障王

泉出康一

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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第26障『奥の手』

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実況席にて…

「な、なんと!メロ選手はダブルタレントの持ち主だったようです!」
「説明しましょう。ダブルタレントとは、2つのタレントを持っているという事です。また、『2つ目のタレント』という意味でもしばしば使われます。」

コート内にて…

「血…?」

ニキはメロの手首から血が流れ出ている事に気がついた。

「発動条件、か…PSIだけで発動できねぇタレントは不便だな。」
「えぇ。全くだわ。」

実況席にて…

「しかし何故、血を使う事が発動条件なのでしょう?」
「メロ選手のタレントは、創造と操作、さらに、それぞれの光の玉で攻撃手段が違います。これほど高度なタレントを使うには、それ相応の対価が必要だと思われます。PSIだけ消費すれば発動できる、そんな都合のいいものではないのでしょう。」

コート内にて…

「残り3分、絶対にシュートは打たせないわ!」
「うるせぇ!決めてやらぁ!」

ナツカはドリブルで相手コートまでボールを運んだ。
するとその時、ナツカの目の前に緑の光玉が現れた。

「んダ⁈」

次の瞬間、その緑の光玉から強力な風が放たれた。

「ダァァァァァァァ~!!!」

ナツカはボールをコート内に落として、壁まで吹き飛ばされた。

「いてて…ジャックの上位互換じゃねぇか…」
「アハハ!!!私のタレントは最強よ!」

メロはその緑の光玉を使い、ニキに向けて強力な風を放った。

「くッ…!」

しかし、ニキは吹き飛ばない。

「なに…⁈」

ニキは『貼着ペタン』で足と床を接着させ、吹き飛ばしを防いだのだ。
次の瞬間、ニキは『貼着ペタン』の解除と発動を繰り返し、緑の光玉の元まで走った。

「(まずい…!)」

メロがその緑の光玉を操作しようとしたその時、ニキはその緑の光玉を殴った。

「おらぁ!!!」

すると、その光玉はただの血の塊に戻り、地面に落下した。

「(攻撃が効く!)」

その時、メロは赤と黄色の光玉を近づけた。

「よくもやってくれたわね!」

次の瞬間、ニキに向けて赤の光玉から炎が噴射された。

「微分魔法『y=0ホライゾン』!!!

