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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』
第42障『託された想い』
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インキャーン王国、闘技場、通路にて…
雷尿,ハルカ,ドレ,ソラ,シドは魔物の大群の相手をしていた。
「なんか敵の数多くなってないか⁈」
「ハァ~ン!無理やて~!」
雷尿は魔物の大群を巨大・硬質化した腕で殴り飛ばした。
しかし、魔物の進行は止まらない。
「まずい…ドピュっとPSIが尽きそうだ…!」
その時、ドレは魔物の相手をしながら雷尿に話しかけた。
「雷尿さん。弟達を頼みます。」
「な⁈ドピュっと何を…⁈」
雷尿は首を傾げている。
「聞きました。雷尿さん達は魔王を倒す為に旅をしていると。それに、あの障王の子孫なんですよね。」
ドレは雷尿の目を見た。
「貴方は、こんな所で死んでいい人じゃない。」
「ドレ君…」
ドレは一歩前に出て、魔物達の方を向いた。
「ココは僕に任せて!早く!弟達を……」
その時、ドレの横にソラとシドが並んだ。
「ソラ!シド!何してるんだ!早く雷尿さん達と逃げろ!」
「兄ちゃんを置いて逃げれる訳ないだろバーカ。」
「…それに、ドレ兄ちゃんだけじゃ…時間稼ぎにもならない…」
「それな!」
ソラとシドはドレの顔を見た。
「最後まで一緒に居たいんだよ。」
「僕たち…家族だから……」
ドレは2人の顔を見た。
「ソラ…シド……」
ドレは2人を抱きしめた。
「弱い兄ちゃんを…許してくれ……」
本当は兄として、何としてでも弟達を逃さなければならない。そう思いつつも、やはり、最後まで一緒に居たいという気持ちが勝った。死に直面して、ドレは自身の心の弱さを思い知ったのだった。
「行ってください。雷尿さん。」
「でも…!」
ドレは振り返った。
「頼みますよ……」
「ッ……」
『頼みますよ』、それは自分達の仇を取ってくれという意味。雷尿はドレ達の覚悟の表情を見た。
「あぁ。ドピュっと任せてくれ…!」
雷尿は魔物とは逆方向に走り出した。
「行きますよ!ハルカ王子!」
「う、うん……」
ハルカは雷尿について行った。
「…さて。やるか!ソラ!シド!」
「おうよ!」
「『紅』流してやる…!」
ドレ・ミュージック。男。享年18歳。
ソラ・ミュージック。男。享年14歳。
シド・ミュージック。男。享年12歳。
インキャーン王国、闘技場、コート内にて…
右腕を折られ、重症のナツカがコートの壁にもたれ、倒れている。その目の前には、死亡したレイパーTと、ダブルタレントで復活した全快のレイパーTがいる。
また、コート中央付近ではレイパーTに殴り飛ばされたシーオが跪いており、観客席には重傷のワンチャが倒れていた。
「おまんらの負けや!障王!」
レイパーTはナツカに近づいた。
「(死ぬ…のか…ワシが……こんなクズ野郎に……何も出来ないまま……このまま……)」
レイパーTは拳を振り上げた。
「(母ちゃん…ワシもうダメだ……ワシ死ぬ……)」
ナツカが生きる事を諦めたその時、レイパーTの動きが止まった。
「なん…ダ……」
ナツカはレイパーTの方を見た。
「えっちゃ、ナツカ!!!」
するとそこには、ニシキサマと相討ちになったはずのエッチャ,ジャック,オナブが居た。
数分前…
通路にて、瀕死のエッチャ,ジャック,オナブが倒れている。また、マツイの死体もある。
そこへ、オナブやマツイの仲間、ラッシーがやってきた。
「オナブ!マツイ!」
ラッシーは倒れている者達の生死を確認した。
「(よかった…オナブは生きてる。『カメッセッセ』の2人も…でも、マツイは…)」
ラッシーは首を切断されたマツイを見て、悲しい表情を浮かべた。
「(みんな重傷だ…ど、どうすれば…)」
