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誰であっても何であっても初めては戸惑うしうまくいかない

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 「やっと……見つけた……」

 バークさんの仕事を手伝っている最中、突然彼女に声を掛けられた時は、愕然とした。
 
 当然だ。
 あの日、川に落ちて死んだと思っていたデートの相手が、目の前に生きて現れたのだから。


 「ごめんなさい! クリスにあなたを陥れるよう命令されて……あなたを殴って気絶させて、姿をくらませたの……! でも……でもやっぱり私あなたの事が心配で、国中探し回っ」

 最後まで聞かずに、俺は彼女を抱きしめた。

 「よかった……! クリスティーナ……無事で……本当に……!」

 顔が見えなくても、クリスティーナが戸惑いに眉をひそめているのが、手に取るようにわかる。

 「え……!? ちょ……っ、怒らないの? 私はあなたを騙して……全てを奪ったのよ!?」

 「君が無事だったんだ。喜び以外に、どんな感情が湧き上がると思う?」

 若く、美しく、なのにそれらを鼻にかける事もしない、クリスティーナ・ハドソン。

 愛に飢えた寂しい過去を抱えながらも、素朴な草花を愛でる優しい心を持つ、素敵な女性。
 そして……柔らかで、弾力もある、小さすぎず、大きすぎない理想のバストの持ち主。

 ローラ様はまるで彼女が巨乳であるかのような言い方をしていたが……クリスティーナは決して巨乳じゃない。丁度良い乳、だ。
 まるで、俺の好みを元に神様が作って下さったのでは無いかと思う程、ドストライクな大きさ。

 そんな宝の山を二つも抱えた彼女の、尊い命が失われていなかった。

 何より――家族を失うという拷問のような悲しみを、クリスは味わっていなかった。

 それらの真実を前に、歓喜する以外のリアクションは……俺には取れない。

 「よかった……本当によかった……!」

 「もう……! なんて人なの!?」

 クリスティーナは俺の体を力ずくで引き剥がした。

 そして、女性にしては大きな手の平で俺の両頬を包み込み、キスをした。

 「愛してる……それだけは本当なの! これからはずっと傍にいたい! あなたの為なら何でもするから! ここで生きて行きましょう、一生一緒に……!」

 「え……? あ……? ふぐ…っ」

 俺の、ファーストキス。

 突如訪れた初体験に戸惑う俺の唇を、再びふさぐクリスティーナ。

 なんだこれは。どうすればいい。
 
 キスって口を閉じてするものじゃなかったのか? 
 動きをピタッと止めて、チュっとするものじゃなかったのか?

 ん!? 何か口に入って来たぞ!? なんだこれは!? 確認しなくては……!
 でも、目っ……キスの時は目をつむるものだろうし……一体どうしたらいいんだ!?
 
 こんなの、想像していたキスとは全く違う。
 普段、挨拶で交わすキスとも、全く違う。

 濃厚で、濃密で、熱い。脳みそが、溶かされていくような快感。


 驚愕の再会からの、初体験喪失。

 俺とクリスティーナの暮らしは、なんとも衝撃的な幕開けを迎えた。
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