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第二十七話 聖女になるコツは妄想
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「ううん、最近の君の発想はつまらないんだよなあ」
ロス様が突然ぽつりと呟きだしてから、妾へ祝福の加護が滅多なことでは起きなくなった。
その頃ちょうど、ソレイユが聖女として有名になり始めてきていたので、色々察しがつく。
恐らく腐女子妄想を気に入ったロス様がソレイユに力を貸しているのだろう。
世間はソレイユこそ聖女だと盛り上がり、妾に頼らなくなり、妾はあまり仕事がなくなった。
それに激怒したのはオズだった。
「自分は納得いきません! 最初に試練に落ちたのはソレイユではないですか!」
「そうはいっても、今は力があちらのがあるからねえ」
「でも、そんなのどうせずるでもなんかしたんですよ! あの子のことですから!」
「こら、滅多なこというもんじゃないわよ」
「ローズ様からのでこぴん!!! 幾ら払えばいいですか!!!」
「だから貢ぎ癖やめなさいよ」
財布を取り出すオズに笑って告げると、オズはふんすふんすと鼻息を荒げて怒っている。
「教会の司祭どもの目をみましたか!? あれだけ尽くしてきたローズ様をなんともお礼言わないんです!」
「いいのよ、こうなること判っていたの」
「わかって、いた? どういうことです」
「妾の力は、神様の気紛れなのよ」
妾は隠すつもりもなくオズにそっと打ち明けた。
オズは理解できないのか、むーっとしていて、少しだけその姿がいつもの大人の雰囲気ではなく。少女じみていて、愛らしかった。
「ローズ様の方が偉大なのに」
「そんなことないわ。ソレイユに力がいったのなら、彼女も同じよ」
「いいえ! 志が違います! ソレイユは美形にしか力を使わないんです!」
それはそれで判りやすい姿ね、と逆に感心しちゃう。
「決めました」
「なあに?」
「自分はローズ様に負けるのはしょうがないっておもうんです、でも、ソレイユには負けたくないです。それなら自分が聖女になります!!」
「……あら、それはとってもいいことね」
とても素敵な提案だと思う。
オズは女騎士と二足のわらじであったけれど、本格的に聖女を目指すなら聖女一筋になるということで。
オズのような才覚があるなら、一度開花すればあとはするすると出来ると思う。
オズには不安定な力はないから、安心出来る。市民としても。
「応援してるわ」
「つきましてはローズ様」
「なあに」
「応援によしよししてくれませんか!?!!」
「ど、どうしたの」
「ローズ様のあたたかみは自分にとっての癒しなんです!! さあほら、遠慮なさらず!」
「そ、それじゃ……失礼するわね? これでよろしくて?」
遠慮がちにオズの碧髪に手を埋めて、柔らかな毛並みを撫でていけば、オズはうっとりとしだし、やがて鼻息が荒くなっていく。
「ローズ様良い匂い……」
「貴方たまにおじさんくさいわね」
「ローズ様有難う御座います、おじさんでいいです」
「駄目でしょう!? 年頃の娘でしょう!?」
「ローズ様に触れて貰えるならおじさんであれば光栄です!!!」
オズはもう、盲目かも知れない。
*
数日後、オズとソレイユは対決することになり、呪われた椅子を目の前にしている。
見るからに怨念のすごい椅子で、ぞっとする。
座っただけで死んでしまう呪いの椅子らしいの。
「挑戦者オズ!」
オズは呼ばれると呪いの椅子に触れ、睨み付ける。
ガンを飛ばすだけで幽霊達は萎縮している様子で、すぐにしおしおしていったけれど。ソレイユが睨み付ければ震えて、奮い立つ。
「っく……!」
「そこまで! 次、聖女ソレイユ!」
「おまかせください♡」
ソレイユはにこやかに微笑むと椅子に触れ、椅子に触れた瞬間、幽霊達が召されていき。
ソレイユの後ろにロス様がいて、妾に手を振った。
やっぱり貴方の仕業なのね。
「オズ。いい? くわしいことはいえないけれど、おはなしの妄想をしなさい」
「どうしてですか」
「あとでおしえる」
ソレイユの誇らしそうな顔をみていて、必死なオズをみていて。
ロス様の気紛れが少しだけ腹立たしくなる。
それならロス様の気紛れを、オズにもあげたい。
それなら三人とも平等でしょう?