ラッシーはオナブを抱えた。
「(とりあえず、オナブ安全な場所に…)」
その時、ラッシーの横をガイ,ヤブ助,もょもとが通り過ぎて行った。
ヤブ助
「やはり、中央出口には見張が居たな。」
「仕事サボって遊びに来てんのバレたらヤバいって…」
猫の姿のヤブ助ともょもとは会話しながら、ガイの後ろを歩いている。
「お、おい!ちょっと待てよ!」
ラッシーは素通りしていくガイ達を呼び止めた。
「お前達、確か決勝戦でチーム『カメッセッセ』と戦ってた奴らだよな!」
3人はラッシーの方を振り返った。
「コイツらを安全な場所に運び出す!手伝ってくれ!」
ガイは倒れているエッチャを見た。
「……あぁ。コイツか。全然気づかなかった。死体かと思ったわ。」
ガイは向き直り、再び歩き始めた。
「待てって!手伝ってくれよ!」
「そいつら、もう死ぬ。運んだって無駄だよー。」
ガイは聞く耳を持たない。
ヤブ助ともょもとは、申し訳なさそうな顔をしながら、ガイの後についていった。
「まだ助かるかも知れないだろ!頼むよ!俺の仲間なんだよ!」
ラッシーは必死に、ガイに頼み込んだ。しかし、ガイは見向きもしない。
しかし次の瞬間、ガイは足を止めた。
「ガイ…?」
ヤブ助はガイが急に足を止めた事に対して、疑問を抱いた。
そして、ガイはラッシーの方を振り返った。
「そいつら全員治してあげる。俺のお願い聞いてくれたらな。」
約1分後、エッチャは目を覚ました。
「えっちゃ…ココ、天国…か…?」
その時、エッチャはラッシーに気づいた。ガイ達はそそくさと去って、もういなかった。
「…」
エッチャはラッシーの特徴的な鼻をじっと見ている。
「…えっちゃ、天使って鼻潰れてんねんな。」
「俺だよ!1回戦でお前らと戦ったラッシー・マーラッシーだ!」
ラッシーは怒っている。
「えっちゃ、覚えてへんわ。」
「お前ッ…!」
ラッシーは怒りを堪え、話し始めた。
「ガイって奴、知ってるだろ。アイツがお前らを治したんだ。」
「えっちゃ、ガイが…?なんで?」
エッチャは疑問の表情を浮かべた。
「取引だって。体を治してやる代わりに、コートに戻れってさ。」
「なんでなん?」
ラッシーは続けた。
「たぶん、時間稼ぎだ。自分達が逃げる為のな。コートに人が密集すれば、魔物はそこに集まる。あのガイって奴は俺たちを囮にするつもりなんだ。」
「えっちゃ、アイツどこまでもクソやな…」
その時、エッチャは両腕がある事に気がついた。
「(ガイに斬られた左腕…生えてるやん…)」
左腕をじっと見ているエッチャに、ラッシーは言った。
「左手はサービスだってさ。そういや、お前、元々無かったもんな。左腕。事故か?」
「え…っちゃ、まぁ…」
その時、ジャックとオナブも目を覚まし始めた。
「えっちゃ、取引なんか無視して逃げようや。」
「…それは出来ない…」
そう言うと、ラッシーは自身の服をめくって胸元を見せた。
そこには光るバツ印が付けられていた。
「ガイのタレントだ。約束を破れば死ぬらしい。お前達にも付いてるぞ。」
「えっちゃ、まじか…」
ラッシーは服を着直した。
「とりあえず、コートへ向かおう。行けば印は取れるらしいから。」
現在、コート内にて…
オナブはレイパーTの体に触れ、『人体の運行見合わせ報告』を使い、レイパーTの時を静止させている。
「今だオナ!コイツを殺すニー!」
「えっちゃ、俺に任せろ!」
エッチャは剣を両手で握り、レイパーTに向けて剣を振りかざした。
「待て!エッチャ!そいつを殺すな!」
ナツカはエッチャを止めた。
「えっちゃ、なんでやねん⁈」
「不死身なんダ!そいつが死んだら、次のそいつが出てくんダよ!」
エッチャは困惑した。
「えっちゃ、何言ってんねん…?」
「そこに転がってんダろ。そいつの死体がよぉ。」
ナツカは1人目のレイパーTの死体を指差した。
「えっちゃ、2人おるやん⁈双子⁈」
「とにかく、そいつを殺しても意味無ぇんダよ!」
