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第一話 魔王ゼロからの求婚
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「魔王! 次こそは倒してみせるからなあああ!!!」
白銀の髪を持つギルバート兄様は悔しげな顔のまま、意識を失い、王様のお城へ転送された様子だった。
真っ白い魔方陣は、勇者が死にかけた時に、死なせない為に発動する絶対の転送魔法。
あの魔法が行われた後は、王様のお城で目覚めることが多いって生前にギルバート兄様がよくお話ししてくれていた。
「まったく、お前の兄は血の気が多いな。勇者としては冷静ではない」
『仰るとおりで……兄が、すみません』
「構わぬ。しかし……希有な出会いだ、まさか勇者の妹が幽霊として、我が城にくるとはな。よほど、兄が気になったか」
そう、私は勇者ギルバート・アインツの妹。ウルシュテーラ・アインツ。
髪は生前は兄様と同じ色をしていたけれど、病弱だったからあまり髪艶は兄様よりよくないかもしれなかった。
片田舎で育った私と兄様は、ある日王様に呼び出され兄様は勇者の座を受け入れる。
私は兄様の帰りを、いつも田舎で待っていた。病弱だったから、世話はお城から一人派遣されていたけれど今頃その人はどうしているのか。
世話係のアルギスは最期まで私に優しくしてくれる好青年だった。素敵な奥さんがいつか彼のそばに出来たらいいのにな。
アルギスは何をおいても私を優先してくれて、魔物退治ばかりの兄様に食ってかかったこともあった。
兄様はそこで初めて、私の病気を真面目に考え、私の病が治るという千月花というアイテムを取ってきてくれたけれど、その頃には――全てが遅かった。
私は死んでしまい、兄様の思いやりは間に合わなかった。
けれど不思議なことに私は、幽霊として存在することが出来たの。
兄様の荒れ具合が気になって、守護霊状態で付き添って魔王城までいったら、あまりの結界の強さに魔王城から出られなくなってしまった。
そんな私を見つけたのが、魔王ゼロだった。
ゼロは最初ただの人間の幽霊だと思ったらしいが、面影に気づいて色々と身の上話に付き合ってくれた。
案外魔王っていい人なのかもしれない。
「やはりこの城から出られないか、結界を緩めるワケにはいかんのだが」
『はい、今日は裏口や空からも出られないか試したのですが、無理でした……』
「お前は再び生きたいか?」
『……生きることが出来たら、のんびり暮らしてみたいです。素敵な恋人もつくったりして』
「これも……縁か。ふ、可愛らしい望みだ、よし貴様に身体を与えてやろう」
『そんなこと、出来るのですか?』
「魔物としてだったら魂のない身体を作るくらいは訳がない、リクエストくらいは聞いてやる。但し、条件だ。貴様は我が伴侶として迎え入れる」
『え』
「この話を聞いたからには拒否権なぞないぞ、お前に許されるのは頷きハイと答える行為、それだけだ」
『ま、魔王様はそれでいいのですか、元人間が嫁になんて……私なんかで……、それに蘇りって禁忌の技じゃ?』
「禁忌には慣れてる、余は魔王ぞ? 近頃、五月蠅くチャームしてくる輩が多くいてな。そいつを門前払い出来るいい理由になる。虐められたら助けるくらいはしてやろう」
私はこうして、魔王ゼロに世界一軽いプロポーズをされたのだった。
白銀の髪を持つギルバート兄様は悔しげな顔のまま、意識を失い、王様のお城へ転送された様子だった。
真っ白い魔方陣は、勇者が死にかけた時に、死なせない為に発動する絶対の転送魔法。
あの魔法が行われた後は、王様のお城で目覚めることが多いって生前にギルバート兄様がよくお話ししてくれていた。
「まったく、お前の兄は血の気が多いな。勇者としては冷静ではない」
『仰るとおりで……兄が、すみません』
「構わぬ。しかし……希有な出会いだ、まさか勇者の妹が幽霊として、我が城にくるとはな。よほど、兄が気になったか」
そう、私は勇者ギルバート・アインツの妹。ウルシュテーラ・アインツ。
髪は生前は兄様と同じ色をしていたけれど、病弱だったからあまり髪艶は兄様よりよくないかもしれなかった。
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私は兄様の帰りを、いつも田舎で待っていた。病弱だったから、世話はお城から一人派遣されていたけれど今頃その人はどうしているのか。
世話係のアルギスは最期まで私に優しくしてくれる好青年だった。素敵な奥さんがいつか彼のそばに出来たらいいのにな。
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兄様はそこで初めて、私の病気を真面目に考え、私の病が治るという千月花というアイテムを取ってきてくれたけれど、その頃には――全てが遅かった。
私は死んでしまい、兄様の思いやりは間に合わなかった。
けれど不思議なことに私は、幽霊として存在することが出来たの。
兄様の荒れ具合が気になって、守護霊状態で付き添って魔王城までいったら、あまりの結界の強さに魔王城から出られなくなってしまった。
そんな私を見つけたのが、魔王ゼロだった。
ゼロは最初ただの人間の幽霊だと思ったらしいが、面影に気づいて色々と身の上話に付き合ってくれた。
案外魔王っていい人なのかもしれない。
「やはりこの城から出られないか、結界を緩めるワケにはいかんのだが」
『はい、今日は裏口や空からも出られないか試したのですが、無理でした……』
「お前は再び生きたいか?」
『……生きることが出来たら、のんびり暮らしてみたいです。素敵な恋人もつくったりして』
「これも……縁か。ふ、可愛らしい望みだ、よし貴様に身体を与えてやろう」
『そんなこと、出来るのですか?』
「魔物としてだったら魂のない身体を作るくらいは訳がない、リクエストくらいは聞いてやる。但し、条件だ。貴様は我が伴侶として迎え入れる」
『え』
「この話を聞いたからには拒否権なぞないぞ、お前に許されるのは頷きハイと答える行為、それだけだ」
『ま、魔王様はそれでいいのですか、元人間が嫁になんて……私なんかで……、それに蘇りって禁忌の技じゃ?』
「禁忌には慣れてる、余は魔王ぞ? 近頃、五月蠅くチャームしてくる輩が多くいてな。そいつを門前払い出来るいい理由になる。虐められたら助けるくらいはしてやろう」
私はこうして、魔王ゼロに世界一軽いプロポーズをされたのだった。
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すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
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