障王

泉出康一

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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第43障『敗走』

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インキャーン王国、闘技場裏口にて…

ナツカとシーオを抱えたジャック、ワンチャを背負ったエッチャが裏口から出てきた。

「えっちゃ、魔物はおらんみたいやな…」

その時、ジャックが皆に問う。

「これからどうする?アハァン???」
「とりあえず、雷尿達と合流してぇな…」

その時、エッチャは不安げな顔をした。

「えっちゃ、みんな無事かな…」

皆、不安げな表情を浮かべた。
その時、近くから下手くそな歌声が聞こえてきた。

「だから相対になるのは夜が明けて~から~♪」

皆、その声に聞き覚えがあった。

「えっちゃ、この声は…!」

裏口の右側から雷尿とハルカがやってきた。

「オメェら!無事ダったんか!」
「ドピュっとナツカ達こそ!」

ナツカ達は喜び合った。

「えっちゃ、でも何で俺らの居場所わかったん?」
「ドピュっとハルカ王子のタレントさ。」

ハルカは雷尿の後ろに隠れた。

「彼のおかげで、ドピュっとニキ達も見つける事ができた。」
「えっちゃ、ニキ達は?」

雷尿はエッチャに答える。

「先に城の地下へ避難させた。」

ナツカはハルカをまじまじと見た。

「オメェ、見た目の割に良いタレント持ってんじゃねぇぞ、死ねや。」

ハルカはモジモジしている。どうやら反論はしたいようだが、極度の人見知り故、初対面の人とは話せないようだ。
雷尿はボロボロのナツカ達を見ている。

「お互い、ドピュっと酷いやられようだな。」
「あぁ。ワシ、右腕折れちまった。」

ナツカは変な方向に曲がった右腕を雷尿に見せた。

「えっちゃ、コレからどうすんの?」
「とりあえず、この国から脱出する。」

それを聞くと、ジャックは雷尿に問いかけた。

「おいおい、それじゃあ、この国の人間共は見捨てる気か?」
「…そういう事になる。」

雷尿は暗い顔をした。

「そんな…何とかなんねぇのか…?」
「インキャーンの兵はほぼほぼ全滅した。俺達もドピュっと消耗しきっている。一方で魔物はドピュっと大群だ。逃げる他ない…」

それを聞き、ナツカ達は悔しげな表情を浮かべた。

「今、生き残った人達が城の地下に避難してるんだ。地下からは抜け穴がある。俺たちもドピュっとそこへ急ごう。」

ナツカ達はインキャーン城へと向かった。

インキャーン城、地下にて…

生き残った国民達は皆、地下の隠し通路を歩いて、国の外を目指していた。
ナツカ達はその隠し通路の前で、インキャーン王と話をしていた。

「それでは、生き残った人達は我が国、デカマーラでドピュっと保護しましょう。」
「あぁ。かたじけない。」

インキャーン国王は雷尿に頭を下げた。

「困った時はお互い様です。国王殿も早く避難を。」

顔を上げたかと思うと、首を横に振った。

「私は、この国に残る。」

雷尿達は驚嘆した。

「ドピュっとダメですよ!このままココに居てもいずれ…」

しかし、国王は言う。

「兵士達が命を賭して国民を守っているというのに、この国の王たる私が先に逃げるなど出来るはずない。」

インキャーン国王はハルカとルイを見た。

「大丈夫。私が居なくなったとしても、この子達が居る。インキャーンの血筋は、途絶えはせん。」
「お父さん…」

ルイは涙を流した。
その時、インキャーン国王はハルカとルイを抱きしめた。

「ハルカ…ルイ…託したぞ…」

ルイは泣きじゃくり、ハルカは静かに頷いた。

「障王の末裔たちよ。」

インキャーン国王はナツカや雷尿達に話しかけた。

「必ずや、魔王を倒してくれ。」

雷尿達は深く頷いた。

「はい!ドピュっと命に代えても…!」
「言われなくてもやってやらぁ…!」

その後、インキャーン王国は壊滅。生き残った約500人のインキャーン国民達は皆、デカマーラに移住する事となった。

数日後、魔王城にて…

会議室のような場所で、魔障将と大魔障たちが話し合っている。

「それで、障王の子孫達は殺し損ねたと?」

タケシ隊・魔障将タケシ
種族名:ゴブリンキング

「…あーん…」

マイアン隊・魔障将マイアン
種族名:チャドクジン

