障王

泉出康一

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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第20障『形成逆転』

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インキャーン王国、闘技場、選手用ベンチにて…

前半戦が終了した。点数は60-0でチーム『ハムパスタ』が圧倒的に優勢。
10分のハーフタイムにて、ナツカ達はうなだれていた。

「やべぇ。」
「えっちゃ、コレほんまヤバイて…」

ナツカとエッチャは絶望に打ちひしがれていた。

「アハッ!!!負けた!!!オワタ!!!」

ジャックは笑いながら泣いている。

「まぁ、敵のタレントも大体は分かったし、ドピュっと作戦会議とイこう。」
「カタカナにすんなし。」

ナツカ達は作戦会議を始めた。

「相手の得点源はドピュっとシーオだ。先ずはアイツを止めないと…」
「でもオナブ居るからワシのタレント使えねぇぞ。」

ジャックはナツカの前に来て指をさした。

「使えない奴だ。」

ナツカはジャックを殴った。

「あ"ぁ⁈殴んぞ!」
「殴ってから言うなよ!」
「こらこら、ドピュっとやめるんだ!」

雷尿は2人を止めた。

「ちょっといいですかい?」

ニキは手を挙げた。

「ん?ドピュっと何だ?」
「1対1で戦えばいいんじゃねーですか?そうすれば、邪魔されずに済みますぜい。」

ナツカは少し離れた人気ひとけの少ないところを親指で指さした。

「そりゃあ良い。ジャック。向こう行こうぜ。タイマンでぃ。」
「いや、試合の話ですぜぇ…?」
「あ、そっちか。」

歩みを少し進めていたナツカはUターンして戻ってきた。

「えっちゃ、でも1対1無理じゃない?あっちデカイの3体おるやん。」
「大丈夫でさぁ。アレはマツイが作ったんですぜ。マツイが危険な状況に陥れば必ず、自分の元に集めると思いやすよ。」

ニキがさらに話を続けようとしたが、ジャックが大声で遮った。

「だが!俺の『感嘆の波動劇ラムダーハンド』も効かなかったんだぞ?」
「効かなくて当然だ。雑魚タレントが。」

ナツカはジャックに中指を立てている。

「あ"ぁ⁈」
「んダぁ?やんのか?あ"ぁ⁈」

ナツカとジャックは、今にも取っ組み合いを始めんばかりに睨み合っている。

「だからドピュっとやめろって…」
「えっちゃ、無視して話続けよーや。」

ニキは話を続けた。

「雷尿のだんながマツイの相手をやるんでさぁ。」
「俺が?」
「雷尿のだんななら、奴らを場外へ放り出せるんじゃねーですかい?」
「まぁ、ドピュっと出来なくはないだろうけど…けど、そんな事じゃまた巨人が戻ってくるんじゃないか?」
「見ていて気づいたんですが、おそらく、操作できる距離に限りがあるんじゃないかと思うんでさぁ。アレだけの巨体だ。創造を保つだけでも相当なPSIが必要なはず。操作距離に限りが無いはずは無い。アッシはそう思いやす。」
「確かに。ドピュっと試してみる価値はありそうだ。」

雷尿は納得の表情で頷いた。

「それと、シーオとオナブの弱点も見つけやした。」
「えっちゃ、まじか!」

その時、睨み合っていたジャックが首を突っ込んできた。

「それは…ち○こ!!!ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」

皆、無視した。

「シーオの『物操コンヒュ』はおそらく、何かに触れた時点で能力が解除されるんだと思いやす。」

雷尿は試合でのボールの様子を思い出している。

「なるほど…地面やゴールに触れた後、続けてボールを操作しなかったのはその為…」

その時、ナツカはニキに話しかけた。

「けどよ、それが分かったところで、どうやって空中を飛び回るボールに触れりゃいいんダよ?」

その時、エッチャが自ら名乗り出た。

「えっちゃ、それ、俺に任せてーな。」

そんなエッチャにナツカは疑いの目を向けた。

「え、オメェが?できんの?」
「えっちゃ、できるわ!…多分…」

多分、で急に声のトーンが下がった。

「任せても良いですかい?エッチャのだんな。」
「お、おう…!」

エッチャは頷いた。

「そんで次はオナブの弱点でさぁ。」

オナブと聞いてナツカはすぐに思い起こされた。

「あのキモ語尾野郎かぁ。」

ナツカのその発言を聞くと、雷尿は言った。

「確かに。あの語尾はドピュっと信じられないよ。公然猥褻こうぜんわいせつで捕まるんじゃないか?」
「オメェもな。」

ニキの解説は続く。

「オナブの『人体の運行見合わせ報告パラライズ・ラグ』は、相手に触れなければ発動しねぇ。しかも、発動中は自分も動けない。つまり、後ろからこっそり近づいて殴り倒せば良いんでさぁ。卑怯ですけど。」

その時、雷尿がニキに問いかけた。

「ワンチャとラッシーはドピュっとどうする?」
「ワンチャがただ鉄板を出すだけのタレントなら、ナツカのだんなの『微分魔法』で何とかできやす。けど、ラッシーのタレントだけは防ぎようがねぇんでさぁ。」

