障王

泉出康一

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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第19障『タレントの型』

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インキャーン王国、闘技場、選手用ベンチにて…

両チーム共、得点を得られないまま、第1クオーターが終了した。

「はぁ…しんどい…」

ナツカは始まって3分もしないうちからずっとしんどいと連呼している。

「アイツら、以外と強ぇですぜ。」

ニキの声は普段より少し小さい。タレントが使えず、自身の力不足に不甲斐なさを感じていたのだ。

「えっちゃ、次どーすんの?」
「とにかく、相手チーム全員のタレントがどういうものなのか、それをドピュっと探ろう。でないと、作戦の決めようがない。」

それを聞いたニキはあることを閃いていた。

「そダな。点取るよりも先ずはそれダな。」

2分の休憩の後、コート内にて…

ナツカはエンドラインから、ニキにボールをパスした。

「(俺はタレントを使えない。謂わば役立たずだ。)」
「へい!パース!!!」

ニキは大声でボールを呼ぶジャックにパスした。

「(それなら今は、相手のタレントを探る事のみに専念する。)」

その時、ワンチャが叫んだ。

「『鉄板メルター』!!!」

次の瞬間、パスコースに縦横50cmくらいの鉄板が現れた。

「んなッ⁈」

ニキが投げたボールは、突如として出現した鉄板に当たり、方向が変わった。

「(何だ…鉄板…⁈)」

ボールが向かった先にはシーオがいて、ボールをキャッチした。

「ナイスだ!ワンチャ!」
「シュートや!ワンチャン打てる!」

シーオはボールを宙へ投げた。

「『物操コンヒュ』!!!」

シーオはボールを操作し、ゴールまでボールを飛ばした。

「無駄ダ!微分魔ほ…」

その時、突然ナツカの動きが止まった。
そして、シーオの投げたボールは止められることなくゴールに入った。

「しゃあ!」

実況席にて…

「なんと!最初に点を取ったのはチーム『ハムパスタ』!シーオ選手です!しかも、スリーポイントシュート!」

コート内にて…

エッチャはナツカの元へ駆け寄った。

「えっちゃ、ナツカ!何してんねん!」
「……う!クロス!」

ナツカは何も無いゴールに向けて手をかざした。

「って、アレ?ボールは?」

ナツカはゴールを決められたことに気づいていなかった。
一方、ゴールを決めたシーオはチームメイトの1人とハイタッチを交わした。

「ナイスサポートだ。オナブ。」
「チョロいもんオナ~!」

ニキはその様子を見ていた。

「(アイツは確か、ナツカのだんなをマークしてた野郎…)」

エッチャはエンドラインから雷尿にパスを出した。

「『鉄板メルター』!!!」

しかし、またもやパスコースに鉄板が現れ、ボールに当たった。

「えっちゃ、やめろや!」

ワンチャは思うようにことが進んでニヤリと笑っている。
ボールは再びシーオが取った。

「『物操コンヒュ』!!!」

シーオはボールを操作し、ゴールへシュートした。

「今度こそ…!微分ま…」

その時、ナツカの動きが止まった。
また何もできずに、まんまとシュートを決められる。いや、今回は違う。

「(やはりコイツのタレントか!)」

そう。ニキは見ていたのだ。ナツカを。いや、ナツカにタレントをかけた者を。
バスケットボールでは普通、マーク対象とボール保持者、そして、ボール。これら3つに、特に注意を払う。その為、ボールのみを見ているという事はまず無い。しかし、その瞬間が一つだけある。
それはリバウンド時。リバウンドを取る者は上を見る。そしてボールに集中しなければ、ゴールにバウンドしたボールを取る事はできない。つまり、この瞬間だけ、ボールだけを見ている事になる。また、リバウンドに参加しない者も、そのシュートが決まったかどうかを見る必要がある。
オナブはその隙をついたのだ。