ナツカの微分魔法により、炎はニキから逸れた。
ニキは2つの光玉に向けて走った。

「くッ…!」

メロは黄色の光玉を操作し、ニキに向けて電流を放った。
その時、ニキはナツカが落としていたバスケットボールを拾った。

「『貼着ペタン』!!!」

ニキは拳にバスケットボールをくっつけて、黄色の光玉を殴った。

「(ボールを絶縁体に電撃を防いだ…⁈)」

黄色の光玉は血の塊に戻った。
そして、ニキは赤の光玉に向かって走り出した。

「(早く炎を…!)」

次の瞬間、ニキに向けて赤の光玉から炎が噴射された。

「無駄ダ!微分魔法『x=0バーティカル』!!!」

炎は上向きに逸れた。

「おぅらぁ!!!」

ニキは赤の光玉を破壊した。

「よし…」

ニキは残り時間を確認した。

「(残り20秒…いける!)」

ニキは相手ゴールに向かってドリブルした。

「やばいよ姉ちゃん!」
「このままじゃ負けちゃう!」

ソラとミファが心配そうにメロに向かって叫んでいる。

「まだよ!弾けろパープルオプション!!!」

次の瞬間、コートの真ん中で浮遊していた紫の光玉が弾けた。すると、紫色の霧が辺りに広がった。

「な、何だ…⁈」
「毒ガスよ!絶対にシュートは打たせないわ!」

メロとニキ以外、選手達はコートから避難した。

「姉さんも早く!」

ドレが呼びかけで、メロは走ってコートの外へ出ようとした。

「ッ…!」

しかし、メロは床に倒れ込んだ。

「(しまった…血を流し過ぎた…)」

メロは立ち上がる事ができない。

「今助けるからな!」

ソラがコート内へ戻ろうとした。しかし、ドレがそれを止めた。

「やめろソラ!今行ったら、お前まで毒ガスに巻き込まれるぞ!」
「でも…!」

毒ガスはコート内に充満した。

「ゴホッ!ゴホッ!(まさか…自分のタレントで死ぬなんて…)」

その時、メロは『想伝テレパス』を使い、ソラに言葉を送った。

〈ソラ…ごめんなさいね…アンタに、あんな酷い命令しちゃって…〉
「姉ちゃん…⁈」

メロの意識が薄れていく。

「同然の報い…ね……」

その時、メロは何者かに担がれた。

「アンタ…⁈」

ニキだ。ニキは自身の服を千切り、それを『貼着ペタン』で口に貼り付けていた。

「死なせねぇ…!」

メロはニキを見た。

「(そうよ…コイツらは、こういう奴らだった…)」

メロは意識を失った。
ニキはコートから出ようと歩き始めた。しかし、ニキも限界が近かった。

「(まずい…このままじゃ…)」

次の瞬間、コート内に強風が吹き込み、毒ガスを吹き飛ばした。

「⁈」

なんと、ジャックがタレントを使って、強風を発生させていたのだ。

「アハ~!!!元気になりました~!!!」

その時、試合終了のブザーが鳴った。

「終わった…のか…」

そこへ、ドレ達がやってきた。

「ありがとうございます。姉を助けていただいて。」
「おう。」

ニキはメロを床に下ろした。

「教えて下さい。あの時、シュートを打つ事も可能だったはずです。何故、姉を助けたんですか。」
「1試合目でナツカのだんな方が言った通りだ。死ぬ事は無ぇ。そうだろ。」
「ですがそのせいで、貴方達は負けたんですよ。」
「お前さん、何言ってんだ?」
「え…?」

実況席にて…

「試合終了です!2日目、第1試合を勝利したのは!チーム『カメッセッセ』です!」

コート内にて…

ドレ達はイオの言葉を聞き、驚嘆している。

「何で…⁈」

その時、ゴールしたでボールを持ったエッチャが喋った。

「えっちゃ、お前らチャんと見とけよ。」

エッチャは試合終了2秒前に、ゴール下から地味にシュートを打っていたのだ。

「お手柄じゃねぇか!」

ナツカはエッチャの背中を強く叩いた。

「痛い痛い痛い!!!俺、鳥に刺されてんねんぞ!」

2人の元へ、ニキがやってきた。

「試合も終わりやしたし、帰りませんか?アッシ、疲れやした…」
「そダな。ワシももうダメだ…しんどい…」
「えっちゃ、俺、病院行ってくるわ。」

3人はベンチに居る雷尿やジャックの元へと歩いた。
メロは意識を取り戻すと、正面にソラがいた。

「姉ちゃん!」
「試合は……」
「負けちゃった…」
「そう…」

その時、シドがメロに話しかけた。

「姉さん無事で…よかった…」
「シド…」

ドレがメロの手を握った。

「そうだね。また来年、頑張ろう。」
「えぇ。そうね…」

その時、メロはニキを見た。

「(お人好しすぎるわよ、アンタら…)」

チーム『カメッセッセ』のベンチにて…

皆、ベンチの上で寝ている雷尿の元へ集まった。

「えっちゃ、俺ですらこの傷で最後活躍したってのに、コイツぐっすり寝やがって…」
「まぁまぁ。雷尿のだんなは霧と音の両方喰らってた訳ですし。精神的な面でかなり厳しかったんでしょうや。」

怒るエッチャをニキが宥めている。

「おーい、雷尿~。大丈夫か~?」

ナツカが呼びかけているが、一向に起きる気配はない。

「グヘヘ…おっぱい…おっぱいが…いっぱいで…ドピュドピュっ…♡」

どうやらエロい夢を見ているようだ。

「なんか殴りたくなってきた。」
「えっちゃ、やってまえ。」

ナツカがしばき起こそうとしたその時、ジャックがやってきた。

「任せろ~!!!ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」

ジャックは雷尿におしっこをかけた。

「ドピャ~!!!ど、ドピュっと何すんだ!くっさ!」

雷尿は起きた。

「アハ~!!!喰らえぇ~!!!ラムダーシャワー!!!」
「起きた!起きたから!ドピュっとやめてくれ~!」
「よぉ~し!!!次はうんちだぁ~!!!」

その時、イオの声が聞こえてきた。

「チーム『カメッセッセ』!早く帰って下さい!」

観客席にて…

「やった!やったでヤンス!アニキ達が勝ったでヤンス!カメッセッセさん!」

ヤスはカメッセッセの方を見た。

「俺と…結婚してください!」
「…えーでー♡」

カメッセッセは後ろの人と婚約した。
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