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悪役令嬢の侍女アネッテの暗躍。
しおりを挟むお嬢様至上主義のアネッテ――少々口が悪いです。
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ウチのお嬢様は世界一可愛い。誰が何と言おうとだ。可愛さが天元突破していると思うんだけど、中々その意見に賛同してくれる人はいない。
私は一日中、お嬢様の好きな所や可愛い所を喋ってられるんだけど『そこまで付き合えない』って言われる事が多いんだよねぇ?何でだろう。
というか、そう言われて付き合ってた男――3人に振られてる。同僚はそのお嬢様至上主義をなおさない限りお嫁にいけないよ?って言って来るし……。じゃあ結婚しなくていいわ!!って言えればそうしたいんだけど……。
両親に孫の顔を見せたいのよね。一応。
ただ、結婚しても、お嬢様のいるこのお邸に住みたい――つまり伴侶が出来たら敷地内にあるタウンハウスに住みたいのだ……。
それには、同僚と結婚しないといけない訳ですよ。外部の人間と結婚した場合は外に家を借りないといけないからね。
で、料理人のジャックとか、執事見習いのアディとか、庭師見習いのロックとかと付き合った訳。で、さっき言ったように『そこまで付き合えない』っていわれて振られたと――。
次は誰と付き合えばいいのさ。独身で若い男には大抵可愛い彼女がいるものだ。年が上のオジサマ達は大抵結婚しちゃってるし。略奪愛なんて下種な真似はしたくない。
そんな事したらお嬢様に嫌われちゃうもの。絶対に嫌だ。
この問題は、私にとって大事な事だったけど、ある日――もっと大問題が起きそうな事を知ったの。それは、お嬢様を傷付けて貶めようとする悪意よ……。許したり出来るもんですか、あのアバズレ!!
マリ―ロッテ――
あの女が根性悪いのは知ってたけれど、ここまで腐ってただなんて……。
ハッキリ言ってしまえば、お嬢様の魅力を知ろうともしないバカ王子も嫌いだけれど、あの女だけは許せない――……けど、私がお嬢様の弁護をした所で『可哀想に――言わされてるのね?』と周囲から言われる事は確実――え?何故かって??試したらそうだったからに決まってるじゃない!!腹立つわ――っ!!!
もう少しでガチ切れしそうだった所を幼馴染で、この学園の特待生でもあるテッドに助けられた訳だけど。『ガチ切れしてたって知られたら、お嬢サマに嫌われるんじゃねぇの?』そう言われて我に返ったのよね。
お嬢様の中の私って、優しく微笑む『お姉さん』??って言うの??そんな感じだからさぁ、やっぱりそのお姉さん像を壊したく無いのよねぇ……。
あ!そうか、テッドだわ!!
私は、テッドが発明した物を思い出した。
『宵闇の錬金術師』――テッドの別名なんだけど……発明家としての名前よ?『チュウニ臭い所が二つ名としては正解だよな?』とか良く分からない事を言ってたけど、そこはどーでも良いわ。
私は早速、テッドの住処と化している研究室へと殴り込み――じゃなかった……訪ねて行ったわ。
「で?寝てる俺を叩き起した理由がそれか?」
「うん。で、何処に仕掛ければ良いかしら??」
半眼になってるテッドを横目に見ながら、コーヒーを淹れてやる。
給仕に関してはプロだから、美味しいぞ?――有難く思うといいよ??
テッド専用の研究室は相変わらず雑然としていて汚い。けど、テッドなりの法則性があるから基本は他人に触らせないんだよね……。
私は慣れてるので、その法則を逸脱しない程度に見栄え良く整えてやった。
「知らない間に協力する事になってるんだが……」
「何よ。協力してくれるんでしょ??それとも、ご褒美とか欲しい訳?デートでもしてあげよっか??」
頭痛ェとか言いながらそんな事を言うテッド。
でも何だかんだ言って、私のお願いは聞いてくれるよね……。知ってる知ってる。長い付き合いだからねぇ……。
「……だったら、俺と結婚しろよ」
うん?私は小首を傾げてテッドを見た。
テッドは真っ赤な顔をして――どうせ、してくれないだろう??と言わんばかりに私を見ている。そう言えば、コイツ――私が振られる度に告白してきてたっけ。
軽い感じの告白だったから、テッド流の慰め方だと思ってたけど――もしかしてアレ本気だったのかな??
