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第2章『ガイ-過去編-』
第25障『よろチクビ』
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【8月26日、昼、伊寄村にて…】
十谷,村上,ヤブ助たちは無事に村までたどり着くことができた。どうやら、バケモノ達は人間以外には襲ってこないようで、道中、ヤブ助達に危険はなかった。そして、人間の姿に戻った3人は、村上を病院に送り、その後、ヤブ助と十谷は村の交番へと向かった。
【伊寄村、交番にて…】
人間の姿のヤブ助と十谷は交番に居た中年の警官と話をしていた。
「早く捜索してくださいよ!きっと森の中ですから!」
今、ガイは1人でバケモノと戦っている。それ故、十谷の必死さは尋常ではない。
それが伝わったのか、警察はハイハイと頷いた。
「わ、わかりました…」
十谷たちはバケモノの事は一切言わず、ガイが行方不明になったから探して欲しいとだけ頼んだ。
【数分後、交番前…】
ヤブ助,十谷,警官は交番の外へ出た。すると、そこには小学生ぐらいの女の子が1人、立っていた。
警官はその女の子に話しかけた。
「亜美ちゃん、今日も来たのかい?」
「おじちゃん…」
少女、亜美は何かにすがるような表情で言葉を発した。
「お兄ちゃんは…?」
「ごめんね、まだ見つからないんだよ。」
警官は優しく、そして申し訳無さそうに少女に言葉を返した。
「そう…」
そう呟くと、亜美は去っていった。その後ろ姿を見て、ヤブ助は何か気になったのか、警官に少女の素性を聞いた。
「あのガキは?」
「氷室村長さんトコの孫ですよ。実はあの子のお兄ちゃんも1ヶ月前から行方不明でして…」
それを聞いた十谷は気の毒そうに呟いた。
「1ヶ月もですか…」
十谷の呟きに、警官は頷き、話し始めた。
「はい。亜美ちゃん、お兄ちゃんがいなくなってから毎日ココへ来てくれるんです。私のお兄ちゃんは見つかったかって。」
「もう死んでるんじゃないか。」
ヤブ助は空気も読まずに言った。
「…」
しかし、警官も薄々そう思っていた。よって、ヤブ助の発言に否定はできなかった。
「(行方不明…?)」
その時、ヤブ助は何かに気づいたのか、警官に尋ねた。
「おい、警官。ひょっとして、行方不明者の数が多くなってきてるとかあったりするか?」
「え、えぇ。そういえば、ここ1年あたりで急激に行方不明者が増加しているような…」
【一方その頃、森の中にて…】
辺りの木々や草には大量の血が付着していた。ガイの血だ。
「ん……」
ガイは目を覚ました。
「(アレ…俺、確か…)」
ガイは思い出した。竹本という大熊のハンディーキャッパーに腹部を断裂された事。そして、もう2度と目は覚ますはずがなかった事を。
「なん、で…⁈」
その時、ガイは目の前に落ちているモノに気がついた。それは切断されたガイの下半身。
「ッ…?」
ガイは自分の体を見た。しかし、ガイの体に異常は無い。五体満足のまま。
では、目の前にある切断された下半身は誰のものなのか。
「気がつきましたね。」
その時、ガイは背後から何者かに声をかけられた。
「⁈」
ガイは振り返った。すると、そこにはガイよりも1~2歳年下の少年が立っていた。しかし、キャップを深く被っていた為、顔はよく見えない。
「安心して下さい。」
その少年は、自分に敵意はない。そうガイに伝えた。
と、思った次の瞬間、少年は自身の下半身を指差した。
「穿いてますよ!!!」
「…」
ガイは呆気に取られていた。何故、今、安村のネタをしているのか、少年の行動の意味がわからなかったからだ。
「…」
少年は首を傾げた。そして、もう一度。
「安心して下さい。穿いてますよ!!!」
どうやら、聞こえていないと思ったようだ。
ガイは少年の奇行を無視し、尋ねた。
「誰だお前。」
しかし、少年はそんなガイの質問を無視して、ガイに質問した。
「アナタ、このネタ知らないんですか⁈僕の村では最新のネタなんですよ⁈」
少年はそう言いながらガイに近づいてきた。
少年が木漏れ日に通りかかったその時、ガイは少年の顔をハッキリと視認する事ができた。
「ッ⁈」
次の瞬間、ガイは少年から大きく距離を取った。
「お前、バケモノだな…」
