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第四章 上達部との交流
23.第一回幾望会.3
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「左近衛中将は、主上から送り込まれた監視役であるので、原則として会の内容については参加しません。
兄上は私が月子姫と何かするのがお気にいらないのさ…
いつまでも子ども扱いで参ってしまうな」
後半の台詞は、独り言のように口の中で呟く。
まあね、あたしと東宮が二人で何かするっつったら、そりゃ心配でしょうよ。
道理が通じない猪突猛進が二人、どこ行くかわかんないわ。
「左近衛中将は月子姫の許嫁なんだから、ここに参加するのは当然じゃないですか」
あっけらかんと権中納言様が言い、そうですよね…という雰囲気が漂う。
一瞬、東宮の表情が険しくなる。
それからまた、すぐにいつもの人好きのする笑顔に戻って、料理長に声をかける。
「さあ、せっかくの料理が冷めてしまう。
司厨長、皆に配膳して」
「はっ」
料理長はまた頭を下げ、女房さん達に指図する。
女房さん達はお膳を捧げ持ち、配って回る。
あたしのところにも、式部さんが持ってきてくれた。
いくつか小さな容器が並んでいて、それぞれに少しずつ料理が盛ってある。
あれ、あたしのがないな。
と思っていると、東宮が几帳を少しずらして、自分だけあたしから見えるようにした。
「月子姫の枝豆料理は、進行の都合上、後ほど出しますよ。
えー、膳の上の左から、右近衛大将…これは?」
青鈍の直衣を粋に着こなした右近衛大将様は、困ったように笑った。
「えー…お題が難しくてですね、我が家の司厨長も困じ果てまして…結局、茹でて強飯に混ぜました」
と頭をかく。
「色が綺麗で、美味しそうですわ」
とあたしは言う。
この時代、あまり枝豆って普及してなかったみたいだから、難しいよね。
東宮も意地悪な課題を出したものだわ。
東宮はあたしの方を見て、少し笑って頷いた。
それから「次は、権中納言」と、権中納言様を見る。
権中納言様は「これが枝豆という植物だと、初めて知ったような次第でして…他の根菜と一緒に蒸しただけです。塩か醤か…で食べてください」と真面目な顔で言った。
「根菜に合わせられたところが、良いと思います。
食感が変わって、食べやすいですわね」
とあたし。
「では次…兵部卿」と東宮が言う。
この中では最年長に見える、落ち着いた穏やかな雰囲気の兵部卿様は苦笑する。
「私も妻と司厨長と一緒に頭を悩ませました。何しろあまり流通していないでしょう。
それで、汁物はどうかと…茹でてすり潰して、塩湯に入れました」
「枝豆のすり流しですわね。
これも発色が美しいです」
あたしは頑張って褒める。
皆さん、苦闘してくれたんだな。
まったく、東宮の思い付きに、なんであたしがこんなにフォローしなくちゃならないんだ!
「はいじゃあ、左衛門督」
と東宮が掌で指した。
はい、と若い、あたしや東宮と同じくらいの年の公達が、ちょっと緊張した表情で言った。
「えーと、料理自体が初めてで、皆目見当もつかず…
司厨長と相談いたしまして、炒ってみてはどうだろうと。
あまり美味しくなかったんですが…他に思いつかず」
すこし笑いが漏れる。
いやいや、あなただけじゃないから、苦労したのは…
「香ばしそうで、とてもいいと思いますわ。
焦げ目がつくまで炒ってしまっても良かったかもしれません」
あたしはなんとかコメントを絞り出す。
「じゃあ、それぞれ食べてみようか。
すぐに私と姫の料理がでますよ」
東宮は上機嫌に言って、あたしに笑いかける。
兄上は私が月子姫と何かするのがお気にいらないのさ…
いつまでも子ども扱いで参ってしまうな」
後半の台詞は、独り言のように口の中で呟く。
まあね、あたしと東宮が二人で何かするっつったら、そりゃ心配でしょうよ。
道理が通じない猪突猛進が二人、どこ行くかわかんないわ。
「左近衛中将は月子姫の許嫁なんだから、ここに参加するのは当然じゃないですか」
あっけらかんと権中納言様が言い、そうですよね…という雰囲気が漂う。
一瞬、東宮の表情が険しくなる。
それからまた、すぐにいつもの人好きのする笑顔に戻って、料理長に声をかける。
「さあ、せっかくの料理が冷めてしまう。
司厨長、皆に配膳して」
「はっ」
料理長はまた頭を下げ、女房さん達に指図する。
女房さん達はお膳を捧げ持ち、配って回る。
あたしのところにも、式部さんが持ってきてくれた。
いくつか小さな容器が並んでいて、それぞれに少しずつ料理が盛ってある。
あれ、あたしのがないな。
と思っていると、東宮が几帳を少しずらして、自分だけあたしから見えるようにした。
「月子姫の枝豆料理は、進行の都合上、後ほど出しますよ。
えー、膳の上の左から、右近衛大将…これは?」
青鈍の直衣を粋に着こなした右近衛大将様は、困ったように笑った。
「えー…お題が難しくてですね、我が家の司厨長も困じ果てまして…結局、茹でて強飯に混ぜました」
と頭をかく。
「色が綺麗で、美味しそうですわ」
とあたしは言う。
この時代、あまり枝豆って普及してなかったみたいだから、難しいよね。
東宮も意地悪な課題を出したものだわ。
東宮はあたしの方を見て、少し笑って頷いた。
それから「次は、権中納言」と、権中納言様を見る。
権中納言様は「これが枝豆という植物だと、初めて知ったような次第でして…他の根菜と一緒に蒸しただけです。塩か醤か…で食べてください」と真面目な顔で言った。
「根菜に合わせられたところが、良いと思います。
食感が変わって、食べやすいですわね」
とあたし。
「では次…兵部卿」と東宮が言う。
この中では最年長に見える、落ち着いた穏やかな雰囲気の兵部卿様は苦笑する。
「私も妻と司厨長と一緒に頭を悩ませました。何しろあまり流通していないでしょう。
それで、汁物はどうかと…茹でてすり潰して、塩湯に入れました」
「枝豆のすり流しですわね。
これも発色が美しいです」
あたしは頑張って褒める。
皆さん、苦闘してくれたんだな。
まったく、東宮の思い付きに、なんであたしがこんなにフォローしなくちゃならないんだ!
「はいじゃあ、左衛門督」
と東宮が掌で指した。
はい、と若い、あたしや東宮と同じくらいの年の公達が、ちょっと緊張した表情で言った。
「えーと、料理自体が初めてで、皆目見当もつかず…
司厨長と相談いたしまして、炒ってみてはどうだろうと。
あまり美味しくなかったんですが…他に思いつかず」
すこし笑いが漏れる。
いやいや、あなただけじゃないから、苦労したのは…
「香ばしそうで、とてもいいと思いますわ。
焦げ目がつくまで炒ってしまっても良かったかもしれません」
あたしはなんとかコメントを絞り出す。
「じゃあ、それぞれ食べてみようか。
すぐに私と姫の料理がでますよ」
東宮は上機嫌に言って、あたしに笑いかける。
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