障王

泉出康一

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第2章『ガイ-過去編-』

第19障『芸人誕生』

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【白マロ達がケンケンと戦闘中、商店街にて…】

ガイはヤブ助を追ってる。

「(ココでコイツに逃げられたら、一生猫のままだ!なんとしてでも捕まえてやる!)」
「『人間化猫化キャットマン』!!!」

ヤブ助は人間の姿になり、商店街の店の棚や売り物をひっくり返してガイを足止めした。

「こらぁ~!!!」
「このイタズラ小僧!!!」
「なんで全裸⁈」
「きゃ~!全裸ぁ~!!!」
「ウホッ♡いい体♡」

商店街はパニックだ。しかし、ガイは障害物や人混みを華麗にかわしている。どうやら、猫の体に慣れてきたようだ。
その様子を見て、ヤブ助は苛立ちを覚え始めた。

「ちっ…!」

ヤブ助は立ち止まり、ガイの方を振り返った。

「(なんのつもりだ…)」

次の瞬間、ヤブ助は地面からとあるものを拾い、ガイに突き出した。

「喰らえ!」
「そ、それは…!」

ヤブ助はガイの目の前で猫じゃらしをフリフリした。

「にぁ~お~…」

ガイは猫じゃらしと戯れている。

「今だッ!」

ヤブ助は再び、ガイから走り出した。

「『人間化猫化キャットマン』!!!」

ヤブ助は猫にもどって逃げ出した。

「はっ!しまった!奴は…」

ガイは慌てて、ヤブ助を追った。

ショッピングモール前にて…

ガイは商店街を抜け、ショッピングモールの前へとやってきた。

「(いた…!)」

商店街を抜けたすぐ前のショッピングモールにヤブ助は入っていった。
ガイも後を追った。

【ショッピングモール内にて…】

ガイはショッピングモールへと入ってきた。自動ドアなので、人が出てきた隙に入ったようだ。

「(どこ行った…)」

ガイは辺りを見回した。すると、ヤブ助は3階のゲームセンターへ登っていくのが見えた。

「待てこらぁ!!!」

ガイはエスカレーターの手すりから上へ登った。

「うわっ!な、なんだ⁈」
「あ!ママ!猫さんだ!」
「ウホッ♡可愛い猫♡」

ガイは3階まで上がってきた。

【ゲームセンター内にて…】

ガイはゲームセンター内を歩いている。

「(どこだ…?)」

ガイがUFOキャッチャーコーナーを通り抜けたその時、人間化したヤブ助が太鼓のバチで殴りかかってきた。

「うおあッ⁈」

ガイはとっさに後ろに下がって避けたが、アゴに命中してしまった。

「アガッ…!」

ガイは倒れた。その隙にまたもやヤブ助は猫の姿になって逃げた。

「いてて…用途が違う…」

不意であった為、ガイは少しめまいを起こして倒れ込んだ。しかし、数秒後、ガイは正気を取り戻した。

「はっ!奴は…⁈」

ガイは2階の百均コーナーに入っていくヤブ助を見た。

「(アイツ、なんのつもりだ?逃げるんじゃないのか?)」

ガイは2階に降りた。

【百均コーナーにて…】

「(もしかして、このデパートでケリをつけるつもりか?それなら、好都合だ。)」

ガイは百均コーナーへ入った。

「いッ!」

ガイは足の裏に鋭い痛みを感じた。

「が、画鋲⁈」

床には色んなところに画鋲が落ちていた。それを回避する為、ガイは棚の上に乗った。
すると、棚の向こうの通路には人間化したヤブ助がいた。

「なッ…⁈」
「やっぱそうなるよなッ!」

ヤブ助が床に画鋲を巻いた理由、それはガイを棚の上へと誘導する為。
次の瞬間、ヤブ助はガイに向けてノコギリを振り上げた。

「死ねぇぇえ!!!」

ヤブ助はノコギリをガイに向かって振り下ろした。しかし、ガイはそれを寸前で回避する事ができた。

「チッ、すばしっこいぜ…」

今の攻撃、人間の姿のガイでは回避できなかっただろう。しかし、今のガイは猫。身のこなしなら人間の比ではない。しかし、力は無い。猫のままでは決め手に欠ける。

「(今の俺じゃ、人間の奴に大したダメージは与えられない。どうすれば…)」

その時、ガイは辺りを見渡した。何か、使えそうなものはないか。

「(デパート…そうか!)」

ガイは百均コーナーから出た。

「立場が逆転したな。」

ヤブ助がガイを追いかけようとしたその時、百均コーナーの男店員がヤブ助の腕を掴んだ。

「おいガキ!よくも暴れてくれたな!ちょっと来い!警察に突き出してやる!」
「うっせーぞ!『人間化猫化キャットマン』!!!」

ヤブ助は店員を猫にした。

「にゃ…にゃんじゃこりゃ~!!!」

【4階、ペットショップコーナーにて…】

ガイは4階のペットショップコーナーへとやってきた。
