珍・桑田少年の品定め

泉出康一

文字の大きさ
15 / 26

第15珍 『ラブライブファンに殺されそう。』

しおりを挟む
2045年9月13日、夕方(幸太郎達が矢里本の屋敷へ向かっている最中)、太平洋沿岸にて…

おじさん達が釣りをしている。

「んんん…⁈」

その時、おじさんの釣竿が獲物にヒットしたようだ。

「おぉ!これはデカいぞぉ!!!」

頑張るおじさん。張る釣り糸。

「ぬぐぐぐぐぐぐぅ…んなぁあ⁈」

しかし、あまりの引きの強さに、おじさんの手から釣竿が離れ、釣竿は海に引き摺り込まれた。

「あぁ~!オラの4万7千円がぁぁぁぁあ!!!」

おじさんが海を覗き込もうとしたその時、釣竿が海から投げ帰ってきた。

「え…⁈」

次の瞬間、一人の男が海から這い上がってきた。

「ぬごぁぁぁあ!!!バケモンでぃぃぃぃい!!!」

おじさんは4万7千円する釣竿だけを持って、その場から逃げた。
そして、海から這い上がってきた男は地面に横になった。

「ハァ…!ハァ…!ハァ…!ハァ…!」

その男の正体は、なんと、幸太郎と一緒にクイーン満足号に乗り込んだモカである。
墜落した飛行船から脱出し、自力で陸地まで泳いできたのだ。

「…しんどー…」

そこへ、一人の黒髪の女がやって来た。

「…お前か…」

その女は、以前ホテルで幸太郎達を襲ってきたスナイパー、バレットであった。
バレットはモカに拳銃を向けた。

「…撃てよ。」

しかし、バレットは撃たない。
モカはバレットの表情を見た。

「(コイツ、面倒臭い事考えてるな…)」
「私を弟子にしなさい。」

モカは体を起こした。

「風呂・服・飯、用意できたら考えてやる。」

夜、とあるホテルにて…

バレットはベッドに座りながら、銃の手入れをしている。
その時、風呂場からバスローブ姿のモカが出てきた。

「そこに置いてある。」

バレットは机の上に置いてある牛丼を指差した。
モカはベッドに座り、それを食べ始めた。

「…自信はあった。誰であっても…例え、標的が『Zoo』の殺し屋であっても、殺す事ができる。けど違った。私は組織内でも遥か格下。」

バレットは手入れ中の銃をベッドに置いた。

「教えてくれ。どうしたら、私は強くなれるんだ。」

モカは無視して牛丼を食べている。

「頼む。答えてくれ。」
「…向いてない…」

牛丼を食べながらモゴモゴ答える。

「は?」

口に含んでいた牛肉と白米を飲み込んだ。

「お前は殺し屋に向いてない。」

バレットは銃を取り出し、モカに向けた。

「私を侮辱しているのか?」
「殺し屋は強くなりたいなんて言わない。お前は暗殺というものを理解できてないんだ。」

バレットは銃を下げた。

「どういう事だ…?」
「お前は暗殺をスポーツか何かだと思ってる。」

次の瞬間、モカはバレットの持っていた銃を奪い、バレットに銃口を向けた。

「他者の人生を終わらせる。その者が積み上げてきた全てを奪う行為だ。」

モカはバレットに銃を返した。

「殺しはどこまで行っても殺し。芸術じゃない。」

バレットは黙って聞いている。

「お前がどういった経緯で『Zoo』に入ったかは知らん。だが、コレだけは言える。お前は向いてない。真面目すぎる。良い子ちゃんじゃこの仕事は務まらない。」

バレットは銃を眺めた。

「…私には、コレしか無いんだ…」

モカはベッドから降り、牛丼の容器をゴミ箱に捨てた。

「先ずは自分だけの武器を持て。」
「え…」
「瞬間記憶や気配察知程度、俺でも使える。『Zoo』の殺し屋は実力重視じゃない。個性重視だ。実力は後からついてくる。」
「教えてくれるのか…?」
「コレしか無いんだろ。」

