障王

泉出康一

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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第41障『真っ裸で来たッ!』

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インキャーン王国、闘技場、中央出入口にて…

全裸で弓を構えるカメッセッセにニキは話しかけた。

「カメさん!どうしてココに⁈というか、何で裸なんですかい?」
「ケモテイの気配がすぃたからな。真っ裸マッパで来たッ!」

マッハと真っ裸マッパをかけているようだ。

「訳がわかんねぇでさぁ…」

ニキは困惑している。

「すぉんなんどーでもええねん!ケモテイかどうか聞いてんねん!!!」

カメッセッセはニキに怒鳴りつけた。

「す、すいやせん…(この人が1番わからん…)」

その時、マイアンはカメッセッセに向けて怒りの表情を浮かべた。

「デカマーラでの雪辱…今ココで果たしたんねん…!あーん!!!」

すると次の瞬間、マイアンは空間に穴を開け、その穴に向けてナイフを投げ入れた。

「ア〇ルに刺さるかな~?」

空間の穴は消えた。

「(一体何を…)」

ニキは思考している。
するとその時、ニキの足元の空間に穴が開き始めた。
ニキはそれに気づいていない。

「はい、ドーン。」

それに気づいたカメッセッセはニキを突き飛ばした。

「あいたッ!」

ニキは地面に倒れた。
次の瞬間、ニキが立っていた足元の空間穴からナイフが飛んできて、カメッセッセの尻に刺さった。

「カメさんッ…!」

ニキはカメッセッセの尻に刺さったナイフに気づいた。

「(瞬間移動の類いか…!)」

その時、マイアンは両手を上げて喜んだ。

「やったねん!ア〇ルに命中ねん!即ハメ決定ねん!あーん!!!」

ニキはカメッセッセに話しかけた。

「大丈夫ですか⁈」

その時、カメッセッセは何かを呟いた。

「け……」
「け…?」
「け……け……ッ!!!」

次の瞬間、カメッセッセは尻に刺さったナイフを抜いた。

「ケモケモケモケモテーイ!!!?!?!」

カメッセッセは勃起している。

「……」

ニキは訳がわからなかった。
その時、マイアンはため息混じりに呟いた。

「やっぱり厄介ねん。そのダブルタレント。」
「ダブルタレント…?」

その時、ニキはカメッセッセの尻の傷が完治している事に気がついた。

「な、なんで…⁈」
「お前にはおすぃえへん。」

カメッセッセはケチだ。

「『M付加サービス』ねん。」

代わりにマイアンがネタバラシし始めた。

「さーびす…?」
「カメッセッセのダブルタレント。痛みを快感に、破壊を再生に変える能力ねん…あーん!!!」

カメッセッセは元魔障将。昔の同僚であるマイアンはその事を知っている。

「攻撃してもすぐ再生される無敵のタレント…けど、こうすればどうやねん…あーん!!!」

その時、マイアンはビンカーンを指示し、ミファの首に鎌を当てさせた。

「くッ…!卑怯者が…!」

その時、カメッセッセはニキに言った。

「離れてなすぁい。」
「え……?」
「ええから早よすぇい。ガンサすんぞ。」

ニキはカメッセッセに言われるがまま、メロを抱えてカメッセッセから離れた。

「人質とはケモテ良くないやんけ。」
「そう?おっちゃんはとってもとっても気持ちええねん…あーん!!!」

するとその時、カメッセッセは弓を引いた。

「カメッセッセさんッ⁈」

ニキが驚くのも無理はない。何故なら、ミファが人質となっている今、誤って矢がミファに当たるかもしれないからだ。さらに言えば、ミファを盾にする事も可能。

「正気ねん?カメッセッセ。人間殺す事になるねんよ?」
「あっかんべー。おすぃりぺんぺん。」

