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悔しいけど美人は何をしても美人
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長廊下で互いの気持ちを確かめ合い、今晩恵みの間で会う約束をした後――俺と陛下はこっそり、庭の追悼集会に戻った。
「ありがとう、クリス。陛下と二人きりにしてくれて」
集まった貴族と歓談されている陛下を、少し離れた所から見守っていた現任の護衛騎士に、礼を言う。
「別に……俺は陛下の命令に従っただけだし」
クリスは目も合わせずに、そう吐き捨てたが……それは彼なりの照れ隠しなのではと思えた。
ついさっきまで睨み合っていた俺から感謝をされて、『どういたしまして』と笑顔を見せてくれる程、彼は素直なタイプではなさそうだから。
「でも、この間のように立ち聞きしたりはしなかったろう? 少しは俺を信用してくれたのだと、思ってもいいか?」
「ずいぶん調子いい事言いやがるじゃん。ハッピーな結末を迎えて、気分ルンルンな奴は違うね?」
「なに……?」
なぜ彼が、俺の気分がルンルンだという事を知っている?
陛下と愛を確かめ合い、涙と汗にまみれながら存分に抱き合って……かつてない位にほこほこした気持ちで、今この場にいる事を……なぜ彼が……!?
「立ち聞きしてたわけじゃないぞ。俺はあのルビーが、紅薔薇の受領者に配られる副賞みたいなもんだって、知ってただけだから。だからあんたと陛下が兄妹なんかじゃないって、元々わかってたんだよ」
「あ、そっちか……」
彼の言う『ハッピーな結末』とは、兄妹疑惑が晴れた事を言っていたのか。
心を透かし見られたと勘違いをし、焦っていた自分が恥ずかし……ん? ちょっと待て。という事は――
「君は……ノースリーフで会った時から、俺達が兄妹じゃないと知っていたという事か? なのに言わなかった? 俺と陛下が、その事で思い悩んでいると知りながら?」
「なんで俺がそこまで親切してやらなきゃなんないの? 俺とあんた、そこまで仲良しだっけ?」
幸せほこほこ気分で、怒りにくい心理状態である筈なのに。
クリスの返答に、少しばかり血圧があがるのを自覚する。
「俺の事はいい。だがこの一か月、陛下が思い悩まれているお姿を、君は一番近くで見ていた筈だ。真実を告げる事で、気持ちを楽にしてさしあげられるとは思わなかったのか? 君はそれでも女王の護衛騎士か?」
「また偉そうにお説教かよ。 あんたがご立派な理由で護衛騎士を辞めたのはわかったけど。だからって俺の恨みはチャラにならないからな」
「恨み?」
心底うっとおしそうにため息を吐くクリスの目には、憎悪すら感じる鈍い光が宿っている。
だが困った事に、今日で会うのが二度目の彼に、恨まれるような覚えはまるで無くて――。
「俺が君に何をしたのか、教えてくれないか? すまないが、心当たりが無いんだ。でも俺はデリカシーとやらを母のお腹に置き忘れて生まれたらしいから……知らず知らずのうちに、誰かを傷付けている事もあるかもしれない」
「だからぁ……そこまで親切に教えてやる義理はないっつってんだよ。心当たりが無いなら、あの赤毛のシェフにでも聞くんだね」
「赤毛……ジェニーの事か? 」
反射的に、彼女の姿を探す。
おさげ髪にコック服、という、貴族のご婦人方とはまた違った出で立ちのジェニーは、大勢のゲストの中からでも、比較的容易に見つけ出す事が出来た。
彼女はちょうど、陛下と談笑している最中で。
「わからない……彼女と、君が俺を恨んでいる事と、何の関係があるんだ?」
「あんた、同じ事何回言わせんの? 俺は! あんたに! 懇切丁寧に説明してやるつもりは無・い・の! 知りたいなら、自力で調べろ!」
苛立った様子でそう吐き捨てると、クリスはその場を立ち去った。
もやもやとした気持ちで、7等身はあろうかという後ろ姿を見送る。
「すごいな……」
思わず、呟いてしまった。
あれだけ眉や口を嫌味たらしく歪めても……なおも男前。
大事な話をしているというのに、意識の半分が『こいつホントに綺麗な顔してるな』という感心に持って行かれる。
陛下が俺を想って下さっている事はわかったが……あんな男が、四六時中傍にいたら……もしかしたら、もしかするかもしれない。