少年の顔の右半分には、無数の眼球が存在していた。
するとその時、少年は距離を取ったガイに指を刺した。
「まず下、穿いた方がいいですよ。安心しせてください。」
ガイは自分の下半身を見た。ガイの下半身は露わになっていた。
「僕の能力じゃ服は作れないので。」
すると、少年は切断され、地面に落ちていたガイの下半身を指差した。
それを聞いたガイは、何となくではあるが、現状を理解し始めた。
「お前が俺を治したのか…?」
「はい。」
「…」
ガイは少年に敵意がない事を察し、地面に落ちた下半身からズボンとパンツを剥ぎ、それを穿いた。
すると、少年は話を始めた。
「いやぁ~!コレで安心して話せますね!100%じゃヒヤヒヤしますから!」
ガイは無言のまま、少年の話を聞いている。
「僕は氷室亮太。伊寄村村長の孫です。何やかんやあってこんな姿になりました。」
「何やかんや…」
どうやら、ガイはそこが気になるようだ。
「気になります?じゃあ話します。」
氷室の話では、氷室は1ヶ月前にバケモノに連れ去られ、研究所のような場所で氷室はバケモノに改造された。
「僕をこんな姿にしたのは館林ってマッドサイエンティストです。館林の目的はよくわかりませんが、何処かのヤクザ屋さんとお友達のようですよ。なんだっけなぁ…はくちょう?だったっけ…」
その時、ガイは氷室に尋ねた。
「俺を助けた理由は?」
「だってあのままじゃ死んじゃうじゃないですか。」
どうやら、ガイを助けたのは善意、いや、道徳観念のようだ。
「わかった。じゃあ、お前の目的は何だ?」
「え?」
氷室は首を傾げた。
「お前は何故、ココにいるか。理由が知りたい。」
その言葉を聞いた氷室は、真剣な表情で答えた。
「村のみんなを守る為…」
氷室は空を見上げた。空には未だにバケモノ達が浮遊している。
「館林は焦っている。例え大事になろうとも人間を集めようとするだろう。僕はそれを止める為に来た。」
それを聞いたガイは少し考え込んだ。
「(竹本は人間を集めていた。おそらく、館林って奴の命令に従ってたんだろう。しかし、氷室はそれに反している。命令は絶対じゃない…もしくは、コイツが嘘をついているか…)」
その時、ガイの頭に鋭い痛みが生じた。
「ッ………」
それと同時に、また身に覚えの無い記憶が流れてきた。
〈キミはホントに疑り深いんだね。〉
ガイはその記憶が気になったが、氷室との会話を優先する事にした。
「わかった。俺も手伝おう。」
すると、それを聞いた氷室は喜びを表すかのような笑顔をした。
「本当ですか!助かります!それじゃ、早速村に行ってバケモノの侵略を食い止めて…」
「いや、そっちは多分大丈夫。俺の仲間がなんとかしてくれるはずだから。」
「仲間ですか?」
「うん。それに、バケモノ達を操ってるのがその館林って奴なら、そいつを倒した方が手っ取り早い。」
ガイはバケモノを操っているのが館林であると決めつけて話をした。そうする事で、氷室の反応を調べようとしたのだ。もし、その仮定を否定しなければ、氷室は黒。ガイを生かしたのも、何か他に別の理由があるから。例えば、ハンディーキャッパーの肉体が必要、とか。
次の瞬間、氷室は言った。
「あ、バケモノを操ってるのは館林じゃないですよ。」
「…」
この時、ガイは確信した。氷室は敵じゃない。
「操られてはないのか?」
「まぁ、操られてはいるんですけど…館林は改造するだけで操ることはできません。操作するのは館林が作ったお気に入りの1人、高田さんです。」
「そいつもハンディーキャッパーなのか?」
「ハンディー…?」
氷室は首を傾げている。
「もしかして、知らないのか?」
「はい。何ですか、それ?」
「まぁ、超能力みたいなもんだよ。」
その時、氷室は腕を伸ばし、手の平を上に向けた。
「もしかして、コレのことですか?」
次の瞬間、氷室はPSI纏った。
「『現代のオーパーツ』!!!」
すると、氷室の手の平の上で赤黒い何かが形成されていく。
「肉…?」
数秒後、それはスズメになった。
「生物を創造する能力なのか…?」
「いや、コイツには命はありません。生命までは作り出せないんです。コレはただのスズメの形をした肉塊ですよ。」
ガイは再び尋ねた。
「つまり、お前の能力は肉を創造して、それを好きな形に変形できる、と?」
「はい。まぁ、そんな感じです。」
説明しよう!
