もうご存知でしょうけど」
知らない!
あたしが首を横に振ると「えっ?左近衛中将様から報せて来ませんでしたか?…じゃあ、ご自身でおっしゃりたかったのかな。姉上、知らなかったことにしておいてくださいね」と考え込むように言う。
あたしは、言い知れぬ不安が自分を包んでいくのを感じた。
左近衛中将様…なぜ?
その時、伊靖君と義光君の従者たちが「若君、そろそろ宮中へお戻りあそばさないと…」と呼びに来て、二人は慌てて立ち上がり「では失礼します」と部屋を出て行った。
と、義光君が戻ってきてあたしの前に片膝をついて、あたしの手を取った。
「冗談だと思っていらっしゃるかもしれませんが、私は本気ですよ。
お心を頂けるまで、諦めませんから」
急にあたしの手を引いて、あたしはバランスを崩して義光君の方へ倒れこんだ。
義光君はあたしをぎゅっときつく抱きしめ、身体を離すとさっと外廊下の方へ去っていった。
何なの、もう…
あたしは義光君の真剣な瞳に混乱してしまう。
あちこちの女性を口説いて歩いてるくせに。
それより。
左近衛中将様のことが気がかりで、あたしはまた少し泣いてしまった。
少輔さんが心配そうに背を撫でてくれる。
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