その時、出入り口前に立っていたラッシーが、ナツカ達の元へ走ってきた。
「やばいぞ!魔物が大勢向かってきてる!印も消えたんだ!早く逃げよう!」
ナツカは困惑している。
「(くそッ!どうすればいいんダ…!)」
その時、オナブは叫んだ。
「お前達だけで逃げるオナ!!!」
「オナブ…⁈」
ラッシーはオナブを見た。
「コイツが不死身だって言うなら、こうするしかないニー!その隙に、お前達は早く逃げるオナ!」
「そんな事したら、お前が…」
その時、オナブは言った。
「…マツイが死んだ。」
倒れながらも聞いていたシーオも衝撃のあまり声を漏らした。
「マツイが…」
オナブは続ける。
「オイラは何も出来ず、助けてもらってばかり…最後ぐらい、かっこつけさせろオナ…」
しかし、ラッシーはそれを許さなかった。
「ダメだ!そんな事絶対に…」
次の瞬間、オナブは叫んだ。
「仲間が死ぬ所なんて見たくないんだッ!!!」
オナブはエッチャとジャックを見た。
「みんなを頼むオナ…」
「えっちゃ、オナブ…」
その時、ラッシーは会場内の出入り口前に立った。
「お前だけで時間稼ぎなんて無理だ。」
「ラッシー…?」
「俺の『自走』なら、ココに来る魔物の侵攻を遅らせられる。」
ラッシーはオナブの方を振り返った。
「俺もまだ、何の活躍もしてないからな。」
すると、ラッシーは叫んだ。
「そういう事だ!ココは俺とオナブで時間を稼ぐ!シーオとワンチャを頼んだぞ!」
腹を押さえ苦しんでいるシーオが口を開いた。
「やめろ…ッ!お前ら…ッ!」
その時、ジャックは重傷のナツカとシーオを抱え上げた。
「オナブ…ラッシー………ッ!」
ジャックは2人を抱えたまま、会場を後にした。それと同時に、観客席に登り、気絶したワンチャを抱えたエッチャも、会場内から外へ出た。
「聞いてるか、オナブ。」
「なニー?まさか、愛の告白オナ?」
「そんな訳ないだろ…」
魔物の大群はもうラッシーのすぐ目の前までやってきている。
「マツイへの弔いだ。たっぷり時間稼いでやろうぜ!」
「勿論!チョロいもんオナ!」
ラッシー・マーラッシー。男。享年25歳。
オナブ・オナス。男。享年20歳。
雷尿,ハルカ,ドレ,ソラ,シドは魔物の大群の相手をしていた。
「なんか敵の数多くなってないか⁈」
「ハァ~ン!無理やて~!」
雷尿は魔物の大群を巨大・硬質化した腕で殴り飛ばした。
しかし、魔物の進行は止まらない。
「まずい…ドピュっとPSIが尽きそうだ…!」
その時、ドレは魔物の相手をしながら雷尿に話しかけた。
「雷尿さん。弟達を頼みます。」
「な⁈ドピュっと何を…⁈」
雷尿は首を傾げている。
「聞きました。雷尿さん達は魔王を倒す為に旅をしていると。それに、あの障王の子孫なんですよね。」
ドレは雷尿の目を見た。
「貴方は、こんな所で死んでいい人じゃない。」
「ドレ君…」
ドレは一歩前に出て、魔物達の方を向いた。
「ココは僕に任せて!早く!弟達を……」
その時、ドレの横にソラとシドが並んだ。
「ソラ!シド!何してるんだ!早く雷尿さん達と逃げろ!」
「兄ちゃんを置いて逃げれる訳ないだろバーカ。」
「…それに、ドレ兄ちゃんだけじゃ…時間稼ぎにもならない…」
「それな!」
ソラとシドはドレの顔を見た。
「最後まで一緒に居たいんだよ。」
「僕たち…家族だから……」
ドレは2人の顔を見た。
「ソラ…シド……」
ドレは2人を抱きしめた。
「弱い兄ちゃんを…許してくれ……」
本当は兄として、何としてでも弟達を逃さなければならない。そう思いつつも、やはり、最後まで一緒に居たいという気持ちが勝った。死に直面して、ドレは自身の心の弱さを思い知ったのだった。
「行ってください。雷尿さん。」
「でも…!」
ドレは振り返った。
「頼みますよ……」
「ッ……」
『頼みますよ』、それは自分達の仇を取ってくれという意味。雷尿はドレ達の覚悟の表情を見た。
「あぁ。ドピュっと任せてくれ…!」
雷尿は魔物とは逆方向に走り出した。
「行きますよ!ハルカ王子!」