カメッセッセは矢を放つつもりだ。

「やめろ!カメさん!人質に当たったらどうするつもりでさぁ!」
「知ぃりますぇーん♡わかりますぇーん♡おすぃえますぇーん♡」

カメッセッセは何故かアヘ顔している。

「アイツ、マジやねん……」

マイアンはビンカーンの後ろに隠れた。

「この距離からカメッセッセの矢は避けられんねん。ビンカーン。ためらわずミファその盾使え。人質はまた捕まえればええねん。」
「   。」

その時、カメッセッセは何かを小さく呟いた。

「…率…法…………」

次の瞬間、カメッセッセはビンカーンに向けて矢を放った。

「やめろぉお!!!」

ニキは叫んだ。しかし、もう遅い。
ビンカーンは飛んでくる矢に対して、ミファを盾にした。
矢はミファの心臓めがけて飛んでいく。

「(ハッタリねん。直前で『微分魔法』で方向変えるに決まってんねん。)」

カメッセッセは人間を殺せない。マイアンはそう確信していた。

「(知ってんねんぞ。『微分魔法』は奥行きを変えられんねん。矢は直前で上下左右のどこかに方向が変わる…)」

マイアンはビンカーンの背後に隠れて、空間に多くの穴を開けていた。そして、その穴の出口は全て、カメッセッセの頭上や背後に配置した。

「(さぁ、使えカメッセッセ。その直後、お前にはナイフの雨が降り注ぐ事になんねん…!)」

しかし、カメッセッセは『微分魔法』を使う事はなかった。
そして、矢は命中した。

「   ッ…………」

ミファではなく、ビンカーンの頭部に。

「あぁあんぁん⁈」

マイアンは驚嘆した。

「んなッ⁈」

ニキも同じだ。何故なら、矢は明らかにミファの心臓めがけて飛んでいったからだ。どう間違っても、ビンカーンの頭に命中する事なんてあり得ない。
ビンカーンは倒れた。いや、死亡した。

「……はッ!あ、『空間穴アナル』!!!」

困惑していたマイアンであったが、すぐに気を取り戻し、カメッセッセの頭上や背後に空間穴を出現させた。

「(どっちにしろ同じ事ねん!『微分魔法』は1対象のみ!『M付加サービス』は強力やけど、きっと多くのPSIを消費するはず!)」

すると次の瞬間、それら全ての穴から、カメッセッセに向けて大量のナイフが飛んできた。

「(どんどん使わせていくねん!長期戦なら、おっちゃんに勝ち目があんねん!)」

100本近くあるナイフが、カメッセッセを襲う。

「カメさん!!!」

ニキは叫んだ。しかし、カメッセッセは直立不動のままだ。

「(気付いてないのか…⁈それとも、ダブルタレントで防ぐつもりか…)」

しかし、ニキの予想は外れた。
カメッセッセに向けて放たれたナイフの雨は、腕に刺さった1本を除いて、他全てカメッセッセには当たらなかったのだ。

「な、なんで…⁈」

ニキはまたもや驚嘆した。マイアンも同じだ。

「あ、あり得んねん…!おっちゃんはちゃんと狙ったねん!1本しか当たらんなんて、そんな訳ないねん!お前、一体何したねん!!!」

その時、カメッセッセは口を開いた。

「オレもな、強なってんよ。魔王軍やめてから。」
「まさか…お前…!」

マイアンは気づいた。

「発現したねんか…トリプルタレントを…!」

カメッセッセは弓を引いた。

「ピンポーン。」

そして矢を放った。

「(まずいねん…!)」

次の瞬間、マイアンは消えた。足元に空間穴を開けて、落下して入ったのだ。

「やーいやーい。逃げた~。ザッコ~。」

カメッセッセはマイアンが入った穴に向けて悪口を言った。
次第にその穴は消えた。

「カメさん…」

ニキはカメッセッセに話しかけた。

「カメさんのトリプルタレントって、一体…」
「お前にはおすぃえへん。」

カメッセッセはケチだった。
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