華と光と恋心

かじゅ

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第3話 嵐の転校生と嵐の夜に

全部買い替えましょう!

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 お風呂上がり、部屋に戻って来た桔梗の髪にヘアオイルを付け、ドライヤーで乾かしているのは光希。
今夜光希は桔梗の部屋にお泊りなのだ。
何故かと言うと…。
まずは時間を数日前、3人が帰りの電車に乗り込んだところまで巻き戻そう。
「服欲しいな。」
光希がポツリと呟く。
実は桔梗たちが通う高校、課外授業や修学旅行等の参加の際は基本私服OK。
とは言え学校行事であるため、当然節度を持った服装でなくてはいけないのだが…。
「課外授業に合った服が欲しい。」

5月中旬、2年生になってから初めての課外授業がある。
ちなみに今回の課外授業先は水族館と遊園地が一緒になった、某有名テーマパーク。
仕事の裏側などを見学し、午後2時には現地解散。
そのまま学校まで帰りたい生徒は、来たときに乗っていたバスに乗って帰っても良し。
そのまま現地で遊んでも良し。
となっている。
どれを選択したとしても勿論、学校の生徒として節度を持った行動を取る、というのが大前提だが。

「光希の服装かっこいいけど、確かに課外授業には向いてないかぁ。」
「まぁな。」
「光希って普段どんな服装なの?」
「パンクロックっぽい服装。」
やっべ!想像しただけでかっこいい!見たいな光希の私服!
「GWにでも買いに行かないか?」

そしてその夜、黒岸家の夕食の際、GW中に服を買いに行くという話をしたところ、
「それなら俺も一緒に行っていいか?」
「ボクも行きたいなぁ~。」
と桃也、海斗が便乗してきた。
「だったら桃也、そのときついでにスマホの機種変してきなさい。」
静音が不意に言ってきた。
「いやまだ使えるし、通話してメッセ送れれば問題ないだろ。」
SNSも問題なく利用出来るし。
「この前咲樹から電話あったのよ。」
「は?」
咲樹、とはフルネームを瀬奈咲樹せなさかきと言うのだが、黒岸夫妻と長い付き合いというだけでなく、桃也が所属する老舗大手プロダクションの社長でもあり、桃也を直々にスカウトした人物。
3兄弟が幼い頃からよく黒岸家を訪ねて来ており、その成長を近くで見ていた咲樹だからこそ、迷わず桃也をスカウトしたのだ。
「あんたのマネージャーが困ってるみたいじゃないの。」
「あぁ、それは…。」
「充電忘れて電源切れて、困るのはあんたよりマネージャー。」
桔梗同様、桃也もスマホに無頓着なため、機種は古いし電池ももたない、そして桃也も充電を忘れるタイプ。
「マネージャーには再三機種変を勧められたんじゃないの?」
「あぁ、まぁ、でも…。」
「でもじゃないわよ、咲樹があたしに直接電話してくる何てよっぽどよ、それとも何?いつも一緒に頑張ってくれてるマネージャー困らせたいの?」
「そういうわけじゃねぇって。」
「じゃあするわね、機種変。」
まだ使えんだけど…。
マネージャーこれ以上困らせるわけにいかねぇし、次に社長から連絡あったら間違いなくお袋ブチ切れるし…。
「分かった、機種変する。」
観念した桃也が言うと静音だけでなく、毅流までもがニンマリする。
「何でお前が喜んでんだ?」
「いやぁ、モモ兄が機種変するって言ったら機種変するって言った人がいるんだよ。」
もしや…と思って隣を見るとずぅぅぅん、と落ち込んだ桔梗。
「桃也さんだって不便じゃないって言ってた、だから平気、でももし桃也さんが機種変するって言うなら観念するって言ったんだよね、桔梗、約束したんだから桔梗も機種変するよね?」
「う、うぅ…。」
仕方ない、約束したんだから仕方ない、約束破るのは良くない、良くないぃ…!
「分かった、機種変する。」
その後、桔梗は財布も年季入ってるだの何だの言われ、静音が
「いいわ!あたしが直々に桔梗ちゃんお買い物リストを作る!ちなみに反論は一切受け付けないわよっ。」






 そしていよいよ明日はGW初日。
どうせならアウトレットに行こう、となり、それならば混む前に行こう、と出発を朝早くに設定。
だったら光希に泊まってもらった方がいいな。
というわけで、光希は今夜お泊まりになったのだ。
ドライヤーを止めて
「ほい完了。」
「ありがとう。」
「乾かし中だいぶ溜め息が多かったですな。」
バレてたか。
「もう観念したらどうだ?」
「うむぅ…。」
今回の買い物、ただの買い物だったらここまで溜め息も出ない。
桔梗の溜め息の理由、それは…。
「今回あたしが桔梗ちゃんに買ってあげたいんだから、お金は全部あたし持ち、お願いだからこれくらいさせて、ホントは一緒に行って桔梗ちゃんとキャッキャしながらお買い物したいのに、その願いが仕事のせいで叶わないんだものぉっ!それくらいさせてよ~!」
ママちゃん、最終的には泣き落としだもんなぁ。
こんなこともあろうかと、桃也名義ではあるが引き落とし口座は静音名義、というカードを事前に作っていたようで…。
「静音さんてすげぇな。」
「隙がない…。」
料理は苦手だけども…。
「そんだけ愛されてるってことで、今回は甘えとけ、静音さんのために。」
「うん、まぁ…。」
これ以上泣かれても困るし…。
「それより楽しもうぜ、桃也さんは勿論海斗さんもセンス良さそうじゃん?そんな人たちと一緒に買い物出来るんだからさ。」
「それに毅流も一緒ですもんな。」
「ま、まぁな。」
お、光希顔赤くなった。
「乙女、乙女がいる。」
「お前なぁ…。」
「途中2人きりタイム作りましょうかね。」
「頼みます!」
「任せとけ。」
何か光希…楽しそう。
てか、輝いとる?
恋してるなぁ。
あたしもいつかこんなときが来るんかな?
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