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悪役令嬢エヴァンジェリンの結末。
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それからの話をしよう。
マリ―ロッテは、優しいエヴァンジェリンを貶めようとした悪女として有名になった。縁談は無くなり、周囲の視線に耐えきれなくなった彼女は学園を辞め、今は領地に引き籠っている。
マリ―ロッテの母親も、散々エヴァンジェリンの悪口を言っていたのに蓋を開けてみれば悪役に相応しいのは自分の娘――という状態で、とても社交界に出られる状態では無く、こちらも領地に戻ったようだ。
エヴァンジェリンとマリ―ロッテのの祖母も、学園での件が噂となり肩身が狭い状況だ。こちらは持ち前の矜持の高さから気にしていない振りを続けていたが、心労が祟り遂には体調を崩した……。
最近は邸宅ですっかり意気消沈した様子だと言う。
セドリックは、父親に怒られ、エヴァンジェリンの父親からもチクチクとお小言を言われたが、謝罪し自分がいかにエヴァンジェリンを愛しているかを力説した。
力説し過ぎて、公爵がゲンナリするほどだった。一応、熱意は買って貰えたらしい。婚約の継続は認められ、結婚の時期もエヴァンジェリンが拒否し無ければ早まる事になった。
とは言え、それだけで赦される筈も無い。セドリックには一ヶ月間の謹慎と、その後1年間の奉仕活動が義務付けられた。
マリ―ロッテを守るように立っていた子息達は、行き過ぎた感情をマリ―ロッテに抱いていた令息一人が婚約破棄されて廃嫡されたが、正義感からセドリックに従った者達はエヴァンジェリンに謝罪した後、セドリックと同じように1年間、奉仕活動に従事する事で決着がついた。
今回の事は彼等にとって、自身を過信していたが故の過ちを認める機会になった。物事は見たままであると盲信するような事はもうしないだろう。
実際、彼等の中には冤罪を防ぐ事に人生を捧げた弁護士になった者もいたのだから……。
巷では、今回の件を題材にした劇が人気だ。
学園の生徒の中に劇作家の娘がいた事がその理由で、彼女はこの逆転劇にいたく感動して、父親に手紙を書いたのだった。
かつて人気であった、ヒロインが悪役令嬢を断罪する演目は目に見えて減っている。
後にセドリックは悪役令嬢とヒロインという関係性に疑問を感じ、歴史書などを紐解き一つの結論に達した。
それは、悪役令嬢とされた何人もの女性の中の幾人かが、冤罪であったと言うものだ。実際に悪役令嬢と呼ぶべき者達がいたのは事実――けれど、時の権力闘争の犠牲者であった人物がいたのである。
セドリックは、すでに亡くなってしまっているその幾人かの名誉を回復させた。また、連座で家を取りつぶされた者達の子孫を探し出し、必要であれば貴族としての権威を復活させた。まずは1代限りの名誉貴族であるが、功績を積めば子供達に貴族位を残せる貴族となれる。
この方法をとったのは、彼等の先祖が冤罪を掛けられたのが数百年は前だったからだ。今まで貴族として生きて来なかったのである……。いきなり貴族となれと言われても、暮らしようがないのが実情だ。
セドリックは、教育係の派遣なども行ったが、物事には限界があったと言える。
現に自身の生活を確立している子孫たちの多くは、貴族位を拒否し賠償金のみを受け取った。ただ、祖先の名誉を回復してくれた事をセドリックに感謝をしていた。
『悪役令嬢、ヒロインとは何だろうか――』
顔が悪役令嬢みたいだと言うだけで、その人となりが決まるのか??顔がヒロインのようだと言うだけで、その心根も美しいのか――?
