【完結】畑暮らしのΩ王子、20年越しに“番”が現れました

兎沢にこり

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幕間 社交界と運命(3)

幕間 社交界と運命(3)



兄に連れられて、玄関ホールを潜る。
優雅な管弦楽団の演奏が、天井や壁にも響いて聞こえる。
広く高い天井に、白を基調とした大理石の壁と、垂れ下がる青と銀糸の垂れ幕。

「エリオス、見ろよ」

ゼフィルに耳打ちされて視線を向けると、壁際には白の騎士団の甲冑が飾られていた。
既に人だかりが出来ており、兜の先しか見ることはできない。
その甲冑は本来銀色だ。しかし、見る場所によって光を反射し、その鎧は見事な白色に見える。
白の騎士団の話はエリオスも知っていたので、しっかり釘付けだ。

「近衛隊のもカッコいいだろうが……」
「あ!オリ兄の甲冑も、好きだよ」

慌ててエリオスがそういうと、八の字になっていた眉がほどける。
セレノスも口の端に笑みを携え、夜会が開かれているメインのダンスホールへと向かった。

天井に釣るされたシルバーのシャンデリアが、磨き上げられた大理石の床を煌めかせる。
その下を歩く貴族達も眩しいくらいだ。
今日のためにとあつらえた、華やかなジャケットやドレスの生地は、動くたびに光をたくさん吸い込むのだ。

「今日は招待客が多いな」
「いつもはこんなに多くないの?」

セレノスが、背の低いエリオスの位置をしっかり確認してから会場を進む。

「あぁ。逸れるなよ」
「もう、子供じゃないんだから!」
「まぁエリィは大丈夫だろうな……問題は、」

そう言って先を進んでいたセレノスが振り向くので、エリオスも後方を見る。
手袋を着けた手で額を抑えたオリオンが、呆れて首を振る。

「ゼフィ兄は!?」
「……アイツはあそこだ」

親指で指し示した場所に、見覚えのあるハーフアップが見えた。
既に、片手はグラスを受け取っており、若い盛りの男女がゼフィルを取り囲んでいる。

「わ、わぁー……」
「アイツはいつも、あぁなる」
「モテモテなんだね」
「モテ……というよりはアイツの土産話はぶっ飛んでるのが多いからな」

容赦ないオリオンの分析。
案に話だけを聞きにきたおもしろ好きの紳士、噂付きの淑女だと言っている。

「ゼフィルは黙ってたら、それはそれでモテるんだけどね」

セレノスも素直な判定だ。
呆気に取られているエリオスを差し置いて、こちらに気づいたゼフィルは、ゆるく手を振ってくる。
それに苦笑いで返してやると、セレノスに促され先を歩いた。

会場はブロックごとに分けられているようで、エリオス達がいる場所は立食パーティーの形式が取られている。
ピンと張ったテーブルクロスは、ヴァルデンハイト王国の紋章が至る所に見えた。

銀のトレイにグラスをのせた給仕係が、セレノスに飲み物を勧めている。

グラスの中身は綺麗な黄色で、炭酸の泡がシュワシュワと浮いている。
小ぶりな赤い実も添えられていて、目で見ても楽しい。

「お酒じゃないから、エリオスも飲めるよ」
「俺、飲みたい」

セレノスにそう言われ、銀のトレイからグラスを受け取ると、まじまじと覗き込んだ。
口をつけると甘いフルーツの味が広がった。
一緒にのっていた赤い実は、酸味が強いのだが、ジュースが甘い分丁度いい。

「美味しい!」
「口にあって良かった」
「これは、何の果物のジュースなの?」

そばに控える給仕係が応える。
髪をしっかり分け、穏やかな表情だ。

「南国の島で採れる果物だと、私達は聞いております」

給仕係の言葉にエリオスは驚いた。
南国は海を超えた先にあると聞く。
陸と山に囲まれた、ソルグラン王国で育ったエリオスにとってそれは夢物語のようだ。
オリオンもグラスを傾けて、見知らぬ味に驚く。

「南国ともヴァルデンハイト王国は、やり取りがあるんだな」
「いえ、実は白の騎士団が活躍した際に、お礼の品で受け取ったものだそうです」

ここでも白の騎士団だ。
もっと話を聞きたいと、エリオスは口を開きかけたところで、ダンスホールから歓声が上がった。

セレノスは静かに御礼を言って、ダンスホールに足を向ける。
後ろ髪を引かれつつ、エリオスも兄らに続いた。

「アイツが来たようだから、挨拶に行こう」

人の波はセレノスが進めば自然と割れる。
皆、綺麗に会釈をしそれにセレノス、オリオンは答えた。
見様見真似で、エリオスもやって見るけれど、兄達のようには格好がつかない。

