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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』
第24障『貸しと借り』
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インキャーン王国、闘技場にて…
第2クオーターは26-42で、チーム『カメッセッセ』の劣勢で終了した。
選手用ベンチにて…
ナツカ達はベンチや床に座り、ぐったりしている。
「音がドピュっと止まらない…」
「アハ~!!!うるさぁ~!!!」
「えっちゃ、俺、頭痛くなってきた…」
「霧もめちゃくちゃ濃くなってきたダ。真っ白で何も見えねぇ。」
ニキはそんな彼らの様子を見て、自分の不甲斐無さを感じていた。
「すいやせん…何の力にもなれなくて…」
「まだ前半終了したばかりだ。ドピュっときにするな。後半で巻き返そう。」
「…」
観客席にて…
ヤスはチーム『カメッセッセ』側のベンチの様子を眺めていた。
「アニキ達、大丈夫でゲスかねぇ…」
一方、カメッセッセは後ろの人と何やら話をしていた。
「また喧嘩でゲスか?いい加減やめるでヤン…」
次の瞬間、カメッセッセと後ろの人はキスをした。
「えっ…」
ヤスは開いた口が塞がらない。
「かわいい…♡」
「お前もかわえぇ…♡」
どうやら、仲直りしたようだ。
「(理解できないでヤンス…)」
コート内にて…
第3クオーターが開始した。
エッチャはエンドラインからニキにボールをパスした。
「(だんな方はもう限界だ。アッシが何とかしねぇと…)」
ニキはドリブルで相手コートまでボールを運んだ。
その時、ソラが指笛を吹いた。
「アイツを止めろ!」
ソラは複数の鳥を操り、ニキに襲わせた。
しかし、ニキは鳥の猛攻に構わず、ダンクシュートを決めた。
「なにッ⁈」
実況席にて…
「なんとニキ選手!捨て身のダンクでシュートを決めましたー!しかし、鳥達の猛攻で血だらけです!大丈夫なのでしょうか⁈」
「ニキ選手のPSIの量では、身体強化の十分な恩恵は得られません。先程の攻撃ですら、相当なダメージを受けたはず。」
コート内にて…
ニキは配置につく際、すれ違いざまにソラに話しかけた。
「この俺が、たかが鳥如きに怯むとでも思ってんのか?あぁ?」
ニキはソラを睨みつけた。
「調子乗ってんじゃねーぞ、ガキ…!」
「ッ…⁈」
ソラはニキの迫力に気圧された。
メロはその様子を見ている。
「(試合の流れを変える為に、強引に決めてきたわね。ソラへの威圧も…見かけによらず、策略家じゃない。)」
その時、メロはニヤリと笑った。
「潰すしかないわね。『想伝』!!!」
説明しよう!
メロのタレント『想伝』は、自身の思考を直接他人の脳内に送り込む能力である。しかし、相手の思考を受け取る事はできない為、あくまで一方通行のテレパシーである。
タイプ:感知型
メロはソラに思考を送った。
〈怯んでんじゃないわよ、ソラ。アイツがどれだけ覚悟を見せようと、タレントを使えない雑魚って事に変わりはないんだから。〉
「(そ、そうだ…そうだった。アイツはタレントを使えないんだ。俺の方が強い…!)」
〈命令よ、ソラ。アイツを殺しなさい。〉
「なッ…⁈」
ソラはメロの方を向いた。メロは無言のまま、ソラの目を見ている。
〈構わないわ。死んだ後の事は考えがある。全部私に任せて。アンタは言われた事だけやればいいの。〉
「…」
ソラは歯を食いしばり、走り出した。
「(分かったよ、姉さん…)」
ドレがボールを運んでいる。
そんなドレの前に、ニキが現れた。
「ファウルありだ。多少荒っぽくても悪く思うなよ。」
「それはこっちも同じですよ。」
次の瞬間、鳥達がニキを襲った。
しかし、ニキは動じない。
「(死んでも…知らねーからな…!)」
ソラが指笛を吹くと、さらに数匹の鳥が現れ、その鳥達がニキの頭上高く舞い上がった。
そして次の瞬間、鳥達がニキに向かって一斉に急降下した。
「(すまない…ッ!)」
ニキは自身の頭上故、それに気がついていない。
「ニキ!上だ!」
ジャックが気づき、叫んだ時にはもう遅かった。
しかし、ジャックよりも早く頭上の鳥に気がついていたエッチャが、ニキを突き飛ばした。
「ッ⁈」
それにより、ニキは頭上の鳥の攻撃を避ける事ができた。しかし、ニキを助けたエッチャが、それの被害に遭った。
「ぐあぁぁぁぁあッ!!!」
エッチャは地面に倒れた。
エッチャの肩や背中は、鳥のクチバシによって浅く抉られていた。
「エッチャのだんな!」
ニキはエッチャに駆け寄った。
大量の血がエッチャの体から流れ出ている。だが、致命傷になるような傷はなかった。
