障王

泉出康一

文字の大きさ
22 / 211
第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第22障『アホばっか』

しおりを挟む
ナツカ達はジャックの空気読めてない活躍により、1試合目を勝利した。

インキャーン王国、夜、宿屋にて…

ナツカは不満気な様子だ。

「なんかスッキリしねぇ。」

エッチャはジャックの頭を軽く叩いた。

「えっちゃ、お前何してくれてんねん。」
「ゴミを掃除した。それだけだ…ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」
「えっちゃ、お前がゴミじゃボケ。」

その時、エッチャの後ろで、カメッセッセと見知らぬ男が喧嘩していた。

「消えろ!」
「お前が消えろ!」

エッチャはその見知らぬ男を見た。

「えっちゃ、誰やねん!そのおっさん!」
「アッシらの後ろの席に座ってた奴でヤンス。試合中、ずっと喧嘩してたんでクソうるさかったでゲス。」

2人は構わず喧嘩を続けている。

「死ね!」
「お前がすぃね!」

2人は髪の毛を引っ張り合っていた。

「えっちゃ、連れて来んなや。」
「外でやれ。てか追い出せ。」

雷尿は2人を外へ追い出した。

「まぁ、ともかく。みんなよく頑張ったよ。この調子で明日の2試合目も、ドピュっと頑張ろう!」
「はぁ、明日も試合あんのか…しんどい…」

ナツカはベッドに倒れ込んだ。

「今日はもう寝やしょう。」

ニキは皆に休息を促している。

「アハッ!!!その前に、うんち!!!うんちー!!!」
「えっちゃ、勝手に行ってこいや。」

翌日、闘技場、選手控室にて…

「いよぉ~し!みんなぁ!ドピュっとイクぞぉ~!」
「「「おーーー!!!」」」

ナツカ達は円陣を組んで、奮起した。雷尿は勃起した。

「そういや、今日戦う相手のさ、昨日の試合見に行った奴いるか?」
「えっちゃ、俺昨日、試合終わってすぐ散髪行ってた。」
「切るとこねぇダろ。VIOか?」

エッチャは頭を掻いて誤魔化している。

「アッシもすぐに風呂行きやしたんで、見てねぇでさ。」
「俺は風にうたれていた…アハ~!!!」

誰も観戦した者はいなかった。

「えっちゃ、ヤバいやん!誰も見てへんの⁈相手のタレント分からな不利やん!」
「しかも、昨日のワシらの試合、一番最初ダったからな。ぜってぇ見られてるよな。タレント、バレてるよな…」

ニキは頭を抱えた。

「ヤバいですね…」

皆、表情が暗くなった。

「そ、そうだ!雷尿のだんなは⁈」
「そうダ!そうダよ!雷尿よぉ!うちのキャプテン!頼りになる雷尿なら、きっと…!」
「えっちゃ、見てたよな⁈絶対見てるって!見たって言ってくれよ!」