「(だから、誰も気づかなかったんだ。コイツが…オナブ・オナスが、ナツカのだんなにタレントを使っていた事を!)」

シーオのシュートは誰に邪魔されることもなく決まった。

「(そろそろオナね…)」

オナブがナツカの体から手を離すと、ナツカが動き始めた。

「…ほう!クロス…って!ダァ~⁈またダ!」

その時、ニキは叫んだ。

「ナツカのだんな!そいつに触れられたらまずいですよ!」
「あぁん?」
「アッシはずっと見てた。そいつがだんなの体に触れた途端、だんなは動かなくなったんでさぁ。」

ナツカはオナブを見た。

「コイツが…⁈」
「ぬっふふふ!やっと気づいたオナか?鈍いオナねぇ~。」

オナブはニヤニヤ笑っている。

「気持ち悪ぃ語尾しやがって…!」
「特別サービスで教えてやるオナ!俺っちのタレントは『人体の運行見合わせ報告パラライズ・ラグ』!触れた者の時を止める能力オナ!」

それを聞き、ニキとナツカは驚嘆した。

「(触れた者の時を…⁈)」
「(それで訳分かんなかったのか…)」

数秒後…

エッチャのエンドスローから試合は再開された。

「(えっちゃ、肝心な時に役立たずやねんな、ナツカは…)」

その時、叫び声が聞こえてきた。

「へーい!!!パースパース!!!ア~ハ~ハ~ン!!!」
「(まぁ、コイツよりはマシやけど。)」

エッチャはジャックにボールをパスした。

「ナァ~イスパァ~ス!!!」

今度は鉄板に邪魔されることなくパスが成功した。
ジャックはドリブルで敵陣まで攻め込んだ。

「アハ~!!!エースは俺やぁ~!!!」

その時、マツイがジャックの前に立ちはだかった。

「ここから先は行かせん!『蒼白色の巨人群ブルガードマン』!!!」

次の瞬間、マツイの前に青色の肌をした5m程の男が3体現れた。

「だりゃあ⁈」

実況席にて…

「ななんと!突如として3体の巨漢が現れましたが、アレはどういったタレントなのでしょう!メラさん!」
「アレは創造型のタレントですね。」
「創造型…?」
「はい。おそらく、自身のPSIでサーバントを具現化する類の能力だと思われます。」
「あの~、私の勉強不足ですみませんが、先ほどからメラさんが言っている操作型とか創造型とは、一体何ですか?」
「タレントには8種類の型があります。対象を操る操作型。物体を作り出す創造型。性質を付加する付加型。形や性質を変化させる変質型。対象を転移させる転移型。感覚器官の強化や追加を促す感知型。能力や物体、記憶などを保持する保存型。ある一定の空間や事象を支配する支配型。全てのタレントは、コレら8種類の型に分類されます。」

ナツカ達のタレントをコレら8種類の型に分けると次のようになる。

ナツカ『微分魔法』- 操作型
エッチャ『球丸マルク』- 変質型
雷尿『勃起ビルド』- 付加型
ジャック『感嘆の波動劇ラムダーハンド』- 創造型
ニキ - 不明

コート内にて…

「巨人達よ!奴を止めろ!」

その時、巨人達はジャックに向かって襲いかかってきた。

「全員コロース!!!ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!『感嘆の波動劇ラムダーハンド』!!!」

ジャックはボールを投げ捨てて、手を叩いた。

「えっちゃ、ボール離すなや!」

ジャックの拍手で衝撃波が生まれた。その衝撃波が巨人達を襲う。

「…」

しかし、巨人達はその風圧をものともせず、ジャックに襲いかかった。

「うそぉぉ~おん⁈」

1体の巨人がジャックの体をがっしり掴んだ。

「き、貴様!何をする!離せ!」

ジャックは実況席の方へ投げ飛ばされた。

実況席にて…

イオの目の前の机に、ジャックが落ちてきた。

「うわぁあ⁈」

ジャックは痛がっている。

「あ、あの~…大丈夫ですか…?」
「こんにちは~!!!」
「あ、はい…こんにちは。」

コート内にて…

エッチャはジャックが放り投げたボールを拾った。

「えっちゃ、この役立たず!死ね!」

エッチャが悪口を言ったその時、エッチャの足元の地面が動き始めた。

「『自走エスコ』!!!」

エッチャはマツイの巨人達の元へ、強制的に移動させられた。

「えっちゃ、何やコレ⁈」

エッチャは困惑している。

「頼んだぞ!マツイ!」
「任せろ!ラッシー!」

1体の巨人がエッチャに殴りかかった。しかし、エッチャはそれをかわした。
だが、エッチャは別の巨人に蹴り飛ばされた。

「ぐひゃあッ⁈」

エッチャは実況席まで飛ばされた。

実況席にて…

エッチャはジャック同様、机の上に落下した。

「えぇ⁈またぁ⁈」

エッチャは痛がっている。

「…大丈夫ですか?」
「えっちゃ、大丈夫な訳ないやろ…いってぇ…」
「(あ、この人、普通だ。)」

その時、ジャックがマイクを持って喋り始めた。

「ふっ。あの巨人、なかなかやるじゃないか。面白い…」

ジャックは実況席に座っていた。

「…えっちゃ、お前、何してんねん。」
「一時の休息。」
「えっちゃ、休憩すなボケ!」

解説のメラがマイクを取り上げた。

「お前ら早よ試合戻れ。」
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