セドリックはそこに疑問を持った――どちらもどちらたり得るのだとセドリックは話している……。
”愛する妻をかつて傷付けた自分だからこそ、気が付けたのだと――どちらも、見た目で判断するべきでは無い。その心根は外見では推し量れない。悪役令嬢という見方をしていた時に、自分は妻の魅力を知らなかった。
可愛らしく笑う事も、少し恥ずかしがり屋な所も何一つ知ろうともしなかった。
それは、悪役令嬢と言うフィルターに全てを通して見ていたからだ。それを取り払って貰った時に真実の姿が見えた――逆に、苛められていると泣いていた少女が妻を陥れようとしていたのだと知ったのだから……”
つまり、思い込みは認知を歪める――セドリックはそう言ったのだった。
悪役令嬢と呼ばれたかつての少女はもういない。
夫と子供に囲まれ、幸福そうにしている女性がいるだけだ……それだけは確かであった……。
___________________________________________________________________________________
エヴァンジェリン編は終了(おまけの話は予定してます)――ちょっとアッサリな感じですが、次はお嬢様至上主義の侍女の話(一人称)です……。
マリ―ロッテは、優しいエヴァンジェリンを貶めようとした悪女として有名になった。縁談は無くなり、周囲の視線に耐えきれなくなった彼女は学園を辞め、今は領地に引き籠っている。
マリ―ロッテの母親も、散々エヴァンジェリンの悪口を言っていたのに蓋を開けてみれば悪役に相応しいのは自分の娘――という状態で、とても社交界に出られる状態では無く、こちらも領地に戻ったようだ。
エヴァンジェリンとマリ―ロッテのの祖母も、学園での件が噂となり肩身が狭い状況だ。こちらは持ち前の矜持の高さから気にしていない振りを続けていたが、心労が祟り遂には体調を崩した……。
最近は邸宅ですっかり意気消沈した様子だと言う。
セドリックは、父親に怒られ、エヴァンジェリンの父親からもチクチクとお小言を言われたが、謝罪し自分がいかにエヴァンジェリンを愛しているかを力説した。
力説し過ぎて、公爵がゲンナリするほどだった。一応、熱意は買って貰えたらしい。婚約の継続は認められ、結婚の時期もエヴァンジェリンが拒否し無ければ早まる事になった。
とは言え、それだけで赦される筈も無い。セドリックには一ヶ月間の謹慎と、その後1年間の奉仕活動が義務付けられた。
マリ―ロッテを守るように立っていた子息達は、行き過ぎた感情をマリ―ロッテに抱いていた令息一人が婚約破棄されて廃嫡されたが、正義感からセドリックに従った者達はエヴァンジェリンに謝罪した後、セドリックと同じように1年間、奉仕活動に従事する事で決着がついた。
今回の事は彼等にとって、自身を過信していたが故の過ちを認める機会になった。物事は見たままであると盲信するような事はもうしないだろう。
実際、彼等の中には冤罪を防ぐ事に人生を捧げた弁護士になった者もいたのだから……。
巷では、今回の件を題材にした劇が人気だ。
学園の生徒の中に劇作家の娘がいた事がその理由で、彼女はこの逆転劇にいたく感動して、父親に手紙を書いたのだった。
かつて人気であった、ヒロインが悪役令嬢を断罪する演目は目に見えて減っている。
後にセドリックは悪役令嬢とヒロインという関係性に疑問を感じ、歴史書などを紐解き一つの結論に達した。
それは、悪役令嬢とされた何人もの女性の中の幾人かが、冤罪であったと言うものだ。実際に悪役令嬢と呼ぶべき者達がいたのは事実――けれど、時の権力闘争の犠牲者であった人物がいたのである。
セドリックは、すでに亡くなってしまっているその幾人かの名誉を回復させた。また、連座で家を取りつぶされた者達の子孫を探し出し、必要であれば貴族としての権威を復活させた。まずは1代限りの名誉貴族であるが、功績を積めば子供達に貴族位を残せる貴族となれる。
この方法をとったのは、彼等の先祖が冤罪を掛けられたのが数百年は前だったからだ。今まで貴族として生きて来なかったのである……。いきなり貴族となれと言われても、暮らしようがないのが実情だ。
セドリックは、教育係の派遣なども行ったが、物事には限界があったと言える。
現に自身の生活を確立している子孫たちの多くは、貴族位を拒否し賠償金のみを受け取った。ただ、祖先の名誉を回復してくれた事をセドリックに感謝をしていた。
『悪役令嬢、ヒロインとは何だろうか――』
顔が悪役令嬢みたいだと言うだけで、その人となりが決まるのか??顔がヒロインのようだと言うだけで、その心根も美しいのか――?
セドリックはそこに疑問を持った――どちらもどちらたり得るのだとセドリックは話している……。
”愛する妻をかつて傷付けた自分だからこそ、気が付けたのだと――どちらも、見た目で判断するべきでは無い。その心根は外見では推し量れない。悪役令嬢という見方をしていた時に、自分は妻の魅力を知らなかった。
可愛らしく笑う事も、少し恥ずかしがり屋な所も何一つ知ろうともしなかった。
それは、悪役令嬢と言うフィルターに全てを通して見ていたからだ。それを取り払って貰った時に真実の姿が見えた――逆に、苛められていると泣いていた少女が妻を陥れようとしていたのだと知ったのだから……”
つまり、思い込みは認知を歪める――セドリックはそう言ったのだった。
悪役令嬢と呼ばれたかつての少女はもういない。
夫と子供に囲まれ、幸福そうにしている女性がいるだけだ……それだけは確かであった……。
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エヴァンジェリン編は終了(おまけの話は予定してます)――ちょっとアッサリな感じですが、次はお嬢様至上主義の侍女の話(一人称)です……。
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