障王

泉出康一

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第1章『チハーヤ編〜ポヤウェスト編』

第45障『勝利のVカップ』

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インキャーン近海、船の上にて…

ナツカ,エッチャ,カメッセッセ,雷尿,ジャック,ニキ,ヤス,ハルカが、海魔隊の魔障将イワモミと対峙している。

「オメェら、ワシらを追ってきたのか…?」

ナツカはイワモミを睨みつけている。

「いいえ。貴方達と出会ったのは本当に偶然。誰からのさしがねでも無いわぁん♡」

イワモミ隊(海魔隊)・魔障将イワモミ
種族名:ラブスキュラ

「でもみすみす見逃す訳にはいかないわ。貴方達は魔王様の敵。それに、貴方達を倒せば、私たち海魔隊の評価も上がる。」

その時、1体の魔物がイワモミに巨大なモリを手渡した。

「だから、貴方達に『死』以外の選択肢はないの。」

イワモミはその巨大なモリを構えた。

あらがい、それでも尚、向かいゆく『死』に、貴方達はどんな最後を見せてくれるのかしらぁん♡」

イワモミは全身にPSIを纏った。

かせまぁ~す♡」

イワモミは船床にモリを突き刺した。

「『コールドゼロ』!!!」

次の瞬間、船全体とその周囲の海面が凍りついた。

「「「ッ⁈」」」

なんと、ナツカ達の足も、船と一緒に凍りついてしまった。

「ど、ドピュっと動けない…!」

すると次の瞬間、イワモミの部下の魔物達がナツカ達に襲いかかってきた。

「『球丸マルク』!!!」

エッチャは全員の足を拘束する氷を球体に集め、束縛を解除した。
それを機にナツカ達は襲いくる魔物達を一掃した。

「オメェ、そんな使い方も出来んのかよ!」
「えっちゃ、『球丸マルク』なめんなよ~。」

イワモミはナツカ達を観察している。

「なるほどぉん♡伊達にここまで生きながらえてきた事はないわねぇん♡」

ニキは船の表面を覆う氷を見ている。

「氷を操る…いや、凍らせるタレントですかね…」
「それにしても、なんて広範囲な能力だ…ドピュっと海まで凍ってるぞ…!」

すると、ジャックが2人の話を遮った。

「どうだっていい。アイツを殺せば問題はないだろ……ア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」

その時、ジャックはイワモミに向けてチャクラムを放った。
しかし、イワモミは最も容易く、ジャックのチャクラムをモリで弾き返した。
ジャックのチャクラムは海に落下した。

「あ~!!!俺の武器がぁあぁあぁあぁあ!!!」

ジャックはこの世に一つしかない障王の武器を無くして傷心している。

「あらあら、お馬鹿さんねぇん♡」

その時、イワモミはモリを空に向けて突き出した。
すると、ナツカ達の頭上に、巨大な氷柱つららが何本も現れた。

「『森羅の寒罪』!!!」

次の瞬間、その巨大な氷柱達がナツカ達に降り注いだ。

「『勃起ビルド』!!!」

雷尿はデカマーラの槍を巨大・硬質化させ、落下してくる巨大な氷柱達を破壊していく。
そんな中、ニキは雷尿が破壊した氷の破片を見ていた。

「(氷は単純な落下運動のみ。やはり、氷を創造するだけのタレントか。)」

雷尿は落下してくる巨大氷柱を破壊し続けている。

「防御は任せろ!みんなはドピュっと奴を!」

次の瞬間、エッチャとニキがイワモミの方へ走り出した。
障王パーティーの中でも極めて身体能力の高い2人。それ故、雷尿のガード下から出た今でも、氷柱を回避しながら、最短でイワモミの懐まで潜り込む事ができた。

「『貼着ペタン』!!!」

ニキは床に『貼着ペタン』を使い、イワモミをその場に束縛した。

「(足が動かない…)」

イワモミは足の拘束に気がついた。
その時、エッチャの剣がイワモミの首を捉えた。

「(もらったッ…!)」

イワモミは今、ニキの『貼着ペタン』で回避ができない。さらに、イワモミはモリを空に向けて突き出していた。よって、エッチャの剣を防ぐ手はない。
するとその時、イワモミは呟いた。