しかし、いきなりプロポーズか……。
告白は印象に残らなかったけれど、これは流石に無視はしちゃダメなやつだよね??
ふむ――。
私はじーっとテッドを見た。
ボッサボサの頭だけれど、顔はまぁ良い方だ。グッダグダの白衣を着ているけれど、アイロン掛けて無いだけでちゃんと洗濯しているから、変な匂いとかしないし。
天才発明家の嫁とか面倒くさそうではあるけど――今までの彼氏でちゃんとお嬢様の話を最後まで聞いてくれる人はいなかった。テッドは作業しながらでも最後まで聞いてくれる。そんな状態なら生返事かと思うけど、そんな事もないんだよねぇ。それからポイント高いのが、余計なアドバイスとかしないコト。
どう思う?って聞いた時だけ、ちゃんと考えて答えてくれるんだよ――あれ?優良物件??
「……――良いわよ。結婚しても」
「はっ!そうだよな――無理だって――……え?」
テッドがポカンと大口を開けてアホ顔を晒しているわ……。
そんなに驚く事無いじゃない……。テッドの事は嫌いじゃ無いし――というか、打算で付き合った今までの彼氏より好きだし。私の性格だって丸バレしてるから、気どる必要だって無いし?
テッドの馬鹿な所とか発明以外の生活能力が低い所とか知ってても、可愛いとか思えなくもないし――……あれ?私って結構テッドの事が好きなのかしら??
なんだか、顔が熱いわ……。
「何よ。良いって言ったのよ。だけど、条件があるわ。私は公爵家のタウンハウスに住みたいの――出来る?」
「――それだけで良いんだな?何とかする!!」
ガバッと立ち上がったテッドに、いきなりキスされたんだけど?!
思いっきりビンタしたわよ。まだそこまで許可してないもの!!テッドは痛そうな癖にヘラヘラ嬉しそうに笑ってたわ――。打たれたのに笑ってるのって大丈夫かしら?変な性癖に目覚めて無ければ良いんだけど……。
――お嬢様の問題を解決する前に、何故だか私の結婚が決まったわ。何でかしらね……。
けど、結婚をエサにした所為か、テッドの頑張りは目を瞠るものがあったのよね……。そんなに私の事が好きだったの??告白を本気にしなくて悪かったかも……流石にそんな事を思ったわ。
テッドは、マリ―ロッテに騙されてるバカ王子達に『マリ―ロッテに内緒』で証拠を撮る事を進言したのよ……。優しいマリ―ロッテが、従姉を売るような事は出来ないだろうから――こちらで証拠を揃えるべきだって言ってね??
まぁ、見事に信じたらしいわよ。そんなに簡単に信じるなんて大丈夫かしら?と不安になったわ。
けど、感謝して貰っても良いと思うのよね――。女狐に騙されそうな所を助けてあげるようなものだもの。
計画?予想以上に上手く行ったわ!!
あの女の泣き顔に胸がスーっとしたし……。お嬢様が恥ずかしさに悶える姿も堪能――いやいや、お嬢様に恥ずかしい思いをさせてしまったのは申し訳無かったけれど『悪役令嬢』って言うお嬢様への偏見を一気に払拭出来たと思う。ただ、想定外の事もあったのよね。
バカ王子――
何を思ったのか、お嬢様の真実の姿に一目惚れしたらしいのよ。
分かるわぁ――お嬢様の可愛さは、悩殺レベルだものね?けど、腹立つのよ――。今まで散々婚約者として傍にいたわけでしょ?その間、お嬢様の魅力に気が付きもしてなかったのよ、アイツ。なのにこんなにアッサリ陥落してあんなちょっとの謝罪だけで許されるとでも思ってんの?ブッ殺すわよ??
でもさぁ……お嬢様、アイツの事――好きなのよねぇ……。
そうじゃなかったら、抹殺してたわよ。はぁ……。結局、お嬢様とバカ王子の婚約は継続になったし。けど、絶っっ対にスグに許してなんてやるものか。例えお嬢様が許したとしても『エヴァンジェリン様見守り隊』初代名誉顧問となった私が許さないんだから!!
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アネッテはテッドに酷めですが、ちゃんと好きです。
ただ――お嬢様 > テッドな状況……。
死ぬまでお嬢様の傍に居られるようにと考えた結果、同僚とお付き合いしてみたり。テッド的には、心折れそうな状況でのプロポーズOKだったので、さぞかし嬉しかった事でしょう……。
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