バレットはこの時、初めて尊敬というものを覚えた。かつての市村と同じ。この人に着いて行きたい。そう思えた。

「ま、ハローワーク行けば仕事なんていくらでもあるけどな。」

モカは自身のスマホを見た。するとそこには、植松からの通知が表示されていた。

「…行くぞ。仕事だ。」
「え⁈ちょっと!鍛えてくれるんじゃないの⁈」
「見て学べ。元No.2の背中をな。」

深夜、研究所前にて…

ココは『ちんちん満足の会』が所有する研究所、満足研究所である。研究内容は主に、媚薬やサプリメント、大人のオモチャなどの開発である。

「ココかぁ…」

圭人は植松のスマホに入っていたGPS追跡アプリを使い、ここへたどり着いたのだ。

「どうやって入ろう…」

圭人は研究所門前の木の陰にいた。
研究所門前には、二人の監視がいる。

「アイツらぶっ殺して中入ろかな…あ!イカンイカン、僕の悪いトコ出てもうたわぁ。」

その時、何者かが圭人の後頭部に拳銃を突きつけた。

「おっが⁈」
「動くな。」

それはモカである。
モカとバレットも、植松からの連絡により、この場所を探り当てたのだ。

「何者だ。ココで何してる。」

圭人は失禁した。

「(一般人か…?)」

モカは読心術で圭人の心を読んだ。

「(海佳…幸太郎…ごめん…父さん、漏らしてもうた…今年で45歳やのに…)」

モカは銃を下ろした。

「お前、桑田圭人か。」

それを聞き、圭人は振り返った。

「え、俺の事知ってんの?」

満足研究所内にて…

幸太郎は珍太郎のAIが搭載されたタブレット端末を持って、とある部屋の前にたどり着いた。

「ココだよな…?」

幸太郎はドアを開けようとした。

「あれ…ドアノブがない…」

その時、タブレット端末から珍太郎の声が聞こえてきた。

〈拙者の端末を、そこのカードリーダーにピッってするでござる。〉

幸太郎はタブレット端末をカードリーダーにピッってした。
すると、ドアは開いた。

部屋の先にて…

幸太郎が部屋に入ってきた。
その部屋の中には、一人の全裸の男が台の上に拘束されており、身体には何本ものチューブが差し込まれていた。

「コイツが、ゴールデンクラッカー…」
〈拘束を外すでござる。〉

幸太郎は男が拘束されている台に近づいた。

「外すったってどうやって…」

幸太郎は男に差し込まれたチューブを次々と無理くり抜いていった。

「痛い痛い痛い痛い!!!」

男は目覚めた。

「あ、ごめん。」
「何すんねん!そんなんしたら痛いってワンチャン分かるやろ!」
「アンタが、ゴールデンクラッカー…?」
「え、そやけど。」
〈久しぶりでござるな。長岡氏。〉

長岡は幸太郎の持っていたタブレット端末を見た。

「その声…矢里本か⁈」

幸太郎は珍太郎の指示通りに長岡の拘束を解いた。そして、長岡に事情を説明した。

「とうとう二次元の人間になったんか。良かったな。夢叶って。」
〈そりゃもう最高でござるよ!拙者、毎晩毎晩アニメキャラとヤりまくってるでござる!この間なんかAqoursのズラ丸たんと夕陽が見えるビーチの片隅でセッ…〉

その時、幸太郎は声を上げた。

「あのぉお!!!時間ねーんだよ!頼む!協力してくれ!」

しかし、長岡は静かに言った。

「…力になれそうにない…」
「頼むよ!俺にできる事ならなんでもするからさ!」
「そやないんや…」

長岡は手を前にかざした。

「使えへんねや…『高痴漢技術サワレヤ』が…」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

処理中です...