*
次に用意されたのは、取り憑かれた花。
植木鉢で魔物に取り憑かれた花は、声に反応すると踊り出す。
声が病めばぴたっと止まっている状態。
「これを癒やして呪いを消してください」
「失敗すればどうなりますか」
「花の代わりに聖女様達が踊ることになります」
それは随分と愉快そうな現場ね!?
オズは名を呼ばれて、すうと深呼吸してる。
集中してる様子にロス様はすんっとしていたけれど、一瞬ピクリとする。
そのあとにきらきらと顔を輝かせれば、ロス様はオズに加護を与える。
「いやあ、君が一番面白いよー! どうなってるの頭の中! 筋肉男だらけの、王道ストーリー! 王様への反逆にスパイアクションから、冒険活劇まで! 作家になれるね、君!」
きっと。オズの妄想は、少年の好む物語でも想像したのだろう。
確かに恋愛だらけで飽きていたロス様には魅力的だったのかもしれない。
でもこれで妾には嬉しい結果となった。
不安定なものだった聖女は、本当に相応しい人のもとにむかうのだから。
花から魔物が消え、踊っていた花は静かになっていく。
ソレイユは「神様!? 神様!?」とソレイユの側からいなくなったロス様を探し続けていて、オズは新たに見えたロス様に吃驚している。
「それが妾の力の気紛れだったのよ」
簡単にオズにだけ打ち明ければ、オズは気易く笑った。
「それでも貴方は偉大です。気に入る妄想し続けたのですから。最初に神様から愛されたのは貴方です」
ロス様が突然ぽつりと呟きだしてから、妾へ祝福の加護が滅多なことでは起きなくなった。
その頃ちょうど、ソレイユが聖女として有名になり始めてきていたので、色々察しがつく。
恐らく腐女子妄想を気に入ったロス様がソレイユに力を貸しているのだろう。
世間はソレイユこそ聖女だと盛り上がり、妾に頼らなくなり、妾はあまり仕事がなくなった。
それに激怒したのはオズだった。
「自分は納得いきません! 最初に試練に落ちたのはソレイユではないですか!」
「そうはいっても、今は力があちらのがあるからねえ」
「でも、そんなのどうせずるでもなんかしたんですよ! あの子のことですから!」
「こら、滅多なこというもんじゃないわよ」
「ローズ様からのでこぴん!!! 幾ら払えばいいですか!!!」
「だから貢ぎ癖やめなさいよ」
財布を取り出すオズに笑って告げると、オズはふんすふんすと鼻息を荒げて怒っている。
「教会の司祭どもの目をみましたか!? あれだけ尽くしてきたローズ様をなんともお礼言わないんです!」
「いいのよ、こうなること判っていたの」
「わかって、いた? どういうことです」
「妾の力は、神様の気紛れなのよ」
妾は隠すつもりもなくオズにそっと打ち明けた。
オズは理解できないのか、むーっとしていて、少しだけその姿がいつもの大人の雰囲気ではなく。少女じみていて、愛らしかった。
「ローズ様の方が偉大なのに」
「そんなことないわ。ソレイユに力がいったのなら、彼女も同じよ」
「いいえ! 志が違います! ソレイユは美形にしか力を使わないんです!」
それはそれで判りやすい姿ね、と逆に感心しちゃう。
「決めました」
「なあに?」
「自分はローズ様に負けるのはしょうがないっておもうんです、でも、ソレイユには負けたくないです。それなら自分が聖女になります!!」
「……あら、それはとってもいいことね」
とても素敵な提案だと思う。
オズは女騎士と二足のわらじであったけれど、本格的に聖女を目指すなら聖女一筋になるということで。
