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第三章 賀茂祭・露頭の儀
7.会えない日々
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その日の夕食、唐揚げが出た。
女房さん達が物珍しそうに見守る中、ひとりで頂いた。
硬いイメージの野鳥の肉が、ジューシーで美味しくなってた。
さすが料理長、長年の経験でだいたいの調理の仕方が判るんだろうな。
他の家族にも好評だったようだ。
あとで料理長がこっそり報告に来てくれた。
右大臣家の料理のレパートリーに揚げ物が加わった。
嬉しいなあ。
どんどん増やしていこう。
蜂蜜が来たら、小麦粉と鶏卵でパンケーキなんてどうかな。
牛乳がないから、ちょっと物足りないかな?
あたしは妄想する。
左近衛中将様の北の方になりたい。
家刀自になって、左近衛中将様に美味しいものをたくさん食べさせてあげたい。
いつまでも二人で、仲良く暮らしたい。
そんなあたしの思いとは裏腹に、翌日も左近衛中将様は来なかった。
昼頃に早々と文が来た。
あまり装飾もない、簡素な文。
「左大臣家の催しに参加せざるを得ず、伺えなくなりました。
今宵は宿直ですので、明日も伺えないかと思います」
今まで、宿直だろうが何だろうが、必ず来てくれていたのに…
あたしは、果てしなく広がる闇の中に落とされたような気がした。
泣き言ばかりになりそうで返事を書く気にもなれず、そのまま放置する。
相変わらず、流鏑馬神事で一番の射手になった報告はない。
貴女のために、って書いてくれたのは、なんだったの…?
「左大臣家の催し」って何だろう。
内大臣家の姫君と会ったりするのかな。
『貴女に会えないと、私は焦がれ死にしてしまいます』
そう以前言ってくれた。
その時には、死にはしないでしょー、大袈裟な。
って思ったけど、今は判る気がする。
会えないと苦しいよ。
こんなに人を好きになったのは初めてだ、あたし。
ふさぎ込むあたしを心配してくれたのか、式部さんが、綺麗な袿を持ってきた。
「姫様、ご覧あそばせ。
賀茂祭の路頭の儀をご覧になるときの為の、新しい袿が仕上がって参りましたわ」
美しく紅く染め上げられた袿を見て、あたしの心も少し弾む。
式部さんがあたしの肩に着せかけて、うっとりと微笑んだ。
「紅の薄様になさったら宜しいですわ。
きっと光り輝くようにお美しくおなり遊ばしますわね。
左近衛中将様もきっと…」
路頭の儀は一緒に観に行けるかなぁ…
以前、もしかしたら本列の方に参加しなくてはいけないかも、と言ってたけど。
丹念に美しく一目一目縫い上げられ、仕立てられている袿を見てあたしは感動した。
すごい仕事だなあ…手縫いだもんね、これ。
仕立て屋さんがいるのかな?
「これを仕立ててくださった方に、何かお礼をしたいわ」
あたしが言うと、場の空気が一瞬で固まった。
女房さん達は、顔を見合わせて、目顔でなにかを伝えあっている。
え…何?
女房さん達が物珍しそうに見守る中、ひとりで頂いた。
硬いイメージの野鳥の肉が、ジューシーで美味しくなってた。
さすが料理長、長年の経験でだいたいの調理の仕方が判るんだろうな。
他の家族にも好評だったようだ。
あとで料理長がこっそり報告に来てくれた。
右大臣家の料理のレパートリーに揚げ物が加わった。
嬉しいなあ。
どんどん増やしていこう。
蜂蜜が来たら、小麦粉と鶏卵でパンケーキなんてどうかな。
牛乳がないから、ちょっと物足りないかな?
あたしは妄想する。
左近衛中将様の北の方になりたい。
家刀自になって、左近衛中将様に美味しいものをたくさん食べさせてあげたい。
いつまでも二人で、仲良く暮らしたい。
そんなあたしの思いとは裏腹に、翌日も左近衛中将様は来なかった。
昼頃に早々と文が来た。
あまり装飾もない、簡素な文。
「左大臣家の催しに参加せざるを得ず、伺えなくなりました。
今宵は宿直ですので、明日も伺えないかと思います」
今まで、宿直だろうが何だろうが、必ず来てくれていたのに…
あたしは、果てしなく広がる闇の中に落とされたような気がした。
泣き言ばかりになりそうで返事を書く気にもなれず、そのまま放置する。
相変わらず、流鏑馬神事で一番の射手になった報告はない。
貴女のために、って書いてくれたのは、なんだったの…?
「左大臣家の催し」って何だろう。
内大臣家の姫君と会ったりするのかな。
『貴女に会えないと、私は焦がれ死にしてしまいます』
そう以前言ってくれた。
その時には、死にはしないでしょー、大袈裟な。
って思ったけど、今は判る気がする。
会えないと苦しいよ。
こんなに人を好きになったのは初めてだ、あたし。
ふさぎ込むあたしを心配してくれたのか、式部さんが、綺麗な袿を持ってきた。
「姫様、ご覧あそばせ。
賀茂祭の路頭の儀をご覧になるときの為の、新しい袿が仕上がって参りましたわ」
美しく紅く染め上げられた袿を見て、あたしの心も少し弾む。
式部さんがあたしの肩に着せかけて、うっとりと微笑んだ。
「紅の薄様になさったら宜しいですわ。
きっと光り輝くようにお美しくおなり遊ばしますわね。
左近衛中将様もきっと…」
路頭の儀は一緒に観に行けるかなぁ…
以前、もしかしたら本列の方に参加しなくてはいけないかも、と言ってたけど。
丹念に美しく一目一目縫い上げられ、仕立てられている袿を見てあたしは感動した。
すごい仕事だなあ…手縫いだもんね、これ。
仕立て屋さんがいるのかな?
「これを仕立ててくださった方に、何かお礼をしたいわ」
あたしが言うと、場の空気が一瞬で固まった。
女房さん達は、顔を見合わせて、目顔でなにかを伝えあっている。
え…何?
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