氷室のタレント『現代のオーパーツ』は自身のPSIをタンパク質、炭水化物、脂質などに変え、最終的には肉にする能力である。実質、どんな肉なのかは使用者である氷室にもよく分からない。氷室曰く、食べてもあまり美味しく無いらしい。
タイプ:創造型
「さっき僕、バケモノを操作する奴がいるって言いましたよね。」
「うん。」
ガイは頷いた。
「僕が操られてない理由、それが、この能力のおかげなんです。バケモノを操ってる高田は、操りたい奴の脊髄に毒針を指して、その毒が脊髄全体に広がったら操作可能になるんです。」
それを聞いたガイは、何故、氷室が操られていないのかを察した。
「まさか、脊髄を…?」
「はい。一か八かでやってみたら出来ました。」
そう。氷室は自身のタレントで脊髄を創造し、それを移植したのだ。
「(なんて奴だ…)」
ガイは氷室の覚悟と技量に感服した。
「それで、そのハンペンナンチャラってやつ、教えてくださいよ。」
ハンディーキャッパーの事が気になる氷室。しかし、バケモノは刻一刻と村に近づいている。
「後で話すよ。時間ないだろ?」
「そ、そうですよね…それじゃあ、今から僕が館林の研究所まで案内します。」
ガイ達は館林の研究所に向かって歩き始めた。
「そうだ。まだ名前聞いてませんでしたよね?」
「あぁ、そうだったな。俺は障坂ガイ。よろしくな。」
「よろチクビー!コリコリコリコリ~!あきもちぃー!」
氷室は自身の乳首をコリコリしている。
「お前、今がどんな状況かわかってんのか?」
「冗談言えない状況。」
十谷,村上,ヤブ助たちは無事に村までたどり着くことができた。どうやら、バケモノ達は人間以外には襲ってこないようで、道中、ヤブ助達に危険はなかった。そして、人間の姿に戻った3人は、村上を病院に送り、その後、ヤブ助と十谷は村の交番へと向かった。
【伊寄村、交番にて…】
人間の姿のヤブ助と十谷は交番に居た中年の警官と話をしていた。
「早く捜索してくださいよ!きっと森の中ですから!」
今、ガイは1人でバケモノと戦っている。それ故、十谷の必死さは尋常ではない。
それが伝わったのか、警察はハイハイと頷いた。
「わ、わかりました…」
十谷たちはバケモノの事は一切言わず、ガイが行方不明になったから探して欲しいとだけ頼んだ。
【数分後、交番前…】
ヤブ助,十谷,警官は交番の外へ出た。すると、そこには小学生ぐらいの女の子が1人、立っていた。
警官はその女の子に話しかけた。
「亜美ちゃん、今日も来たのかい?」
「おじちゃん…」
少女、亜美は何かにすがるような表情で言葉を発した。
「お兄ちゃんは…?」
「ごめんね、まだ見つからないんだよ。」
警官は優しく、そして申し訳無さそうに少女に言葉を返した。
「そう…」
そう呟くと、亜美は去っていった。その後ろ姿を見て、ヤブ助は何か気になったのか、警官に少女の素性を聞いた。
「あのガキは?」
「氷室村長さんトコの孫ですよ。実はあの子のお兄ちゃんも1ヶ月前から行方不明でして…」
それを聞いた十谷は気の毒そうに呟いた。
「1ヶ月もですか…」
十谷の呟きに、警官は頷き、話し始めた。
「はい。亜美ちゃん、お兄ちゃんがいなくなってから毎日ココへ来てくれるんです。私のお兄ちゃんは見つかったかって。」
「もう死んでるんじゃないか。」
ヤブ助は空気も読まずに言った。
「…」
しかし、警官も薄々そう思っていた。よって、ヤブ助の発言に否定はできなかった。
「(行方不明…?)」
その時、ヤブ助は何かに気づいたのか、警官に尋ねた。
「おい、警官。ひょっとして、行方不明者の数が多くなってきてるとかあったりするか?」
「え、えぇ。そういえば、ここ1年あたりで急激に行方不明者が増加しているような…」
【一方その頃、森の中にて…】
辺りの木々や草には大量の血が付着していた。ガイの血だ。
「ん……」