オズのような才覚があるなら、一度開花すればあとはするすると出来ると思う。
オズには不安定な力はないから、安心出来る。市民としても。
「応援してるわ」
「つきましてはローズ様」
「なあに」
「応援によしよししてくれませんか!?!!」
「ど、どうしたの」
「ローズ様のあたたかみは自分にとっての癒しなんです!! さあほら、遠慮なさらず!」
「そ、それじゃ……失礼するわね? これでよろしくて?」
遠慮がちにオズの碧髪に手を埋めて、柔らかな毛並みを撫でていけば、オズはうっとりとしだし、やがて鼻息が荒くなっていく。
「ローズ様良い匂い……」
「貴方たまにおじさんくさいわね」
「ローズ様有難う御座います、おじさんでいいです」
「駄目でしょう!? 年頃の娘でしょう!?」
「ローズ様に触れて貰えるならおじさんであれば光栄です!!!」
オズはもう、盲目かも知れない。
*
数日後、オズとソレイユは対決することになり、呪われた椅子を目の前にしている。
見るからに怨念のすごい椅子で、ぞっとする。
座っただけで死んでしまう呪いの椅子らしいの。
「挑戦者オズ!」
オズは呼ばれると呪いの椅子に触れ、睨み付ける。
ガンを飛ばすだけで幽霊達は萎縮している様子で、すぐにしおしおしていったけれど。ソレイユが睨み付ければ震えて、奮い立つ。
「っく……!」
「そこまで! 次、聖女ソレイユ!」
「おまかせください♡」
ソレイユはにこやかに微笑むと椅子に触れ、椅子に触れた瞬間、幽霊達が召されていき。
ソレイユの後ろにロス様がいて、妾に手を振った。
やっぱり貴方の仕業なのね。
「オズ。いい? くわしいことはいえないけれど、おはなしの妄想をしなさい」
「どうしてですか」
「あとでおしえる」
ソレイユの誇らしそうな顔をみていて、必死なオズをみていて。
ロス様の気紛れが少しだけ腹立たしくなる。
それならロス様の気紛れを、オズにもあげたい。
それなら三人とも平等でしょう?
*
次に用意されたのは、取り憑かれた花。
植木鉢で魔物に取り憑かれた花は、声に反応すると踊り出す。
声が病めばぴたっと止まっている状態。
「これを癒やして呪いを消してください」
「失敗すればどうなりますか」
「花の代わりに聖女様達が踊ることになります」
それは随分と愉快そうな現場ね!?
オズは名を呼ばれて、すうと深呼吸してる。
集中してる様子にロス様はすんっとしていたけれど、一瞬ピクリとする。
そのあとにきらきらと顔を輝かせれば、ロス様はオズに加護を与える。
「いやあ、君が一番面白いよー! どうなってるの頭の中! 筋肉男だらけの、王道ストーリー! 王様への反逆にスパイアクションから、冒険活劇まで! 作家になれるね、君!」
きっと。オズの妄想は、少年の好む物語でも想像したのだろう。
確かに恋愛だらけで飽きていたロス様には魅力的だったのかもしれない。
でもこれで妾には嬉しい結果となった。
不安定なものだった聖女は、本当に相応しい人のもとにむかうのだから。
花から魔物が消え、踊っていた花は静かになっていく。
ソレイユは「神様!? 神様!?」とソレイユの側からいなくなったロス様を探し続けていて、オズは新たに見えたロス様に吃驚している。
「それが妾の力の気紛れだったのよ」
簡単にオズにだけ打ち明ければ、オズは気易く笑った。
「それでも貴方は偉大です。気に入る妄想し続けたのですから。最初に神様から愛されたのは貴方です」
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