三日夜の餅はハイティーと共に

Dry_Socket

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第五章 四人きょうだい

11.次回の約束

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 「こちらの高坏に盛ってあるのが、普通のクッキー。
 麦の粉に山鳥の卵と蜂蜜と胡麻油を少し混ぜて、オーブンで焼いたの」

 「で、こちらが、玄米粉クッキー。
 玄米を挽《ひ》いて粉にしたものでクッキーにしてみたの。
 わたくしたち皆、二の姫みたいな病にかかる可能性があるんだから、なるべく玄米を摂らなくちゃね。
 しかも美味しく食べられたらいいと思って作ってみました」

 「義光とゆらちゃんが、頑張って作ってくれました。
 ありがとう」
 あたしはクッキーの説明をし、義光とこの場にはいないゆらちゃんをねぎらった。

 皆はクッキーを眺めて、「いただきます」と言い、口に入れる。
 ん!!
 って感じで、顔を見合わせるのが面白い。

 「おいっしい!ですよこれ」
 伊靖君があたしと義光を見て言う。

 「この歯ざわり?がとても良いです。
 玄米も美味しく食べられます」
 二の姫は玄米クッキーをかじって目を丸くしている。

 「こんな美味しいもの…この世の中にあるんですのね…」
 縫姫はうっとりと微笑んで言う。

 あたしは義光と右手を高く上げて打ち合わせる。
 よっしゃ!

 乳製品が入ってないので、蕎麦ぼうろに近いかな。
 牛舎に、一頭くらい乳牛飼っちゃダメかなあ?

 食べ盛りの五人で、あっという間にクッキーはなくなってしまった。
 うん、二の姫もたくさん食べたね。
 善き善き。

 「またいろいろ作って、水無月会に出すわね。
 定期的に開く予定だけど、基本的に伊靖と義光のお仕事の手が空くときかな」

 「ああ、そういえば、三日後が庚申待こうしんまちですよね。
 水無月会で過ごしませんか」
 と伊靖君が思いついたように言った。

 ああ…庚申待…
 庚申の日に眠ると、三尸さんしとかいう三匹の虫が天帝に告げ口して寿命が縮むとか言って、眠らずにどんちゃん騒ぎするやつね。

 前回はめちゃくちゃ退屈で、バカバカしい非科学的な行事に納得できず何度揺り起こされても寝ちゃったんだ。
 寿命が縮むったって、あたしもう死んでるし。

 「宮中で庚申待しなくていいの?」
 とあたしは訊いた。

 前回はそうだったじゃん。
 お殿様もいなかったし。
 だからお屋敷の中は閑散として静まり返ってて、やることもなくてつまらなかった。

 「ああ、結構いない人も多いですよ。
 他でやりますって言えばいいんです。
 じじいどもの昔の自慢話を、しかも同じ話を何度も聞かされるだけで面白くもなんともない」
 義光がこき下ろす。
 
 伊靖君も
 「中宮がまた、あまり面白みのない真面目な方で。
 何しても盛り上がらないんだよね」
 とため息をつく。
 ははあ…この子たちも大変なんだな、意外と。

 「判ったわ。じゃあ、次回は三日後の夜ね。
 幾望会でやろうかと考えてる遊戯があるのよ。
 お試しでやってみましょう」

 「お、それは楽しみです!
 宮中では、次回の幾望会への参加希望が殺到しているようですよ。
 東宮殿下が、参加者は厳選するとか勿体ぶっておっしゃっていますが」

 東宮が大好きなシチュエーションだよね。
 まったく、感心するほどプロデュースが上手だわ。

 というわけで、楽しく第一回の水無月会は終わった。
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