「う、うん……」
ハルカは雷尿について行った。
「…さて。やるか!ソラ!シド!」
「おうよ!」
「『紅』流してやる…!」
ドレ・ミュージック。男。享年18歳。
ソラ・ミュージック。男。享年14歳。
シド・ミュージック。男。享年12歳。
インキャーン王国、闘技場、コート内にて…
右腕を折られ、重症のナツカがコートの壁にもたれ、倒れている。その目の前には、死亡したレイパーTと、ダブルタレントで復活した全快のレイパーTがいる。
また、コート中央付近ではレイパーTに殴り飛ばされたシーオが跪いており、観客席には重傷のワンチャが倒れていた。
「おまんらの負けや!障王!」
レイパーTはナツカに近づいた。
「(死ぬ…のか…ワシが……こんなクズ野郎に……何も出来ないまま……このまま……)」
レイパーTは拳を振り上げた。
「(母ちゃん…ワシもうダメだ……ワシ死ぬ……)」
ナツカが生きる事を諦めたその時、レイパーTの動きが止まった。
「なん…ダ……」
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「えっちゃ、ナツカ!!!」
するとそこには、ニシキサマと相討ちになったはずのエッチャ,ジャック,オナブが居た。
数分前…
通路にて、瀕死のエッチャ,ジャック,オナブが倒れている。また、マツイの死体もある。
そこへ、オナブやマツイの仲間、ラッシーがやってきた。
「オナブ!マツイ!」
ラッシーは倒れている者達の生死を確認した。
「(よかった…オナブは生きてる。『カメッセッセ』の2人も…でも、マツイは…)」
ラッシーは首を切断されたマツイを見て、悲しい表情を浮かべた。
「(みんな重傷だ…ど、どうすれば…)」
ラッシーはオナブを抱えた。
「(とりあえず、オナブ安全な場所に…)」
その時、ラッシーの横をガイ,ヤブ助,もょもとが通り過ぎて行った。
ヤブ助
「やはり、中央出口には見張が居たな。」
「仕事サボって遊びに来てんのバレたらヤバいって…」
猫の姿のヤブ助ともょもとは会話しながら、ガイの後ろを歩いている。
「お、おい!ちょっと待てよ!」
ラッシーは素通りしていくガイ達を呼び止めた。
「お前達、確か決勝戦でチーム『カメッセッセ』と戦ってた奴らだよな!」
3人はラッシーの方を振り返った。
「コイツらを安全な場所に運び出す!手伝ってくれ!」
ガイは倒れているエッチャを見た。
「……あぁ。コイツか。全然気づかなかった。死体かと思ったわ。」
ガイは向き直り、再び歩き始めた。
「待てって!手伝ってくれよ!」
「そいつら、もう死ぬ。運んだって無駄だよー。」
ガイは聞く耳を持たない。
ヤブ助ともょもとは、申し訳なさそうな顔をしながら、ガイの後についていった。
「まだ助かるかも知れないだろ!頼むよ!俺の仲間なんだよ!」
ラッシーは必死に、ガイに頼み込んだ。しかし、ガイは見向きもしない。
しかし次の瞬間、ガイは足を止めた。
「ガイ…?」
ヤブ助はガイが急に足を止めた事に対して、疑問を抱いた。
そして、ガイはラッシーの方を振り返った。
「そいつら全員治してあげる。俺のお願い聞いてくれたらな。」
約1分後、エッチャは目を覚ました。
「えっちゃ…ココ、天国…か…?」
その時、エッチャはラッシーに気づいた。ガイ達はそそくさと去って、もういなかった。
「…」
エッチャはラッシーの特徴的な鼻をじっと見ている。
「…えっちゃ、天使って鼻潰れてんねんな。」
「俺だよ!1回戦でお前らと戦ったラッシー・マーラッシーだ!」
ラッシーは怒っている。
「えっちゃ、覚えてへんわ。」
「お前ッ…!」
ラッシーは怒りを堪え、話し始めた。
「ガイって奴、知ってるだろ。アイツがお前らを治したんだ。」
「えっちゃ、ガイが…?なんで?」
エッチャは疑問の表情を浮かべた。
「取引だって。体を治してやる代わりに、コートに戻れってさ。」
「なんでなん?」
ラッシーは続けた。
