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5.世間が狭いお陰で変態を釣り上げてしまった。(完結)

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――――――――――――――――――――――

―――――――――――


遠くでシャワーの音が聞こえる。
…私、あれからどうしたんだっけ?


専務と二人で飲んで
タクシーがきて…それから?

―――――――――――。

私はゆっくりと目を開けた。

「…知らない部屋。」

センスのいい家具か並べられた寝室
寝心地のよいベットの上に私はいた。


「あっ!服!!…着てる。
 乱れてもいない。」

寝ている間にいたずらされたかと焦ったが
大丈夫だったようだ。


ミトは体を起こし、
恐らくシャワーを浴びているだろう専務に
会うため、リビングへ向かった。


リビングもこれまたスタイリッシュで
イタリア家具だろうか?お洒落なソファが目立つ。

…そんなことより、広すぎないだろうか?
家賃を考えただけでめまいがする。


ミトはせっかくだからと
リビングをゆっくり観察して行った。

そして、奥まったところにもう一つ部屋を見つける
書斎だろうか?

「少し、開いてる。ここはどんな内装なのかな?
 …ちょっと覗いてみよっ!!」


でき心だった。
こんなに、後悔することになろうとは
この時は微塵んも思っていなかった。


中は、ほかの部屋と同様
オシャレな内装となっていた。…が部屋を見渡すミトの顔が
だんだんと強張っていく。

「ここって…。」

――――ギシッ

真後ろで床のきしむ音が響いた。


「月下さん…いや、俺のマリア様ようやく会えましたね?」

「ひっ!!!」


怖くて後ろを振り向くことが出来ない。

「酷いじゃないですか?毎日俺との愛を育んでいたのに
 急に連絡を絶つなんて、必死に探しましたよ?
 …そしたら、こんなに近くにマリア様がいたなんて!!」

専務はぎゅっとミトを包み込むように
抱き着く。

腰にタオルを巻いただけで
服は着ていないのか生々しい体温が伝わってくる


お尻に当たってるのは
見慣れた男根だろうか?


「あの?専務?」


「俺のことは駄犬とお呼びください。」


「えっいやぁ・・・流石に会社の上司にそんなことは」


「今すぐ貴女の下の花に突っ込んでもいいのですよ?」


私は切羽つまったように叫ぶ!!

「この駄犬!!今すぐ離れなさい!
 誰の許可を得て私に触っているの?」


「ああああ!!この声だ!!
 マリア様罪深き私に罰を!!」



――私は悟った。
―――――――これはもう、逃げられない。


この男に出会ってしまったのが運の尽きだったようだ。
ネットの中だからと調子こいた過去の自分を呪いたい。


「はぁ…。仕方ないわね
 駄犬!!両手を頭の後ろで組みなさい
 絶対自分で遊んではだめよ?」


まだ何もしていないというのに男根は
既に先端から液が先走り
お腹に付きそうなぐらい反りかえっていた。


…世間は意外と狭いと 誰が言ったのか。

「…マリア様、私は貴女様に出会えて本当に幸せです。
 これからずーと一緒に居ましょうね?」


この後、無事SM嬢をやり切った私は
用はもう済んだと、そそくさと帰る支度をし
玄関を目指したところを拘束され、


自分が処女だったことも
嘘かと思うぐらい、気を失うまで見慣れた男根で突かれ
イカされたのだ。もう逃げる気すら起きないぐらいに…。

朝になっても疲労で動けず
専務に介抱される羽目になった。

…ドSにもなれるなんて聞いてない!!



そして仕事日ようやく解放された私は
出勤すると

ももちゃんが私を見るなり
べたべたと体をさわり安否確認してきた

「先輩!!大丈夫ですか?
 専務がガンガン先輩に酒飲ましてて
 私、止めようとしたんですけど…
 邪魔するなって!!睨まれたんですよぉー」

怖くてそれ以上反論できなくて…ううっすみません と
ももちゃんはしょぼんとうなだれる。

「先輩!ああいうタイプは危険ですよ
 今まで女性に興味なかった男が女に目覚めると異常な執着を見せるんです。
 そうなる前に距離を置くべきです!!」


ももちゃんの名推理に頭が痛くなる。

…オフィスの廊下を見ると専務がこちらに
向かってきているのがわかった。


「…。ももちゃんちなみに、そうなった場合の
 解決さくってある?」

私は頬引きつらせながら元気のない声できいた


「えっ先輩まさかっ!!もう―――「月下さんおはようございます。今日もいい天気ですね
 お昼は一緒に中庭が見えるカフェでごはんにしましょう。…迎えに来ます。」

ももちゃんの話をさえぎり、
昼の約束を取り付けた専務。

ももちゃんの顔は真っ青だ。

「ああ、貴女は…。先日はお誘い頂きありがとうございました。
 お陰様で俺は運命の聖母に会うことが出来ました
 まるで恋のキューピットですね。…これからも私たちが仲良く
 二人で愛を育めるようにサポートお願いしますね?」

…もはや、脅しである。
私といつも一緒にいるモモちゃんに嫉妬し

ももちゃんより自分との時間を多くするように
動けと高慢にも言っているのだ。


「…先輩すいません。」

「…ん?なに?」

「私自分が一番かわいいんです。」
ももちゃんは私の顔を見ようとはせず
下の床に視線をずらしながら気まずそうに話す。

「ももちゃん??」

「…専務、私これから資料室に先輩と探し物行く予定だったのですが、
 なんだか私、体調がすぐれなくて…申し訳ありませんが
 私の代わりに先輩と資料室へ行ってくれませんか?」


「えっ!!ももちゃん!?」

「ああ、そんなことならお安い御用です。
 ただ、少し時間がかかるかもしれないけど…」

「心配しないでください
 先輩が不在の間は私がしっかりカバーしておきますんで!!」

どうぞごゆっくりっと
ももちゃんは私たちを送り出した・・・・

「ももちゃんっ!!!嫌っ!!裏切者!!!」


私はこれから資料室で起こるだろうセクハラに
冷や汗を流しながら未練がましく
ももちゃんに助けをも止めようと手を伸ばすが

その手すらも専務に握りこまれて
ずるずると、資料室のある人気のない地下へ
引っ張れて行った…。


「嫌っ!!放して!!ほんと信じらんない!!
 なんでこんなことになるわけ?インターネットの中だよ
 どんな確率だと思ってんの!?」

「…月下さん、世間って案外狭いって言うじゃないですか?それですよ。
 まぁ、私は運命の出会いだったと思う方がロマンチックで好きですけどね。」

私と月下さんは赤い運命の糸で結ばれてるんですよ
専務は嬉しそうに私の手の小指に唇を落とした。

私の心にやるせない気持ちがつのる。

「くうぅ!!―――世間のバカヤロー!!」

思わず叫んでしまったが、幸いここは人も寄り付かない
資料室前、専務はふふっと笑い
すぐさま私の口を濃厚なキスで塞いでしまった。



酸欠で体の力が抜けていくのを感じ
私は意識を手放した


――――――神様。


世間が狭いお陰で
変態を釣り上げてしまいました…
助けてください。




―――――――
―――――――――――END。


※※※


今回は初男性イジメ作品でした。
つたない箇所もあったかと思いますが
最後まで読んでいただきありがとうございました。

また、皆の目にかかれれば幸いです。
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