次会った時、きちんと確認しよう。
貧乳スレンダータイプと、ムチムチグラマータイプ。どちらの女性が、彼の好みか。
どちらであっても、陛下と彼の仲を裂く手段は、今の俺は持ち合わせていないけれど……。
改めて見る護衛騎士の美男ぶりに、脅威を覚えながら……俺は真相を知るらしい赤毛のシェフの元へと歩を進めた。
「ありがとう、クリス。陛下と二人きりにしてくれて」
集まった貴族と歓談されている陛下を、少し離れた所から見守っていた現任の護衛騎士に、礼を言う。
「別に……俺は陛下の命令に従っただけだし」
クリスは目も合わせずに、そう吐き捨てたが……それは彼なりの照れ隠しなのではと思えた。
ついさっきまで睨み合っていた俺から感謝をされて、『どういたしまして』と笑顔を見せてくれる程、彼は素直なタイプではなさそうだから。
「でも、この間のように立ち聞きしたりはしなかったろう? 少しは俺を信用してくれたのだと、思ってもいいか?」
「ずいぶん調子いい事言いやがるじゃん。ハッピーな結末を迎えて、気分ルンルンな奴は違うね?」
「なに……?」
なぜ彼が、俺の気分がルンルンだという事を知っている?
陛下と愛を確かめ合い、涙と汗にまみれながら存分に抱き合って……かつてない位にほこほこした気持ちで、今この場にいる事を……なぜ彼が……!?
「立ち聞きしてたわけじゃないぞ。俺はあのルビーが、紅薔薇の受領者に配られる副賞みたいなもんだって、知ってただけだから。だからあんたと陛下が兄妹なんかじゃないって、元々わかってたんだよ」
「あ、そっちか……」
彼の言う『ハッピーな結末』とは、兄妹疑惑が晴れた事を言っていたのか。
心を透かし見られたと勘違いをし、焦っていた自分が恥ずかし……ん? ちょっと待て。という事は――
「君は……ノースリーフで会った時から、俺達が兄妹じゃないと知っていたという事か? なのに言わなかった? 俺と陛下が、その事で思い悩んでいると知りながら?」
「なんで俺がそこまで親切してやらなきゃなんないの? 俺とあんた、そこまで仲良しだっけ?」
幸せほこほこ気分で、怒りにくい心理状態である筈なのに。
クリスの返答に、少しばかり血圧があがるのを自覚する。
「俺の事はいい。だがこの一か月、陛下が思い悩まれているお姿を、君は一番近くで見ていた筈だ。真実を告げる事で、気持ちを楽にしてさしあげられるとは思わなかったのか? 君はそれでも女王の護衛騎士か?」
「また偉そうにお説教かよ。 あんたがご立派な理由で護衛騎士を辞めたのはわかったけど。だからって俺の恨みはチャラにならないからな」
「恨み?」
心底うっとおしそうにため息を吐くクリスの目には、憎悪すら感じる鈍い光が宿っている。
だが困った事に、今日で会うのが二度目の彼に、恨まれるような覚えはまるで無くて――。
「俺が君に何をしたのか、教えてくれないか? すまないが、心当たりが無いんだ。でも俺はデリカシーとやらを母のお腹に置き忘れて生まれたらしいから……知らず知らずのうちに、誰かを傷付けている事もあるかもしれない」
「だからぁ……そこまで親切に教えてやる義理はないっつってんだよ。心当たりが無いなら、あの赤毛のシェフにでも聞くんだね」
「赤毛……ジェニーの事か? 」
反射的に、彼女の姿を探す。
おさげ髪にコック服、という、貴族のご婦人方とはまた違った出で立ちのジェニーは、大勢のゲストの中からでも、比較的容易に見つけ出す事が出来た。
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「すごいな……」
思わず、呟いてしまった。
あれだけ眉や口を嫌味たらしく歪めても……なおも男前。
大事な話をしているというのに、意識の半分が『こいつホントに綺麗な顔してるな』という感心に持って行かれる。
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次会った時、きちんと確認しよう。
貧乳スレンダータイプと、ムチムチグラマータイプ。どちらの女性が、彼の好みか。
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