「たぶん、時間稼ぎだ。自分達が逃げる為のな。コートに人が密集すれば、魔物はそこに集まる。あのガイって奴は俺たちを囮にするつもりなんだ。」
「えっちゃ、アイツどこまでもクソやな…」
その時、エッチャは両腕がある事に気がついた。
「(ガイに斬られた左腕…生えてるやん…)」
左腕をじっと見ているエッチャに、ラッシーは言った。
「左手はサービスだってさ。そういや、お前、元々無かったもんな。左腕。事故か?」
「え…っちゃ、まぁ…」
その時、ジャックとオナブも目を覚まし始めた。
「えっちゃ、取引なんか無視して逃げようや。」
「…それは出来ない…」
そう言うと、ラッシーは自身の服をめくって胸元を見せた。
そこには光るバツ印が付けられていた。
「ガイのタレントだ。約束を破れば死ぬらしい。お前達にも付いてるぞ。」
「えっちゃ、まじか…」
ラッシーは服を着直した。
「とりあえず、コートへ向かおう。行けば印は取れるらしいから。」
現在、コート内にて…
オナブはレイパーTの体に触れ、『人体の運行見合わせ報告』を使い、レイパーTの時を静止させている。
「今だオナ!コイツを殺すニー!」
「えっちゃ、俺に任せろ!」
エッチャは剣を両手で握り、レイパーTに向けて剣を振りかざした。
「待て!エッチャ!そいつを殺すな!」
ナツカはエッチャを止めた。
「えっちゃ、なんでやねん⁈」
「不死身なんダ!そいつが死んだら、次のそいつが出てくんダよ!」
エッチャは困惑した。
「えっちゃ、何言ってんねん…?」
「そこに転がってんダろ。そいつの死体がよぉ。」
ナツカは1人目のレイパーTの死体を指差した。
「えっちゃ、2人おるやん⁈双子⁈」
「とにかく、そいつを殺しても意味無ぇんダよ!」
その時、出入り口前に立っていたラッシーが、ナツカ達の元へ走ってきた。
「やばいぞ!魔物が大勢向かってきてる!印も消えたんだ!早く逃げよう!」
ナツカは困惑している。
「(くそッ!どうすればいいんダ…!)」
その時、オナブは叫んだ。
「お前達だけで逃げるオナ!!!」
「オナブ…⁈」
ラッシーはオナブを見た。
「コイツが不死身だって言うなら、こうするしかないニー!その隙に、お前達は早く逃げるオナ!」
「そんな事したら、お前が…」
その時、オナブは言った。
「…マツイが死んだ。」
倒れながらも聞いていたシーオも衝撃のあまり声を漏らした。
「マツイが…」
オナブは続ける。
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しかし、ラッシーはそれを許さなかった。
「ダメだ!そんな事絶対に…」
次の瞬間、オナブは叫んだ。
「仲間が死ぬ所なんて見たくないんだッ!!!」
オナブはエッチャとジャックを見た。
「みんなを頼むオナ…」
「えっちゃ、オナブ…」
その時、ラッシーは会場内の出入り口前に立った。
「お前だけで時間稼ぎなんて無理だ。」
「ラッシー…?」
「俺の『自走』なら、ココに来る魔物の侵攻を遅らせられる。」
ラッシーはオナブの方を振り返った。
「俺もまだ、何の活躍もしてないからな。」
すると、ラッシーは叫んだ。
「そういう事だ!ココは俺とオナブで時間を稼ぐ!シーオとワンチャを頼んだぞ!」
腹を押さえ苦しんでいるシーオが口を開いた。
「やめろ…ッ!お前ら…ッ!」
その時、ジャックは重傷のナツカとシーオを抱え上げた。
「オナブ…ラッシー………ッ!」
ジャックは2人を抱えたまま、会場を後にした。それと同時に、観客席に登り、気絶したワンチャを抱えたエッチャも、会場内から外へ出た。
「聞いてるか、オナブ。」
「なニー?まさか、愛の告白オナ?」
「そんな訳ないだろ…」
魔物の大群はもうラッシーのすぐ目の前までやってきている。
「マツイへの弔いだ。たっぷり時間稼いでやろうぜ!」
「勿論!チョロいもんオナ!」
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