ガイは目を覚ました。
「(アレ…俺、確か…)」
ガイは思い出した。竹本という大熊のハンディーキャッパーに腹部を断裂された事。そして、もう2度と目は覚ますはずがなかった事を。
「なん、で…⁈」
その時、ガイは目の前に落ちているモノに気がついた。それは切断されたガイの下半身。
「ッ…?」
ガイは自分の体を見た。しかし、ガイの体に異常は無い。五体満足のまま。
では、目の前にある切断された下半身は誰のものなのか。
「気がつきましたね。」
その時、ガイは背後から何者かに声をかけられた。
「⁈」
ガイは振り返った。すると、そこにはガイよりも1~2歳年下の少年が立っていた。しかし、キャップを深く被っていた為、顔はよく見えない。
「安心して下さい。」
その少年は、自分に敵意はない。そうガイに伝えた。
と、思った次の瞬間、少年は自身の下半身を指差した。
「穿いてますよ!!!」
「…」
ガイは呆気に取られていた。何故、今、安村のネタをしているのか、少年の行動の意味がわからなかったからだ。
「…」
少年は首を傾げた。そして、もう一度。
「安心して下さい。穿いてますよ!!!」
どうやら、聞こえていないと思ったようだ。
ガイは少年の奇行を無視し、尋ねた。
「誰だお前。」
しかし、少年はそんなガイの質問を無視して、ガイに質問した。
「アナタ、このネタ知らないんですか⁈僕の村では最新のネタなんですよ⁈」
少年はそう言いながらガイに近づいてきた。
少年が木漏れ日に通りかかったその時、ガイは少年の顔をハッキリと視認する事ができた。
「ッ⁈」
次の瞬間、ガイは少年から大きく距離を取った。
「お前、バケモノだな…」
少年の顔の右半分には、無数の眼球が存在していた。
するとその時、少年は距離を取ったガイに指を刺した。
「まず下、穿いた方がいいですよ。安心しせてください。」
ガイは自分の下半身を見た。ガイの下半身は露わになっていた。
「僕の能力じゃ服は作れないので。」
すると、少年は切断され、地面に落ちていたガイの下半身を指差した。
それを聞いたガイは、何となくではあるが、現状を理解し始めた。
「お前が俺を治したのか…?」
「はい。」
「…」
ガイは少年に敵意がない事を察し、地面に落ちた下半身からズボンとパンツを剥ぎ、それを穿いた。
すると、少年は話を始めた。
「いやぁ~!コレで安心して話せますね!100%じゃヒヤヒヤしますから!」
ガイは無言のまま、少年の話を聞いている。
「僕は氷室亮太。伊寄村村長の孫です。何やかんやあってこんな姿になりました。」
「何やかんや…」
どうやら、ガイはそこが気になるようだ。
「気になります?じゃあ話します。」
氷室の話では、氷室は1ヶ月前にバケモノに連れ去られ、研究所のような場所で氷室はバケモノに改造された。
「僕をこんな姿にしたのは館林ってマッドサイエンティストです。館林の目的はよくわかりませんが、何処かのヤクザ屋さんとお友達のようですよ。なんだっけなぁ…はくちょう?だったっけ…」
その時、ガイは氷室に尋ねた。
「俺を助けた理由は?」
「だってあのままじゃ死んじゃうじゃないですか。」
どうやら、ガイを助けたのは善意、いや、道徳観念のようだ。
「わかった。じゃあ、お前の目的は何だ?」
「え?」
氷室は首を傾げた。
「お前は何故、ココにいるか。理由が知りたい。」
その言葉を聞いた氷室は、真剣な表情で答えた。
「村のみんなを守る為…」
氷室は空を見上げた。空には未だにバケモノ達が浮遊している。
「館林は焦っている。例え大事になろうとも人間を集めようとするだろう。僕はそれを止める為に来た。」
それを聞いたガイは少し考え込んだ。
「(竹本は人間を集めていた。おそらく、館林って奴の命令に従ってたんだろう。しかし、氷室はそれに反している。命令は絶対じゃない…もしくは、コイツが嘘をついているか…)」
