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敵は身近に
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本の中身を見たみぐみは、この本を見るために5分ほどの時間を費やしたことを深く後悔した。その本の中身はただのエロ小説だったのだ。英語を得意とするめぐみでなくとも1ページ見ればいかがわしいと分かるものだった。ほとんど文章はなく、外国人の男女が絡み合っている姿が繊細なタッチで描かれた絵と、多彩なバリエーションの喘ぎ声が非常に分かりやすい英語で書かれていた。
めぐみは無言で本を本棚に戻し作業に戻った。そんなめぐみに対して、優馬は必死に言い訳を並べている。
「違うんだって。それ、楽しく英語を学べるって結構評判でさ、友達に教えてもらって一回見たことあるだけなんだよ。ほんとだよ?聞いてる?」
すでに優馬への興味が消え失せていためぐみは、菊池の机の引き出しを探していた。
「あっ」
めぐみに無視され、士気を大幅に下げながらも捜索を再開していた優馬がまた声を漏らした。またお世話になっているエロ本でも見つけたのかと、後ろを一瞥しためぐみの視線の先には、黒い鞄を抱えた優馬がいた。どうやらクローゼットの中に置いてあったようだ。
「それ、菊池さんの鞄ね。きっと仕事の資料とかが入っているはずだわ。ナイス優馬!」
「おお、まあな。じゃあさっそく見ようぜ。」
先ほどの失態を挽回したことで一気に元気を取り戻した優馬は、意気揚々と鞄を開けた。
中を見ると男の職業はすぐに分かった。鞄の中で真っ先に見つけた、黒く手のひらサイズの二つ折りになっている手帳、菊池友也は警察官だった。さらには、今まさにめぐみ達が追っている死体置き去り事件についての資料も見つかった。
「菊池さんは刑事で、例の事件の担当だったのね。被害者と加害者とされる人たちについて詳しく調べてるわ。」
「ああ、こんな偶然ってあるんだな。」
「偶然じゃないかもしれないわね。」
めぐみの言葉に、資料に目を落としていた優馬はパッと顔を上げた。
「えっ、どういうことだよ。」
「もしかしたらこの人、犯人を見つけようとして逆に殺されてしまったんじゃないかしら。」
めぐみの言葉を聞いて、優馬の顔から血の気が引いていく。犯人を追っていた警察官が殺されてしまったとしたら、当然その犯人を見つけようとしているめぐみと優馬も命の危険がある。今まで漠然としか思い描けなかった犯人像だが、警官殺しが加わることで身の毛もよだつ凶悪犯だというイメージが鮮明になった。
「これって・・・」
呆然としている優馬を放置し、引き続き資料を読んでいためぐみは資料の中にある物を見つけた。それは、めぐみもよく知る人物の写真だった。
「優馬、行くわよ。」
「えっ、どこに?」
「私のバイト先よ。敵は随分と近くに居たみたいだわ。」
めぐみは無言で本を本棚に戻し作業に戻った。そんなめぐみに対して、優馬は必死に言い訳を並べている。
「違うんだって。それ、楽しく英語を学べるって結構評判でさ、友達に教えてもらって一回見たことあるだけなんだよ。ほんとだよ?聞いてる?」
すでに優馬への興味が消え失せていためぐみは、菊池の机の引き出しを探していた。
「あっ」
めぐみに無視され、士気を大幅に下げながらも捜索を再開していた優馬がまた声を漏らした。またお世話になっているエロ本でも見つけたのかと、後ろを一瞥しためぐみの視線の先には、黒い鞄を抱えた優馬がいた。どうやらクローゼットの中に置いてあったようだ。
「それ、菊池さんの鞄ね。きっと仕事の資料とかが入っているはずだわ。ナイス優馬!」
「おお、まあな。じゃあさっそく見ようぜ。」
先ほどの失態を挽回したことで一気に元気を取り戻した優馬は、意気揚々と鞄を開けた。
中を見ると男の職業はすぐに分かった。鞄の中で真っ先に見つけた、黒く手のひらサイズの二つ折りになっている手帳、菊池友也は警察官だった。さらには、今まさにめぐみ達が追っている死体置き去り事件についての資料も見つかった。
「菊池さんは刑事で、例の事件の担当だったのね。被害者と加害者とされる人たちについて詳しく調べてるわ。」
「ああ、こんな偶然ってあるんだな。」
「偶然じゃないかもしれないわね。」
めぐみの言葉に、資料に目を落としていた優馬はパッと顔を上げた。
「えっ、どういうことだよ。」
「もしかしたらこの人、犯人を見つけようとして逆に殺されてしまったんじゃないかしら。」
めぐみの言葉を聞いて、優馬の顔から血の気が引いていく。犯人を追っていた警察官が殺されてしまったとしたら、当然その犯人を見つけようとしているめぐみと優馬も命の危険がある。今まで漠然としか思い描けなかった犯人像だが、警官殺しが加わることで身の毛もよだつ凶悪犯だというイメージが鮮明になった。
「これって・・・」
呆然としている優馬を放置し、引き続き資料を読んでいためぐみは資料の中にある物を見つけた。それは、めぐみもよく知る人物の写真だった。
「優馬、行くわよ。」
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