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しおりを挟むさて、お兄様とエドワルド様のその後のことを知るにはどうしたものかしら。
とりあえず、ライザと医師の先生が戻ってくるまでは待っていよう。
お兄様のアガルト・フォン・シュツットは、この国の王家で唯一の直系男子。容姿は金髪碧眼で二重のお目々パッチリさん。鼻は高くて、優しいお顔つき。まさに王子様フェイスって感じで、身長も同年代の子達よりも10cmは高い。
エドワルド・エイガ様は、この国に3つある公爵家の一つ、エイガ家のご嫡男。
エドワルド様の容姿は、褐色肌で黒髪黒目。お兄様と一緒で二重だけれども、切れ長の目。全体的に彫りの深いお顔立ち。身長はお兄様と同じくらいか、それよりも少し高いぐらい。
前世的にいえば、とってもイケメンなお二人。
なんだけれども……みなさん、お気づきだろうか。
そう、お兄様とエドワルド様は、この世界においてとても見目が良くないとされているの。しかも、この国のなかでも1、2を争うほどに。
こんなに、イケメンなのに!!!(前世的には)
そんなもんだから、このお二人は今まで心無い言動をされてきたの。
王家と、公爵家の人間なのに!
もっとも、心無い言動をしてきた筆頭が、何を隠そう私なんだけどね!!! 王女で、絶世の美少女として有名な私が、徹底的にお兄様とエドワルド様をそんな扱いをしたものだから、周りの人達もそれに習って、段々とお二人を蔑ろに扱うようになってしまった。
私がそんなふうにする前までは、お二人の容姿について表立っては貶すようなことはなかったみたいだから、諸悪の根源は私。
あー、胃が痛い。
穴があったら入りたい。
私の黒歴史。
しかも、前世の記憶を取り戻す前までの私って性格がまじで悪かった。
侍女が少しでも気に食わなければ、適当な理由をつけてクビにしてたし、王女としての権力を振りかざして言いたい放題、やりたい放題していた。
だから、周りの人達は私のご機嫌取りに必死だった。そのことも、お兄様達を虐げることに輪をかけたのだと思う……
そんなこんなで、私は黒歴史を思い出しては羞恥のあまり、ベッドの上でジタバタしていたらライザが医師を連れて戻ってきた。
散々体調はどうかと聞かれ、何度も大丈夫だと答えているのに、頭は痛くないか、吐き気はしないか、腕は、足は、お腹は? と何度も何度もしつこく確認されて、ようやく開放された。
途中何度も、お兄様達のことを聞こうと思ったのに、そのたびにしつこく確認されて困った。
先生にお礼を言ったら、ライザと先生に驚いた顔をされたけれど「なんのなんの、お体に異常が無くて良かった」と部屋を出ていった。
先生が、帰ってくれたことでやっとライザにお兄様達のことを聞ける。
「ライザ、あのねお兄様達の怪我ってどうなったの?」
「アガルト様とエドワルド様ですか?」
ライザは一瞬怪訝な顔をして、どう答えようか悩んでいるみたい。
「まさか、私を庇ったせいで大怪我でもされたのっっ?」
夢のようなもので見た印象だと、細かな切り傷くらいかと思っていたけど、実はどこか大怪我されていたのかも。
あー、本当に申し訳なくて泣きそう。お二人は大丈夫かしら。
「いえ、多少切り傷はあったみたいですが、お二人ともお元気ででいらっしゃいましたよ」
「そう、良かったわ」
「…………」
「どうしたの、ライザ」
「いえ、何でもございません」
ライザは不思議そうな、なんとも言えない顔をしている。
はっ、もしかして、今までお兄様の心配なんてしたことない私が心配するのが怪しいのかもしれない。
「こほん。ライザ、お兄様に会いに行きたいから支度をしてくれる?」
「会いに行かれるのですか? お呼びになられるのではなく?」
「ええ、用があるのは私だもの。私がお兄様のもとへ行くわ」
ライザはまた怪訝な表情を浮かべる。そうよね、だって今までの私なら自分からお兄様に用があるときでも、呼びつけていたんだもの。そりゃぁ、怪訝な表情もしちゃうわよね。ほんとに今までの私って……第一王子に対してどんな態度を取ってたのよ。
「そう、ですか。ですが、今はアガルト様にお会いにはなれません。アガルト様は謹慎中で、西の塔にいらっしゃいますから」
「謹慎中……?」
「はい、ミリアリア様にお怪我を負わせた罰で……」
な、な、なんですってーーーーーー!?
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