オリオンはセレノスの隣を歩く、エリオスを挟んで立った。
背も体格も大きい二人に挟まれると、安心感がすごい。
二人にとっては、デビューを迎えたからと言って、末弟への態度は変わらない。
可愛い末の弟だ。

「アイツって?」
「セレノス兄様のご学友だ」

ダンスホール会場に到着すると、流れていた音楽が滑らかに切り替わる。

人だかりが大きな円形を作っているが、セレノスが進めば、その最前列に顔を出せる。
その中に一人、一際輝く者がいた。

深いロイヤルブルーのロングタキシードコート。
白いハイカラーシャツに、チャコールグレーのスラックス。
肩口には銀色のエポレットが、揺れていた。

その人が自身の胸に手を当てて、綺麗な礼をとる。

きらきらと輝く、星のような金色の髪が揺れた。
真っ白な肌は、透明で陶器のようだ。
そして、アイスブルーの瞳がこちらに向けて細められる。

ふわりと笑いかけられたら、もうダメだった。

すんと鼻をならすと、何か香る。
甘くて。ミントのように爽やかな香りで、

「皆様、本日はようこそお越しくださいました」

その人の形のいい唇が動き出し、やっと我に帰る。
だが、依然としてその人からどうしたって抗えない香りが漂ってくる。

食べ物や飲み物なんかじゃない。
手を伸ばして縋りたくなる、そんな匂い。
これって、もしかして。

「……セレ兄ぃ」

本来このタイミングで声をかけるなんて、行儀が良くない。
しかし、エリオスの理性は既に総動員していて、自身が駆け出して行きたい感情を押さえ込んでいる。

あの逞しい体に抱かれたい、声が聞きたい。笑いかけられたい。
ねぇ、あなたは誰なの。
どんな日々を送っていたの?
何百年もの孤独に耐えてきたと錯覚するほどに、目の前の人に焦がれてならい。

「……どうした?」
「あのねっ……っ」

呼吸が乱れ始めている。
言葉が上手く紡げなくて、過呼吸みたいな息しか吐き出せない。
それを、オリオンが宥めるように撫でる。

「人に酔ったのか?」
「……うう、ん、違くて、」

セレノスとオリオンが、尻すぼみになったエリオスの声を聞こうと、身を屈める。
エリオスは、何度も口内に溜まる生唾を飲み込んで、大事な言葉を、ゆっくり紡いだ

「運命、見つけた」

瞬間、顔を上げて付き合わす、セレノスとオリオン。
あまりにも突然すぎて、言葉の意味を最初は理解できず、首を傾げた二人。
だが、だんだんと口角が上がる。
ニヤケそうになる二人だが、必死に体裁を整えて、エリオスに慎重に確認をとる。

「エリィ、フェロモンの香りがしたんだね」
「う、ん」
「それで今、ちょっと呼吸がしにくい……そう?」
「……ん、ん、」

何度もコクコクと頷いて伝える。
叫び出したい気持ちを、兄二人は抑える。

「よしエリオス、俺が連れてきてやるからな」
「待つんだ。エリィではないとフェロモンは分からないよ」
「だけどこれじゃあ、動けないって」

兄らが珍しく慌てている。
これは、大変なことなんだろうか。
もはや、自分で行った方が早いんじゃないか?

「んで、どこだ?その運命は」

オリオンに顔を覗き込まれて、エリオスは静かに指差した。

ただ真っ直ぐに、その光輝く、運命を。

「……っ」
「おいおい……嘘だろ、」

エリオスの指を辿り、先を見つめたセレノスとオリオンは、驚愕に目を見開いた。
ヴァルデンハイト王国、第一王子。
ジークハルト・ヴァルシュタイン、その人であった。

セレノスはすぐさまエリオスに向き直りしゃがむと、まだ大人になりきれない両手をとった。

何を言うか考えあぐねている中でも、エリオスの視線はジークハルト一心に注がれている。
目を輝かせて、己の運命との出会いに喜びを隠せない。

「あのねエリオス……彼はジークハルト。学生時代の友人だよ」
「ジーク、ハルト様、」

名前をこぼし、頬を染めて、嬉しそうに微笑んだ。

そんな顔を見て、誰が真実を伝えられよう。
エリオスからセレノスは思わず顔を逸らす。

セレノスは、伝えなければいけない事を言えずにいる。
言わねばならない。だが、どうしてエリオスがこんな目に遭わねばならないんだ。
運命に憧れていた末弟に、これ程の仕打ちはあるのか。