皆は雷尿に視線を送った。

「…ドピュっとすまない!俺!その時!……ヌいてた!!!」

雷尿は土下座した。

「ヌいてたんかーい!!!」
「えっちゃ、何でヌいてんねん!」
「アハ~!!!アホ~!!!アホばっか~!!!」

このチーム、アホだった。
その時、控え室の外からイオの声が聞こえてきた。

〈さぁ!始まりますよぉ~!本日の第1試合目は、チーム『カメッセッセ』VSチーム『ソバミカン』!両チームとも、コートへ入ってきて下さい!〉

ナツカ達はオドオドしている。

コート内にて…

両チームがコート内へ入り、互いに向かい合って並んだ。

「相手チームのキャプテンは女か。」

ジャックは格好つけている。

「えっちゃ、強いんかな?」

その時、敵チームのキャプテンが雷尿に手を差し伸べた。

「私がこのチームのキャプテン。メロ・ミュージックよ。」

雷尿はメロの全身を舐め回すように見ながら、手をいやらしく握った。

「俺は残・雷尿。ドピュっとよろしく!」
「よ、よろしく…(何コイツ…)」

その時、隣に居た青年も雷尿に手を差し伸べた。

「僕は副キャプテンのドレ・ミュージックです。よろしくお願いします。」

雷尿はドレの手を普通に握った。

「ドピュっとよろしく。」
「ドピュっと…?」
「あぁ、気にしないでくれ。口癖なんだ。」
「へ、へぇ…(変な人だ…)」

そして、ドレはナツカにも手を差し伸べた。

「君も副キャプテンですよね。お互い、頑張りましょう。」
「おう。」

ナツカはドレと握手をした。
雷尿は2人の苗字が同じことについて質問した。

「お二人はドピュっと、姉弟なんですか?」
「えぇ、そうよ。ドレだけじゃなくて他の3人もね。」
「ご両親、いっぱいヤったんですね!」

雷尿は目を輝かせている。メロは露骨に嫌な顔をして、雷尿から目を逸らせた。

その後、一同はジャンプボールの位置取りをした。

その時、メロはドレに話しかけた。

「何分ぐらいで効く?」
「第2クオーター開始あたりからかな。」
「そう。」

メロは雷尿とナツカを見た。

「(序盤で頑張らないと、痛い目見るわよお二人さん…)」

実況席にて…

イオ「それでは!第1試合目!開始です!」

コート内にて…

審判はボールを真上に上げた。

「アハ~!!!いただきぃ~!!!」

ジャックはジャンプボールをエッチャの方へ弾いた。

「ナハァァ⁈」

なんと、相手チームの少年はジャンプボールに飛ばなかったのだ。

「(ドピュっと何故飛ばない…?)」
「(何かの作戦か…?飛ばない…飛ぶ必要が無い…まさか、既に仕込み終えた、って事なのか…?)」

ニキは念入りに洞察している。
エッチャはボールを受け取った。

「えっちゃ!行くぞぉ!」

エッチャは相手チームのブロックを駆け抜け、ゴールまでドリブルした。

「ちゃあぁあ!!!」

次の瞬間、エッチャはダンクシュートを決めた。

実況席にて…

「な、なんと!初得点はエッチャ選手のダンクシュートです!見せてくれますねぇ!」
「PSIを体外に纏って身体能力を強化したようです。でなければ、あんなハゲチビにダンクなんて出来ませんから。」

解説のメラから辛辣な言葉が飛ぶ。
その時、エッチャが実況席に向かって叫んだ。

「えっちゃ、誰がハゲチビや!188やぞ!」

その後も、両チームともタレントを使う事なく、第1クオーターは24-6でチーム『カメッセッセ』の優勢で終わった。

選手用ベンチにて…

「今日の相手はカスだな…アッハ~!!!」
「カスはオメェだろ。」
「えっちゃ、このままいけば楽勝やな!」
「…」

その時、ニキは雷尿の様子がおかしい事に気づいた。

「雷尿のだんな、どうかしたんですかい?」

雷尿はしきりに目を擦っている。

「いや、ドピュっと目にゴミが入ったみたいだ。視界がぼやけて…」
「えっちゃ、大丈夫か?」
「ドピュっと目洗ってくるよ。」

雷尿はトイレへ向かった。

「それにしても、だんだん霧が濃くなってきたな。」
「霧…?」
「地下にも霧ってできんダな。」

ニキは辺りを見渡した。当然、霧など何処にも発生していない。

「えっちゃ、ナツカ何言ってんの?」

その時、血相を変えた雷尿が戻ってきた。
壁を伝いながら来たようだ。

「みんな!来てくれ!」

雷尿は辺りを見渡している。どうやら、ナツカ達を探しているようだ。

「えっちゃ、どうしてん⁈」

エッチャが雷尿の元へ駆け寄った。

「目の中にモヤが…だんだん濃くなっている…!」

その時、ナツカも辺りをキョロキョロと見渡した。

「お、おい!オメェら!何処行ったんダよ!」

その時、ジャックは気づいた。

「まさか!敵のタレントか⁈アハァァ⁈」

ニキは思考した。

「(間違いなくタレントだ。しかし何故、2人にだけ…)」

ニキは試合開始時のナツカと雷尿の行動を思い出していた。

「握手だ!だんな方は試合開始前、あのドレって野郎と握手をした!おそらく、それが奴のタレント発動条件でさぁ!」
「えっちゃ、じゃあさ…アイツらが第1クオーター、何もしてこーへんかったって事は…」

雷尿もなんとなく勘付いていたようだ。

「あぁ。多分、このタレントは発動までにドピュっと時間がかかる。奴らは待ってたんだ、コレを。」

その時、第2クオーター開始のブザーが鳴った。

「そしてバトルは、ドピュっと第2クオーターからって事だ…!」

エッチャは焦り始めた。

「えっちゃ、どーすんねん!頼りのナツカと雷尿がおらんかったら、俺ら勝てへんやん!」
「安心しろ。俺が居る…ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」

ジャックは案の定無視されている。

「アッシらで何とかするしかねぇですね…」
「お~い!!!俺がおるぞ~!!!」

ガン無視。

「いや、大丈夫だ…ドピュっと目をやられたぐらい…目が使えなくても、ヤり用はある…!」
「アッシらもサポートしやす。」
「オ~レ~お~る~ぞ~!!!」

その時、ナツカ達の元へ審判がやってきた。

「チーム『カメッセッセ』!早くコートに入りなさい!」

実況席にて…

コートに入るのにもたついているナツカ達を見て、イオは不審に思った。

「おや…?コレはどうしたのでしょう?何かまずい事でもあったんでしょうか?」

コート内にて…

メロ達が話をしている。

「効いてきたみたいですね。僕のタレント、『瞳の中の恥ずかしがり屋ガストオブミスト』が。」
「そうみたいね。作戦通り、点取り役はミファとソラに任せるわ。」
「了解!」
「任せとけ!」

少女のミファ、少年のソラは元気よく返事した。
そして、メロは一番小柄な少年に屈んで話しかけた。

「もしもの時はよろしく、シド。」
「うん…」

その時、ナツカ達がコート内に入ってきたのが見えた。

「負ける気がしないわね。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...