実況席にて…
「なんとエッチャ選手!身を挺してニキ選手をかばいました!」
「エッチャ選手はニキ選手よりもPSCが多い。その為、ニキ選手ほどダメージを受けなかったと思われます。」
「なるほど。」
「もし、ニキ選手があの攻撃を受けていれば、致命的なダメージを負う事になったでしょう。」
「それにしても、いささかやり過ぎな気もしますね…」
コート内にて…
「エッチャのだんな…どうして…!」
「コレで…貸し借り無し…や……」
「貸し…?」
ソラは2人を睨んでいる。
「今度こそ…!」
またもや鳥達がニキとエッチャに向かって急降下した。
ニキとエッチャはそれに気づいた。
「逃げろ…お前だけでも…!」
「そんな事できるかよ!」
その時、ジャックが鳥に向かって衝撃波を放とうとした。
「待ってろ!今俺のラムダーハンドでッ⁈」
しかし次の瞬間、大量のモグラがジャックを邪魔した。
「くっ!離れろ!」
頭上の鳥達はニキとエッチャに迫っている。
〈良いわよ!2人まとめて始末しなさい!〉
メロの指示がソラの脳内に飛ぶ。
「(どうする…!負けを宣言…しても、今からじゃ鳥共が急停止できるとは思えねぇ…!どうすれば…どうすればいい…!)」
その時、エッチャが喋った。
「ニキ…早よ逃げろ…!」
「ッ…」
ニキはエッチャの言葉を思い出した。
〈コレで…貸し借り無し…や……〉
「そんな事、気にすんじゃねぇ…」
ニキは立ち上がり、頭上の鳥達を見た。
「仲間なら、貸し借りあって当然だろが!」
その時、ニキは上着を脱いだ。
「(分からねぇ…俺は一体、何をする気だ…)」
ニキ自身、なぜ今、上着を脱いだか分からなかった。しかし、どうしたら良いかは分かっていた。『なんとなく…』分かっていたのだ。
次の瞬間、ニキは急降下してきた鳥達をタイミングよく、上着で薙ぎ払った。
「(そんなもので防げるもんか!)」
そして、ニキはその上着を地面に投げつけた。
「なッ⁈」
なんと、鳥達はニキが地面に投げつけた上着と同じ所に落下していたのだ。
「(なんで…鳥達があんな場所に…)くそっ!もう一回だ!」
ソラは指笛を吹いた。しかし、鳥達は地面から動かない。
「お、おい!なんで飛ばないんだ!」
ソラは再び、指笛を吹いた。だが、鳥達は動かない。
「なんで!」
鳥達は地面でもがいている。
「無駄だ。コイツらはもうこっから動く事はできねぇ。俺のタレントでな。」
第2クオーターは26-42で、チーム『カメッセッセ』の劣勢で終了した。
選手用ベンチにて…
ナツカ達はベンチや床に座り、ぐったりしている。
「音がドピュっと止まらない…」
「アハ~!!!うるさぁ~!!!」
「えっちゃ、俺、頭痛くなってきた…」
「霧もめちゃくちゃ濃くなってきたダ。真っ白で何も見えねぇ。」
ニキはそんな彼らの様子を見て、自分の不甲斐無さを感じていた。
「すいやせん…何の力にもなれなくて…」
「まだ前半終了したばかりだ。ドピュっときにするな。後半で巻き返そう。」
「…」
観客席にて…
ヤスはチーム『カメッセッセ』側のベンチの様子を眺めていた。
「アニキ達、大丈夫でゲスかねぇ…」
一方、カメッセッセは後ろの人と何やら話をしていた。
「また喧嘩でゲスか?いい加減やめるでヤン…」
次の瞬間、カメッセッセと後ろの人はキスをした。
「えっ…」
ヤスは開いた口が塞がらない。
「かわいい…♡」
「お前もかわえぇ…♡」
どうやら、仲直りしたようだ。
「(理解できないでヤンス…)」
コート内にて…
第3クオーターが開始した。
エッチャはエンドラインからニキにボールをパスした。
「(だんな方はもう限界だ。アッシが何とかしねぇと…)」
ニキはドリブルで相手コートまでボールを運んだ。
その時、ソラが指笛を吹いた。
「アイツを止めろ!」
ソラは複数の鳥を操り、ニキに襲わせた。
しかし、ニキは鳥の猛攻に構わず、ダンクシュートを決めた。
「なにッ⁈」
実況席にて…
「なんとニキ選手!捨て身のダンクでシュートを決めましたー!しかし、鳥達の猛攻で血だらけです!大丈夫なのでしょうか⁈」
「ニキ選手のPSIの量では、身体強化の十分な恩恵は得られません。先程の攻撃ですら、相当なダメージを受けたはず。」
コート内にて…
ニキは配置につく際、すれ違いざまにソラに話しかけた。
「この俺が、たかが鳥如きに怯むとでも思ってんのか?あぁ?」
ニキはソラを睨みつけた。
「調子乗ってんじゃねーぞ、ガキ…!」
「ッ…⁈」
ソラはニキの迫力に気圧された。
メロはその様子を見ている。
「(試合の流れを変える為に、強引に決めてきたわね。ソラへの威圧も…見かけによらず、策略家じゃない。)」
その時、メロはニヤリと笑った。
「潰すしかないわね。『想伝』!!!」
説明しよう!