ガイはガラス張りの部屋に入れられた犬や猫に話しかけた。

「取引しないか?」

すると、ガラス越しの犬や猫達はガイを見た。

「ん?なんだお前、なんで外に出てんだ?」
「いいなぁ~、オイラも外に出たいよ~。」
「取引ってなに?」

ガイは続けた。

「全員、俺の家で飼ってやる。そこから出たいだろ?」

それを聞いた犬猫達は喜んでいる。

「本当か!」
「やった~!外に出られる~!」

ガイはケンケンの『斬鉄爪ゴエモンファング』で強化された爪の一部を隠し持っていた。ガイの家で戦った時に入手していたのだ。
ガイはその爪の一部でガラスを切っていく。しかし、あと少しのところで爪が割れてしまった。

「こうなったら…!」

ガイは体にPSIを纏ってガラスに突撃した。すると、ガラスの一部が割れ、抜け穴ができた。

「「「スゲェ~!!!」」」

【ペットショップコーナー前にて…】

ペットショップコーナー前にヤブ助がやってきた。

「(どこにいやがる…)」

ヤブ助が辺りを見渡してガイを探している。するとそこへ、客や店員やらがやってきた。当然だ。全裸の少年が仁王立ちしているのだから。

「きゃ~!!!」
「全裸よ!あの子全裸よ!」
「お、お客様!どうかされましたか⁈」

店員の質問に、ヤブ助は眉を顰めた。

「…俺から言わせれば、お前らの方がおかしいんだ。動物で服着てるのなんて、人間ぐらいだぞ。」

それを聞いたちょっと特殊なお客さん達がウホウホしている。ウホウホしているからと言って、ゴリラではない。

「あらやだ、原始的な子♡」
「好きになっちゃいそう♡」
「お持ち帰りたいわ~♡」
「それ、は~ん~ざ~い~!!!」

ヤブ助が客達に囲まれているその時、ペットショップの方から人間の叫び声が聞こえてきた。

「きゃ~!」
「ど、動物達が脱走してるぞー!」
「やめて~!みんな戻ってぇ~!」

その騒ぎを聞いたヤブ助は何かを察した。

「脱走…まさか!」

その時、曲がり角からガイが現れた。ガイはたくさんの犬や猫を率いている。

「あの全裸野郎だ!頼むぞみんな!!!」

ガイの掛け声に合わせ、犬猫達は叫んだ。

「オオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!」

ガイ達はヤブ助に突撃した。

「な、なんだなんだ⁈」
「うわぁ~ん!ボク犬苦手なんだよぉ~!」

人々は逃げ惑っている。

「いやぁ~ん、襲われちゃう~♡」
「いっぱいいるわ~♡」
「ど~ん~だ~け~!!!」

客や店員達は逃げていった。しかし、IKKOさんは置いていかれた。

「あれ⁈置いてくのぉ⁈ひ~ど~す~ぎ~!!!」

IKKOもみんなの後を追って逃げた。

「んん?」

逃げる際に、IKKOはゆっくり逃げてる人を見た。

「そろり!そろり!」
「ちょっとあんた、お~そ~す~ぎ~!!!」

これはある有名な芸人が生まれた瞬間である。そう!後のチョコレートプラネットだ!

「わっはっはっは~!」

一方、犬猫達は人間化したヤブ助に襲いかかっていた。

「ギャァァァァァア!!!やめてくれェェェェェェェェェェェェ!!!!!」

猫はヤブ助の顔を猫パンチしている。

「死ね死ね死ね死ね死ね!」

犬はヤブ助の体を噛みついている。

「このソーセージ、噛みちぎってやる!」

ブチッ。

「うぎゃァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァア!!!!!!!!」

ヤブ助は悶絶している。

「おーい!ここにミートボールがあるぞー!」

ガイはさらに犬猫達を誘導していく。

「あ、本当だ!2個ついてる!」
「いただき!」

ブチッ。ブチッ。

「うぎゃァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアア!!!!!!!!」

【数分後…】

股間を重点的に攻撃されたヤブ助が人間の姿で倒れている。

「ぼくが間違ってました…」

負け宣言をするヤブ助に対して、ガイは言った。

「わかったなら早く俺を…あ、いや、全裸になるな…とりあえずお前、猫化しろ。人間のままじゃ持ち運びにくい。」

ヤブ助は自身を猫化した。

「それじゃ、みんな、ついてきて。」

ガイは大勢の犬猫を引き連れて、白マロ達がいる所へ戻った。

【一方その頃、ショッピングモール地下一階の食品売り場にて…】

「あむあむあむ!」

和泉元彌は柿を食べている。

「あ~ん!!!勝手に喰ってるぅ~!!!」
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