その時、ガイの頭に鋭い痛みが生じた。
「ッ………」
それと同時に、また身に覚えの無い記憶が流れてきた。
〈キミはホントに疑り深いんだね。〉
ガイはその記憶が気になったが、氷室との会話を優先する事にした。
「わかった。俺も手伝おう。」
すると、それを聞いた氷室は喜びを表すかのような笑顔をした。
「本当ですか!助かります!それじゃ、早速村に行ってバケモノの侵略を食い止めて…」
「いや、そっちは多分大丈夫。俺の仲間がなんとかしてくれるはずだから。」
「仲間ですか?」
「うん。それに、バケモノ達を操ってるのがその館林って奴なら、そいつを倒した方が手っ取り早い。」
ガイはバケモノを操っているのが館林であると決めつけて話をした。そうする事で、氷室の反応を調べようとしたのだ。もし、その仮定を否定しなければ、氷室は黒。ガイを生かしたのも、何か他に別の理由があるから。例えば、ハンディーキャッパーの肉体が必要、とか。
次の瞬間、氷室は言った。
「あ、バケモノを操ってるのは館林じゃないですよ。」
「…」
この時、ガイは確信した。氷室は敵じゃない。
「操られてはないのか?」
「まぁ、操られてはいるんですけど…館林は改造するだけで操ることはできません。操作するのは館林が作ったお気に入りの1人、高田さんです。」
「そいつもハンディーキャッパーなのか?」
「ハンディー…?」
氷室は首を傾げている。
「もしかして、知らないのか?」
「はい。何ですか、それ?」
「まぁ、超能力みたいなもんだよ。」
その時、氷室は腕を伸ばし、手の平を上に向けた。
「もしかして、コレのことですか?」
次の瞬間、氷室はPSI纏った。
「『現代のオーパーツ』!!!」
すると、氷室の手の平の上で赤黒い何かが形成されていく。
「肉…?」
数秒後、それはスズメになった。
「生物を創造する能力なのか…?」
「いや、コイツには命はありません。生命までは作り出せないんです。コレはただのスズメの形をした肉塊ですよ。」
ガイは再び尋ねた。
「つまり、お前の能力は肉を創造して、それを好きな形に変形できる、と?」
「はい。まぁ、そんな感じです。」
説明しよう!
氷室のタレント『現代のオーパーツ』は自身のPSIをタンパク質、炭水化物、脂質などに変え、最終的には肉にする能力である。実質、どんな肉なのかは使用者である氷室にもよく分からない。氷室曰く、食べてもあまり美味しく無いらしい。
タイプ:創造型
「さっき僕、バケモノを操作する奴がいるって言いましたよね。」
「うん。」
ガイは頷いた。
「僕が操られてない理由、それが、この能力のおかげなんです。バケモノを操ってる高田は、操りたい奴の脊髄に毒針を指して、その毒が脊髄全体に広がったら操作可能になるんです。」
それを聞いたガイは、何故、氷室が操られていないのかを察した。
「まさか、脊髄を…?」
「はい。一か八かでやってみたら出来ました。」
そう。氷室は自身のタレントで脊髄を創造し、それを移植したのだ。
「(なんて奴だ…)」
ガイは氷室の覚悟と技量に感服した。
「それで、そのハンペンナンチャラってやつ、教えてくださいよ。」
ハンディーキャッパーの事が気になる氷室。しかし、バケモノは刻一刻と村に近づいている。
「後で話すよ。時間ないだろ?」
「そ、そうですよね…それじゃあ、今から僕が館林の研究所まで案内します。」
ガイ達は館林の研究所に向かって歩き始めた。
「そうだ。まだ名前聞いてませんでしたよね?」
「あぁ、そうだったな。俺は障坂ガイ。よろしくな。」
「よろチクビー!コリコリコリコリ~!あきもちぃー!」
氷室は自身の乳首をコリコリしている。
「お前、今がどんな状況かわかってんのか?」
「冗談言えない状況。」
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