5 / 81
第5話 「助けた子は王女様でした」
しおりを挟む
「なんだ、これ……剣……なのか」
俺の手の中に現れたのは俺の背丈に近いほどの大剣。刃の周囲は淡い光で満ちている。
俺にこんな能力はない……はずだ。だって、転移してから神様と出会っても、チート能力は与えられなかったのだから。
原因は分からない。理屈も分からない。だけど、結果だけは、分かる。この剣を使えばこの状況を打破できるのだと、心が言っている。
「アリシア、ここは俺に任せろ!」
「……カイリ? その剣は?」
「知らない! けど、これを使えば必ず勝てる!」
大剣は見た目ほど重くない。筋トレなんて一回もしたことがないけど、十分振り回せる。
敵も大剣が突然出てきたことに驚いている。その隙を突いて俺は大剣を横向きに振るう。剣の軌跡に沿って衝撃波と風圧が発生する。その衝撃は木々をへし折り、敵を吹き飛ばす。
「嘘だろ……」
自分でやっておきながら、あまりの威力に驚きを隠せない。俺の目の前から地面事えぐり飛ばされ、もはや敵の姿が視認できない。
「カイリ様、すごいです! あんな能力を隠してたんですね!」
俺の背中に隠れていたナナが飛び出し、ぱぁっと笑顔を浮かべる。いつも通りの可愛らしい笑顔だったけれど、今の俺は別のことに意識を取られていた。
「これが、俺の力……?」
剣の柄から手を離すと、空気中に溶けるように消えていく。
『まさか、今覚醒するとは……』
「あ、神様今までどこ行ってたんだよ。全く喋らなくなっちまって」
『ちょっと驚いていただけだよ。まさかキミが、その力を使えるようになるとはね』
「神様、この剣のこと、知ってるのか!?」
『もちろん知ってるさ。だってそれ、ボクの力だしね』
「ボクの力……ってことはつまり、神様の!?」
『そうだよ。異世界に来てなんの能力もないってキミは嘆いていたけど、本当はあったんだ。ボクの力を宿す――神の使徒の権能が』
「俺が……神の、使徒……?」
『神の使徒に与えられた神の武器――神器を用いる神の代行者。今のカイリを表すとしたら、そういうことだ」
いまいち実感が湧かないけど、神様がそう言うんだったら間違いないんだと思う。
「ところでなんで神様はこの力のことを教えてくれなかったんだ? もっと早く教えてくれれば良かったのに。もしかして、教えられないほどやることがいっぱいだったのか?」
『ボクはボクで色々とやることがあるんだ。女の子の事情を詮索する男はモテないよ』
「女だったんだ……」
性別不詳だった神様の性別がようやく判明した。いや、これまでもそれっぽいなとは思ってたけど。
「また黙っちまった……この力についてもっと聞きたかったんだけどな……」
「……あのー、カイリ様?」
俺が一人で考え込んでいると、ナナが俺の顔を覗き込んでくる。
「一体、どちら様と会話されてるんでしょうか……」
「あぁ、ごめん。何でもないんだ。気にしないでくれ」
とりあえず誤魔化しておく。俺には神様がついてる、なんて言って信じてくれないだろうしな……
「カイリ、すっごく強いんだね。その力があるならパーティーから追放もされなかったんだろうけど」
「俺も自分にこんな力があるのは知らなかったし。それに、もし俺が昔から力を持っていてもそれをあいつらのために使おうとはしなかったと思う」
そこまで俺もお人よしじゃない。三十を超える敵を一振りで掃討できる武器を持っているなら一人で冒険者をやっていける。わざわざあいつらと同じパーティーにいる理由なんてない。
「それで、これからどうしよっか」
「とりあえず危機は去ったし、のんびり生活してもいい気がする。それに、敵が来たらまたぶっ飛ばせばいいんだし」
「でも、カイリの力、なんで発現したかも分からないでしょ? 意図的に発動できるものなの?」
「……やってみるか」
さっき大剣を発言させた時と同じ言葉を口にする。
「限定解除」
「うわ、また出てきた」
またしても大剣が出現する。手を離すと、また宙に消えていく。
「カイリ様すごいです! 流石はわたしの王子様です~!」
ナナの顔の輝きが止まらない。そこまで言われて悪い気はしないけど、正体不明の力を使うことに少し不安がある。
「その限定解除ってどういう意味なんなの? なんで、限定なんだろう」
「俺もよく分かんねえんだよな……上手く言語化できないけど、心の底から言葉が出てくるっていうか……口が勝手に動くというか……」
どうして「限定」で、なにを「解除」しているのか、全く分からない。
「今は考えるのはやめておこう。どうせ考えても分からないしな。それより、今後の方針を決めねえと……」
「それなんですけど、わたしからいいですか?」
ナナが小さな手をめいっぱい上げて主張してくる。
「わたし、一年前からお父様の私兵に追いかけられてるんです。カイリ様が追い払ってくださったのも、お父様の私兵なんです」
「私兵って、ナナのお父さんは結構偉い人なのか?」
「わたしのお父様は……この国の――アウスト王国の国王です」
俺の手の中に現れたのは俺の背丈に近いほどの大剣。刃の周囲は淡い光で満ちている。