ジャックがニキの肩に手を置いた。

「ふっ。簡単な事だ。試合開始と同時にラッシーをぶっ倒す。この俺がな…ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」

雷尿は話をまとめる。

「それじゃあ、ナツカはワンチャと。ジャックはラッシーと。エッチャはシーオと。ニキはオナブと。俺はマツイと戦えば良いんだな。」

それを聞き、ニキが頷く。

「はい。それが良いと思いやす。」

ジャックは相手チームのベンチに向かって、両手で中指を立てた。

「俺が全員ぶっ殺す…アハッ!!!」
「えっちゃ、殺したら反則負けやぞ。」

その時、円陣が組まれ、ナツカが掛け声を発した。

「よぉし!オメェら!死なない程度にぶっ殺すぞ!」
「「「おーーー!!!」」」

コート内にて…

第3クオーターが始まった。

ラッシーがエンドラインからシーオにボールをパスした。
それと同時に、ジャックが敵チームに向けて手を叩いた。

「コロース!!!『感嘆の波動劇ラムダーハンド』!!!」

実況席にて…

「なんと!ジャック選手!第3クオーター開始早々、先手必勝の『感嘆の波動劇ラムダーハンド』だー!」

コート内にて…

シーオ達は風に飛ばされないように、地面にしがみついた。

「これぐらい…!『物操コンヒュ』!!!」

シーオはボールを操り、相手ゴールまで飛ばした。

実況席にて…

「お~っと!シーオ選手!またもやボールを操りゴールへ!やはり彼のシュートは誰にも止められないのでしょうか!」

コート内にて…

「(ナツカにタレントを使われたらまずい!)行くぞ!オナブ!『自走エスコ』!!!」

次の瞬間、地面にしがみついたオナブと、ナツカの立っていた地面が動き出し、二人の距離を近づけた。
そして、オナブはナツカに触れた。

「『人体の運行見合わせ報告パラライズ・ラグ』!!!」

すると、ナツカの時が止まった。

「(コレでボールの方向は変えられまい!俺たち最強!)行け!シーオ!」
「おう!」

ボールがゴールへ投下されようとしたその時、エッチャは叫んだ。

「えっちゃ、させへんぞ!『球丸マルク』!!!」

次の瞬間、エッチャは床の一部を球体化させ、それを蹴り上げた。

「ちゃあ!!!」

蹴り上げられた球体はボールに当たった。すると、ボールはエッチャの頭上に落ちてきた。

「なにぃ⁈」

エッチャはボールを取った。

「(えっちゃ、ニキの言う通りや!)」

それをオナブは驚いた表情で見ていた。

「(シーオのシュートが止められたオナ⁈と、とりあえず、タレントを解除しないと…)」

その時、マツイはオナブの背後に、拳を振り上げたニキが居る事に気づいた。

「(オナブがやられる!)巨人共よ!今すぐオナブを…」
「『勃起ビルド』!!!」

雷尿は自身の腕を巨大・硬質化させ、マツイに殴りかかった。

「(まずい…!)俺を守れ!巨人共!」

すると、マツイの正面に3体の巨人が集まった。

「やはりドピュっとそう来たか!」

次の瞬間、雷尿は拳を開いた。

「⁈」

そして、雷尿は3体の巨人を巨大・硬質化させた手で鷲掴みにした。

「ド~ッピュッ!!!」

雷尿は巨人達を観客席まで放り投げた。

「し、しまった…!」

観客席に投げ込まれた巨人達は倒れ込んだまま動かない。

「やっぱり、操作可能距離があったんだな。しかも、操作だけじゃなく、タレントの解除まで出来ないとは。ドピュっと好都合だ!」
「くッ…!それなら俺自ら相手してやる!」

マツイはPSIを体に纏った。

「喰らえ!マツイパーンチ!!!」
「『勃起ビルド』!!!」

雷尿は腕を巨大・硬質化させて、マツイを殴り飛ばした。

「ぐほ~!!!」

マツイは闘技場の壁に激突し、気絶した。

「デカイだけじゃない!俺の『勃起ビルド』はドピュっと硬い!」

実況席にて…

「なんと、雷尿選手!腕を巨大化させてマツイ選手を殴り飛ばしたー!ここに来てチーム『カメッセッセ』の大反撃です!ここから逆転勝ちかぁ~⁈」

コート内にて…

「おーい!こっちはドピュっと終わったぞー!」

すると、気絶したオナブを場外へ運んでいるニキが返事をした。

「こっちも終わりやした。」

その時、ワンチャがシーオの元へやってきた。

「ヤバイて!ワンチャンやられる⁈」
「ラッシーは…?」

ラッシーは未だ、ジャックと交戦中だ。
その時、ボールを持ったエッチャ、そして、ナツカと雷尿とニキが、シーオとラッシーの前に現れた。

「ドピュッと形成逆転だな。」
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