「『ホットマックス』!!!」

すると、エッチャの剣は柄の部分を除いて消失した。

「(剣先が…消えた……⁈)」

次の瞬間、イワモミはその巨大なモリをエッチャに向けて振り下ろした。

「(やばい…!)」

エッチャにイワモミのモリが直撃しかけたその時、ナツカは叫んだ。

「微分魔法『y=0ホライゾン』!!!」

すると、イワモミのモリは直角に曲がり、エッチャには当たらなかった。

ニキはすぐさま『貼着ペタン』を解除し、エッチャとニキはイワモミから離れた。
それと同時に、氷柱の雨が止んだ。

「(エッチャのだんなの剣が消えた…コイツ、ダブルタレント持ちか…⁈)」

その時、ハルカが何かを呟いた。

「あっ…いや……それ……」

ハルカは何か言いたげだ。しかし、恥ずかしいのかなかなか言い出さない。

「ドピュっとどうした?」

雷尿がハルカに問う。しかし、ハルカはモジモジしている。

「あっ…な、なんか…やばい……かも…」

次の瞬間、カメッセッセが飛び出し、エッチャとニキに抱きついた。

「「え"ッ⁈」」

エッチャとニキはカメッセッセの奇行に戸惑った。
その時、カメッセッセ達の足元から火花が散った。

「『火炎礁』!!!」

次の瞬間、巨大な火柱がカメッセッセ達の足元から立ち昇り、3人の体を焼き尽くした。

「嘘ダろ……」

ナツカ達は驚愕のあまり、動けずにいた。
しはらくすると、巨大な火柱が鎮まり、エッチャ達の焼死体が露わになった。

「そんな…」

ナツカ達は目の前の現実を受け入れられずにいた。

「あらぁん♡美味しそうなbaked human♡」

イワモミは3人の焼死体を眺めていた。
すると次の瞬間、エッチャ達の姿がみるみるうちに再生していった。

「「「ッ⁈」」」

一同は驚嘆した。
そして、エッチャ,ニキ,カメッセッセの3人は復活した。

「ケモケモケモケモテーイ!!!」

カメッセッセは快感の声を上げた。
3人の体は完全に修復されており、さらには服や靴すらも修復されていた。しかし、元からの傷であるニキの右目や、エッチャの剣は修復されていなかった。

「なるほどぉん♡コレが噂の『M付加サービス』ねぇん♡」

イワモミの言う通り、カメッセッセはダブルタレント『M付加サービス』を使用していたのだ。
M付加サービス』は痛みを快感に、破壊を再生に変える能力。カメッセッセはイワモミが何かを企んでいると悟り、ニキとエッチャの元へ飛び込んで、自身と2人に『M付加サービス』を使用したのだ。

「んダよ!ビビらすんじゃねぇ!死んダかと思ったぞ死ねや!」

ナツカはツンデレ?だ。
その時、イワモミがナツカ達に向けて話した。

「シブトイわねぇん♡でも気づいてるかしらぁん?貴方達はまだ、私に傷一つ付ける事すら出来てないのよぉん?」

そう言うと、イワモミはVカップおっぱいを揺らし始めた。

「Vカップの『V』はvictoryの『V』!勝利の『V』よぉぉおおん!!!」

次の瞬間、イワモミは再び、ナツカ達の頭上に巨大な氷柱を大量に創造した。

「『森羅の寒罪』!!!」

そして、その巨大な氷柱達はナツカ達に向けて落下を始めた。

「何度来てもドピュっと無駄だ!ビル…」

するとその時、ハルカが叫んだ。

「下から火ぃ来るッ…!!!」

ハルカの非常に小さい叫び。しかし、ハルカの言葉から危険性を感じた雷尿は、ナツカやヤス,ジャックを突き飛ばし、ハルカを抱えてその場から飛び退いた。

「『火炎礁』!!!」

すると次の瞬間、雷尿達が立っていた床から巨大な火柱が立ち昇った。

「ななななんでい⁈」
「炎…⁈さっきエッチャ達を襲ったアレか!アハァ⁈」

皆、必死に落下してくる氷柱を回避している。
その時、雷尿に抱えられているハルカが、ナツカの方を指差した。

「火ぃ来るぞ…!」

ナツカはハルカの言葉を聞くなり、すぐさまその場から飛び退いた。
それと同時に、ナツカが立っていた床から巨大な火柱が立ち昇った。

「あっぶねぇ…(アイツ、何で来るってわかったんダ…?)」

その時、雷尿は自身の脇に抱えていたハルカを見た。

「ハルカ!君にはわかるのか⁈炎がドピュっと来る場所が!」

ハルカは頷いた。

「なんか…めっちゃ動いてんねん…」
「動いてる…?」

雷尿はハルカの発言に疑問した。

「ちっちゃいつぶ…みたいなんが、なんか…めっちゃ動くねん…」

ハルカは小声で歌い続けた。
その時、船が大きく傾いた。どうやら、イワモミの炎と氷の攻撃で、船に相当なダメージが与えられたようだ。

「まずいですぜぃ!このままじゃ船が…!」

海には海生モンスターがウジャウジャ居る。船が沈没すれば即アウト。何としてでも、船だけは守り切らねばならないのだ。

「『感嘆の波動劇ラムダーハンド』!!!」

ジャックの『感嘆の波動劇ラムダーハンド』で創り出す衝撃波は威力が高く、範囲が広い。それ故、船にすらダメージがいく。しかし、このまま何もしなければ、どのみち死ぬ。よって、ジャックは衝撃波の微調整を試みたのだ。
そして、それが今、この土壇場で成功した。

「やったァァァァア~ハ~ハ~ハ~ハ~!!!」

衝撃波がイワモミを襲う。
しかし次の瞬間、衝撃波はイワモミの目の前で打ち消された。

「なへぇえぇえぇえ⁈」

ジャックは情け無い声を出した。

「そんなもの、効く訳ないでしょん♡」

イワモミは人差し指を立てた。

「めっ…♡」

その時、ハルカは歌うのをやめ、雷尿に話しかけた。

「わかった…かも…アイツのタレント…」
「ドピュっと本当か⁈」

すると、ハルカは強く頷いた。

「粒子…やと思う……」
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