メロのタレント『想伝』は、自身の思考を直接他人の脳内に送り込む能力である。しかし、相手の思考を受け取る事はできない為、あくまで一方通行のテレパシーである。
タイプ:感知型
メロはソラに思考を送った。
〈怯んでんじゃないわよ、ソラ。アイツがどれだけ覚悟を見せようと、タレントを使えない雑魚って事に変わりはないんだから。〉
「(そ、そうだ…そうだった。アイツはタレントを使えないんだ。俺の方が強い…!)」
〈命令よ、ソラ。アイツを殺しなさい。〉
「なッ…⁈」
ソラはメロの方を向いた。メロは無言のまま、ソラの目を見ている。
〈構わないわ。死んだ後の事は考えがある。全部私に任せて。アンタは言われた事だけやればいいの。〉
「…」
ソラは歯を食いしばり、走り出した。
「(分かったよ、姉さん…)」
ドレがボールを運んでいる。
そんなドレの前に、ニキが現れた。
「ファウルありだ。多少荒っぽくても悪く思うなよ。」
「それはこっちも同じですよ。」
次の瞬間、鳥達がニキを襲った。
しかし、ニキは動じない。
「(死んでも…知らねーからな…!)」
ソラが指笛を吹くと、さらに数匹の鳥が現れ、その鳥達がニキの頭上高く舞い上がった。
そして次の瞬間、鳥達がニキに向かって一斉に急降下した。
「(すまない…ッ!)」
ニキは自身の頭上故、それに気がついていない。
「ニキ!上だ!」
ジャックが気づき、叫んだ時にはもう遅かった。
しかし、ジャックよりも早く頭上の鳥に気がついていたエッチャが、ニキを突き飛ばした。
「ッ⁈」
それにより、ニキは頭上の鳥の攻撃を避ける事ができた。しかし、ニキを助けたエッチャが、それの被害に遭った。
「ぐあぁぁぁぁあッ!!!」
エッチャは地面に倒れた。
エッチャの肩や背中は、鳥のクチバシによって浅く抉られていた。
「エッチャのだんな!」
ニキはエッチャに駆け寄った。
大量の血がエッチャの体から流れ出ている。だが、致命傷になるような傷はなかった。
実況席にて…
「なんとエッチャ選手!身を挺してニキ選手をかばいました!」
「エッチャ選手はニキ選手よりもPSCが多い。その為、ニキ選手ほどダメージを受けなかったと思われます。」
「なるほど。」
「もし、ニキ選手があの攻撃を受けていれば、致命的なダメージを負う事になったでしょう。」
「それにしても、いささかやり過ぎな気もしますね…」
コート内にて…
「エッチャのだんな…どうして…!」
「コレで…貸し借り無し…や……」
「貸し…?」
ソラは2人を睨んでいる。
「今度こそ…!」
またもや鳥達がニキとエッチャに向かって急降下した。
ニキとエッチャはそれに気づいた。
「逃げろ…お前だけでも…!」
「そんな事できるかよ!」
その時、ジャックが鳥に向かって衝撃波を放とうとした。
「待ってろ!今俺のラムダーハンドでッ⁈」
しかし次の瞬間、大量のモグラがジャックを邪魔した。
「くっ!離れろ!」
頭上の鳥達はニキとエッチャに迫っている。
〈良いわよ!2人まとめて始末しなさい!〉
メロの指示がソラの脳内に飛ぶ。
「(どうする…!負けを宣言…しても、今からじゃ鳥共が急停止できるとは思えねぇ…!どうすれば…どうすればいい…!)」
その時、エッチャが喋った。
「ニキ…早よ逃げろ…!」
「ッ…」
ニキはエッチャの言葉を思い出した。
〈コレで…貸し借り無し…や……〉
「そんな事、気にすんじゃねぇ…」
ニキは立ち上がり、頭上の鳥達を見た。
「仲間なら、貸し借りあって当然だろが!」
その時、ニキは上着を脱いだ。
「(分からねぇ…俺は一体、何をする気だ…)」
ニキ自身、なぜ今、上着を脱いだか分からなかった。しかし、どうしたら良いかは分かっていた。『なんとなく…』分かっていたのだ。
次の瞬間、ニキは急降下してきた鳥達をタイミングよく、上着で薙ぎ払った。
「(そんなもので防げるもんか!)」
そして、ニキはその上着を地面に投げつけた。
「なッ⁈」
なんと、鳥達はニキが地面に投げつけた上着と同じ所に落下していたのだ。
「(なんで…鳥達があんな場所に…)くそっ!もう一回だ!」
ソラは指笛を吹いた。しかし、鳥達は地面から動かない。
「お、おい!なんで飛ばないんだ!」
ソラは再び、指笛を吹いた。だが、鳥達は動かない。
「なんで!」
鳥達は地面でもがいている。
「無駄だ。コイツらはもうこっから動く事はできねぇ。俺のタレントでな。」
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