「エリオス、聞いてくれ。彼は、」

意を決して、セレノスは顔を上げて口を開いた。

「エリ、オス……?」

しかし、既にエリオスから、表情が全てこそげ落ちていた。
じっと、ジークハルトの方への視線は逸らされない。
何も読めない表情だと言うのに、焦茶の両目からぽとぽとと雫が落ちる。

辿るように、ジークハルトの方へ視線を向けると、彼は女性と手を取り合っている。

「この度、こちらのセシリア嬢と結婚することになった。共に手を取り合い、この国をさらに良くしていくと皆に誓おう」

良く通る、綺麗な声だ。
まるで天からの授かり物のように、エリオスは聞こえている。
ジークハルトの言葉が、一言一句頭を駆け巡った。

管弦楽団がより一層、音楽に力を入れる。
ジークハルトとセシリアは、客人らに綺麗な礼をとると、向かい合う。
セシリア細い腰を抱いて、彼らは多くの客人に見守られながら、踊り出す。

向けられたかった、笑顔も、微笑みも、抱きしめられる強さも。
エリオスにはない。
もう、手に入る事はない。

お目見えも兼ねている。
広いダンスホールの中一杯に二人は手を取り踊った。

意気消沈とするエリオスの前にも、二人は優しい笑顔で踊り続け、過ぎ去った。

運命が近くにいれば、どうしたってフェロモンの香りは強く香る。
甘くて、爽やかで、蜂蜜かと思うほどドロリともした。

淡くも醜い期待も抱いた……だって。
エリオスはこんなにも香りを強く感じている。ならば、ジークハルトも気づくのではないか。
こっちを見てくれるのではないか。

「っひ……ぅ、ぅう」

希望は最も簡単に崩れ去る。
セシリアの首元に、しっかりと刻まれた歯形を見た。

αはΩと番になるために、Ωのうなじに歯を立てる。
その番となる儀式的な仕組みについては、まだ詳しく解明されていない。
だが科学者の有力な話によると、Ωに噛みつき傷をつけ、そこにαの唾液が入る事により、Ωの体がそのαの為に組み変わるとされている。
その結果、αもΩも互いのフェロモンにしか反応しなくなるのだ。

二人は正真正銘、番関係となっている。
もうこの香りは、エリオスに向けられているものではないのだろう。
自分だけが、取り残されて運命だと体は訴える。

消沈し、震える体をセレノスが抱きしめた。

「見るなっ」
「エリオス、大丈夫。何かの間違いだ、な?」

オリオンがエリオスの手を強く握った。

間違い?じゃあ、この匂いは何?
握ってくれていた手を大きく振り払う。
自分のした事に、エリオスはまたショックを受けた。

「ご、……ごめん、なさ、」
「ま、待て!」

エリオスは、人の波に抗って走り出す。
すぐに動いた兄達も、ダンスへ招かれた貴族たちを振り払うことは出来ない。
小柄なエリオスはスルスルと足元を通り抜け、兄らを巻いた。



走って、走って、早くここから抜け出したくて。
匂いのしない、遥か遠くに行きたくて。

Ωになんて、生まれてこなければ。兄さんたちみたいに、俺もαであったなら。

「ぇ、り……エリオスッ!!」

グッと腕が掴まれて体が衝撃で反り返る。
後ろから転んでしまいそうなのを、しっかりと受け止められた。

「お前、はぁ、はぁ。いつの間に、そんな足早くなったんだよ」
「ぜ、ゼフィ兄、」
「ハハっ、酒、回っちまったじゃねーか」

ゼフィルが言葉とは裏腹に、エリオスをしっかりと抱きしめた。
あたりは明かりが届かず真っ暗で、湿っぽい。
遠くの方で、談笑の漏れたさざめきと、音楽が聞こえてくる。
ここは、中庭のようでゼフィルはエリオスを引っ張って、ベンチが備わるガゼボに座らせた。

エリオスはどこか視点の合わない目で、遠くを見る。
見えない何かを探るように。
そして、鼻をすんと鳴らして、恐怖した。

まだ、その香りが、運命のフェロモンがすぐそこまで香ってくる。
鼻を何度も擦っても、あの香りが離れていくことはない。

震える手で胸元に手をやって、小さな小瓶を取り出した。

「よせ!」

エリオスは跳ねるようにゼフィルの腕をすり抜けて、ガゼボの外へ出る。
月が明るくて、怯えるゼフィルの顔がよく見える。
蓋を開けてそれを一気に煽り、噛み締めた。
あんなに嫌だった、薬の味が薄く感じる。
それほど、運命は濃く香りエリオスを苦しめる。


初めての社交界デビューの日。
エリオスは運命を失った。

そのまま意識までもを失ったエリオスは、三日間の昏睡状態になる。


目を覚ました時、全てを諦めたΩは、Ωである自分自身に決別を告げたのだった。

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