俺にこんな能力はない……はずだ。だって、転移してから神様と出会っても、チート能力は与えられなかったのだから。
原因は分からない。理屈も分からない。だけど、結果だけは、分かる。この剣を使えばこの状況を打破できるのだと、心が言っている。
「アリシア、ここは俺に任せろ!」
「……カイリ? その剣は?」
「知らない! けど、これを使えば必ず勝てる!」
大剣は見た目ほど重くない。筋トレなんて一回もしたことがないけど、十分振り回せる。
敵も大剣が突然出てきたことに驚いている。その隙を突いて俺は大剣を横向きに振るう。剣の軌跡に沿って衝撃波と風圧が発生する。その衝撃は木々をへし折り、敵を吹き飛ばす。
「嘘だろ……」
自分でやっておきながら、あまりの威力に驚きを隠せない。俺の目の前から地面事えぐり飛ばされ、もはや敵の姿が視認できない。
「カイリ様、すごいです! あんな能力を隠してたんですね!」
俺の背中に隠れていたナナが飛び出し、ぱぁっと笑顔を浮かべる。いつも通りの可愛らしい笑顔だったけれど、今の俺は別のことに意識を取られていた。
「これが、俺の力……?」
剣の柄から手を離すと、空気中に溶けるように消えていく。
『まさか、今覚醒するとは……』
「あ、神様今までどこ行ってたんだよ。全く喋らなくなっちまって」
『ちょっと驚いていただけだよ。まさかキミが、その力を使えるようになるとはね』
「神様、この剣のこと、知ってるのか!?」
『もちろん知ってるさ。だってそれ、ボクの力だしね』
「ボクの力……ってことはつまり、神様の!?」
『そうだよ。異世界に来てなんの能力もないってキミは嘆いていたけど、本当はあったんだ。ボクの力を宿す――神の使徒の権能が』
「俺が……神の、使徒……?」
『神の使徒に与えられた神の武器――神器を用いる神の代行者。今のカイリを表すとしたら、そういうことだ」
いまいち実感が湧かないけど、神様がそう言うんだったら間違いないんだと思う。
「ところでなんで神様はこの力のことを教えてくれなかったんだ? もっと早く教えてくれれば良かったのに。もしかして、教えられないほどやることがいっぱいだったのか?」
『ボクはボクで色々とやることがあるんだ。女の子の事情を詮索する男はモテないよ』
「女だったんだ……」
性別不詳だった神様の性別がようやく判明した。いや、これまでもそれっぽいなとは思ってたけど。
「また黙っちまった……この力についてもっと聞きたかったんだけどな……」
「……あのー、カイリ様?」
俺が一人で考え込んでいると、ナナが俺の顔を覗き込んでくる。
「一体、どちら様と会話されてるんでしょうか……」
「あぁ、ごめん。何でもないんだ。気にしないでくれ」
とりあえず誤魔化しておく。俺には神様がついてる、なんて言って信じてくれないだろうしな……
「カイリ、すっごく強いんだね。その力があるならパーティーから追放もされなかったんだろうけど」
「俺も自分にこんな力があるのは知らなかったし。それに、もし俺が昔から力を持っていてもそれをあいつらのために使おうとはしなかったと思う」
そこまで俺もお人よしじゃない。三十を超える敵を一振りで掃討できる武器を持っているなら一人で冒険者をやっていける。わざわざあいつらと同じパーティーにいる理由なんてない。
「それで、これからどうしよっか」
「とりあえず危機は去ったし、のんびり生活してもいい気がする。それに、敵が来たらまたぶっ飛ばせばいいんだし」
「でも、カイリの力、なんで発現したかも分からないでしょ? 意図的に発動できるものなの?」
「……やってみるか」
さっき大剣を発言させた時と同じ言葉を口にする。
「限定解除」
「うわ、また出てきた」
またしても大剣が出現する。手を離すと、また宙に消えていく。
「カイリ様すごいです! 流石はわたしの王子様です~!」
ナナの顔の輝きが止まらない。そこまで言われて悪い気はしないけど、正体不明の力を使うことに少し不安がある。
「その限定解除ってどういう意味なんなの? なんで、限定なんだろう」
「俺もよく分かんねえんだよな……上手く言語化できないけど、心の底から言葉が出てくるっていうか……口が勝手に動くというか……」
どうして「限定」で、なにを「解除」しているのか、全く分からない。
「今は考えるのはやめておこう。どうせ考えても分からないしな。それより、今後の方針を決めねえと……」
「それなんですけど、わたしからいいですか?」
ナナが小さな手をめいっぱい上げて主張してくる。
「わたし、一年前からお父様の私兵に追いかけられてるんです。カイリ様が追い払ってくださったのも、お父様の私兵なんです」
「私兵って、ナナのお父さんは結構偉い人なのか?」
「わたしのお父様は……この国の――アウスト王国の国王です」
17
あなたにおすすめの小説
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。
夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる