障王

泉出康一

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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第31障『罰ゲーム』

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インキャーン王国、闘技場、コート内にて…

ナツカとレイパーTが対峙している。

「おまん、姦淫って分かるか?」
「…は?」

レイパーTの問いかけにナツカは困惑していた。てっきり、すぐさま戦闘が始まるのかと思っていたからだ。

「会員?オメェ、何言って…」

次の瞬間、レイパーTは叫んだ。

「ちッッッッッがァァァァァァァァァァァァうッ!!!?!?!」
「ッ⁈」

レイパーTの急な叫びにナツカは肩をびくつかせた。

「罰ゲェェェェェェェェェェェェェェェェェム!!!?!?!」

次の瞬間、レイパーTの肉体に纏われたPSIの量がどんどん増幅していく。

「レェェェェェェェェェェェェェェェイィィィィィィィィィィィィィィプゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!?!?!」

なんと、レイパーTのPSIの量が数倍に増幅した。

「(な、何なんでぃコイツ⁈)」

次の瞬間、ナツカはレイパーTの元から走り去った。

「(アイツ、やべぇ!)」

拳を構え、攻めの姿勢をとっていたナツカ。しかし、そんなナツカを一遍に逃げへ転じさせる程、レイパーTの PSIは強大だった。

「(雷尿やジャックの10倍…いや、20倍のPSI…!ワシじゃ無理だ…!)何でこの世はワシより強ぇ奴しか居ねぇんダよぉ!馬鹿野郎ぉ!!!」

その時、レイパーTはクラウチングスタートの構えをとった。

「(『回答への大波乱トランスレイプ』発動!!!)」

次の瞬間、レイパーTは老人の首をもぎ取った。

「ダ…⁈」

レイパーTは止まる事なく、次々に人間を殺していった。

「やめろォォォォォォォォ!!!」

ナツカは急反転し、レイパーTへ走り出した。
すると次の瞬間、レイパーTはナツカの顔面に向けて拳を放った。

「ッ⁈」

ナツカはPSIを最大まで纏って防御力を上げ、さらに、レイパーTの拳を腕でガードした。

「ふッ…!!!」

しかし、レイパーTの拳はナツカのPSIの鎧を貫き、壮絶なダメージを与えた。

「ぐぁッ!!!」

ナツカはコートの壁まで吹き飛ばされた。

「ゔッ…あぁ…ッ!」

右腕を押さえて、地面に倒れている。攻撃に耐えきれず、右腕の骨が折れていた。

「(完全にガードしたのに…!)」

ナツカはレイパーTの方を見た。
レイパーTは周りにいる人間達を見境無く殺している。

「(トドメを刺しに来ない…まさかアイツ、近くにいる奴しか攻撃できねぇのか…⁈)」

説明しよう!
レイパーTのタレント、『回答への大波乱トランスレイプ』はPSIを増幅させる能力である。発動条件は、相手に「姦淫とは何か」を問い、それに適した類語や説明以外を話させる事。この変な発動条件を満たせば、自身のPSIが数倍上昇する。しかし、一定時間、自我を失う為、近くにいる者を敵味方見境無く攻撃してしまう。また、質問に正解した場合、クレープを創造できる。変な能力である。
タイプ:創造型

「(もしそうなら…アイツらがられてる間に、ワシは…逃げれんじゃねぇか…)」

勝ち目など無い。それなら、逃げ遅れた観客を囮に、自分だけ逃げてしまおう。そんな考えがナツカの頭によぎった。
しかし次の瞬間、ナツカは自身の顔を殴った。

「(馬鹿な事考えてんじゃねぇぞワシ!最近弱気じゃねぇか!気合い入れろや!)」

ナツカは立ち上がった。

「(ワシは決めたんだ…お前ら魔物を…魔王を倒すって…!夢の中で約束したんダ!)」

ナツカがレイパーTの方へ向かおうとしたその時、何者かがナツカの肩に手を置いた。

「オメェら…なんで…」

振り返ると、そこには第1試合目で戦った、シーオとワンチャが居た。

「アイツを倒すんだろ。協力するぜ。」
「ワンチャンやれる!」

会場内、北出入り口への通路にて…

「ドピュっとこっちだ!急げ!」

雷尿は人民の避難を手伝っていた。
その時、雷尿はインキャーン国王とルイ王女の姿を見つけた。

「国王!」

雷尿は2人の元へ走った。

「おぉ、デカマーラ国王!無事だったか!」
「インキャーン国王こそ。ルイ王女もドピュっとご無事で…」

その時、雷尿はハルカ王子がいない事に気づいた。

「ハルカ王子は⁈」
「はぐれてしまった…」

次の瞬間、インキャーン国王は雷尿にすがりついた。

「頼む!デカマーラ国王よ!ハルカを…!我が息子を探し出してくれ…!」

その時、ルイ王女も雷尿の服を掴んだ。

「お願いします…どうか…お兄…あのバカを…」
「わかりました。でも、お二人はドピュっと…」
「私達の事は心配要らん!だからどうか!ハルカを!」
「…はい!」

雷尿は闘技場の方へと走り出した。
その様子を、少し離れた所にいたエッチャが見ていた。

「(雷尿の奴、どこ行くねん…)」

エッチャは雷尿の行動が気になり、後をつけようとした。
しかしその時、エッチャは通路の分かれ道でとあるものを目にした。

「高い高い………………えっちゃ、高い高い高い高い高いッ!!!」

コート内にて…

「おい!」

ナツカがレイパーTの前に立った。
その少し離れた場所には、シーオとワンチャが立っていた。
それを見るや否や、レイパーTは猛スピードでナツカに襲いかかった。

「今ダ!シーオ!」

次の瞬間、レイパーTの頭上から、高速回転する縦横1m程の鉄板が落下してきた。
レイパーTはそれに気づき、回避を試みた。しかし、死角からの攻撃に反応が遅れ、高速回転する鉄板はレイパーTの右腕切断し、地面に突き刺さった。

「くそッ!もう少しだったのに!」
「ツーチャン目いくぞ!『鉄板メルター』!」

ワンチャは縦横1mの鉄板を空中に創造した。

「おう!『物操コンヒュ』!!!」

シーオはその鉄板に触れ、鉄板を高速回転させた。

「(この技、強すぎてワンチャン人殺してまうからな。試合じゃ使えへんかったけど…)」
「(魔物相手なら気が楽だ!)」

シーオは高速回転させた鉄板をレイパーTに放った。

「コレが俺たちの必殺技!」

シーオとワンチャは声を合わせた。

「「『メタルスター』!!!」」

高速回転する鉄板がレイパーTに襲いかかった。
しかし、正面からの攻撃は楽々と回避され、ナツカに殴りかかった。

「づァァァァア!!!」

ナツカは奇声を上げながら横に大きく飛び退き、レイパーTの攻撃を間一髪かわした。

「(しまった…!)」

ナツカは気づいた。横に大きく回避したせいで、今、レイパーTの一番近くにいるのはナツカでない。
レイパーTは1番近くにいる者、ワンチャに襲いかかった。

「(ワンチャンられる…!)」

その時、シーオが叫んだ。

「伏せろワンチャ!」

シーオは先程の鉄板を続けて操作し、レイパーTに向けて放った。
ワンチャは伏せて、その鉄板を回避した。

「よし!」

しかし、レイパーTはその鉄板を飛んで回避した。

「なッ⁈」
「それで良い…!微分魔法『x=0バーティカル』!!!」

すると、レイパーTの真下にあった鉄板が、上方向に進行方向が変わった。
鉄板はレイパーTの股間に突き刺さり、ヘソの下付近まで体を裂いた。

「いいぞ!シーオ!そのまま真っ二つでぃ!」

しかし、鉄板は動かない。

「ごめん…それは無理だ…」

物操コンヒュ』は他物体に触れた時点で能力が解除される。その為、一撃で仕留めなければならなかったのだ。

「(そ、そうダった…忘れてた…)」

レイパーTは重傷だ。人間なら死んでいるだろう。それでも尚、レイパーTは止まることなくワンチャに殴りかかった。

「わちゃ⁈」

レイパーTはワンチャの腹を殴った。

「ッ!!!」

ワンチャは観客席まで吹っ飛ばされた。

「ワンチャ!」

次の瞬間、レイパーTは続けてシーオに襲いかかった。

「『物操コンヒュ』!!!」

シーオは自身の服を操り、宙へ回避した。
この場合、シーオは他物体ではなく付属品として扱われる為、操作対象外である。
その時、レイパーTは飛び上がり、シーオに蹴りを放った。

「⁈」

シーオはPSIを纏い、左腕でガードした。
しかし、レイパーTの攻撃は凄まじく、シーオの左腕の骨にヒビを入れ、更には肋骨にもダメージを与えた。

「ぬぐッ…!!!」

シーオはコート内の床に向けて叩き落とされたが、ナツカがそれを受け止めた。

「(なんて野郎ダ…!股裂かれてんだぞ…!何であんなに動けんダよ…!)」

回答への大波乱トランスレイプ』発動中のレイパーTに自我は無い。それ故、痛みを感じる事も無い。レイパーTを止めるには、もはや息の根を止めるしかないのだ。

「(くそ…剣さえ有れば…)」

ナツカは体術を習っていない。しかし、剣さえあれば、チハーヤ1の剣士であるエッチャ直伝の剣術がある。

「ナツカのだんな~!」

その時、ヤスが観客席から叫んだ。

「ヤス!オメェまだ居たのか!早よ逃げろよ!死ぬぞ!」

すると、ヤスはナツカに剣を投げて渡した。

「ワシの剣じゃねぇか…!」
「宿屋から取ってきたでヤンス!」

ヤスの両脇には、雷尿やジャック達の武器が抱えられていた。

「アッシはアニキ達に武器を届けて来るでヤンス!ナツカのだんなもお気をつけて!」
「ありがてぇ…!サンキューな!ヤス!」

ヤスは他の仲間の元へ向かった。

「シーオ。大丈夫か?」
「あ…あぁ…」
「作戦がある。聞いてくれ。」

ナツカはシーオに作戦を話している。

その時、レイパーTはナツカに襲いかかった。

「行くぞ!シーオ!!!」
「おう…!」
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