「わ、ワシは負けてへんからな!!!」

レイパーT隊・魔障将レイパーT
種族名:デスエイプ

「殺せてないなら任務失敗に変わりないだろ。強がんなよ。」

ガイ隊・魔障将ガイ
種族名:ニンゲン

「おまん本気で犯したろか!!!!!」

レイパーTはガイに殴りかからん勢いで立ち上がった。

「まぁまぁ、レイパーT様。荒れ狂う価値観をどうかお鎮め下さい。」

レイパーT隊・大魔障小謝茸こしゃだけ
種族名:ヒトキノコ

「黙れぇこの負け犬がああ!!!」

レイパーTは小謝茸を殴った。

「大丈夫かい~兄さん~?」

タケシ隊・大魔障砂謝茸さしゃだけ
種族名:ヒトキノコ

「今回の損失を言え。話が進まん。」

ガイ隊・大魔障ヤブ助
種族名:ネコ

「レイパーT隊の大魔障ビンカーン。マイアン隊の大魔障ニシキサマ。それと、下級の魔物約500体だぁあ。」

マイアン隊・大魔障パパンダ
種族名:パイパンダ

「500⁈当初の予定の倍以上やんけ‼︎」

タケシ隊・大魔障サブリミ
種族名:ヘルマーマン

「コレだけの損失で、カメッセッセどころか、障王一人も殺せてへんのか…」

タケシは頭を抱えた。

「大敗北じゃん。」

ガイ隊・大魔障もょもと
種族名:ニンゲン

「なんやとぉ!!!おまん!!!もっぺんーてみろ!!!」

レイパーTは机を殴り凹ませ、もょもとに殺気を放った。

「はひぃ!!!すすすすすみません!ごめんなさいごめんなさい!何でもありません!」

その時、会議室の扉が開き、2体の魔物が入ってきた。1体は狐の獣人、もう1体はガイコツだ。
獣人の方の魔物が喋り始めた。

「ほへふぁふはひへんはほほへふへー。」

オザトリス隊・魔障将オザトリス
種族名:イナリモドキ

「へほはひほーふ。ほーふふへふぁふぉふぁふぁふぁひふぁへほははひはふ。」

オザトリスは滑舌が悪い。

「ウラキン。要約頼むねん…あーん!!!」

ガイコツの魔物のが1つ頷いた。

「了解だよ…ねぇ?」

オザトリス隊・大魔障ウラキン
種族名:ダグスケルトン

「あのお2人が、もうすぐお目覚めになるんだよ…ねぇ?」

ウラキンのその発言を聞くと、ガイ以外の魔物達は怯え始めた。

「2人?」

ガイ達は誰の事かわからないようだ。

「我々大魔障、魔障将を束ねる魔王様の右腕。その名も、魔障王ましょうおうだよ…ねぇ?」

再び、ガイはウラキンに問う。

「そんなに強いの?」
「圧倒的に…ねぇ?」

皆、普通に会話しているが1人、もょもとだけ頭を悩ませていた。

「(なんでコイツさっきっから疑問形なんだ…?)」

レイパーTに怒鳴られた直後だったためか、声には出さなかった。

「障王のメンツも行方知れずだし、とりあえずは、あのお2人の目覚めを待つのが賢明か…なぁ?キミ達の実力じゃ、国潰しも満足にできないで…しょ?」

タケシ達は黙っている。
その時、オザトリスが手を叩いた。

ほひほひーはいはいーはひひ会議ほへひへこれにてひゅーひょー終了ーはふはっはほひひひはひはへんへひはへー集まったのに意味ありませんでしたねー。」

オザトリスはガイに声をかけた。

ひょっひょちょっとほひはんお時間ひーへふはーいいですかー?」
「…」

ガイはオザトリス達と共に会議室を出た。

「調査隊ごときが指揮しきりよって!!!ん~!!!腹が立つ!!!」

レイパーTは机をガンガン殴っている。

「そんでアイツらがあのガイクソボケと仲良しなんも腹立つわ!!!ニンゲンとばっか絡みよって!!!」

怒り狂うレイパーTにタケシは声をかけた。

「まぁまぁ、彼らのおかげで、魔王様も僕らも復活できたじゃないですか。」
「それとこれとは話が別や!!!アイツら絶対犯したる!!!」

レイパーTは拳を強く握りしめている。

「それより!!!そもそもこの会議に来てへん奴らおるやんけ!!!海魔隊かいまたい空魔隊くうまたいはどうしたんや!!!」
「海魔隊は仕事中らしいですわ。空魔隊は連絡ない。」

タケシはレイパーTの疑問に冷静に答える。

「ん~!!!ふざけとる!!!アイツらも犯したる!!!」

その頃、とある海上にて…

下半身がタコの女性型魔物が、多くの海生モンスター達を率いて、海面上を歩いている。
そのタコ型女魔物はモンスター達の方を振り返った。

「それでは皆さん。今から、ポヤウェスト海域にイきまぁ~す♡」

その魔物は前に向き直った。

「SEX…♡」
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