三日夜の餅はハイティーと共に

Dry_Socket

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第十二章 終わらない物語

11.香織という人間

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 元信様はあたしを引き寄せて抱きしめた。
 「今は理解できなくても、学習します。
 香織がいた世界の話を、これからいろいろ聞かせてください」

 真面目な人だなあ…
 あたしという人間を、まるごと理解しようとしてくれる熱意を感じて、すごく嬉しかった。

 「ありがとう…
 わたくしが、元の世界でいかにダメな人間だったかをも話さなくちゃならないのがつらいわ」
 あたしはまた自嘲気味に話す。

 え?と言って元信様はあたしの肩を持って顔を覗き込む。
 「そうなのですか?
 香織が?まさか!」

 心底驚いたような元信様の顔を、あたしは自分の掌で覆って隠す。
 「そうなのですわ。
 幼いころからずっと、友人も恋人もいなくて得意なことも趣味もなく、勉強もできずに大学浪人。
 顔も性格も可愛くない、出来損ないです」

 元信様は自分の顔を覆っているあたしの手を、ゆっくりとはずしてしっかり握る。
 「だけど今は違いますよ。
 私がいて、主上や東宮殿下やその他の公達もいる。
 薫物ができて算学に長けていて、素晴らしい創意工夫にあふれていて、心優しい。
 香織の姿形は確かに伊都子姫だが、その顔に浮かぶ可愛らしい表情や愛らしい仕草は、香織本人のものだ」

 「私の心から愛する人を、そのように言わないでください」
 片目をつぶって笑う。

 あたしはなんだかすごく嬉しくて、うつむいた。
 思っていもいなかった優しい言葉に涙が零れる。

 「香織…」
 元信様は指であたしの涙を拭い、顎に手をかけて仰向かせた。

 「一生をかけて香織を理解するように努力します。
 私とずっといっしょにいてくれますか」

 あたしは目を閉じて、うなずいた。
 良いのかな、こんなに幸せで…

 元信様は、あたしの唇に優しくキスする。
 頬にキスし、耳を優しく噛んで首筋に舌を這わせる。

 あたしは自分から、褥の上に身を横たえる。
 元信様は「香織…」と囁きながらあたしの上に覆いかぶさる。
 
 元信様は大殿油の灯りを絞って「本当は明るいまましたいんですが…」とあたしを眺める。

 嫌だよ!
 恥ずかしい!

 「もうちょっと痩せないとダメ!」
 思わず強く言うと
 「そういうところが本当に可愛い」
 と処置なしの反応が返ってくる。

 抱きしめあって深く口づける。
 たくさんの服を互いに脱がせあって、次第に興奮が増していく。
 
 「香織、声を出して…可愛い声を聴かせて…」
 元信様が荒い息づかいの中で言う。
 
 あたしはイヤイヤするように首を振る。
 だけど、元信様が乳房を強く吸うと、我慢できずに声が漏れる。

 「可愛いよ…香織」
 元信様の声が聴こえ、それからあたしたちはひとつになった。
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