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第十章 裁きと除目と薫物合わせ
3.判決
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その頃あたしは部屋で、矢継ぎ早にもたらされる報せを、二の姫や縫姫と一緒に聞いていた。
内侍さんは元信様の依頼で、お殿様と一緒に宮中へ行った。
すごい…
あたしも二の姫も縫姫も、あまりの展開に息を呑む。
若公達で証拠を集め、それを立証する証人を捕らえたり呼んだりし、遂に関白と太政大臣を断罪した。
若公達の中には、太政大臣側にいる左大臣の息子である元信様やお兄様を始め、太政大臣の息子の蔵人頭様、関白の甥である右近衛大将様など、身内を裁くための証拠を集めていた人もいたのだ。
それだけ、主上や東宮に厚い信頼を寄せているってことなんだろうけど…
あと、若い正義感みたいなものもあったのかもしれないけど…
蔀の外がしらじらと明るくなるころ、判決が出た。
関白…流罪
太政大臣…有罪だけど、出家したので罰は無し
右兵衛督様・暁の上…二人一緒に配流
命婦さんと弓矢の名手と関白の家臣には、また追って沙汰があるという。
あと、右兵衛督様を東宮御所内に手引きした女房さんも、罪に問われている。
関白の流罪はちょっと重すぎるのでは…という意見も出たらしく、また協議するという。
都の中で幽閉されるかもしれないとのこと。
厳しさにおいてはどっちもどっちだなあ…
暁の上と右兵衛督様は一緒に居られることになったんだ…
罪人としてだけど、仲良く家庭を築いて欲しいな。
そして、最後に来た使者は「延び延びになっていた除目と大臣任免を一緒に、今日の夕刻から行うそうです。お殿様はそれが終わってからご帰宅あそばします」と伝えてまた宮中へ戻っていった。
う、げーっ!
だって、もう朝だよ?!
これから人事決めて準備して、夕方には新しい大臣とか任命しちゃうの?!
うわ…事務官の方たち、死ぬな…
ご苦労様でございます。
物凄い展開に、あたしは自分の初夜のこととかぜんっぜん忘れ果てていた。
二の姫に「お姉様…残念でございましたね…でも、左近衛中将様のご活躍で東宮様の冤罪も晴らされましたし…」と頬を赤らめながら言われて思い出した。
あっそうだ!
ちょっとどうなってんのよ!
と怒っていると、元信様から急ぎの文が来た。
内侍さんがいないから返事書けねえぞ、あたし意地でも書かないぞ。
と思いながら文を開くと、元信様の硬質な筆致で、謝罪と愛の言葉が切々と綴られていた。
もう…しょうがないなぁ…
あたしは手紙を見ながらにやけてしまう。
そこへ続々と公達からの文が届く。
何だよ皆ヒマだなあ…なんて思いながら、とりあえず全部開いて読む。
皆、書いていることは大体同じだった。
まあ、同じ裁きの場に皆、一緒に居たわけだから当然っちゃ当然だけど。
主上の、月子姫を守ろうとする執念が一番凄かった、と書かれてあった。
東宮も月子姫を謀反の教唆という訳わかんない罪に陥れようとした関白に、情け容赦なく言い募っていたと。
うーん。
有り難いけど…これから、この話はどうなるのかなあ。
あたし、無事に元信様と三日夜の餅をできるのかしら…
内侍さんは元信様の依頼で、お殿様と一緒に宮中へ行った。
すごい…
あたしも二の姫も縫姫も、あまりの展開に息を呑む。
若公達で証拠を集め、それを立証する証人を捕らえたり呼んだりし、遂に関白と太政大臣を断罪した。
若公達の中には、太政大臣側にいる左大臣の息子である元信様やお兄様を始め、太政大臣の息子の蔵人頭様、関白の甥である右近衛大将様など、身内を裁くための証拠を集めていた人もいたのだ。
それだけ、主上や東宮に厚い信頼を寄せているってことなんだろうけど…
あと、若い正義感みたいなものもあったのかもしれないけど…
蔀の外がしらじらと明るくなるころ、判決が出た。
関白…流罪
太政大臣…有罪だけど、出家したので罰は無し
右兵衛督様・暁の上…二人一緒に配流
命婦さんと弓矢の名手と関白の家臣には、また追って沙汰があるという。
あと、右兵衛督様を東宮御所内に手引きした女房さんも、罪に問われている。
関白の流罪はちょっと重すぎるのでは…という意見も出たらしく、また協議するという。
都の中で幽閉されるかもしれないとのこと。
厳しさにおいてはどっちもどっちだなあ…
暁の上と右兵衛督様は一緒に居られることになったんだ…
罪人としてだけど、仲良く家庭を築いて欲しいな。
そして、最後に来た使者は「延び延びになっていた除目と大臣任免を一緒に、今日の夕刻から行うそうです。お殿様はそれが終わってからご帰宅あそばします」と伝えてまた宮中へ戻っていった。
う、げーっ!
だって、もう朝だよ?!
これから人事決めて準備して、夕方には新しい大臣とか任命しちゃうの?!
うわ…事務官の方たち、死ぬな…
ご苦労様でございます。
物凄い展開に、あたしは自分の初夜のこととかぜんっぜん忘れ果てていた。
二の姫に「お姉様…残念でございましたね…でも、左近衛中将様のご活躍で東宮様の冤罪も晴らされましたし…」と頬を赤らめながら言われて思い出した。
あっそうだ!
ちょっとどうなってんのよ!
と怒っていると、元信様から急ぎの文が来た。
内侍さんがいないから返事書けねえぞ、あたし意地でも書かないぞ。
と思いながら文を開くと、元信様の硬質な筆致で、謝罪と愛の言葉が切々と綴られていた。
もう…しょうがないなぁ…
あたしは手紙を見ながらにやけてしまう。
そこへ続々と公達からの文が届く。
何だよ皆ヒマだなあ…なんて思いながら、とりあえず全部開いて読む。
皆、書いていることは大体同じだった。
まあ、同じ裁きの場に皆、一緒に居たわけだから当然っちゃ当然だけど。
主上の、月子姫を守ろうとする執念が一番凄かった、と書かれてあった。
東宮も月子姫を謀反の教唆という訳わかんない罪に陥れようとした関白に、情け容赦なく言い募っていたと。
うーん。
有り難いけど…これから、この話はどうなるのかなあ。
あたし、無事に元信様と三日夜の餅をできるのかしら…
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